新しい家を購入しようと思えば、頭金を用意するのは一般的な流れです。とはいえ、「頭金にするお金がない」「全額借入で家を建てたい」などそれぞれ事情が異なることでしょう。当記事では頭金を支払うことで得られるメリットとデメリット、頭金を準備する際に覚えておきたい注意点を取り上げています。今後住宅ローンで家の購入をお考えの方はぜひご一読ください。
目次
住宅ローンを組む際に頭金を用意する必要がある場合があります。しかし、住宅の頭金とはどのようなものなのか、よくわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、まず頭金とは何かについて説明します。
頭金とは
頭金とは、預貯金など手持ちの資金から支払う現金のことで、「自己資金」と呼ばれます。例えば、5,000万円の住宅を購入する場合、住宅販売会社に500万円の頭金を支払えば、住宅ローンは4,500万円の借入で済みます。
住宅を購入する際、住宅代金をローンだけで支払うのか、頭金を用意するのかによって、ローンの借入額が変わってきます。
ただし、手持ちの現金のほとんどを頭金にしてしまうと、いざというときの資金が足りなくなり、生活に支障をきたす可能性があります。
また、住宅購入時には、印紙税や登記費用、ローン契約時の手数料など、その他の費用についても現金を用意する必要があります。
一般的に、住宅ローンの頭金は、住宅購入の総費用の2割程度と言われています。とは言え、税金や各種手数料のことも考えておかなければいけません。
これらの手数料は住宅購入価格の5%が一般的なので、これらを含めると住宅価格の25%程度を住宅ローンの頭金として準備するのが無難です。
希望する住宅が借入余力より高い場合は、一定額の頭金が必要になります。もし頭金なしでローンを組むと、金利が高くなることで利息が増え、希望の条件で融資を受けることが難しくなる可能性があります。場合によっては、結果的に住宅ローンを組めなくなる可能性も否めないでしょう。
住宅ローンを組む際に頭金を用意するメリットは以下の通りです。
以上のポイントを、一つずつ解説していきます。
頭金を用意する最大のメリットは、毎月の返済額を減らせることです。頭金が多ければ、住宅ローンの借入額を減らすことができるので、支払利息を減らすことができます。
また、返済予定額を変えずに借入期間を短くすることも可能です。借入期間が短くなれば、金利負担が軽減され、支払利息の軽減につながります。
頭金の割合によって金利が優遇される金融機関もあり、住宅ローン額が減ることで住宅ローン審査に通りやすくなる場合もあります。
住宅ローンに頭金を入れると、融資額が低くなるため金利や保証料が安く抑えられます。例えば、フラット35では、物件価格の10%以上の頭金を支払うと、金利が低くなります。
また、融資する金融機関が設定する保証料は融資額の大きさに比例するため、頭金の分だけ保証料が安くなります。
住宅ローンの審査に通りやすくなるのも大きなメリットと言えるでしょう。これは、頭金があることで「まじめに貯蓄ができる人」という証明になり、銀行から見た印象が良くなるからです。
また、頭金があると借入金額が減るので、融資率も上がり、ローン審査に良い影響を与えます。このように、頭金が充実している人は、銀行から信用力を高く評価され、ローン審査で有利になるのです。
住宅ローンの頭金を入れることで、希望する物件の購入のタイミングを図りやすくなります。住宅ローンの借入額は、保有者の年収によって異なります。
欲しい物件があっても、年収や物件の評価によっては、物件価格を下回る金額しか融資を受けられないこともあります。
手付金を用意することで、融資額を下げることができ、その結果、希望する物件をタイミングよく購入できる可能性が高くなります。
ここでは頭金ありで住宅ローンを組む場合のデメリットについて解説します。また、頭金は多ければ多い方がいいと一概に言えない理由についても考察しています。
欲しい物件が見つかっても、頭金を用意していないため、住宅ローンだけでは購入資金が足りず、絶好の買い時を見逃してしまう可能性があります。
希望の物件が見つかってから貯金を始めても、ある程度の頭金を準備するのには時間がかかります。準備が遅れれば遅れるほど、欲しい物件が売れたり、物件価格や住宅ローン金利が上昇したりする可能性が高くなります。
ローンを組むのが遅れると、定年後も住宅ローンの返済が続き、老後資金を圧迫することになりかねません。ライフプランに基づき、計画的に資金を準備することが大切です。
不測の事態に対応できるよう、頭金額は少し低めに設定することが大切です。特に毎月の住宅ローン返済額を高めに設定している場合、住宅ローン返済をしながら頭金を用意するのは難しいでしょう。
収入が増えれば頭金に余裕が出てきますが、すぐに用意できるとは限りませんので、頭金の額を調整する必要があります。
いくら残しておけばいいのかわからない場合は、生活費の6ヶ月分をひとつの目安にするとよいでしょう。万が一のことがあっても、半年分の生活費で対応策を考えることができます。
住宅ローンに頭金を入れると、住宅ローン控除の額が制限される場合があります。住宅ローン控除は、住宅を購入し、所定の要件を満たす住宅ローンを借りた場合、年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されるものです。
住宅ローン控除の上限額は年間40万円までですが、頭金が多く、借入額が少ないと控除上限額まで使えない場合があるので注意が必要です。
頭金は、ただ額が大きければいいというわけではありません。ここでは、頭金の金額を決める際に気をつけたいポイントを2つご紹介します。
建築中に、オプションの追加や素材・仕様のグレードアップをすることがあります。しかし、住宅ローンの借入額を増やすという選択肢は、あまり現実的ではありません。
通常、融資額を変更する場合、融資申請に必要な書類を再度用意し、新たな審査を受ける必要があります。そのため、建築中に追加費用が発生した場合は、手持ちの資金で対応するのが一般的です。
手付金を全額頭金にするのではなく、ある程度の追加費用が発生しても大丈夫なように手持ち資金を確保しておくことが、理想の住まいを完成させるために重要です。
また、新居に合わせた家具や家電の購入も必要です。部屋数が多い場合は購入資金も高額になるので、頭金額を決める前に見積もっておくとよいでしょう。
頭金を決める前には、その他の費用についても準備しておく必要があります。住宅購入後、登録免許税などの諸費用や、住宅ローンを組む際の事務手数料がかかります。
頭金の中から諸費用や追加でかかる費用に充てる金額を確保した上で、頭金として入れる金額を決めるとよいでしょう。
また、生活していくなかで、住居費以外の急な出費にも対応する必要が出てきます。ローン返済のほか、生活費や教育費も必要ですが、家族のケガや病気による緊急の出費にも対応する必要があります。
このような不測の事態に対応できるよう、一定額の手元資金を確保しておくことをおすすめします。
長く住む住まいの購入は、焦らないことが大切です。購入したい物件の価格の2割程度の頭金を目安に、計画的に貯めるようにしましょう。
頭金を貯めるには、毎月の生活費を見直すことが大切です。少しの無駄遣いでも、積み重なると大きな出費になります。
余分な出費を抑え、携帯電話や生命保険の契約を変更することで、無駄を大幅に削減することができます。
また、財形貯蓄や定期預金などを利用して、毎月一定額を貯蓄することもおすすめです。生活費を見直すことで、目標預金額への貯蓄をより早く達成することができます。
頭金を自分で貯めるだけでなく、親から援助を受けるというのも一つの方法です。国も優遇税制によって、親からの住宅資金の援助を後押ししています。
他人から財産をもらうと贈与税の対象となりますが、親や祖父母から住宅取得のための資金援助を受けると、特例で一定額まで非課税になります。
また、耐震性、省エネ性、バリアフリー性のいずれかを満たす住宅を取得した場合は、500万円が加算され、最大1500万円まで非課税になります。
国や市町村がマイホーム購入の支援を行っていることを支援を受けられる場合は、そのような制度を利用して、お得にマイホームを手に入れましょう。
今回は、住宅ローンの頭金についてご紹介しました。頭金とは、自分の貯蓄から物件価格の2割程度を支払うことです。
頭金がなくても住宅ローンは借りられますが、頭金があると住宅ローンの借入額を減らすことができます。住居の購入を考えている方は、この記事を参考に頭金について考えてみてください。