壁の中の埋設物を確認できる、ウォールスキャナー。「壁の裏に柱がある場所に釘打ちをしたい」などのDIYから、「コンクリートに穴を開けるための確認」などのプロまで、幅広く使われています。
しかし機器の値段も数千円〜十数万円までと幅広く、「機器によって性能はどうちがうの?」と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、おすすめウォールスキャナー5選+3(プロ用5選とDIY用3選)を徹底比較していきます。選び方・使い方やレンタルについても解説しますので、ウォールスキャナーの購入を検討されている方はぜひご覧ください。
目次
まずは、ウォールスキャナーがどのような機器なのかご説明します。
ウォールスキャナーとは、壁の適切な穴あけ位置を割り出すなどの目的のために、壁の中の埋設物を探知する計測機器です。「鉄筋探査機」や「コンクリート探知機」、「コンクリートセンサー」とも呼ばれます。機器によって探知を行える壁や、発見可能な対象物が異なります。
建築現場からDIYまで、多くの場所で使われ、値段や性能が異なるたくさんの機器が販売されています。
ここでは、おすすめウォールスキャナーの比較表をご覧ください。
おすすめウォールスキャナー5選+3について、重要事項を一覧にまとめました。これで各機器の違いを、確認してみましょう(表はスライド可能です)。
製品名 | 定価 | 最大 探知深さ | 最小探知 可能間隔 | 測定できる 構造物 | 発見可能な 埋設物 |
---|---|---|---|---|---|
WD181DZK | 178,000円 | 180mm | 40mm | コンクリート、湿ったコンクリート、木、石膏ボード、ブロック | 金属、通電線、樹脂管 |
D-TECT150CNT | 150,000円 | 150mm | 40mm | コンクリート、強化コンクリート、レンガ、ブロック、ALC、木材・石膏ボード | 各種金属、プラスチックパイプ、電線、三相交流電線、低電圧配線、空洞部分、木材 |
GMD 120 | 49,000円 | 120mm | 50mm | コンクリート、乾式壁など | 金属、通電線、木材、通水樹脂管 |
GMS 120 | 19,000円 | 120mm | − | 様々なタイプの壁、石膏ボード壁 | 金属、木材、電線 |
PS 50 | 164,250円 | 150mm | 40mm | コンクリート、鉄筋コンクリート、木材、石膏、石材・漆喰・タイル・壁布・寄木張り・カーペットの下 | 鉄筋、金属パイプ、プラスチックパイプ、空隙部、木製の梁、電線、三相交流電線、低電圧電線 |
78578 | 9,800円 | 25mm | − | ベニヤ板、石膏ボード | 木材、金属、プラスチック |
リアルミニ | 4,480円 | 19mm | − | ベニヤ板、石膏ボード | 木材、鉄、電線 |
パナソニック EZ3802 | 6,200円 | 50mm | − | ベニヤ板、石膏ボード、塩ビ材 | 木材、プラスチック、金属 |
ここからは、プロ用として使えるおすすめウォールスキャナー5つをご紹介します。まずおすすめするのは、マキタの充電式ウォールディテクタWD181DZKです。
マキタ 充電式ウォールディテクタWD181DZKの特徴は、高感度・大型レーダーアンテナで、深く高精度な探知が可能な点です。最大探知深さは180mmもあり、埋設物を簡単に探知できます。
さらに、直線的な埋設物を探知する一般的な探知のほかに、斜めに通る埋設物が探知できる「マルチ探知モード」があります。これは3ライン分の探知を同時に表示するもので、CD管といった斜めの埋設物が探知可能です。
また大画面4.1インチのフルカラー液晶&バックライトを搭載したことで、抜群の見やすさに。マキタ自慢のリチウムイオンバッテリーで1充電あたり28時間使えますので、作業中に電源が切れてしまうことはありませんね。
2つめにおすすめするウォールスキャナー、ボッシュのコンクリート探知機 D-TECT150CNTについてご紹介します。
ボッシュのコンクリート探知機 D-TECT150CNTは、ボッシュの探知機3種の最上位機種です。最大探知深さは150mmで、対象物までの深さや材質までズバリ表示します。
壁の材料によって7つの探知モードを選ぶことができ、湿ったコンクリートについても探知可能です。画面も操作も大変わかりやすく、探知結果は画面で一目瞭然。カンタンに操作でき、誰が使っても正確に探知できます。
ボッシュのマルチ探知機 GMD 120が、3つめのおすすめウォールスキャナーです。
ボッシュ マルチ探知機 GMD 120は、ボッシュの探知機3種の中位機種。スポット測定により、狭い場所での正確な探知が可能で、金属や通電線、木材、通水樹脂感を探知することが可能です。
深さ最大120mmの対象物まで探知でき、探知すると音と光で知らせてくれます。また対象物に反応すると矢印が中心位置へ誘導してくれますので、正確な位置を知ることが可能です。
さらにボッシュの10.8Vリチウムイオンバッテリーと、単3アルカリ乾電池4本のどちらでも使用可能なデュアルパワーシステム搭載。万が一のバッテリー切れでも心配ありません。
ここではおすすめウォールスキャナー4つめ、ボッシュ デジタル探知機 GMS 120についてご覧ください。
ボッシュ デジタル探知機 GMS 120は、ボッシュの探知機3種の下位機種です。そのため他の2機種よりも機能は限定されますが、その分低価格で入手しやすくなっています。
探知された対象物の中心をピンポイントで表示し、材料特性を読み取り可能な「センターファインダー」機能を搭載。自動校正機能付きですので、校正作業は不要です。
液晶バックライトつきで画面も見やすく、シンプルで直感的に操作でき、効率的に対象物の位置確認ができます。
最後におすすめするウォールスキャナーは、ヒルティのマルチ探知機 PS 50です。
ヨーロッパのリヒテンシュタイン公国に本社を持ち、全世界で建設用の工具や材料の製造・販売を行うHILTI(ヒルティ)。そんなヒルティのマルチ探知機 PS 50は、鉄筋や非鉄金属、CD管など種別判別が可能です。
最大深さ150mmまでの埋設物を探知でき、かぶり厚さの推定も行えます。センサー技術を複数組みあわせることで、幅広い埋設物を探知できます。
さらに人間工学に基づいたデザインで、頑丈な構造と耐衝撃性、ほこりや水への耐久性も備えています。
ここでは、DIYにおすすめなウォールスキャナーを3点ご紹介します。
DIYにおすすめするウォールスキャナー1点目は、シンワ測定の下地センサー HGセンタービジョン 78578です。
壁裏の金属や木材、プラスチック、電線を探知して、点灯と電子音でお知らせします。このとき埋設物の中心を一発探知できることが特徴です。また電線警告機能付きで、誤って電線を傷つけることがありません。
グリップ部は、握りやすく滑りにくくなっているため、取り扱いやすさも問題なしです。
山真製鋸 コンパクト下地センサー リアルミニが、DIYにおすすめするウォールスキャナー2点目です。
リアルミニは、小さいながらも柱検知や鉄検知、電線探知、2軸水平器がつき1台4役のスグレモノ。今までの下地センサーとは比べ物にならない探知力とコスパの良さがウリとなっています。探知深度は19mmで、壁に釘を打つ場合の柱をすぐに探すことが可能です。
最後に、DIYにおすすめするウォールスキャナーは、パナソニック 壁裏センサーEZ3802です。
木材やプラスチック、金属探知が可能。木材の探知完了時は「木材」ランプが点灯、金属の探知完了時には「金属」ランプが点灯して、材料を知らせてくれます。
また「簡単マーキング用鉛筆穴」がついており、本体に鉛筆を仮保持できるんです。マーキングの際は鉛筆を軽く押すだけで、印をつけることができます。
価格も性能も、大きく幅があるウォールスキャナー。ここでは、どのようにウォールスキャナーを選べば良いのかご説明します。
ウォールスキャナーを選ぶ際には、使いたい用途から次の3点を確認します。
まずは、どのような構造物(壁)の探知を行うかを確認します。特に湿ったコンクリートでの探知については、上位機種でしか行うことができません。
次に、どのような対象物(壁の中の物)の探知を行うかの確認も必要です。上位機種になるほど多くの対象物を探知でき、さらに材質表示が行える機種もあります。
最後がどの程度の深さ、つまり「壁からどれほど離れた対象物の探知を行うか」の確認です。
今回ご紹介した機種の中で最も深いのがマキタの180mm。定価が下がるほど、その「深さ」は浅くなっていきます。目的とする対象物がどの程度の深さにあるものか、図面などで確認するのが最適です。
ここではウォールスキャナーの使い方をご説明します。マキタのWD181DZKを例にご説明しますので、下図の名称を参照しながらご覧ください。
よりよく探知するために、まずは探知する壁にゴミやホコリ、鉄粉がある場合は取り除きます。また、壁が濡れていると正しく探知できないため、壁が乾燥していることを確認します。
その後、本体を次のように操作していきます。
まず探知したい位置にガイドレーザーを合わせ、本体を壁にあてます。その後、本体をゆっくりと左右に動かします。探知する際は、ホイールが壁から浮かないように注意。また本体を動かすのが速すぎるとエラーとなり探知が行われないため、ゆっくりと動かします。
すると、レーダーによる探知結果が、ディスプレイ上に表示されます。
上図からは、「本体の真正面、6.2cmの深さに埋設物がある」ことがわかります。
また、コンクリートで探知を行い鉄筋などの埋設物を探知すると、画面に波形が表示され、鉄筋などの推定位置には「埋設物検知マーク」(◯)が表示されます。
画面の「埋設物検知マーク」(◯)が、「センサ中央線」に合うように本体を移動させます。そして、壁の本体上部くぼみが当たる部分にマーキング。このマークが、壁の埋設物の中心を表します。
探知が終了したら、電源ボタンを長押しして電源を切ります。その後、バッテリーを外しましょう。
壁の埋設物は、ウォールスキャナーが動く方向と直角に埋設されているときに探知されます。そこで埋設物の状態や埋設方向によって、効率よく探知する方法をご覧ください。
本体の水平移動を、高さを変えながら数回くり返します。垂直移動させても、探知はされません。
本体の水平移動を行っても探知はされないため、垂直移動を横にずらしながら数回くり返します。
水平と垂直の両方向に本体を動かし、壁の中の対象物の位置を特定する。
ウォールスキャナーを使用後は、探知能力の低下要因となるため、センサー面やホイールなどについたゴミやホコリを取り除きます。そして乾いた、柔らかい布で本体の汚れを拭きとりましょう。このとき、ベンジンなどの溶剤を使うと変色の原因になるため、使ってはいけません。
保管する際は、次のようなことに注意して保管します。
高性能なウォールスキャナーは価格も高くなるため、レンタルで利用するケースも多いようです。ここではウォールスキャナー・鉄筋探査機・コンクリートセンサーをレンタルで利用する際のポイントについてご紹介します。
ウォールスキャナーや鉄筋探査機、コンクリートセンサー、コンクリート探知機をレンタルで利用する際は、インターネットで「測定器のレンタル業者」を探しましょう。
その際、次のようなサービスがあるレンタル業者なら、安心してレンタルすることができます。
こちらの企業は、上記に対応しています。
・計測器 測定器のレンタル レックス(REX)
・西尾レントオール
今回は、おすすめウォールスキャナー5選+3の徹底比較から、選び方・使い方やレンタルについても解説しました。値段のほかにも、機器ごとに性能が異なることがわかって頂けたたかと思います。
ウォールスキャナーは業務にはもちろん、DIYでも大変役立つ測定機器です。ぜひあなたの用途に的確なモデルを選んで、仕事やDIYに役立ててみて下さい。