住宅ローンを利用する際には、まず諸費用をまとめて金融機関に支払う必要があります。貯蓄額が気になる方は、諸費用がいくらかかるのか、払えるのかどうかが気になるところではないでしょうか。この記事では、住宅ローンの借り入れを検討されている方に向けて、雑費の項目別ガイドをご紹介します。また、雑費を減らす方法についても詳しく解説していきますので、参考にしてください。
目次
住宅を購入する際、ほとんどの方がローンである住宅ローンを利用し、長い期間をかけて返済していくことになります。
しかし、住宅ローンには建物や土地の代金のほか、手続きに必要な諸費用があり、合計すると数十万円にもなることがあります。
どのような手数料がかかるのか、いくらかかるのか、いつ発生するのか、あらかじめ理解しておくことが大切です。住宅ローンの手数料の相場は、以下の通りです。
中古物件=購入価格の6~10%
新築物件=購入価格の3~7%
これは、例えば住宅ローンの借入期間が長くなり、手数料が高くなる場合などが考えられます。金融機関やサービスなど、住宅ローンの種類によって手数料の金額が異なることを念頭に置いておきましょう。
ここでは、住宅ローンの諸費用として発生する可能性のある項目と費用の目安をご紹介します。住宅購入時に何がいくらかかるのか、1つ1つ確認していきましょう。
保証会社に保証人になってもらうための費用を指します。契約者が不測の事態でローンを支払えなくなった場合、保証会社がローン会社に弁済します。
代位弁済後は契約者が保証会社に返済するため、契約者の住宅ローン支払い義務がなくなるわけではありません。支払い方法には2種類あります。
こうした費用に上乗せの形で支払うことになります。支払額は、借入金額や返済期間によって異なります。
一括前払いの場合、金利は借入金額の2%程度(例えば、1,000万円の住宅ローンの場合、20万円程度)、月々のローン返済に上乗せする場合、金利は年率0.2~0.4%程度となります。なお、保証会社を必要としない金融機関の場合、保証料はかかりません。
住宅ローンを組む際に発生する手数料が融資手数料で、融資額に対して一定額または一定割合の手数料が発生します。
各金融機関が独自に設定する手数料は、通常30,000円~50,000円程度です。金融機関によっては、融資額の2.16%に設定しているところもあります。
融資額によって手数料が異なる場合、融資額が大きくなるほど手数料も大きくなります。例えば、融資額3,000万円、手数料率2%の場合、60万円が手数料として必要になります。
仲介手数料とは、不動産の売主と売買契約を締結した仲介活動の対価として、不動産業者に支払われる手数料のことです。
一般的には売買価格の3%+6万円で、法律で決められた上限額ですが、不動産会社と交渉することで引き下げられることもあります。例えば、物件の売買価格が400万円以上の場合、
【物件価格】×【3%】+【6万円】×【消費税】
が上限となります。ただし、売主から直接土地や建物を購入した場合、贈与を受けた場合、ハウスメーカーなどで住宅を新築した場合は不要です。
その他、住宅ローン契約時に発生する費用としては、収入印紙代として1~3万円程度が必要です。住宅ローンの借入額だけでなく諸費用も大きいので、事前に諸費用を含めた支出額をシミュレーションし、支払いが可能かどうか検討する必要があります。
印紙税は、収入印紙を購入し、契約書に貼付し、印鑑を押印することで納付します。印紙税の額は、融資額が「1,000万円超5,000万円以下」の場合、2万円になります。
不動産を取得した際に課される地方税です。不動産取得税は、「固定資産税評価額×標準税率」で算出されます。
不動産の標準税率は原則4%ですが、2021年3月31日までに取得した不動産については、特例措置により税率が3%に設定されています。
また、不動産が一定の条件を満たした場合、減税措置により税率がゼロになるケースも多くあります。
住宅ローンを契約する場合、抵当権を設定する必要があります。抵当権とは、抵当権者が返済を継続できなくなった場合に、金融機関や保証会社が不動産を差し押さえることができる権利のことです。
抵当権を設定する際には、登録免許税を納める必要があります。登録免許税の額は「住宅ローン借入額の0.1%」と定められています。また、一般的に司法書士への報酬は、6万円~10万円程度なっています。
住宅を購入する際には、火災保険にも加入する必要があります。火災保険は、金融機関が住宅ローンを組む際に基本的に加入を義務付けている保険です。
火災保険に加入することで、万が一、火災が発生した場合の住宅の損失を保険でカバーすることができます。
ただし、火災や地震による損害は補償されないので、地震保険への加入を検討することをおすすめします。火災保険と地震保険は、最長5年間の長期一括払いと月払いの2種類から選ぶことができます。
長期一括払いは保険料が割安になるため、保険料を安く抑えたい場合は一括払いがおすすめです。保険料の目安は、年間5万円~10万円程度です。
ただし、補償内容や地震保険、家の構造や面積によって異なるため、見積もりを取って確認することをおすすめします。
住宅ローンの契約時には、原則として団体信用生命保険への加入が義務付けられています。住宅ローンには、死亡・高度障害時の保障が自動的に含まれており、適用金利に含まれるのが一般的です。
近年は対象となる障害の種類が緩和され、がん(悪性新生物)と診断された場合にローンの支払いを免除する特約も自動的に付帯されています。
また、被保険者ががん(悪性新生物)を含む三大疾病にかかった場合や、ケガや病気で一定期間働けなくなった場合にも、保障を延長することができます。
例えば、ケガや病気によって収入が減少し、ローンの返済や日常生活費の支払いが困難になることがあります。
そのような状況が続くと、最悪の場合、せっかく購入した住宅を手放さなければならなくなる可能性もあります。
団体信用生命保険は一般的に金利に含まれていますが、保障範囲の広いプランを選ぶと、通常0.2%~0.3%が月々の金利に上乗せされるようです。
生命保険に加入しない代わりに、民間の生命保険に加入することで万が一の時に備えることができる場合もありますので、保障内容やコストを比較することをおすすめします。
住宅ローンの融資を受ける際、注文住宅を購入する場合や中古住宅をリフォームする場合、つなぎ融資が必要になるケースがあります。
10万円程度の融資手数料が必要となり、住宅ローンが実行されるまでの金利は、通常の住宅ローンで適用される金利より高くなります。
仮に3,000万円を4ヶ月程度借りる場合、金利は30万円近く、融資手数料が10万円程度かかり、合計40万円程度の負担となります。つなぎ融資が必要な場合は、費用がどれくらいかかるかを知り、覚悟しておく必要があります。
ここまで挙げた諸費用の支払い方法と期間は、抵当権者が決めることができます。最初に全額を支払う、住宅ローンに含めて少しずつ支払うなど、いくつかの支払い方法があります。
とはいえ、何も考えずに支払ってはいけない注意点があります。以下の解説を参考に、最適な支払いタイミングを判断してください。
すべての費用を現金で支払えば、ローンの利息を支払う必要はありません。手持ちの現金で支払うことができれば、住宅ローンに上乗せした費用を抑えることができます。
ローンの支払い期間の長さを考えると、現金で支払い、借入額を減らすことで、長期的な支払い責任をできるだけ減らすことができます。
例えば、転職で収入が減るなど、将来的に変化が起こる可能性があるでしょう。現金で支払うことは、将来へのリスク対策になるという考え方もあります。
一方で、経費を支払うと手元に残る現金が減ってしまいます。将来必要となる教育費や生活費など、家族が増えたときに発生する費用を考慮し、不測の事態を想定しておくことが重要です。
現金で支払う場合は、あらかじめ出費の金額を把握し、計画的に貯蓄や準備をしておくようにしましょう。
住宅ローンの中には、諸費用を含めることができるものがあります。例えば、近年ではフラット35でも諸費用を含めることができます。住宅ローンで借りられる範囲については、事前に金融機関に確認しておくとよいでしょう。
住宅ローンの諸費用は総額で見ると大きな負担になることもあります。ここでは、そんな負担が気になる方のために、住宅ローン諸費用を少しでも節約するための工夫をご紹介します。
金融機関はローン手数料を独自に設定しているため、手数料を比較して金融機関を選ぶのもひとつの方法です。
例えば、事務手数料は固定で3万円台に設定されている場合もあれば、融資額の2%に設定されている場合もあります。
融資額が3,000万円の場合、2%設定だと手数料は60万円程度になります。なお、手数料は金融機関によってかなり差があります。
ネット銀行では、保証料が0円な代わりに、融資額の一定割合の融資事務手数料がかかります。フラット35では保証料がかかりません。
ただし、フラット35は物件検査手数料がかかるので、フラット35を利用する場合は、物件検査手数料がいくらになるのか、事前に確認しておくとよいでしょう。
火災保険の見積もりを取る 住宅ローンを組む際に火災保険は必須となるケースが多く、高額になると保証料が数十万円になります。
そのため、最低でも3社の見積もりを比較することをおすすめします。また、火災保険に加入するルートは大きく分けて3つあります。
このうち、銀行や住宅メーカーを経由して申し込むと、保険料の割引が受けられる場合があります。したがって、銀行と住宅メーカーの両方から見積もりを取り、より条件の良い保険に加入することが望ましいでしょう。
最近では、インターネットで住宅ローンの電子契約を行う金融機関も増えています。住宅ローンの契約が電子化されると、印鑑を貼る必要がありません。
そのため、1契約あたり数万円の印紙税を納める必要がありません。金融機関によっては、金利が割引になる場合もありますので、このサービスを利用するのも良いでしょう。
住宅購入後、住宅に関係する基本的な費用だけでも以下のような支出が発生します。
引っ越しをする際には、引っ越し費用が必要になります。近くに住んでいたり、友人や知人、家族に手伝ってもらったりすれば、費用を安く抑えたり、ゼロにすることができるかもしれません。
不動産取得税とは、土地や建物を取得する際に、都道府県に納める税金です。原則として評価額の4%が課税されますが、2024年3月31日までに取得した土地や住宅については、税率が3%に軽減される特例があります。
このほかにも軽減措置がありますので、詳しくは税務署、不動産業者、金融機関などにお問い合わせください。
修繕積立金一時金とは、新築の分譲マンションを購入する際に発生する費用です。金額はマンションの規模によって異なりますが、概ね数十万円程度です。
また、分譲マンションは入居後、修繕積立金一括払いのほかに、毎月の修繕積立金をマンション管理組合に支払う必要があります。
その他にも、引越しに際して家具や新しい家に適した雑貨等の購入費も計算に入れると、さらなる支出が予想されるでしょう。
住宅購入後に発生するこれらの費用を念頭に置きながら、月々の総支払額が達成可能かどうかを計算することが重要です。
住宅の購入を検討する場合、どうしても物件に目が行きがちですが、住宅購入に必要な諸費用も含めて資金計画を立てる必要があります。
どのような費用が発生するのか、不動産会社や金融機関に事前に確認しておくことが大切です。自分でコントロールできる費用については自己資金で賄い、将来の返済負担を無理のない範囲で軽減することをおすすめします。
例えば、火災保険によっては同等の補償内容でも費用が異なる場合がありますので、比較・検討することが大切です。