記事更新日:

木造建築士/資格の取得方法や要件についてご紹介!

当サイトの記事には広告、アフィリエイトが含まれています。

引用:pixabay
木造建築士は、建築士資格の1種となり延べ面積が300平方メートル以下で、二階建て以下の木造建築物についての設計、工事監理を行うことが出来る国家資格となります。神社仏閣などで使われる日本古来の木造建築様式に対応するために、設計から材料などについて非常に高い専門知識が必要となる資格で、筆記試験と設計製図試験に分かれ年1回の試験が行われています。今回は、木造建築士について色々とご紹介します。

木造建築士とは?

Hiroaki Naritaさん(@moonchild_narita)がシェアした投稿

簡単に「木造建築士」についてご紹介します。

木造建築士とはどんな資格

建築士には1級、2級、木造建築士の3種類の資格があります。その中の一つである木造建築士は、「建築士資格」の一つで建築士法に則り、「木造建築物に限って」設計、工事監理が出来る国家資格です。

木造建築士資格では、どんなことが出来るのか?

建築士法に照らし合わせると2級建築士の資格があれば、木造建築士の業務内容については対応が可能ですが、古くに作られた家屋をはじめ、神社仏閣などでしか使用しない木材についての知識など、高い専門性が求められる資格で、天然木材などを使用した家屋などを建築する場合には、非常に役立ちます。

また設計、工事監理が出来る範囲として、延べ面積が300平方メートル以下、2階建て以下の建築物となります。

木造建築士の年収は?

実際の厳密な年収データはありませんが、300~500万円前後といわれています。

木造建築士になるためには?

健登さん(@ken872architect)がシェアした投稿

先にご紹介したように、専門性の高い資格である木造建築士になるにはどうすれば良いかをご紹介します。

木造建築士の受験資格について

木造建築士の受験資格を得るには、建築に関する学歴と資格に応じた実務経験が必要事項となりますので、これらの条件をクリアしなければ試験を受けることが出来ません。特に実務経験に対する要件が大きく4つに分かれますので、簡単にご紹介します。

第1号:大学、短期大学、高等専門学校で指定科目を修了し卒業した場合には、実務経験0年
第2号:高等学校、中等教育で指定科目を修了し卒業した場合には、卒業後実務経験3年以上
第3号:都道府県知事が特に認めるもので、建築整備士を取得している場合には、実務経験0年。その他については建築士法第15条第三号に該当するものは所定の年数
第4号:建築に関する学歴なしの場合には、実務経験7年以上

上記のように、実務経験が異なりますので、ご自身で確認する必要があります。

受験資格を得るまでの経緯

先にご紹介したように学歴と実務経験によって、木造建築士資格の取得までの経緯が異なります。また試験には、「学科試験」と「設計製図」の2つの試験があり、学科試験合格者が設計製図試験に進むという形式になりますが、前年または前々年に学科試験を合格した方は、設計製図試験のみの受験だけとなっています。

1:第1号に該当する場合
大学や短期大学、高等専門学校を卒業 → 学科試験 → 合格 → 設計製図の試験 → 合格 → 免許申請(都道府県知事) → 木造建築士免許取得

2:第2号に該当する場合
中学校や高等学校を卒業 → 実務経験3年以上 → 学科試験 → 合格 → 設計製図の試験 → 合格 → 免許申請(都道府県知事) → 木造建築士免許取得

3:第3号に該当する場合
建築整備士 → 資格試験 → 合格
その他 → 各条件に応じた実務経験年数 → 学科試験 → 合格 → 設計製図の試験 → 合格 → 免許申請(都道府県知事) → 木造建築士免許取得

4:第4号に該当する場合
建築に関する学歴が無い場合 → 実務経験7年以上 → 学科試験 → 合格 → 設計製図の試験 → 合格 → 免許申請(都道府県知事) → 木造建築士免許取得

過去5年間の受験者、合格者数について

木造建築士の試験は国家資格となり、さらに専門性の高さから簡単に合格出来るものではありません。過去、平成25年から平成29年までの5年間で、多少のバラツキはありますが、総合合格率は平均約34.3%とかなり厳しい数字となっています。過去5年間の合格率一覧をご紹介します。

年度  平成25年度  平成26年度  平成27年度  平成28年度  平成29年度
受験者数(総合)  628  558  556  558  616
合格者数(総合)  180  223  152  198  247
合格率(総合)  28.7%  40.0%  27.3%  35.5%  40.1%

受験して、合格される方の傾向としては、やはり大学などで建築関係の勉強をされていて、実務経験0年で試験を受けている方の割合が高く、全体の約90%近くとなっています。また学科試験、設計製図試験共に、合格者の男女比は8:2と女性の比率が高いもの特徴の一つです。

資格試験は1年に1度となりますので、事前にしっかりとした勉強と対策が必要となります。

木造建築士、試験について

大吉さん(@daikichi.sol5107)がシェアした投稿

木造建築士の試験は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」が毎年行っています。簡単に受験手順についてご紹介します。

受験料について

木造建築士の受験料の払い込み方法は、インターネット上でのクレジットカード決済と、コンビニエンスストアでの決済の2種類のみとなっています。受験料は同じですが、事務手数料が異なりますので注意が必要です。

1:クレジットカード決済の場合
受験手数料17,700円 + 事務手続手数料382円 = 18,082円

2:コンビニエンスストア決済の場合
受験手数料17,700円 + 事務手続手数料221円 = 17,921円

試験日程(申し込みから合格発表まで)

試験日程について簡単にご紹介します。

受験申込(04月) → 学科試験(07月) → 学科試験合格発表(09月) → 設計製図試験(10月) → 最終合格発表(12月)

毎年4月に受験申込が始まりますが、期間が1週間程と短いので受験を考えている方は、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のウェブサイトを頻繁にチェックすることをおすすめします。

申込み方法について

受験の申込み方法は、郵送で資料請求を行い申込む方法とインターネットでの申込みの2種類がありますが、どちらも期間が1週間程と短いため、インターネットでの申込みをおすすめします。

公益財団法人 建築技術教育普及センター

試験を主催している公益財団法人 建築技術教育普及センターのウェブページをご紹介しておきます。
ウェブサイト:http://www.jaeic.or.jp/shiken/mk/index.html

試験内容について

木造建築士の出題科目や出題数について、ご紹介します。
1:学科試験について
建築計画、建築法規、建築構造、建築施工の4項目に分かれ、それぞれ25問づつの合計100問を五肢択一式で回答するようになっています。試験時間は合計で6時間となり、1日掛けての試験となります。この学科試験に合格すれば、次の設計製図の試験へ進むことが出来ます。

2:設計製図試験について
設計製図試験については、事前に公表されている課題建築物についての設計図書の作成となり、1つの課題を5時間掛けて仕上げる試験となります。

木造建築士資格取得のための勉強方法

Risaさん(@risa.kwns)がシェアした投稿

木造建築士試験を合格するための勉強方法には、どんなものがあるのかをご紹介します。

専門の学校へ通う場合

木造建築士だけでなく、1級や2級の建築士を目指す方であれば、専門の講座に通ってみるのも方法の一つです。認定を受けている学校であれば、実務経験についての要件も必要なく試験資格を取得出来る場合もありメリットは高いと思いますが、費用的には約40万円前後と高額となりますので、ご自身がどういった職種を目指すかによって決められることをおすすめします。

独学で取得する場合

試験の受験資格要件に実務経験年数があり、全く建築関係の勉強をしたことが無い場合には実務経験7年以上が必要となりますので、実際には独学での取得は難しい資格となります。

試験に合格するには、やはり過去問題などを繰り返し解くことが一番の早道となり、各種テキストも販売されていますので、少しだけご紹介しておきます。

1:ゼロからはじめる「木造建築」入門

ゼロからはじめる「木造建築」入門
ゼロからはじめる「木造建築」入門

著者:原口 秀昭
単行本: 295ページ
出版社: 彰国社 (2009/2/1)

イラスト付きで、木造建築の基本などを解説されており、教科書としても使用出来るほどの完成度を誇り、参考書として使用してみては如何でしょうか。

2:木造建築士資格研修テキスト平成30年版

木造建築士資格研修テキスト平成30年版
木造建築士資格研修テキスト平成30年版

単行本: 348ページ
出版社: 井上書院 (2018/2/15)

建築に関する最新の法令やをはじめ、設計、施工計画など木造建築士の試験で出題される範囲について、テキスト形式でまとめられており、非常に分かり易く作られています。

専門性の高い、木造建築士を目指してみては?

junko nozawaさん(@nozawa_kensetsu)がシェアした投稿

建築士資格の一種である「木造建築士」について、どんなことが出来るのか、受験資格や試験についてご紹介しました。専門性の高い国家資格のため、合格率も低く取得には厳しい資格ですが、日本古来の伝統的な木造建築物などに使われる技術の継承という面では非常に大切な資格となっています。受験資格が学歴と実務の両方を満たす必要があるため、専門学校などに通って勉強し実務経験要件をクリアすることが、取得への近道となりますので、チャレンジしてみては如何でしょうか。

資金調達にお困りの読者様に合わせて読んでいただきたい記事

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。