塗装するなら、塗りたくない箇所を覆えるマスキングテープは必須です。
でも意外と種類が多く、どんなマスキングテープを選んだらいいかわかりにくいですよね。
マスキングテープの購入を考えた際、上記のような疑問を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、「マスキングテープの選び方とおすすめの商品」についてまとめました。
時間がない方でもどれを購入すればいいかサッと選べるので、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
塗装にチャレンジしたいと思っても、「難しそう…」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
前準備なしに塗装を始めてしまうと、プロでも失敗するものです。
仕事の現場では、必ず塗装前に養生(塗料が不要な所に付かないよう保護する作業)をします。
養生には、マスキングテープが必要かつ最適です。
マスキングテープとは、塗装やコーキング作業時に使う養生用の粘着テープです。
塗装しない場所の境い目に貼り、塗料のはみ出しを防止します。さらに正しい貼り方をマスターすると、境界線がキレイに仕上がるのです。
当時は紙製でしたが、日本に渡った後は柔軟で頑丈な和紙製へ進化しました。現在では、世界中で和紙製のマスキングテープが使われています。
安価なので、DIYに使用する家庭も増加中です。
マスキングテープには、以下の特徴があります。
養生中はしっかり張り付き、作業後はスムーズに剥がせるよう作られています。
粘着力が弱いので、仮止めにも活用可能です。貼り付けたままだと粘着剤が残るため、作業後は早めに剥がしましょう。
養生できる範囲はテープの幅まで。広範囲の養生には向きません。
広範囲を養生したい場合は、マスカー(ビニールシートが付いたマスキングテープ)を使いましょう。
マスカーは、粘着力の強い製品もあるため注意が必要です。マスカーや養生シートについて詳しく知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
マズキングテープでよく使われる素材は、以下の3種類です。
・和紙製
国内のマスキングテープは、和紙製が一般的です。伸縮性が低く、テープを真っすぐ貼れるため直線の塗装に向いています。
曲げて貼ろうとするとシワができるので、曲線の塗装には向きません。約0.1mm厚の製品が多く、かんたんに手で切れます。
・クレープ紙製
シワやひだが付いた紙製です。
伸縮性があるので、曲面や粗面の塗装に向いています。
・フィルム製
耐熱性と伸縮性がとても高いため、車両の塗装に欠かせません。
ポリ塩化ビニルフィルムは伸縮率が200~300%と高いので、角度がきつい曲線にも貼れます。
ポリエステルフィルムは、0.05~0.07㎜前後の薄さです。
マスキングテープは、用途に合わせて最適なものがそれぞれ作られています。
粘着力や強度が違うので、作業によって使い分けましょう。
使用条件に合った製品を選べるように、用途による違いや粘着剤の特徴を解説します。
マスキングテープを一般的な用途別に分けると、以下の6種類に分類されます。
上記以外にも、プリント基板用といった特化型の製品もあります。
塗装に使うマスキングテープを探している方は、溶剤に耐性がある塗装用の製品を選びましょう。
用途が違う製品を使うと、剥がすときに下地を痛める恐れがあります。
マスキングテープの選び方に迷ってしまったときは、用途の表示がある製品を選ぶと良いですよ。
・車両の塗装用
粘着性や耐熱性が高く、使用箇所によって性能や素材が違います。
・建築の塗装用
カラフルな和紙製が多いです。
伸縮性や耐熱性は低いですが、水や溶剤には耐性があります。
・粗面用
外壁の塗装に使うマスキングテープで、クレープ紙製が多いです。
タイルやサイディングボードには粗面用、砂まき外壁には超粗面用を使います。
・目地材(コーキング材・シーリング材)用
下地を痛めにくいマスキングテープです。
躯体用と表記があるものは、コンクリート・サッシ・タイルにも使えます。
・ラッピング・雑貨・文具用
粘着性が弱く、剥がしやすいのが特徴です。
素材・色・柄のバリエーションが豊富なので、シチュエーションによって使い分けられます。
・インテリア用
リメイクにピッタリな木目調やタイル柄が人気です。
お風呂や窓に使える、水に強いマスキングテープも販売されています。
粘着剤によって、使用条件が変わります。よく使われる粘着剤は、以下の2種類です。
・ゴム系の粘着剤
素材を選ばず貼りつくので扱いやすいです。
昔からある粘着剤ですが、粘着力や耐熱性が低くマスキング以外のテープでは徐々に使われなくなりました。
粘着力の弱さが重宝され、現在でもマスキングテープではゴム系の粘着剤が使われています。
長期間貼り付けたままだと粘着剤が残りやすくなるので、作業後はすぐに剥がしましょう。
耐熱性が低く紫外線に弱いため、高温や屋外での使用には向いていません。
・アクリル系の粘着剤
熱や紫外線に強く、長期間の使用が可能なので幅広く使われています。
素材によって張り付きにくく、とくにプラスチック系は苦手です。
作業する上で重要なことは、必要な幅を確認することです。
もし幅が足りなければテープを貼り足す必要があり、幅が広ければ使用できない事態も考えられます。
塗装用の製品は6mmから幅を選べるため、購入前に必ず実寸の幅を確認しましょう。
長さが短い製品もあるので、値段と長さのバランスをチェックしてから購入してくださいね。
剥がすのを忘れないように、マスキングテープは目立つ色の製品が多いです。
白いマスキングテープもあるため、白い場所に貼り付ける場合は目立つ色の製品を購入すると良いでしょう。
マスキングテープを上手に使いこなすのが、塗装をキレイに仕上げる近道です。
まずは塗装に必要なものを用意し、事前準備をしましょう。
新聞紙やビニールシートがあると、床の養生や塗料を捨てるときに便利です。
塗料は塗りたくないところへ広がってしまうと落とすのが大変なので、できるだけ広い範囲を養生しましょう。
手順は大きく分けて、以下の3つです。
ホコリや油分は、マスキングテープを浮き上がらせる原因になります。
浮きが大きいとマスキングテープの下に塗料が広がってしまうため、注意が必要です。
マスキングテープの基本的な使い方をマスターして、塗装にチャレンジしてみましょう。
①マスキングテープを貼る
塗装しない場所の境い目にテープを貼ります。(テープを貼るのは塗装しない側)
右利きの方は、時計回りに貼っていくと作業がラクです。(左利きの方は反時計回り)
②塗料を塗る
テープの上は塗装しても大丈夫です。(テープの幅を超えて塗らないように注意!)
③マスキングテープを剥がす
慎重にテープを剥がします。(乾いていない塗料に注意しましょう)
④剥がしたマスキングテープを捨てる
テープを広げた新聞紙やビニールシートに貼り付けて、丸めておきましょう。(予想外の貼り付きによる事故を防止します)
塗装時の仕上がりを向上させるポイントについて、解説していきます。
①マスキングテープをまっすぐに貼る
テープのラインが、そのまま塗料との境目になります。仕上がりの線を意識して貼ると良いです。
②マスキングテープをしっかりと密着させる
マスキングテープは粘着力が弱いため、貼ったつもりでも浮いている場合があります。
指で押しながらなぞっていき、しっかりとテープを密着させましょう。
③マスキングテープを浮かせない
粘着力が弱いマスキングテープは、端のほうから浮いて自然と剥がれていきます。
端のほうはテープを多めに残し、想定外の剥がれを防止すると良いです。
コーナー部分は多めに残したテープを重ねて貼り、テープ同士が重なったところの段差は指で押してスキマを潰します。
④塗料が湿っている状態でマスキングテープを剥がす
塗料が乾ききった状態でテープを剥がすと、塗装面の塗膜も一緒にくっついて剥がれてくる場合があります。
※筆者は乾ききった状態で剥がし、境界線がガタガタになった経験あり。
反対に塗料が水っぽいと飛び散ってしまい、ほかの場所を汚す原因にもなります。
テープを剥がすときの衝撃が思ったよりも強く、乾いていないと広範囲に飛び散るので注意が必要です。
⑤マスキングテープを力任せに剥がさない
なかなか剥がれないマスキングテープを力任せに剥がすと、貼り付けた場所を傷つけてしまいます。
剥がれないテープがあるときは、カッターナイフで優しく切り込みを入れて剥がしましょう。
⑥デコボコな面にはコーキング材を使う
デコボコな面を、マスキングテープだけで塗装するのは難しいです。
コーキング材でデコボコを埋めてから塗装すると、キレイに仕上がります。
詳しくコーキング材を知りたい方は、下記記事を参考にしてください。
手順は動画で解説したものもありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
塗装用に使われるマスキングテープですが、特性を活かして塗装以外にも活用ができます。
活用例を複数挙げますので、ぜひ参考にしてください。
塗装用に購入して余った場合でも、上記のようにさまざまな活用方法があります。
「塗装用のマスキングテープが欲しい!」「たくさんあって選びきれない!」という方に、おすすめのマスキングテープをご紹介します。
使いやすいマスキングテープを見つける参考にしてくださいね。
3M(スリーエム)のマスキングテープは、高品質で低価格なため人気が高いです。
しかし3M(スリーエム)の製品は種類が多いので、どれを買ったら良いか悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家庭用の製品は、以下の5種類です。
同じ色で用途が違うプロ用の製品もあるので、色だけで判断せずに品番で選びましょう。
家庭用のマスキングテープには、扱いやすい「243J Plus 黄色」がおすすめです。
厚みが0.08mmと非常に薄く、手で切りやすいのに破れにくい絶妙な強度に作られています。
湿気や乾燥に強く、温度の変化にも対応。接着剤がアクリル系なので接着力が高く、貼り直しも可能です。
しっかりと貼り付くので、塗装との境目がキレイに仕上がります。接着力が高いのに接着剤は残らず、とても扱いやすいです。
伸縮性があり、曲線の塗装にも使えます。テープの幅は6~60mmです。サイズが豊富なので、作業に必要な幅を選べます。
DIYに使いやすい18mm幅の場合は、以下の金額です。
7巻入り | 500円前後(長さ18m) |
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個包装タイプ | 900円前後(長さ50m) |
3M(スリーエム)のマスキングテープは、プロ用の製品も高品質なため人気があります。
プロ用の製品を、用途ごとに分けると以下の7種類です。
家庭用よりも性能の高いマスキングテープが欲しい方には、建築塗装用の「EXPP 紫」がおすすめです。
手で切りやすいのに破れにくく、強度が高いつくりになっています。
伸縮性があり、貼るときのヨレが少ないので扱いやすいです。内装だけではなく、金属の塗装にも使えます。
特殊な塗料がテープに使われており、テープの背面についた塗料を弾きません。テープを剥がす際に、塗料が飛び散ってしまうのを軽減できます。
しっかりと貼り付きますが、接着剤は残りません。接着力が高いのに、かんたんに剥がせます。
テープの幅は12~50mm、長さは18mです。DIYに使いやすい18mm幅の場合は、以下にまとめました。
7巻入り1パック | 600円前後 |
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7巻入り10パック | 4,500円前後 |
直線用のマスキングテープを曲線に使うと、なかなか上手に貼れません。
曲線の塗装に使うなら、タミヤの「曲線用マスキングテープ」がおすすめです。
プラモデル用のマスキングテープですが、プラモデル以外にも使えます。塩化ビニール製であるため伸縮性が高く、どんな曲線にも対応可能です。
引っ張って伸ばしながら貼るとシワやヨレが少なくなり、塗装との境目がキレイに仕上がります。
かんたんに剥がせて、接着剤が残りません。接着力が弱めなので、押さえながら貼ると良いです。
塩化ビニール製なため、テープの縁がケバ立ちません。テープの幅は2・3・5・12mmから選べて、長さは20mです。
幅の狭いマスキングテープは曲げやすいので、角度が強い曲線にも問題なく対応できます。
タミヤの「曲線用マスキングテープ」は、1巻き400~600円程度の価格です。
日東電工のマスキングテープ「No.720」は、昔から使われている一般的なマスキングテープです。
※筆者は日東電工のマスキングテープを愛用しており、品質は自身を持っておすすめできます。
白い和紙製なので、手で切りやすくメモ代わりにも使用可能です。素材を選ばずに張り付くゴム系の粘着剤が使われています。
接着力が弱めなので、しっかり押さえながら貼りましょう。剥がしやすく接着剤が残りにくいため、固定や仮留めに向いています。
紙の仮留めに使っても、繊維を痛めずに剥がせます。高温になる場所や、長期間の使用には向いていません。
屋外での使用を避け、作業後はすぐに剥がしましょう。環境が合わないと、粘着剤が残りやすくなります。
テープの幅は12~50mm、長さは18mです。DIYに使いやすい18mm幅は、1巻き100円前後で購入できます。
安価なので、気兼ねなく使えるのがおすすめポイントです。涼しい所に保管し、劣化する前に使い切りましょう。
マスキングテープが貼りにくい粗い面の塗装には、カモ井の「風神 超粗面用」がおすすめです。
ゴム系の粘着剤なのに接着力が高く、化粧しっくいのような粗い素材にも難なく貼り付きます。
しっかりと貼り付きますが、接着剤は残りません。高温になる場所や長期間の使用を避け、作業後はすぐに剥がしましょう。
粗い和紙製のマスキングテープで、重ね張りにも向いています。
長くテープを引き出しても丸まりにくく、扱いやすい製品です。テープの幅は15~30mm、長さは18mが販売されています。
DIYに使いやすい18mm幅は、7巻き入りが900円前後です。
塗装をキレイに仕上げるには、マスキングテープを使った養生が重要です。
スキマに塗料が入り込まないよう、密着させてから塗装しましょう。
マスキングテープを上手に使いこなせると、塗装の境目がシャープに仕上がります。
使い方に合ったマスキングテープの選び方に迷ってしまった方は、用途の表示がある製品を選んでくださいね。