今回は、ファクタリングに消費税が課税されるのかどうか、そして消費税の仕組みやファクタリングと消費税に関する注意点を解説していきます。
企業が納品分に対する資金をなるべくスピーディンに調達するには、ファクタリングが役立ちます。ファクタリングは、ファクタリング会社を通じて翌日などには現金化させることが可能な、資金調達方法です。
しかし、ファクタリングの利用を検討している担当者の中には、消費税の取り扱いや課税の有無について不明点が多いのではないでしょうか。
ファクタリングは非常に便利なサービスですから、消費税で悩み利用しないのは機会損失に繋がる可能性があります。ファクタリングと消費税の関係をよく理解した上で、利用について検討してみましょう。
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ファクタリングに消費税が課税されるか知る前に、消費税の意味や仕組みから理解しておく必要があります。基本的な事柄ですし、直接ファクタリングと関係ありませんから面倒だと感じる方が多いでしょう。
しかし、消費税の基本的な仕組みを理解せずに、ファクタリングと消費税の関係性について確認したとしても間違えて覚える可能性があります。
会計処理上のミスにも繋がりますから、面倒だと感じても消費税の仕組みから覚えておきましょう。
消費税の意味をまとめますと、国内の商品やサービスの販売や提供・取引に掛かる税金です。また、間接税として区分されており、間接税とは負担者と申告者が別々になっていることを指します。
身近な所では、スーパーなどで購入している商品で考えますと分かりやすいです。スーパーで購入した商品の場合は、物に付けられた値段に消費税が含まれていて、消費者は常に税負担をしています。しかし、消費者は消費税に関して納付手続き・申告を行う必要はありません。
その代わり、商品を販売している事業者側が、消費税の納付と申告を行います。
消費税の仕組みが分かりにくいと感じやすい理由が、間接税の仕組みは理解できても実際の納付・申告の流れが複雑になるからです。
例えば以下のように商品1つの生産から販売まで、4事業者が関わっているとします。そして全ての事業者に消費税の納付・申告義務が発生します。
加工食品の場合、商品の金額32400円(税込み)のうち消費税の総額が2400円とします。負担者である消費者が2400円を含めて支払い、各事業者は課税売上から納付・申告します。
つまり消費者は、各課税売上から発生する消費税の総額を支払う仕組みになります。
(例)
・生産者、400円
・加工食品の製造業者、800円
・卸売業者、600円
・小売業者、600円
・消費者(負担者)2400円
また、消費税の計算式は以下で求めます。
物やサービスの販売・提供・取引全てに、消費税が課税されて納付・申告する訳ではありません。消費税には、非課税取引と課税取引の2種類に分かれています。
課税取引とは、国内の事業者が物やサービスを事業として販売・提供し、その対価として得た資産などに課されます。前述で解説したように、スーパーやコンビニで販売されている商品や、商品の配送や加工、広告宣伝などあらゆるケースに消費税を上乗せしています。
対して非課税取引とは、課税取引に含まれる商品の販売や提供・取引の中でも、社会的に考えて課税するべきではないモノに対して適用されています。
つまり、学校教育や介護関係・郵便切手など、一般的に考えて税を課すべきでない物やサービスが非課税取引に含まれます。
非課税取引に含まれる物やサービスは多数存在しており、今回はその一部を以下にご紹介します。
消費税の意味や基本的な仕組みを理解しましたら、今回のメインテーマでもあるファクタリングを利用した場合の消費税について覚えましょう。
そこでここからは、ファクタリングサービスを利用した場合に消費税負担が生じるのか、会計処理と債権譲渡登記と消費税の関係について解説していきます。
結論から説明しますと、買取型ファクタリングサービスを使用した場合の手数料には、消費税が掛かりません。つまり手数料に関する取引は非課税取引となります。
しかし勘違いしやすい所がいくつかあるため、1つ1つ間違えて覚えないようにしましょう。ファクタリングを利用したからといって、全ての売り上げについて消費税が掛からない訳ではありません。
仕入れ | 10万円+消費税 |
販売金額 | 20万円+消費税 |
売掛債権 | 20万円+消費税 |
消費税を8%としまして、課税される消費税は以下のようになります。
仕入れ | 10万円+消費税 |
販売金額 | 20万円+消費税 |
売掛債権 | 20万円+消費税 |
手数料 10% | 21万6000円×10% |
売掛債権に掛かる消費税は、ファクタリングを利用していない場合と同じく8000円となります。
ポイントは2つです。
1つは、ファクタリングを利用した際の手数料について、消費税を納付する不要ということ、もう1つは、売掛債権自体には消費税が掛かり、ファクタリングの有無は無関係となります。
続いてファクタリングを利用した際の、会計上の取り扱いについて解説していきます。
前述でご紹介した内容を整理しますと、以下になります。
借方 | 貸方 | ||
普通預金 | 9万円 | 未回収金 | 10万円 |
売却損 (非課税取引 ) | 1万円 |
このように借方科目へ、ファクタリング利用時の手数料を記述します。
ファクタリングと消費税に関する事柄を覚える際は、債権譲渡登記に消費税が掛かるケースについても押さえておくのが大切です。
債権譲渡登記とは、ファクタリング利用時に発生する債権を法的に証明させる書類・手続きです。譲渡債権登記がなければ、誰がいつどのように売掛債権を買い取ったか、法的な証明をすることも確認もできなくなってしまいます。ですから、ファクタリング会社にとっても必要な手続きとなります。
そして債権譲渡登記は、司法書士事務所が行うのですが、こちらを利用する場合に消費税が課税されます。
具体的には債権譲渡登記を司法書士事務所へ依頼し、司法書士報酬を支払う際に消費税の請求をされますから、覚えておくことが大切です。
ここからは、保証型ファクタリングを利用した場合の消費税に関する取扱いと、ファクタリング会社を利用する際に消費税に関するトラブルについてご紹介していきます。
どちらも見逃しやすいポイントですから、この機会に押さえておくことをおすすめします。
ファクタリングは、買取型と保証型でサービス内容が異なります。買取型ファクタリングは、文字通り売掛債権を買い取ることを指し、利用手数料は非課税取引となります。
保証型ファクタリングは、売掛債権の回収を目的としたサービスではなく、売掛金回収先の企業が倒産や支払い不能になった際の保証サービスです。
従ってファクタリング会社から、売掛金に相当する金額を即時受け取りません。
毎月保証料を支払い万が一の際は、ファクタリング会社から保証限度内で保証金を受取り、未回収金を補填します。
そして保証型ファクタリングの場合も、非課税取引に該当するため保証料には消費税が掛かりません。
その理由については、消費税の非課税取引の1つである信用保証料に、ファクタリング会社へ毎月支払う保証料が該当するためです。
ファクタリングと消費税に関して、ファクタリング会社からの請求が発生した際は注意が必要です。
通常、サービス利用前に見積り額が提示されますが、その項目にファクタリング手数料へ消費税を組み込むケースも0ではありません。
従って、そのような見積もりを提示するファクタリング会社は避けましょう。
消費税は、あらゆる取引や販売に課税されています。従って、ファクタリングサービスの手数料にも、課税取引として取り扱われると勘違いしやすいです。
実際はファクタリングサービスの手数料や、保証型ファクタリングの保証料に消費税は課税されません。ですから、仮に見積りが提示された際、手数料に消費税が課税されて請求される内容でしたら迷わず利用しないことが正しい選択です。
また、元々課税取引となっている商品の売掛債権には、ファクタリングの手数料関係なく消費税が掛かります。
どこに消費税が課税されて、どのような過程で非課税・課税取引となるか理解した上で、ファクタリングサービスの利用をおすすめします。
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