転職活動がうまくいき、内定をもらったものの、上司にどのように退職を伝えればいいのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、おすすめの退職報告の仕方、退職報告の順序や、上司に退職を申し出る際の注意点などをご紹介します。スムーズで円満な退職をするためにも、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
円満に退職するためには、会社の事情に配慮することが大切です。上司や会社とよく話し合い、お互いに納得して退職することが、気持ちよく転職活動をスタートさせるために必要です。ここでは、退職を申し出る際に避けるべきタイミングについて解説します。
民法では、期間の定めのない雇用契約は、解約の申し入れから2週間で終了するとされています。しかし、2週間前に退職の意思表示をするのはあまりに唐突といわれても仕方ないでしょう。
引き継ぎや手続きにかかる時間を考慮した上で、遅くとも1ヶ月前を目安に申し出てください。また、退職前には必ず社内規定を確認し、時間に余裕を持って行動しましょう。
会社にとって社員が辞めるのは、繁忙期やプロジェクトがピークに達したときが一番困るとされています。ある程度会社の仕事の進捗具合を見ながら周りの様子もうかがい、できる限り仕事の忙しくないタイミングに動くのが賢明でしょう。そうすることで、退職交渉もスムーズに受け入れてもらいやすくなります。
それでは次に、退職を伝える際の具体的な相手や適切な時期や場所、退職願の提出方法など、基本的なステップを見ていきましょう。
退職の申し出は、まず直属の上司に行います。直属の上司に伝えないまま、人事部や課長、部長など、会社の上の人に伝えるのは得策ではありません。
会社という組織では、報告する順番が非常に重要だからです。「どうせ辞めるんだから」と組織のルールを無視してしまうと、上司の面目をつぶすことになりかねません。
また、親しい同僚といえども先に伝えることはせず、上司の了解を得て、時期が来たら報告するようにしましょう。
上司と話をするためには、もちろん先にアポを取る必要があります。アポは、電話、メール、チャットツール、口頭などの方法で取ることができます。アポを取るときは、他の社員がいない場所を選ぶか、上司だけにメッセージを送るようにしましょう。
退職に関するアポを上司に取りたいときは、相談の仕方やタイミングに気をつけるようにしなければいけません。お互いに気持ちよく退職するために、気をつけなければならないポイントの1つです。
アポの内容は、「今後について」「退職について」などのワードは触れずに、普段通りのコミュニケーションを心がけましょう。メールで退職の意思を伝えるのはマナー違反です。なかなか話しにくい話題ではありますが、勇気を出して直接話してみましょう。
退職の意思表示は、周囲に人がいない会議室で行うのがマナーです。上司に「ちょっといいですか?」と声をかけ、個室に呼び出すようにして下さい。このとき、「今後のことについて相談したいのですが」など、退職を示唆するようなことは言わないようにしましょう。
上司が忙しそうで時間がとれない場合や、在宅勤務でなかなか話ができない場合は、「今週中に数分お時間をいただけないでしょうか」とアポを取ることもできます。直接会って話すのが難しい場合は、メールでアポを取ることも可能です。
相談するタイミングは、昼休みや終業後など、周りに人がいないときが理想的です。職場によっては、勤務時間中に仕事以外のことを話すのは好ましくないと考えるところもあるので、上司からの指定がない限り、勤務時間外の時間を選ぶようにしましょう。
事前にアポをとっていても、相手と話したり、メールを送ったり、実際に相談するのは就業時間外が無難です。
退職のポイントをまとめた動画です。退職を切り出すタイミング、伝える相手は誰か、またどうやって切り出すのがスマートなどのポイントを解説しています。ぜひ確認してみましょう。
社会人として、退職の意思を表明する際には、守るべきマナーがあります。以下、4つのポイントをご紹介します。1つ1つのポイントをよく思いに留めて、気持ちよく受け入れてもらえるようにしましょう。
「お忙しいスケジュールの中、急遽お時間をとっていただき申し訳ありません。突然なのですが、会社を退職させていただきたく、お時間を頂きました。」というように、会話を始めるとよいでしょう。
誰かが会社を辞めるとなると当然さまざまな方面に迷惑をかけることになる訳ですから、社会人としてのマナーは最後まで守ることで、円満に退職することができます。
退職後も同僚や上司と良い関係を保ちたいなら、間違っても会社を辞めるのは自分の権利とばかりに横柄な態度を取るのはやめましょう。
ほとんどの場合、退職の具体的な理由を聞かれるはずです。退職理由は、会社がコントロールできないような理由を述べ、給与やその他の待遇に対する不満は述べないようにしましょう。
待遇に不満があり、会社側が「じゃあ給料を上げるから」と止めようとすると、退職交渉は難航します。例えば、転職を理由に退職するのであれば、「以前から興味のあったことに挑戦したいと思い、転職を決意しました」というような言い方をすればよいでしょう。
一方、体調不良を理由に退職する場合は、「実はここ数ヶ月体調を崩しており、仕事を休んで療養したいと思い、退職を決意しました」と言うことができます。
また、退職理由だけでなく、「今月中に退職したい」など、おおよその退職日も伝えましょう。早い段階でおおよその日程を伝えておけば、引継ぎのスケジュールも立てやすく、上司もメンバーの配置換えがしやすくなります。
ただし、実際の退職日は上司と一緒に決める必要があるので、あくまでも相談ベースで伝えるようにしましょう。すでに退職の意思が固まっている場合は、「今月中に退職したいと考えていますが、具体的な日程は相談させてください」と上司に伝えてもよいでしょう。
上司に退職の意思を伝え、了承を得られたら、最後に感謝の言葉を述べましょう。直属の上司が誰であろうと、上司として部下を見守ってくれたはずですし、多少なりともお世話になったのは事実です。
たとえ嫌いな上司であっても、きちんと感謝の気持ちを伝えることが、円満退職につながるのです。ただし、最終的にはやはり会社を辞めなければならないので、短く、要点を絞って伝えるようにしましょう。
すでに退職の意思が強い場合は慰留を断るべきですが、退職するのであれば円満に行いたいものです。ここでは、円満に退職するための丁寧な慰留の断り方についてご紹介します。
まずは、退職の意思があることをはっきりと伝えましょう。上司の申し出をきっぱりと断るのは気が引けるかもしれません。しかし、少しでも渋るそぶりを見せると、上司は「引き止められる可能性がある」と思ってしまいます。
そうなると、退職日の確定や引継ぎに時間がかかり、転職先への入社に影響が出る可能性があります。すでに転職先が決まっている場合は、はっきりと伝えることが最も効果的です。
転職先が決まっていない場合でも、転職活動中であることや、転職に向けて資格取得の勉強をしていることなど、具体的に取り組んでいることをアピールするとよいでしょう。
また、転職の理由もポジティブに伝えた方が受け止めてもらいやすくなります。「今の職場ではできないスキルアップを転職先でしたい」「転職しないとできない仕事をしたい」など、前向きな理由を伝えましょう。
実際の理由が今の職場への不満であったとしても、それを正直に話してしまうと円満退職は望めません。また、不満に思っていることを改善するように提案される場合もあります。
会社に不満があり、その理由が上司に不利にならないものであれば、会社や上司との関係を悪化させることは避けられるでしょう。
「仕事を辞めたい」と伝えると、よく「転職先はもう決まったの?」と聞かれることがあります。特に競合他社への転職の場合、現在の会社の機密情報や知的財産が流出することを最も懸念しているはずです。
転職先を伝えるかどうかは自分次第ですが、円満退職を望むのであれば、何も言わない方が無難でしょう。転職先に伝えた方が良いと思う場合でも、退職願が受理されるまでは伝えない方が賢明といえます。
理由としては、交渉の際に転職先のネガティブな情報を求められたり、取引先がいる場合は転職先の話をしないように圧力をかけられる可能性があるので、退職願が受理されるまでは言わない方が良いでしょう。
もし聞かれた場合は、「○○業界です」というように大まかな情報を答えるようにします。法的にも常識的にも、詳細な点まで伝える必要はありません。
もちろん、社会人としてのルールやマナーは守るべきですが、不安を煽らないよう心がけ、噂が広がらないよう退職の準備をしましょう。
あっさり「そうなんだ」と退職を受け入れてくれることもありますが、その場合は、スムーズに辞められることを感謝して次の職場に気持ちを切り替えていきましょう。
ちょっとは引き留めてくれることを期待する気持ちがあるのは当然ですが、こちらの意思が固いことを感じ取れば、あえて引き留めない方がいいと判断する上司もいるかもしれません。
それに、もし今の職場であまり良い働きができていなかったとしたら、次の職場で努力すれば良い話です。引き留めてもらえなかったことをくよくよと考えるのは辞めましょう。
会社を辞めるということは、自分1人の問題ではありません。周りにいる人たちに少なからずとも影響を与えることになるでしょう。身近な同僚や家族には特に、退職の決意を理解してもらう必要があります。ここでは、同僚や家族への声のかけ方について取り上げます。
家族の場合は、転職が決まる前に連絡するのがベストです。配偶者には、転職前から伝えておくとよいでしょう。
転職によって収入や安定性が低下することを、配偶者が納得する可能性は低いといえます。そのため、転職活動を始める前に、自分の価値観を配偶者と共有しておく必要があります。そうすれば、いざ転職を決意したとき、配偶者は応援してくれるはずです。
また、親への報告も忘れずに行ってください。ほとんどの場合、事後報告でも親は応援してくれることが多いですが、心配なら転職活動を始める前に、自分の価値観を伝えておきましょう。
しかし、ここで一番ネックになるのは、配偶者の両親です。配偶者のご両親は、自分の子供や孫の幸せを一番に考えているので、収入や安定性から転職に反対する可能性が高いといえます。
そのため、対策として、上記のように、事前に配偶者の同意を得るとともに、ご両親の支持を得る必要があります。では、配偶者や両親などの家族が反対している場合はどうすればいいのでしょうか?
事前に伝えたとしても、転職先の安定性や年収が低ければ、家族全員が反対するケースも少なくありません。転職先の成長性を伝えても、心に響かない場合もあります。そのような場合、最も効果的なのはタイムリミットを設けることです。
例えば、「30歳までは今の会社で何とかがんばってみるけど、それでも無理だったら辞める」「年末まで様子を見て見るつもりだけど、もし可能性がないようなら辞めざるを得ない」のように言えます。
期限を設けることで、熱意が伝わりやすくなりますし、自分や家族の将来を真剣に考えて決断していることを示すことができます。
最終的な承認を得るまでは、同僚に話をしないようにしましょう。好ましくない噂が広がったり、転職の理由が本心と異なったりすると、自分にとっても会社にとっても良いことはありません。
同僚と思わぬトラブルになったり、会社の悪口を言ったと誤解されたりするのは避けたいものです。原則として、同僚の了承を得る前に伝えることは避けるべきと心得ましょう。
とはいえ、同期や長年机を並べて仕事をしてきたメンバーなど、就職活動のことを相談したい同僚もいるかもしれません。この場合、やみくもに多くの人に伝えるのではなく、必要最小限にとどめましょう。
同僚に伝える場合、転職先の会社名や転職の理由などを伝える必要はありません。どうしても伝えたい場合のみ、会社の悪口を言わないように気をつけながら、謙虚に伝えましょう。
退職の意思を伝える際に引き止められると、退職交渉が長引く可能性があります。しかし、これまでの自分の働きが認められたと前向きに捉え、感謝の気持ちをもって対応しましょう。円満に退職するためには、会社の事情に配慮することが大切です。上司や会社とよく話し合い、お互いに納得して退職することが、気持ちよく転職活動をスタートさせるために必要です。