蝶番(ちょうつがい)は、ドアのように開閉する扉や蓋を、壁や柱などに固定する役割を持っていますが、数多くの種類があり使用用途によって、使い分けをされています。私たちの日常生活で、最も目にする機会が多い建築金具であり、知らない方はいないのではないでしょうか。今回は、蝶番(ちょうつがい)のおすすめ5選と種類や用途、代表的な物の取付け方などをご紹介します。
目次
蝶番は使用用途によって、使い分けされることが殆どで、数多くの種類があり、ざっと浮かぶだけでも12種類ほどあります。簡単に蝶番の種類についてご紹介します。
最も一般的な蝶番で、扉や箱の蓋などの開閉部分に使われており、特に使用用途が限定されるタイプではなく、木製から鉄製の扉まで幅広く使われています。
平蝶番を縦方向に長くしたモデルで、取付ける扉と同じ長さで使われることが多いのが特徴で、外部からの圧力にも破損し難いため、セキュリティ重視の場合に採用されることがあります。また途中で切断し、平蝶番と同様に使用することも出来ます。
蝶番を上に持ち上げることで、分解することが出来るようになっているモデルです。大きな扉や重量のある扉などを設置する場合、抜き差し蝶番を使えば扉などを吊り上げて設置することが出来ます。
蝶番の内部にスプリング設置してあり、その力を利用して開くか閉じるか、どちらかの方向に開くようになっています。
固定枠と扉に隙間が出来ず、外部からも見えないため、家具の扉などに使用されることが多い蝶番で、連続扉でも隣の扉と干渉せずに設置することが出来ます。
固定枠と扉に掘り込みを作り設置することで、表からも裏からも見えないため、AVラックなどに使用されることが多い蝶番です。
使用者が任意の角度に調整して自由に固定出来る蝶番で、モニターや監視カメラなどを取付ける際のステー部分に使われています。
扉をゆっくり閉めたい時に使用する蝶番で、内部に配置された粘性体の抵抗を利用しています。食品ショーケースやトイレの便座に使われています。
内部にスプリングを備えており、重たい扉を持ち上げて開ける場合などに使用されます。キッチンの棚や飛行機の客室内ロッカーなどに使われています。
扉がガラスの場合に使用する蝶番で、ガラスに穴加工が必要な物やボルトなどで固定する物など、さまざまでTV台やAVラックに使われています。
扉を内側、外側のどちらにも開閉出来る蝶番で、ウェスタン扉などに使われています。
平蝶番の摺動部に樹脂キャップを装着した蝶番で、金属同士が当たらないため、摩耗による金属の粉が出ないのが特徴です。半導体工場のクリーンルームなどの扉に使われています。
実際には、これ以外にも蝶番の種類はありますが、よく目にする物を中心にご紹介しました。
次項からは、代表的な蝶番5種類の取り付け方と、おすすめを個別にご紹介します。
私たちの日常生活で、最も目にする機会の多いのが平蝶番ではないでしょうか。ご自宅にある部屋のドアをはじめ、木製の小物入れやオルゴールの蓋部分などに使われており、取付け方も簡単で、慣れれば女性の方でも施工することが出来ます。
平蝶番でおすすめなのが、大阪府東大阪市に本社を構える「株式会社ハイロジック」からリリースされている「ステンレス蝶番 51mm」です。本体材質にステンレス素材(SUS304)を採用しており、錆び難いため長く美しさを保つことが出来るので室内だけでなく屋外にも使用出来ます。全長が51mmと大きく、ご自宅のドアなどに設置に最適なモデルです。
スライドヒンジ(スライド蝶番)は、システムキッチンをはじめ、下駄箱やキャビネットなどに多く使われています。スライドヒンジには取付け枠が隠れる全被せタイプ、取付け枠が半分程隠れる半被せタイプ、扉が取付け枠の内側に納まるシンセットタイプの大きく3種類がリリースされています。簡単に取付け方をご紹介します。
建築資材の製造、販売を行っている「株式会社ベスト」からリリースされている「スライド蝶番 35ミリ」は全被せタイプとなり、取付け枠が外部から見えなくなるモデルです。カップ径がΦ35mm、開き角度は100度となり家具やキャビネット、システムキッチンなどへの使用に最適です。アーム内にダンパーを搭載しており、開き幅が少ない場合には自動的に扉を閉じるように工夫がされています。
自由蝶番は、取付けた扉を内側、外側のどちらにも開閉することが出来る蝶番で、庭やご自宅に入る門扉やウェスタン扉などに使用されています。自由蝶番を取付け枠に直接取付けると、扉の開閉が出来なくなる場合もありますので、取付け枠の幅と自由蝶番の幅を確認しておく必要があります、簡単に取付け方と、おすすめをご紹介します。
補助材からの手順を記載しましたが、扉側から取付けを行うことも出来ます。
トラスコ中山からリリースされている「スチール製自由蝶番 THN-100-76」は全長が76mmと大きく、自由蝶番を2個使用した場合で耐荷重が10kgもあり、ウェスタン扉を作る際に最適なモデルです。またネジ穴も4ヵ所ありますので、ビスで確実に固定することが可能で、位置決めも楽にバランス良く行うことが出来ます。本体はスチール製なので、高い強度と耐久性を備えています。
ウェスタン扉を作る際は、扉を持ち上げる時間が長いので、インパクトドライバーがあった方が便利です。
トルクヒンジは、扉や蓋などを一定の角度で自由に固定することが可能な蝶番で、私たちが良く目にするのはノートパソコンの液晶パネル部分のヒンジをはじめ、監視カメラや液晶テレビの角度調整ステー部分などに使われています。
トルクヒンジの場合、扉や取付け枠に掘り込み(下穴)を開けることが少なく、そのまま取付けられるタイプも数多くリリースされています。
「スガツネ工業株式会社」は建築、家具金物を数多く製造、販売している専門メーカーです。ご紹介する「LAMP ミニフラットトルクヒンジHG-MF25-BL」は、ポリアセタール樹脂で出来たトルクヒンジで、事務機器や店舗計器などのパネル開閉用の蝶番に最適なモデルです。ヒンジ部のピンをクリップ構造で固定する方式となり、定格トルクは0.245N・mと軽量な蓋などであれば十分な保持力を備えています。
スプリング蝶番は、平蝶番の中心部にスプリングを備えており、その力を利用して開閉のどちらか一方に可動するようになっています。コンビニエンスストアのカウンターへの出入りなどで、見掛けることも多いのではないでしょうか。比較的小さめの扉に使用することが多い蝶番です。またスプリング蝶番はスプリングで開閉するため、片開きの場合には平蝶番のような掘り込み(下穴)処理をする必要がありませんので、簡単に取付けることが出来ます。
「株式会社ベスト」からリリースされている「塗バネ蝶番 2-322」は、片開きのスプリング蝶番で全長が75mmと大きく、扉をしっかりと固定、保持することが出来ます。本体はスチール製で、表面に薄いグリーンの塗装を施してありますので、屋外の扉に使用しても錆が発生し難く、長く使うことが出来ます。
蝶番の種類をはじめ、取り付け方法、おすすめの蝶番5選をご紹介しました。蝶番には、ご紹介したように数多くの種類があり、さまざまな所で使われています。プロの方からDIYを楽しむ方まで幅広く使われる部品なので、一般に市販されている物は、専門知識が少なくても取付け、交換がし易いというメリットがあります。是非、DIYで自作の扉などを作る際に使ってみては如何でしょうか。