住宅を建てる際、二重窓を採用した方も少なくないと思われます。断熱や防音といった効果が見込める中、実は二重窓を使って後悔してしまった方もいる様なのです。どのあたりが後悔するポイントになってしまったのか、今回は公開ポイントや利点と欠点などについてまとめました。
目次
まず二重窓は、一つの窓枠に二重のガラスパネルを組み込んだ構造の窓のことを指しています。二重のガラスパネルの間に空気層または断熱材を充填しているため、優れた断熱性を持ちます。室内と外気の温度の違いを緩和し、冷暖房効果を高めています。
二重窓のガラスパネル間の空気層や断熱材は、音の伝達を防ぐ効果もあります。外部からの騒音を軽減し、ガラスパネル間の空気層が湿気を遮断し、窓枠や室内の壁面の結露を防ぐ役割も担ってくれるといった様々な効果を持つ窓なのです。
一方でペアガラスは単純に二枚のガラスを組み合わせただけの構造であり、断熱性は二重窓ほど高くありません。また防音性や結露対策、耐久性などに関しても二重窓の方に軍配が上がります。
この様に、ペアガラスと比べても二重窓は性能面において様々な点で上回っているので住宅性能という観点からしても便利そうに思えます。しかし、実際に二重窓を導入して後悔したという声もあるのです。
まず、防音効果が期待したほどではなかったというものです。防音効果は二重窓の施工の質や使用される材料に大きく左右されます。十分な密閉性が確保されておらず、適切な材料が使用されていない場合、防音性能が低下することがあります。
実際に二重窓を導入した過程では、一番の問題であった浴室の騒音は軽減されたものの、シャワーや音楽などはまだ聞こえてくるので完全にシャットアウトはできず、数万円や数十万円かけて導入する利点かどうかには疑問が残ったようです。
続いては、掃除をする際に手間がかかるというものです。二重窓は通常、内窓と外窓が別々に開閉できる仕組みになっています。清掃の際には内窓と外窓をそれぞれ開閉したり、必要に応じて取り外したりする必要があります。
また二重窓は内窓と外窓から構成されており、その間に空気層があります。この空気層は断熱効果を高めるために設けられていますが、同時に掃除の際に手間を要する要因にもなっていて枠の間にアクセスするための工具や特殊な清掃方法が必要となります。
開閉する事自体が面倒になってしまうという点もありました。換気をしたい時等にも、単純に通常の1枚窓と比べると2重になっている二重窓では倍の手間をかけなければならないので、開け閉めが億劫になってしまうのも無理はないでしょう。
二重窓は2つの窓が重なり合っているため、開閉時には重い窓を持ち上げる必要があります。特に大きな窓やガラスの厚みがある場合は、一人での操作が難しくなるケースも考えられます。
二重窓を一か所だけ設置してお試し間隔で導入したは良いものの、もっと多く設置をしておけばよかったと後悔する方も少なくない様です。これはどちらかといえば性能が期待を下回ったというより、期待通りだったからこそ多く導入するべきだったという結論でしょう。
家の窓を二重窓にしたいのであれば、導入する時点ですべて変えてしまった方が当然効果は高いものになりますし、導入する際のコストもまとめて行う分低くなります。とりあえず一か所ではなく、まとめて変えた方が後々後悔しないでしょう。
もう1つ、部屋を狭く感じさせてしまう欠点もあります。二重窓は通常、2つのガラス層とそれを囲む枠で構成されています。この構造で窓の厚みが増し、室内のスペースを一部占めることになります。
窓の厚みが増すと壁や床から窓までのスペースが狭くなり、部屋全体の広がりが制約される可能性があります。また室内と室外の間に空気層や断熱材を含むため、窓枠がより厚く見える場合があります。
この様に、優れた性能を発揮してくれるかと思いきや意外な点で後悔してしまったという声が確かにありました。勿論後悔ばかりではなく、メリットを感じているという声も多くあるのです。
まずは、断熱や遮熱効果が高いというものです。二重窓は2枚の窓ガラスの間に空気層が存在しており、この空気層によって外部からの熱伝導を抑制し断熱効果を生み出します。外部からの熱や冷気が直接室内に伝わりにくくなるため、室温を一定に保ちやすくなります。
二重窓には、特殊なコーティングが施された窓ガラスが使用されています。このコーティングは紫外線や赤外線などの熱エネルギーを反射し、室内の温度上昇を防ぎます。また冬季には室内の暖気を外部に逃がさず、室内の熱を保持する役割も果たします。
断熱・遮熱効果の高い二重窓は、室内の温度を安定させるため冷暖房の使用頻度やエネルギー消費量を抑えることができます。これにより、省エネ効果まで期待できるという訳です。
続いては、結露の発生を抑えられるという点です。先にご紹介した通り、二重窓では二枚のガラスの間に断熱効果のある空気層を設けています。この空気層によって屋内と屋外の温度差が緩和され、窓ガラスの内側の表面温度が下がるため結露の発生を抑制できるのです。
二重窓は内側と外側のガラスが互いに接しているため、熱伝導が抑制されます。外気の冷たさや冷房による冷気が直接内側のガラスに伝わりにくくなるため、結露が抑えられるようになっています。
更に二重窓は、内側と外側のガラスの間に気密性の高いシーリングが施されています。このシーリングによって屋内と屋外の空気の循環が制限され、外部の湿気や冷気の侵入が減少し結果として結露の発生を抑制することができます。
実は二重窓は防犯にも効果を発揮するものなのです。二重窓は一重の窓に比べて強度と耐久性が高くなっており、2つの窓ガラスが重なり合うことで窓への侵入や破壊が難しくなっています。一重窓よりも頑丈な構造なため、窓からの侵入を防げるのです。
二重窓には、さらなる防犯対策として防犯フィルムや強化ガラスを追加することもできます。これらの追加層は窓ガラスを補強し、破壊や割り込みを防ぐ役割を果たします。侵入者にとっては窓を破るのが困難になり、防犯効果が高まります。
更に内側と外側の窓ガラスの間に空気層があるため、窓からの内部の視界を遮断する効果があります。これによって外部からの盗み見や不審者の視線を防げ、侵入者にとっては内部の様子が見えにくくなり犯行の確認が難しくなります。
そして、これまでに何度か触れている通り防音効果も期待できます。二重窓は2つのガラスパネルが密閉された構造になっており、この構造により外部からの騒音や振動が内部に伝わりにくいよう設計されています。
実際は外側のガラスが外部の騒音を吸収し、内側のガラスがその伝達を阻止することで室内へ騒音が響かないようにしてくれているのです。その防音効果の高さから、騒音の多い環境や交通量の多い場所など、静かな居住環境を求める方にとっては非常に便利だといえます。
後悔しているポイントの中にもあったように、二重窓にしたいのであれば最初からすべて導入しておくのが推奨されています。最後に、実際に二重窓を導入する際の費用や後付けの可否などについて解説します。
実は二重窓を後付けすることができない窓があり、上記のような窓は元の窓の開閉操作ができなくなったり障害物があるなど物理的な理由で不可能なケースがあります。
後付けで二重窓を導入する場合の費用の目安としては、腰高窓の場合には約5万円から10万円、掃き出し窓の場合には9万円~20万円ほどの費用がかかると言われています。また工事時間については数時間から半日程度になっています。
断熱性能が向上することで省エネにつながることから、住宅省エネ2023キャンペーン、既存住宅における断熱リフォーム支援事業などをはじめとして補助金が受けられるケースもあります。適用されるかどうかも事前に確認しておきましょう。
基本的に二重窓は断熱をはじめとする性能面で優れている窓である事は間違いありませんが、少なからず後悔してしまったという声もあります。メリットとデメリットを踏まえたうえで二重窓を導入するか検討してみてください。