ひとくちに「耕運機」といっても、はば広いモデルがあるため、目的にあった機能やサイズなどを考慮して選ぶことが大切です。耕運機は、田畑を耕すときに使う農業機械で、トラクターや管理機などと混同されることもあるため、違いを把握して選びましょう。
ここでは、
について紹介します。家庭菜園向けの耕運機を中心に取り上げていますので、「ご家庭の畑で使える耕運機を探している」こんな方はぜひ最後まで記事をご覧くださいね。
目次
いろいろな種類がある農業機械のひとつ「耕運機」は、主に田畑を耕すときに用います。同じ働きをする、トラクターや管理機などとの違いを簡単に把握しておきましょう。
耕運機同様に、田畑を耕すときに使用する機械ですが、2輪駆動や4輪駆動の「乗用車型のもの」がトラクターです。
管理機も田畑を耕すときに使用する機械です。いろいろな種類のアタッチメントがあり、作業によって使い分けをします。
基本的には、耕運機と管理機の機能に明確な違いはありません。メーカーによっても分け方が違います。購入時にはどのような機能を持っている機種なのか確認してください。
一般的に二輪駆動で、人が「ハンドルを持ち歩いて押しながら」作業をします。車体は小型で軽いのが特徴です。
耕運機は、大規模な畑で使用するもの・小規模な畑に向いているもの・初心者でも利用できる家庭菜園用のものなど、さまざまな種類があります。
それぞれメリットやデメリット、使い勝手などが異なるので作業目的にあったものを選びましょう。
耕運機は田畑を耕す機械ですが、最近の機種はアタッチメントを取り替えることによりいろいろな作業ができます。主な作業をご紹介しましょう。
「耕運(こううん)」とは、田畑の固い土を、回転する「ローター」というアタッチメントでまんべんなく砕いていく作業です。
砕かれた土と空気が混じることで、ふんわりと柔らかくなめらかな土ができあがります。水や肥料の吸収も格段によくなるため、作物が育成しやすくなるのです。
「ウネ(畝)立て」とは、耕運作業で柔らかくした土を盛り上げて、地表よりも高い「ウネ」を作る作業です。高くすることで、日光もよく当たり通気性もアップ、水はけもよくなります。
栽培する作物によって、丸ウネ・台形ウネ・平ウネなど、いろいろな形状のウネを作ります。耕運機のアタッチメントを取り替えれば、ウネ立て作業もきれいにできるため、栽培する作物に合ったアタッチメント&耕運機を選んでください。
作物がどんどん育ち大きくなってくるとともに、株元の土は固くなったりくぼみができたりします。そこで、株元周辺の土を砕いて柔らかくする「中耕(ちゅうこう)」作業が必要になってくるのです。
土の通気性や排水性をアップするためには必ず必要な作業ですが、耕運機のアタッチメントを取り替えれば楽にできます。また、培土作業(作物の根元に土を寄せて盛る)用のアタッチメントを使えば、培土作業も可能です。
中耕&培土作業をする時期には、雑草も多くなります。雑草だらけになると、作物用の肥料が横取りされてしまい成長をさまたげるだけではなく、風通しも悪くなってしまうのです。また雑草が増えると、害虫を引き寄せることにもなってしまいます。
雑草は見付けたらこまめに引き抜くことが大切なのですが、手作業だと大変ですよね。
少ないうちは、中耕&培土作業用をする際に一緒に雑草も処分できますが、伸びてきた場合は、除草用のアタッチメントで本格的な除草作業をしたほうがいいでしょう。
「マルチ」とは、畑にできたウネを覆うように張られているポリフィルムのことです。マルチを張ることで、ウネの乾燥や余分な雑草の発生を防ぎます。
また温度が上がることで、植えた作物の育成を促すこともできます。さらに大雨によって跳ねた泥が、作物に付着することも防いでくれるのです。
マルチは手作業でも可能ですが、面積が広い場合は大変でしょう。マルチ張り用アタッチメントの取り付けが可能な耕運機であれば、楽に作業ができます。
「畑のマルチプレーヤー」として作業を楽にしてくれる耕運機。自分に合った製品を上手に選ぶには、何を基準にすればいいのでしょうか。比較検討したいポイントをご紹介します。
まずは、作業をする畑の「広さ」で考えましょう。当然ですが、広い畑を耕すならそれにふさわしい馬力のある耕運機を選ぶ必要がありますし、狭い家庭菜園ならミニ耕運機でも十分です。
機種によって「耕幅(耕すことが可能な幅)」が異なります。耕幅がワイドであれば、1回に耕せる面積も広くなり作業効率もアップするのです。
馬力があればあるほど作業能力もアップします。耕幅が広く馬力がある機種なら、広い畑でも楽に作業がこなせます。
運転時間が長ければ長いほど、途中で燃料の継ぎ足しなどの手間がありません。大容量燃料タンクを持つ機種も長時間作業ができます。
狭い家庭菜園なら、「長時間作業が可能」にこだわる必要もないでしょう。
「耕運機の基本的な使い方」でご紹介したように、畑作業はさまざまな種類があります。畑の広さによっては、手作業でできること、耕運機任せにしたほうがいいことがあるのです。
基本的には、下記の作業はアタッチメントを取り替えることで全てできるようになっています。
耕運機を購入する前に、自分がどのような作業を行いたいのか、使用目的を明確にしましょう。
「自分がやりたい作業のアタッチメントが使える機種」かどうかの確認が重要です。
一般的に、耕運機の燃料には、ガソリン・軽油・ガス・電気があります。
ガソリンをエンジンとする場合は「4サイクルエンジン」がほとんどです。種類は少ないですが、ガソリンとオイルを混ぜた混合ガソリンを使用している「2サイクルエンジン」もあります。
ガソリンの場合は、専用の「携行缶」を使い、ガソリンスタンドでスタッフに入れてもらわなければなりません。ガソリン式の場合は、比較的修理費用が安くて済むのがメリットです。
軽油を用いるディーゼルエンジンの場合は、馬力があり負荷がかかっても低速運転が効くため耕運機に向いています。最近は、環境に優しい排気ガス規制対応エンジンも増えていますが、ガソリンよりも高価です。
カセットガスボンベを燃料にする小型の耕運機もあります。カセットガスボンベはスーパーなどで手軽に購入でき、取り替えや保管も楽です。狭い家庭菜園で使うのが目的で、ガソリンや軽油を使うのが不安な人にはぴったりでしょう。
バッテリーに充電して使うタイプの耕運機は、音が静かで排気ガスなどの心配がないのがメリットです。
ただし、バッテリーの作業時間には限界があるために、長時間の作業を行いたいときには、充電した予備バッテリーを用意し交換して使う必要があります。パワーはガソリンなどと比較すると衰えるので、狭い家庭菜園に向いているでしょう。
上記の条件だけではなく、以下の要素も考えてみてください。
同じ機種の耕運機でも、力があり体格がいい男性が使う場合と、非力で身長が低い女性が使う場合では、「使いやすさ」は異なります。利用者が使いやすいサイズかどうかも考えてください。
家庭菜園や畑が家から離れている場合は、耕運機を車に積み込んで運ぶ必要があります。できるだけコンパクトなサイズの方が便利でしょう。
また、ハンドルを折りたためるタイプなら、運んだり保管したりするのも楽です。さらに、直接車のトランクに泥の付いた耕運機を乗せるのに抵抗がある場合は、キャリーボックスが付いているタイプを選ぶといいでしょう。
たとえば、電気式の耕運機で延長コードを使用して電源を取る場合、コードが邪魔にならないようにクリップが付いていると便利です。機種によって便利な付加機能があるかどうかも確認しましょう。
耕運機が人気のあるメーカーといえば、日本ではヤンマー・クボタ・ホンダです。それぞれの耕運機の種類、小型・家庭菜園・初心者向けの人気モデルを紹介しましょう。
ヤマハ(YAMAHA)は、発動機・農機・小型船舶などの製造、販売を行う日本の大手企業です。食の安全・安心への意識の高まりから「家庭菜園を営む層」にむけ、操作性・機能性・デザイン性・快適性を追求した耕運機をリリースしています。
特に、世界的に有名な工業デザイナーによる、ヤマハのシンボルカラー「赤」を使ったプレミアムレッドが特徴のミニ耕運機は人気です。
一台でさまざま作業をワンタッチで行える手軽さや、機体のQRコードをスマートフォンで読み込み、使い方を動画で見ることのできる機能なども支持を集めています。
農業・建築機械や産業用ディーゼルエンジンで知られるクボタは、農機メーカーとしては国内首位、世界では3位を誇っています。
クボタでは、プロの農家用耕運機や管理機、初心者でも使用できる家庭菜園用ミニ耕運機まで、はば広い機種を展開しています。
車・オートバイなどで世界中にその名を知られているホンダでは、車軸ローター式・フロントロータリー式・リアロータリー式など、さまざまなタイプの耕運機を展開しています。
アタッチメントも豊富に揃っているので、目的に合わせた作業が可能です。家庭菜園にぴったりなミニ耕運機は、女性にも人気があります。
そのほかにも、電動工具で人気のマキタや高儀 EARTH MANなどの耕運機も人気です。
耕運機を使用する際には、安全面に気を付けたいものです。使用前・使用中・使用後の注意点をご紹介しましょう。
いきなりスタートさせないで、使用前には必ず点検をしてください。燃料・エンジンオイル量・耕運爪のピンの締め付け具合・ハンドル部分の締め付け具合などをチェックしましょう。製品の取り扱い説明書を事前に読むようにしてください。
耕運爪などに石などが当たると、強い勢いで飛び散るため危険です。畑作業をする前に、畑に石やガラスなどの異物がないか確認してください。
裾が広いワイドパンツやだぶだぶのパンツ、袖幅や身幅の広いトップス、長いマフラーやストール、タオルなどは機械に巻き込まれる危険性もあります。体にフィットした動きやすい服装で作業を行いましょう。また、サンダルでは危ないため、動きやすいスニーカーや長靴などを選んでください。
傾斜地の畑で作業する際には、耕運機が倒れたり傾いたり落下しないように注意してください。また、畑への出入りや畦(あぜ)を横断する際には、低速で真っ直ぐに入るように気を付けましょう。
作業後の耕運機は「熱」を持っています。特にエンジンやマフラー部分は、素手で触ったり溶けやすい素材のものくっつけたりしないようにしてください。
次の作業もスムーズに行えるように、全体の点検をして、本体に付いた泥などは拭き取りましょう。詳しいメンテナンスは、製品の取り扱い説明書をごらんください。
耕運機を使って、家庭菜園などを楽しんでいる様子をSNSからピックアップ!
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種苗メーカーのアンケートによると、日本人の約半数が家庭菜園の経験者で、満足度は86%だそうです。
安全・安心な作物が収穫できる、育てる喜びがある、趣味と実益を兼ねられ節約もできる……など、評判も上々!プランターレベルではなく、畑を借りたり庭を畑に改造したりする人も増えてきました。
耕運機があれば、より快適に畑作業ができます。「畑作業で足腰を痛めることがなくなった」「作業がスムーズに進むので楽しい」「作物の収穫量が増えた」……など、使ってよかったという人は多いようです。
耕運機を購入する際には、本記事でご紹介したように、育てる作物の種類・畑の広さ・使用目的などを考慮して自分に合ったモデルを選んでくださいね。