【危機回避】ファクタリング契約書で注意すべきポイント【元弁護士監修】
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ファクタリングを利用すると、支払時期が先の売掛金を今すぐ現金化して資金調達できるので、大きなメリットがあります。
ただし当初に契約内容をしっかり把握しておかないと、後になって思わぬリスクを負うことも。
そこで今回は、ファクタリング契約書で注意すべきポイントを元弁護士の私が法的な観点から解説します。ファクタリングの契約を結ぶ前にしっかりチェックして、「こんなはずじゃなかった」とならないようにしてくださいね。
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目次
ファクタリング契約書で注意すべきポイント
ファクタリング契約書を締結する場合のポイントは、以下のとおりです。
- 譲渡の対象となる債権
- 償還請求権の有無(ノンリコースかどうか)
- 債権譲渡通知の要否
- 債権譲渡登記の要否
- 手数料の金額、計算方法
- 担保の取得の有無や内容
- 報告義務について
- 損害賠償、違約金について
- 契約の解除について
- 契約期間と解約方法
順番にみていきましょう。
1.譲渡の対象となる債権
ファクタリング契約は、「債権譲渡契約」です。そこで「譲渡対象となる債権」の特定が非常に重要です。
通常、企業は複数の取引先に対する複数の債権を持っているものなので、どの取引先に対するどの債権を譲渡するのか、ファクタリング契約書で明示する必要があります。
個別の債権を譲渡する場合と包括的に債権譲渡する場合があり、包括的に譲渡する場合でも、いつからいつまでの発生分を譲渡するのか、時期を区切ったり金額に限度をもうけたりするケースもあります。
事前に合意した内容と、契約書に記載された譲渡対象の債権の内容に違いがないか、確認しましょう。
2.償還請求権の有無(ノンリコースかどうか)
ファクタリング契約には、ノンリコースとリコースの2種類があります。
リコースとは、譲渡対象となった債権の債務者(売り掛け先)が売掛金を支払わなかった場合の「償還請求権」のことです。(よってノンリコースの場合、ファクタリング業者のリスクヘッジとなる)
リコースつきのファクタリング契約の場合、売り掛け先が債務を弁済しなかったとき、利用企業がファクタリング業者に予定されていた売掛金の支払いをしなければなりません。利用企業にとっては非常に不利な契約です。
そこで、ファクタリングの契約書において、売り掛け先の債務不履行時に自社が代わりに支払いをする(リコース)内容になっていないことを確認すべきですし、リコースの内容になっていたら契約しない方が良いです。契約書にはっきり書かれていない場合、契約書にノンリコース(償還請求権なし)であることを明示するよう求めましょう。
※参考記事:【知らないと返済義務発生】ノンリコースファクタリングとは?特徴と注意点をわかりやすく解説
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3.債権譲渡通知の要否
ファクタリング契約の中でも3社間ファクタリングの場合、売り掛け先に対する「債権譲渡通知」が必要です。
債権譲渡通知とは、債権譲渡が行われたときに、譲渡人が債務者に対し「債権譲渡しましたよ」と知らせる通知です。通知が行われないと、債務者は債権譲渡の事実を知らず、譲受人が真実の権利者かどうか判断できないので債権譲渡通知が必要とされます。
そこでファクタリング契約書において、自社に債権譲渡通知の義務が課されていないか、あるとすればいつまでにどのような方法で行うべきかなど、チェックしましょう。
利用するのが3社間ファクタリングなら債権譲渡通知に関する条項が入っていて当然ですが、事前の話では2社間ファクタリングをするはずだったのに債権譲渡通知に関する規程が入っているなら、話が変わっている可能性があります。調印前にチェックして、おかしな点があればファクタリング業者に問い合わせるべきです。
売掛先に知られたくない場合は、この条項が入っていると必ず知られてしまうことになるので、そう考えると2社間ファクタリングの選択肢しかなくなってしまいます。ただし、売掛先に知られても良い場合は、3社間ファクタリングをチョイスした方が相対的に手数料が安い場合がほとんどです。しっかりファクタリングの契約書を比較して、決めてもらえればと思います。
4.債権譲渡登記の要否
ファクタリングを利用するとき「債権譲渡登記」を行うケースも多いです。債権譲渡登記とは、債権譲渡が行われたことを法務局で登記することです。
2社間ファクタリングでは、取引先に債権譲渡通知を行わないので債権譲渡が行われたことがあいまいになります。そこではっきり公示するため、債権譲渡登記が行われることが多いのです。
ただ、債権譲渡登記をする場合、一般的に登記費用を利用企業が負担しなければなりません。また債権譲渡登記をすると、誰でもその情報にアクセスできるので、取引先や金融機関に見られる可能性もあります。
このように債権譲渡登記は利用企業にとっても重要事項なので、契約書において債権譲渡登記が必要かどうかや、費用負担がどうなるのか、誰がどのような方法で登記を行うのかなど、確認しておくべきです。
5.ファクタリングの手数料の金額、計算方法
ファクタリング契約では、利用企業がファクタリング業者に手数料を支払う必要があります。ただ手数料の金額や計算方法は、利用するファクタリング業者によって大きく異なり、2%のケースもあれば20%のケースもあります。
手数料の割合により、ファクタリング契約のうまみが全く変わってくるので、契約書において、手数料が何%になっているのか、計算方法をしっかりチェックしましょう。事前の説明内容と異なる金額や計算方法になっている場合、契約書に調印せずに事情を確かめて、正しい内容に書き直してもらうべきです。
計算方法がわかりにくい場合には説明を求め、しっかりと理解し納得した上で調印しましょう。
6.担保の取得の有無や内容
ファクタリングは融資ではないので、通常「担保」は不要です。保証人も不要ですし、土地建物を抵当に入れる必要もありません。
しかしケースによってはファクタリング業者が担保を求めてくることもあります。特に問題なのは、事前に説明なく契約書に「連帯保証人」「土地建物などの担保」の条項が入れられているケースです。そのようなとき、気づかずに調印してしまったら、代表者がファクタリングの保証(売り掛け先倒産リスクを背負わされる)をさせられてしまう可能性もあります。
そこで、契約書において「保証人」や「担保」の記載がないかどうか、しっかり確認しましょう。事前に聞いていない担保設定条項があれば、削除を求め、削除に応じてもらえない場合には契約しない方が安心です。
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7.報告義務について
ファクタリングを利用すると債権譲渡の代金が支払われますが、その後売り掛け先に不穏な動きがあった場合などにはファクタリング業者に報告すべき義務が課されているケースが多いです。
このような報告義務があるのに、何の報告もしなかったためにファクタリング業者が損害を受けたら、利用企業がファクタリング業者から損害賠償請求されてしまう可能性があります。契約時には、報告義務の有無や内容も確認しておきましょう。
8.損害賠償、違約金について
ファクタリング契約ではお互いに義務を負うので、義務違反があれば損害賠償や違約金が発生する可能性があります。契約書を見て、具体的に「どのようなケースで」「どのくらいの」損害賠償金や違約金が発生するのか確認しておきましょう。
あまりに負担が大きい場合には、訂正や削除を求めるか、ファクタリング契約の利用を取りやめにした方が良いケースもあります。
9.ファクタリング契約の解除について
ファクタリング契約の締結後、お互いに重大な義務違反があれば契約を解除することができます。解除すると契約はなかったことになるので、受けとった債権譲渡の代金返還が必要になる可能性があります。
契約書を見てどのようなケースで解除が認められるのか、しっかり確認しておきましょう。
10.ファクタリングの契約期間と解約方法
ファクタリングでは、契約期間を定めることがあり、期間終了後も自動更新する内容になっているケースも多いです。
契約書を見て、契約がいつまで契約が有効なのか、自動更新されるのかどうか、更新拒絶や解約の方法など、しっかり把握しておきましょう。
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まとめ
ファクタリングを利用するときには、しっかり契約内容をチェックしておかないと、後で思わぬ不利益を受けてしまいます。今回ご紹介したポイントをみるだけでもずいぶんリスクを抑えられるので、今後ファクタリングを利用する際の参考にしてみてください。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。