短時間で接着ができ、アクセサリーも作ることができて人気のグルーガン。ダイソーなど100円ショップでも販売され、DIYで楽しむ方も増えています。
しかしグルーガンの「正しい使い方」や「使い方のコツ」までご存じの方は、少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、グルーガンの使い方を基本から応用まで解説していきます。さらにコツや注意点、片付け方もご説明しますので、これからグルーガンを使ってみたいという方はぜひご覧ください。
※グルーガン(「ホットメルト」とよばれます)は工業用にも使われていますが、今回はDIY用のグルーガンについて説明します
目次
まずは、グルーガンの基本知識についてご説明します。
グルーガンとは、棒状の熱可塑性プラスチック(スティック)を溶かして接着する工具です。接着剤としてはもちろん、溶かしたスティックで小物など造形物を作ることも出来るため、DIYのさまざまな場面で使われています。
グルーガンのほか「ホットメルト」や「ホットボンドガン」などの名称でも呼ばれます。
液体ボンドとグルーガンは、どちらも「材料を接着する」ために使用します。比較すると次のような特徴があります。
それぞれのメリットとデメリットを把握して、適した場面で使用しましょう。
一見おなじように見えるグルーガンですが、いくつかの種類があります。ここでは大きく「スティックを溶かす温度」・「スティック径」・「電源」で分けたタイプをご紹介します。
スティックを溶かす温度の違いで、2つのタイプがあります。なお、スティックにも低温用・高温用がありますので、購入の際にはよく確認しましょう。
スティックを溶かすノズルの温度が、約120〜135度と低い温度のグルーガンです。高温タイプより安価ですが、接着力が弱くなります。
スティックを溶かすノズルの温度が、約160〜180度と高い温度のグルーガンです。低温タイプよりも接着力が強いですが、価格が高くなります。
スティック径の違いで、2つのタイプがあります。ちなみに、11mmタイプのグルーガンで7mm径スティックを使うことはできますが、その逆はできませんので注意して下さい。
グルーガンの機種が多いのは、こちらの7mm径タイプです。細いスティックのため、細かい作業に向きます。
スティック径が、11mmと大きいグルーガンのタイプです。接着剤を多く使う作業に向いています。
電源の違いで、2つのタイプがあります。
家庭用電源を使用するために、本体から電源コードが出ているグルーガンです。最もポピュラーで、多くの機種が販売されています。
電源に乾電池を使用するグルーガンです。コードを気にせず作業ができますが、乾電池を使用するため低温タイプが多くなります。
ここからは、グルーガンの使い方をご紹介していきます。まずは基本的な使い方です。
まずは、グルーガン本体に専用スティックを差し込みます。後ろの穴から、奥まで差し込んでいきます。
次に、グルーガンの電源プラグをコンセントに差し込みます。機種にもよりますが、5分ほどで専用スティックが溶ける温度になります。
このときスタンドなどを使い、必ずノズルを下に向けた状態で待ちましょう。ノズルを上に向けていると、溶けたスティックが本体を逆流し、故障する恐れがあります。
また溶けたスティックがたれても良いように、ノズルの下に受け皿やキッチンペーパーなどを敷いておきます。
トリガーを引いてスティックを押し出すことで、溶けたスティック(接着剤)がゆっくりとノズルから出てきます。
ノズルから溶け出たスティック(接着剤)を、材料につけて接着します。
完全に固まるには1分ほどかかりますが、数秒で固くなり始めます。すばやく接着していきましょう。
本体内のスティックがなくなると、トリガーを引いても溶けたスティック(接着剤)は出ません。本体後ろの挿入口から、スティックを補充します。スティックは突き当たるまでしっかりと差し込みます。
またスティックを補充している場合でも、電源プラグはコンセントに差したままで大丈夫です。
グルーガンには、さまざまな使い方があります。ここでは使い方の〈応用編〉をご紹介します。
グルーガンによって、基板部品を固定しながら、絶縁にも使うことができます。スティックは合成樹脂などでできており、電気を通しません。
そのため絶縁にも適していますが、高温になる部品には使用することはできません。
グルーガンは接着だけでなく、小物・デコレーション・アクセサリー作りにも使われます。こちらの方は、グルーガンでアポロチョコを作ってしまいました。
また熱に強いシリコンモールドを使えば、さまざまな形を作り出すことができます。接着だけでなく、このように成型できるのもグルーガンの魅力ですね。
・SETOCO グルーガンでパーツ作り
ウィッグの固定にグルーガンを使う方もいます。接着剤よりも早く固まるため、便利に使うことができますね。
ただし、溶けたスティックは100度以上になりますので、高温に強いウィッグを準備する必要があります。
グルーガンで一度固定したけれど、位置を間違えたのではがしたい場合。材料によっては、はがすことも可能です。
木や布、紙などの場合は、ドライヤーで熱風をあててはがしてみましょう。またエタノールを付けた布を押し付けることでも、接着剤がとれやすくなります。
ただし、布についた接着剤はとることは困難です。グルーガンを使うときは、汚れても良い服装で行いましょう。
接着剤としてのグルーガンの代用に使えるのは、一般的な接着剤全般です。接着する速さを求めるならば、瞬間接着剤があります。
補強のためのグルーガンの代用としては、粘土型接着剤がおすすめです。
また、造形に使うためのグルーガンの代用としては、造形ねんどやプラバンがあります。用途に応じて、代用になるものを選んで下さい。
グルーガンには独特の使い方のコツがあり、コツを知ればさらに使いこなせます。ここでは、グルーガンの上手な使い方のコツをご覧ください。
ノズルから接着剤を出したところ、糸をひいて、接着場所以外にもついてしまう。グルーガンを使っているとよくあることですが、まず「糸を引かないことはない」と覚えてください。粘度の高い接着剤ですので、必ず糸は引きます。
その上で、できるだけ糸を引かないようにするコツは次の2つです。このとき、糸も高温になっていますので、触れてヤケドしないように注意しましょう。
本体(本体内の発熱体)の温度がしっかり上がっていないと、糸を引きやすく(切れにくく)なります。まずは取扱説明書に記載された「温度が上がるまでの時間」を確認して、その時間を待ってから使いはじめます。
ノズルから流れ出た接着剤から本体を離していくと、糸が長く垂れるだけです。そこで、できるだけ「出した接着剤」に近い部分で、糸を巻くようにして切ってから本体を離します。
こちらの動画がわかりやすいので、参考にしてみて下さい。
後述していますが、グルーガンには接着できない材料があります。まずは材料が接着できるかどうかを確認しましょう。
本来は接着できる材料なのに接着できない場合は、次の点に気をつけることがコツです。
ここでは、グルーガンが接着できる材料をご紹介します。
グルーガンが接着できる材料は、次のとおり。表面がザラザラしたものを接着することが得意です。
グルーガンで仮止めができる材料は、こちらです。表面がツルツルしていると、接着力が弱まるため、仮止めまでの使用にしましょう。
テフロンやシリコンゴムは、グルーガンでは接着できません。これはグルーガンだけでなく、ほとんどの接着剤でも接着不可です。どうしてもテフロンやシリコンゴムを接着したい場合は、テフロンやシリコンゴムに対応した特殊な接着剤を使用しましょう。
こちらの接着剤は、シリコンゴムも接着可能です。
また、高温になったスティックで接着するという使用上、発泡スチロールやビニールといった、熱に弱い材質も接着できません。
グルーガンは本体ノズルが高温になるため、取り扱いには注意が必要です。ここでは、グルーガンを使う際の注意点についてご説明します。
グルーガンを使い終わったら、必ずすぐにプラグを抜きましょう。ここでも本体をスタンドに立てて、ノズルを下向きにして置きます。
また、紙や木など燃えやすい物が回りにあると、火事になる恐れも。周囲にも気をつけて、本体を冷まします。
グルーガンを使うにあたって、どんなものを下に敷くと安全なのでしょう?紙では火災の恐れがありますし、プラスチックシートでは溶けてしまいますよね。
実は、クッキングシートが最も適しています。耐熱性があるため、溶けたスティックが落ちても問題ありません。またクッキングシートの表面には、調理の際に材料がつかないように、シリコンやテフロンがコーティングしてあります。
そのため、グルーガンで小物作りやアクセサリーを成型する際にも、クッキングシート上で作ることが適しています。
最後に、グルーガンの片付け方をご紹介します。
使い終わったら、速やかにグルーガンの電源プラグをコンセントから抜き、本体を冷まします。前述の通り、ノズルが下を向くようにして下さい。
本体が充分に冷えてから、グルーガン本体を片付けます。
このとき、本体内に残ったスティックは、残したままで構いません。無理に引き抜こうとすると故障の恐れがありますので、気をつけて下さい。
今回はグルーガンの使い方やコツ、注意点、片付け方などをご説明しました。接着から造型まで使えて便利な工具ですが、高温になり危険な面があることも理解して頂けたかと思います。
ぜひ、今回の記事で正しい使い方を確認して、安全なDIYを楽しんでもらえれば幸いです。