住宅に天井から光を差し込むことができる天窓は、注文住宅などにおいても非常に人気の高いものとなっています。しかし、実用的な面から見ると後悔してしまうこともあるとされています。今回の記事では、天窓を導入して後悔したポイント、メリットに関してもそれぞれご紹介していきます。
そもそも天窓というのは、屋根や壁に設けられた窓のことを指します。屋内に自然光を取り入れるための開口部であり、通常は天窓という言葉の通り屋根部分に設置されることが多いですが、壁に設置されることもあります。
天窓は透明なガラスやポリカーボネートなどの材料で覆われており、室内に明るい自然光を取り入れることができます。また一部の天窓は開閉が可能で、通気や換気といった窓本来の役割も果たしています。
天井から光の刺す天窓は家を建てる上でも憧れの1つとなり、これから家を建てるにあたって、取り入れたい方もいるかもしれません。ですが、実際には後悔してしまっている声も少なくないようなのです。
まず挙げられるのは、室内が夏に暑く冬は寒くなってしまうというものです。天窓は屋根や高い位置に設置されており、直接的な日差しを受けやすいため夏場には室内が暑くなりやすいです。日射熱が入り込んで室内の温度が上昇し、冷房効果が低下するのです。
逆に冬場は断熱性が低いものだと、特に外気の冷たい空気が室内に侵入しやすくなります。特に気温が低くなる冬季には、熱の逃げやすい窓部分から冷気が入り込み、室内の温度が下がりやすくなってしまうのです。
続いては、掃除やメンテナンスが難しいというものです。先にご紹介した通り、天窓というのは通常、屋根の上や高い位置に設置されています。そのため、屋内からアクセスする際には高所に立ち上がる必要があり、危険も伴います。
よって安全対策を講じた上で、専門的な業者に依頼することや、専用の掃除道具を使用することが推奨されています。また定期的なメンテナンス契約を結ぶことで、専門業者による定期的な清掃や点検を受ける必要も生じる可能性が考えられます。
雨音がうるさくなってしまうというのも天窓で後悔しがちなポイントの1つです。天窓は屋根及び天井にそのまま備わっているので、屋外の音が室内に伝わりやすくなります。雨滴が屋根や窓に当たると、その音が天窓を通じて室内に響き渡ってしまうのです。
天窓周辺は一般的に空間が広く天井や壁面などの反射面が少ないため、音の反響が生じやすいです。雨滴の音が天窓のガラスや窓枠、室内の壁や天井に反射して増幅されることで、より大きな音として聞こえてしまうでしょう。
雨漏りの心配は通常の天井以上にあると言えるでしょう。天窓の防水性能は通常の天井と同じく時間とともに劣化していき、長期間の使用や気候条件の影響により、シーリングやエッジ処理の劣化、シーリング材の収縮や劣化などが起こります。
これによって雨漏りのリスクが高まり、更に特に大型の天窓や高所に取り付けられた天窓では風圧がより強くなるため、注意が必要です。定期的な点検やメンテナンスを怠らずにやってもらう必要があります。
日焼けをしてしまうリスクも高いところがあります。直接的に外部の日光が射し込む天窓、特に屋根に設置された場合には太陽の光が傾斜して入り込むことになりますので、通常の窓よりも強い光が入れば、当然日焼けの可能性も高まります。
天窓にはガラスが使用されることが一般的です。ガラスは光を透過する性質を持っており、紫外線や赤外線を一部吸収できても完全に遮断することは難しいです。そのためガラスを通じて日光が入り込み、日焼けのリスクは通常以上に高くなります。
昨今はエコ住宅の設備の一環として、ソーラーパネルを導入する住宅も多くなりました。天窓は屋根の一部を占めるため、ソーラーパネルを設置するスペースも制限されてしまいます。
ソーラーパネルは太陽光を効率的に受け取るために、直射日光が当たる場所に設置されることが望ましいです。その為基本的には屋根に取り付けられるのですが、天窓の存在によって直射日光が当たる面積が減り、太陽光の取得効率が低下してしまうのです。
このように、デザイン的には良さそうでありながら、その家に実際住むということを考えると、注意するべき点は多々あるようでした。しかし、もちろん悪い点ばかりではなく、天窓を導入してこそ得られるメリットもたくさんあります。
まず挙げられるのは、やはり部屋を明るくすることができるというのが大きいでしょう。屋根や壁に設置された天窓は、外部からの自然光を室内に取り込むことができます。天窓があると自然光が沢山差し込み、部屋全体を明るく照らすことができます。
天窓からの光は、部屋の中心部にまんべんなく広がります。これにより部屋全体が均一な照明効果を受け、明るい環境が生まれます。特に天窓がある高い天井の部屋では、光が広がりやすくなります。
続いては、通風性、換気性に優れている点が挙げられます。天窓は単に日光が差し込むばかりではなく、室内と屋外の自然な空気の流れを促進する効果もあります。室内の空気が効率的に循環され、屋外の新鮮な空気を取り入れることができます。
天窓は通常屋根の上部に位置しているため、上方からの通気性が良くなっています。屋根の高い位置から風が入り込むことで、室内の空気は効果的に循環します。また上方からの通気は、室内の暑気や排熱を効果的に排出するのに役立ちます。
天窓は通風性に優れるだけでなく、エネルギー効率にも貢献しています。適切に設計された天窓は断熱性が高く、外気の温度変化に対して室内温度を安定させられます。この構造が冷暖房のエネルギー消費を削減し、省エネ効果まで発揮されるのです。
窓を設置する上で、どこに設置をするのか迷う方も多いと思われます。その理由は単なる換気だけではなく、近隣から家の仲が見られてしまうのでプライベートを保護するという観点でも考えなければならないからです。
その点天窓は、主に上方からの自然光を取り入れるよう設計されています。そのため外部からの光が入り込むだけで、家の内部は外部に見られません。よって、近隣の目が気になることは少なくなります。
また必要があれば、天窓にもプライバシーを保護するためのカーテンやブラインドを使用することも可能です。これらの装飾品を利用することで、必要なときに天窓を視界から遮ることができます。
更に、光熱費を削減するというコスト面においても嬉しいメリットがあります。屋内に十分な自然光を取り入れることで昼間は人工照明の使用を減らすことができ、これによって電気代を削減できるという訳です。
天窓は開閉が可能なものもあります。天窓を開けることで自然な風が部屋に流れ込み、室内の換気を促進します。特に夏季には室内の冷却効果が高まり、エアコンの使用を抑えることができます。これにより冷房費を節約できるのです。
更に天窓は絶縁材料やガラスを使用しているため、熱の伝導を抑える効果もあります。素材の効果によって冷暖房の効率が向上し、室内温度を安定させてくれます。エネルギー効率が改善され、暖房や冷房の使用量を減らせれば光熱費削減の恩恵は非常に大きくなるでしょう。
もう1つ、自然が身近に感じられるのも天窓ならではといえるでしょう。これは特に子供の情操、つまり心を豊かにするための教育にもプラスの影響があるとされていて、天窓から見える雲の移ろい、太陽の傾きなどは想像以上に興味を惹くものなのです。
夜になれば月や星が見えますので、天然のプラネタリウムのようなところも疑似的に楽しめるというのは非常にロマンチックといえるでしょう。こうした自然がより身近に感じられるのも天窓があってこそ実現できるものです。
天窓の導入が向いている人としては「家に光を取り込んで明るくしたい」「満足度を上げたい」といったような方が該当するとされています。家の解放感という意味でも、満足度向上に大きく貢献してくれるでしょう。
逆に向いていない人としては「性能を求めたい」「コスパを重視したい」といった方が挙げられます。断熱性能も目に見えてという訳ではありませんが、低下する可能性があり、また設備費用も安くはないのでこの点はバランスを考えるべきといえます。
天窓は魅力的な面もありますが、実用的な部分を考えると取り入れるかどうかについては慎重に吟味をする必要があるようです。これから家を建てる方は、メリット・デメリットを踏まえて、天窓の導入を検討してみてください。