日々の生活の中で重要な位置を占める不動産ですが、不動産といっても、マンションや一戸建て、オフィスマンションなど、その種類は多岐にわたります。今回は、不動産営業とはどんな仕事なのか、どのようなやりがいがあるのか、また不動産営業の仕事につくには何をすればいいのかを、わかりやすく説明します。
ここでは、不動産営業の仕事の種類、1日の仕事の流れ、不動産営業で扱う商品などについて説明します。
不動産営業の仕事は、簡単に言えば、個人や企業に不動産を販売したり、賃貸を提案したりすることです。しかし、一言で「不動産営業」と言っても、具体的な仕事内容や仕事の進め方は異なります。
他の業界と同様に、会社に出社する時間は8時から10時が一般的です。ほとんどの会社では、出社したらまず掃除をします。掃除が終わると、スケジュールやプロジェクトの進捗状況を確認します。
準備や手配が必要なものがあれば、それも同時に行います。午前中は、普段お客様との約束がないことが多いので、オフィスで事務処理を行います。
また、必要に応じて外に出て現地調査をしたり、広告物件の写真を撮ったりすることもあります。事務処理が終わったら、お客様に電話やメールで連絡し、アポを取ります。
一人でも多くのお客様にお会いするために、アポを取ることはとても重要な作業です。ほとんどの不動産会社は、12時から13時の間に昼休みを取ります。
昼から夕方までの間は、多くの社員が外出して個々に活動を行います。この時間帯の行動は、個人の裁量に任されている部分が大きいと言えます。
外出の用事を済ませて会社に戻ったら、翌日以降にアポが取れそうなお客様に電話をかけます。夕方、お客さまが仕事や用事を終えた頃が、最もコンタクトが取れやすい時間帯です。この時間帯にどれだけアポを取れるかが勝負です。
不動産販売には大きく分けて5つのカテゴリーがあります。まず、「不動産販売」には、当社およびグループ会社が所有する土地、投資用賃貸、戸建住宅などの不動産を個人のお客様に販売することが含まれます。
販売方法は、テレアポと訪問販売を基本としています。まずは電話などでアポイントを取り、実際にお客様にお会いしてニーズをお聞きし、販売提案を行います。
近年では、SNSでのアプローチなど、さまざまな方法で物件購入ニーズのあるお客様を見つけることが必要になっています。
「不動産賃貸業者」の営業マンは、アパートや家を借りたい方に賃貸契約の説明や提案をする仕事です。扱う物件は、自分の会社の物件もあれば、他の会社に属している物件の場合もあります。
他社が所有する物件を扱う場合は、販売代理店としての仕事になります。不動産賃貸業者の営業はお店に常駐して、来店されたお客様に聞き取りを行い、お客様のニーズに合った物件情報をご紹介します。
気に入った物件が見つかったら、お客様に同行して内覧を行い、必要であれば写真を撮ってお客様に送ります。
「不動産販売代理」とは、個人や企業が所有する物件を代理で販売することです。これは、商品の購入からオファー、契約締結までの一連の流れを必要とするもので、不動産販売の数ある仕事の中でも最も難しいものの一つです。
販売スタイルは不動産販売と同じで、テレフォンアポと訪問販売が主な販売方法です。具体的な営業活動ですが、まず最初に行うのは取り組むべき不動産商品を見つけることです。
また、「リフォーム会社」の営業もあります。リフォーム会社は、既存物件の補修を行います。リフォーム会社の営業マンはお客様から問い合わせを受けたなら、まずはお客様を訪問し、リフォームの契約を締結します。
また、リフォームのアドバイスをすることも仕事なので、建築工事の知識も必要です。昔は古くなったら建て替えるのが一般的でしたが、最近はリノベーションの技術が向上し、古い物件をリノベーションして自分好みにしたいというニーズが高まっています。
最後に、「土地活用会社」の営業マンは、土地の所有者に土地の活用方法を提案するビジネスを行います。
具体的には、空き地にアパートや駐車場を建てて大家さんになり、家賃と利益を得るといった不動産投資を提案しています。
また、土地活用の営業は、多少の訪問販売を伴う仕事です。とても厳しい仕事ですが、販売員としてのスキルを身につけることができます。
それでは、具体的にどのようなタイプの人が不動産営業に向いているのかを解説していきます。自分が下記のような特徴に当てはまるかどうかを考えてみましょう。
コミュニケーションは、どの業界の営業マンにとっても必須のスキルです。特に不動産業界は、多額のお金が動く上に、住宅という生活に密着した商品を扱っているため、コミュニケーション不足が大きな問題になることがあります。取引を円滑に進めるためには、高度なコミュニケーション能力が必要です。
不動産営業でうまくやっていくためには、強い精神力とストレスへの耐性も重要です。ビジネスによっては、管理する物件の入居者からのクレーム対応を担当することもあり、それがストレスになることもあります。
また、土地や家などの高額商品を扱う場合、自分もお客様もストレスを感じやすくなりますので、時には争いに発展することもあります。
不動産業界では、このようなトラブルは日常茶飯事ですが、人によっては考えすぎたり、落ち込んで立ち直れなくなったりすることもあります。
これは、仕事上の違和感につながるだけでなく、心が仕事を拒絶することで、うつ病になることもあります。そのような訳で、精神的に強く、ストレスに耐えられる人でないと勤まらない仕事でしょう。
お金を稼ぎたいと強く思っている人は営業の世界で成功しやすいです。お金への執着心がないと、強く営業するエネルギーが湧きづらく、この業界ではやっていくのは難しいでしょう。いい生活がしたい、かっこいい車に乗りたい、というような願望を強く持っているタイプの人が出世しやすいといえます。
不動産営業と聞くと、非常に高い年収を想像する方も多いのではないでしょうか。令和元年の国税庁の給与調査によると、不動産業界の平均年収は423万円であり、求人サイトで募集している不動産営業の年収も同様です。
しかし、プレジデントオンラインがまとめた不動産業界の平均年収ランキングによると、一位はヒューリックで1,530万円、次いで日本商業開発が1,368万円、三菱地所が1,229万円です。
いずれの企業も平均年齢は40歳前後で、これらの企業で働く営業マンの年収は1000万円を軽く超えています。
多くの企業の不動産営業マンの給与には、高いインセンティブがついているため、営業力があれば大きく稼げる仕事です。
では、不動産営業の仕事に就くためにはどのようなことが求められるでしょうか。ここからは、不動産営業をする上で知っておくべきいくつかのポイントを解説します。
不動産業界は慢性的な人手不足なので、学歴を問わず、未経験者にも門戸が開かれていることが多いです。一見、ハードルが高いように思えますが、入社条件はほとんどなく、「能力開発支援制度」を設けている会社も少なくありません。
専門的な知識を身につけながら、正社員として不動産営業のキャリアをスタートさせたい方は、このような制度を設けている会社を探してみてはいかがでしょうか。
不動産の仕事は、法律的に高度な専門知識を必要とするものが多く、資格がないと働けない業界や会社もあります。不動産営業に必要な資格で最も重要なのは「宅地建物取引主任者(宅建士)」です。
建設業法や宅地建物取引業法では、「不動産営業所を営む場合、従業員5人に1人以上がこの資格を持っていないと営業できない」と定められています。
つまり、事業を拡大するにしても、宅建士がいないとできないばかりか、宅建士が辞めてしまうと、事業停止の危機に陥ってしまうのです。
宅建士は不動産を売るためには必須の資格と言われており、不動産を売る人はまずこの資格を取得する努力をしましょう。これは不動産の種類を問わず言えることです。
不動産を管理するにしても、仲介するにしても、販売するにしても、宅地建物取引主任者の資格は一生役に立ちます。
また、一人でも多くの社員に宅地建物取引主任者の資格を取得してもらいたいという思いから、月に1万円から3万円の資格手当が支給されます。
宅地建物取引士の資格を持っているだけで、会社から年間10万円~30万円のプラスアルファが支給されることもあります。
不動産業界の営業の仕事を探すには、転職エージェントの力を借りるのが賢い方法です。いくつかの転職エージェントに登録しておくことで、より自分に合った就職先を見つける近道となるでしょう。
転職エージェントには個々の業界情報に精通したコンサルタントが担当してくれますし、就職に成功するための実際的なアドバイスも受けることができます。
不動産営業の仕事内容について、また向いている人や不動産営業に付こうと思う場合にするべきことをお伝えしました。
不動産の営業というと、ノルマが厳しくて大変というイメージがあるかもしれません。また、運の要素もあり、1年目の成績が良くても、2年目もその成績が続くとは限りません。
そのため、厳しい環境は、仕事をしながら自分を成長させるチャンスだと考えることが必要です。また、不動産営業は非常に奥の深い分野であり、1年や2年では理解できないことがたくさんあります。
不動産業界に転職しようと思うなら、焦ることなく、自分にあった仕事を見つけるようにしましょう。