バイヤーの仕事といえば、商品を買い付けてくる仕事というイメージがあるかもしれません。とはいえ、バイヤーは他にもさまざまな仕事をこなしています。当記事内では、バイヤーの具体的な仕事内容と、その面白さはどこにあるのかをまとめました。また、バイヤーに向いている人の特徴も紹介していますので、転職をお考えの方は、自分にバイヤーの適性があるかどうかを判断する参考にしてください。
ですが、実際はファッション業界だけでなく、さまざまな業界の会社が販売する商品や、商品に使用する材料や素材の仕入れを担当する人をバイヤーと呼びます。
例えば、製造業のバイヤーの場合、「資材調達」「購買」などの職種があります。その場合は、あえて職種として「バイヤー」と呼ばれることはないかもしれませんが、仕事内容としてはバイヤーということになります。
バイヤーの主な仕事は、製品や材料、素材などを購入することです。例えば、バイヤーは商品開発、販売計画や予算管理を行うマーチャンダイジング業務、商品企画業務などに携わることがあります。
また、商品は店頭に並べるだけでなく、ECサイトで販売することもあるため、ECサイトを専門に担当するバイヤーもいます。
市場動向を分析するためには、社内の他部署と連携して販売データや顧客データを入手するとともに、SNSや展示会、インターネット、業界誌、プレスリリースなど、さまざまな情報源にアンテナを張っておく必要があります。
ビジネスを成功させるには、当然メーカーとの信頼関係を築きながら交渉を進める必要があり、コミュニケーション能力が不可欠です。また、交渉は常に数字を意識して行われるため、計算力や数字に対する感性が求められます。
何を買うかだけでなく、トレンド分析や顧客分析をもとに、いつ、どれだけ買うかを慎重に検討します。そして、その分析データをもとに、売れそうな商品を見つけたら、適切に数量を調整して購入します。
バイヤーに向いている人と向いていない人には特徴があります。まず、バイヤーに向いている人の特徴は、なんといっても「作業が好きな人」だそうです。
たとえば、商品が売れるなと思ったらエクセルにまとめる、商品管理、在庫管理の作業など、地味な作業も多い仕事です。そのため、パソコンに向かって作業することが苦にならない人が向いているといえます。
また、「人と関わるのが好きな人」も向いていると言えます。バイヤーとして、メーカーさんや取引相手と商談を円滑に進めるためには、コミュニケーションスキルが欠かせません。
反対に、バイヤーに向いていない人は、「1つのことにずっと集中できる人」「コミュニケーションが苦手な人」「ファッションに興味がない人」です。
たとえば、1つのことにずっと集中できると言うポイントは、一見良さそうに思えますが、バイヤーは意外と交渉や作業や在庫の管理など、いろいろな仕事をこなす必要があります。そのため、1つのことだけでなく、視野の広い人の方が向いているという訳です。
その商品が本当に良いものなのか、一過性の流行ではなく、将来的に多くの人が興味を持つような魅力的な商品なのかを自分の目で見極める必要があります。そのためには、自分が良いと思うものと、世の中の多くの人が良いと思うものが一致している必要があります。
たとえ自分のこだわりや独自のセンスがあったとしても、それが世の中に広く受け入れられているものでなければ、購入した商品は売れない可能性が高いのです。バイヤーにはそのような鑑識眼、美的感覚、バランス感覚が求められます。
購入価格は会社の利益に直結するため、少しでも安く購入するためには値引き交渉が必要になります。似たような商品の購入価格や数量を参考にして交渉しますが、強気に出て生産者との関係がこじれてしまっては、購入自体が失敗に終わってしまいます。
こちらの要望を明確に伝えつつ、相手の顔や声のトーンを慎重に観察しながら、交渉から撤退するタイミングを見極めるコミュニケーション能力が重要です。
交渉がスムーズに進むこともあれば、価格や数量など生産者との交渉が難航したり、生産者が市場に流通させたくないという理由で取引自体が拒否されたりすることもあります。何度も現地に足を運ぶ必要があるため、出張が重なることも少なくありません。
また、イベントや季節ごとの商品入れ替え前の繁忙期には、夜遅くまで仕事をしなければならない時もあります。そのため、健康でタフな人向けの仕事といえるでしょう。
そういった商品を見つけて世に出すことは、バイヤーにとっても大きなメリットになりますし、消費者にとっても高品質な商品を手に入れることができるというメリットがあります。また、生産者からも感謝されるということで、非常にやりがいがあります。
バイヤーは、現在のトレンドを把握するだけでなく、次のトレンドを見据えた買い付けを行う必要があります。バイヤーとして働くということは、その業界のトレンドの最先端に身を置くということです。
バイヤーは自分の好きな業界のトレンドを把握することができ、時には自分でトレンドを作り出すこともできます。特定の業界に強い情熱や興味を持っている人にとっては、とても魅力的な仕事です。
例えば、多くのサラリーマンは、頑張った結果が見えにくいため、モチベーションを維持するのが難しいと感じています。
バイヤーの仕事のように、結果が目に見えやすいということは、モチベーションの向上につながり、修正すべき点も見えやすくなるというメリットがあります。
アシスタントバイヤーは、その名の通り、メインバイヤーの補佐役です。書類作成や分析、スケジュール管理など、必要な業務を、バイヤーのサポートをしながら仕事を覚えていきます。顧客との商談に参加することも多いので、交渉力も身につきます。
販売員は、未経験からバイヤーを目指す方におすすめです。どの業界でも、バイヤーになるには、まず販売員としての経験が必要になります。未経験でバイヤーになりたい場合は、営業マンからスタートして、バイヤーに転職するのが一般的なルートです。
場合によっては、キャリアアップの道として募集要項に書かれていることもありますので、よく読んでみてください。また、面接時にはバイヤーになりたいことを伝えておくとよいでしょう。
バイヤーは小売業には欠かせない存在で、主にスーパーやホームセンターなどの業種で活躍しています。バイヤーの活躍の場として人気が高いのが、百貨店です。
バイヤーは、百貨店に陳列する商品を選び、購入します。百貨店では食料品、衣料品、雑貨など多くの商品を扱っているため、バイヤーはいくつかのセクションに分かれているのが一般的です。
アパレルの場合は、「衣料品のバイヤー」「靴のバイヤー」「バッグや革小物のバイヤー」と担当が細分化されていることもあります。
以前は、コスト削減のために本社や本店のバイヤーが一括して仕入れを行っていましたが、最近では各店舗にバイヤーを配置して、現地のニーズを重視する店舗が増えています。
また、現地のメーカーとの共同商品開発やイベントを開催するケースもあり、商品企画力も求められます。アパレルの分野では、雑誌に登場するような華やかなイメージのカリスマバイヤーがいて、特に女性からの人気が高いです。
最近では、実店舗を持たないECサイトにもバイヤーがいる場合があります。自社や取り扱いブランドのイメージを損なわないような商品を選ぶ必要があります。
また、食品や家電に比べて、バイヤーはトレンドに左右されやすいので、これから何が流行るのかを見極める力が求められます。
個人店や小規模な店舗でバイヤーとして働く場合は、一人のスタッフが買い付けと接客・販売の両方を担当することが多いです。また、量販店では扱う商品が多岐にわたるため、バイヤーには豊富な商品知識が求められます。