機械の組み立てにおいて、至るところにナットやボルトが使用されています。正しく締め付けることで、故障や事故を未然に防止できます。そこで活躍するのがトルクレンチです。
とはいうものの、多くのメーカーから発売されていて、どれにすればよいか迷ってしまいますよね。
トルクレンチを購入しようと思った際、上記のような疑問を持たれる方もいらっしゃるでしょう。
そこで今回は日本でも有名な、「KTCから発売されているトルクレンチ」について紹介します。KTCのトルクレンチの購入を考えている方はぜひ参考にしてくださいね。
目次
KTCとは京都機械工具株式会社(KYOTO TOOL Co., Ltd.)の略称です。
会社は1950年に創業し、トヨタ向けに車載工具や汎用工具、特殊工具を供給し業績を上げてきました。現在では自転車用工具など他の産業分野へも展開しており、日本国内シェアNo.1の総合工具メーカーです。
KTCの工具は初心者からプロ向けまで幅広くラインナップしており、ホームセンターでも手に入るのが強みです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
トルクレンチはボルトやナット、ネジの締め過ぎや緩みを未然に防ぐために設計されました。
なかでも使用者が締め付け力を確認する方式によって、直読式とシグナル式の2つに分類されます。
それぞれ詳しく説明していきます。
直読式は締め付け力を測定するために、ハンドル付近の目盛りを直接読み取ります。ボルトを締め付けてことで針が動き、目標としている締め付け力に達したら終了です。アナログな読み取り方法なので、作業している場所や微妙な見え方によって読み取りが困難。
また直読式は細かく分けると目盛りのタイプによって、「ダイヤル型」と「プレート型」の2種類が存在します。順番に紹介していきます。
プレート型は、ボルトを締め付けることでフレームがたわんでいき、ハンドル部分にある目盛りでたわみ量を読み取ります。
シンプルな構造になっているため、比較的安価に入手できます。
なおプレート側のトルクレンチは、締め付けと測定の両方で使用可能です。
プレート型トルクレンチの動作は、動画がわかりやすいと思いますので参考にしてください。
ダイヤル型は、プレート型と違ってフレームがたわむことはありません。ハンドル部分についている丸形の目盛りで読み取ります。目標としている締め付け力に達したら完了です。
目盛りはプレート型にくらべて読み取りやすいように設計されており、数値を確認しながらの締め付け作業が容易。締め付ける作業よりも、締め付け力を測定するほうが適しています。
デジタル型はフレームの内部にセンサーが搭載されており、締め付け力を検出し、デジタル板に数字で表示されます。
さきほどのプレート型やダイヤル型と比較すると、締め付け力が見やすく精度が高いです。そのかわり高価なのがデメリット。
シグナル式は設定してある締め付け力に到達した際に、「カチッ」という音と振動で知らせる仕組みとなっています。
直読式と比べて感覚的に締め付けるため、締め付け力を読み取る必要がなく、狭い暗いなどの読み取りが困難な場所での作業で安定して使えます。
また、同じ締め付け力で複数の箇所を確認する際にも便利です。シグナル式のトルクレンチのなかで締め付け力を調整できるかどうかで2種類に分かれます。
単能型は締め付け力が工具で決まっており、調整できません。(一部専用工具で調整できる商品もあります)。
シンプルな構造で比較的安価に購入可能。締め付け力を調整できないので、機械の組み立てなど力が決まっている作業で、締め付け間違いなどの問題を未然に防止できます。
プリセット型は締め付け力を調整できます。
動作については見たほうがわかりやすいと思いますので、下記の動画も参考にしてください。
トルクレンチの種類をここまで説明してきましたが、種類がたくさんあって結局のところ何を選ぶべきかわからないですよね。
失敗しないおすすめの方法は、目的に合わせて選ぶことです。ここからは目的別におすすめを紹介します。
自動車の整備が目的の場合、締め付け力の対応幅が広いデジタル式がおすすめ。
なぜかというと自動車はさまざまな場所にボルトが使われており、場所によってボルトの締め付け力が違うからです。もし特定のボルトを締め付けるだけであれば、プレセット型もおすすめです。
ホイールナットの締め付けが目的の場合は、単能型を購入しましょう。
なぜならホイールナットは締め付け力が強い部分なので、デジタル式では高額になってしまうからです。
なおホイールナットの締め付け力は、カーメーカー毎に設定値が違うので購入時に注意が必要です。
バイク・原付・自転車の整備は、自動車の整備と同様に締め付け力の対応幅が広いデジタル式がおすすめです。
以下のデジタル式は、狭い場所での作業にも対応しやすいコンパクトなモデルで人気があります。
トルクレンチは測定が目的の機器となっており、他の工具以上に扱いは気をつけないといけません。
使用する際の注意点について紹介しますので、参考にしてください。
ボルトを締め付ける際に、対応したソケットがないと締め付けができません。
締め付けたいボルトのサイズに合ったソケットを取り付けることで、締め付けミスを防止します。
トルクレンチは締め付け力を測定する機器です。締め付け力は回転の中心軸(締め付けたいボルトの中心)から力をかける距離で計算します。
そのため握る位置が変わってしまうと、正確な締め付け力はわからなくなってしまいます。手はグリップの中央を握るように心がけましょう。
トルクレンチの種類によって締め付け力の確認方法は変わりますが、注意点があります。それはゆっくり締めることです。
勢いをつけて締めてしまうと一時的に数値が跳ね上がってしまい、正確な数値が測定できません。
反動をつけず、ゆっくり締め付けていくことを意識しましょう。
KTCは日本でも有名な総合ツールを扱っている会社で、さまざまなトルクレンチを販売しています。
実際にトルクレンチを購入する際は、作業の目的や使用トルクによって使い分けるのがおすすめです。
またデジタル型のトルクレンチは急な電池切れに備えましょう。ボタン電池の購入もおすすめです。