スナップリングプライヤーは、固定用スナップリングの着脱に使用する専門工具です。
使用頻度の低い工具ですが、その専門性から他の工具では代用出来ないといった特徴があり、シャフト(軸)用と内径(穴)用の2種類に分類され、それぞに合わせたスナップリングプライヤーが必要となります。
今回は、そんなスナップリングプライヤーの種類や使い方、おすすめ12選についてご紹介します。
目次
スナップリングプライヤーは、ベアリングの固定やシャフト軸の脱落防止のために設置されている「C型スナップリング」の着脱のために使用する専用工具です。簡単に種類と使い方についてご紹介します。
スナップリングプライヤーは、C型スナップリングの着脱をする際に使用する「専用工具」で、シャフト(軸)用と内径(穴)用の2種類と、両方の機能を備えた兼用タイプがあります。簡単に、違いをご紹介します。
シャフト(軸)用のスナップリングプライヤーは、シャフトなどの脱落防止や付属部品の固定のために設置されたスナップリングを着脱するためのプライヤーです。
ペンチやコンビネーションプライヤーなどは、「グリップを握ると先端部分が閉じる」ようになっていますが、シャフト用スナップリングは「グリップを握ると先端部分が開く」という、全く逆の構造になっています。
内径用(穴)用スナップリングは、べリングやギアをシャフトなどに固定するために設置されたスナップリングの着脱に使用されるプライヤーです。
先にご紹介したシャフト(軸)用とは異なり、ペンチなどと同じく「グリップを握ると先端部分が閉じる」構造になっています。
こちらは1本でシャフト用、内径用の両方の機能を備えたモデルで、先端部分が2つ付いているものと、先端部分を交換して使用するものに分けられます。
1:スナップリングプライヤーの先端の細くなっているピン部分を、C型スナップリングの先端にあるリングに差し込みます。
2:スナップリングプライヤーのグリップを握ると、シャフト用であれば先端部分が開き、内径用であれば先端部分が閉じ、C型スナップリングの締付けを緩めることが出来ます。
3:C型スナップリングを挟んだまま、設置場所から取外します。スナップリングは「ばね用鋼」で作られており、反発力が強いので、弾いてしまい落下、紛失する場合がありますので、注意が必要です。
スナップリングの取付け時は、上記の手順1~2は全く同じとなり、手順3のみC型スナップリングを固定用の溝に合わせて設置して終了となります。
次項から、おすすめのスナップリングプライヤーおすすめ12選をご紹介します。
大阪府東大阪市に本社を構える「フジ矢株式会社」は1923年創業の老舗ハンドツールメーカーで、主にペンチやプライヤーなどを製造、販売しています。
ご紹介する「スナップリングプライヤー FOS-185」は、グリップを握れば先端部分が開くシャフト用となります。
先端のクロー部分が交換可能で、別売りのカーブタイプなどを作業内容に合わせて使い分けをすることが出来るため、さまざまな状況に幅広く対応出来るのが最大の特徴です。また先端の直径は2.0mm、10~40mmのリング幅に使用することが出来ます。
さまざまな工具類を取り扱っているトラスコ中山からリリースされている「軸用 φ0.8 直爪51型」は、先端直径がΦ0.8mm、使用範囲は3~10mmと小さなC型スナップリング向けのシャフト用スナップリングプライヤーです。
本体全長は役160mm、重量は125gと軽量コンパクトで、腰袋に入れて気軽に持ち運ぶことが出来ます。
また先端のクロー部分は外側に向けて反った形状をしており、取外したC型スナップリングが落下し難いように工夫がされており、さらにハンドル部分も指の形状に合わせて窪みが施されており、使い勝手の良いモデルとなっています。
ドイツのヴッパータールに本社を構える「KNIPEX(クニペックス) 」は、歴史は古く1882年から創業を開始し、プライヤーやペンチなどのハンドツールを製造、販売している専門メーカーです。
ご紹介する「スナップリングプライヤー 4611A2」はシャフト用のスナップリングプライヤーで、ヘッド形状はストレートタイプで、先端直径が1.8mmとなり、19~60mmのリング幅に対応出来るモデルです。
素材にはクロムバナジウム鋼を採用し、油での焼き入れ処理を施すことで、高い強度と硬度を備えており、ハードに使っても破損することが殆どなく、長く愛用出来るのも特徴の一つです。
ハンドツールの専門メーカーであるKTC(京都機械工具)からリリースされている「スナップリングプライヤーSOP1715」は、シャフト用のスナップリングプライヤーです。
先端直径はΦ1.5mmで、対応可能なリング径は12~13mmと小型のC型スナップリングに対応しています。
別売りのカーブタイプや長さの異なるストレートタイプなどオプションパーツを購入することで、先端のクロー部分が取り換え可能なモデルとなり、狭い奥まった場所にあるリングや、ストレートタイプでは対応出来ない場所にあるリングの取り外しが可能で汎用性が高く、作業効率が高いことが特徴です。
次項から、内径用のスナップリングプライヤーをご紹介します。
フジ矢からリリースされている「スナップリングプライヤー FCS-185」は内径用のスナップリングプライヤーで、通常のペンチやプライヤー同様、グリップを握れば先端部分が閉じるようになっています。
全長は約183mm、重量は175gと軽量コンパクトに作られており、腰袋に入れて何処にでも持ち運びが出来るモデルです。
先端部分の直径は2.0mm、リング径の対応可能範囲は12~65mmとなり、加工機械などの駆動ベアリングや電源ケーブル固定用のC型スナップリングに対応するのに最適な大きさで、汎用性も高いのが特徴の一つです。
また先端のクロー部分が交換可能となっており、別売りのオプションパーツを使用することで、幅広い作業に対応することが出来ます。
KTC(京都機械工具)からリリースされている「スナップリングプライヤーSCP-172LL」は、内径用のC型スナップリングプライヤーで、先端部分が曲がっているカーブタイプとなります。
クロー部分の長さが約60mmと長いため、狭く奥まっている場所にあるリングなどストレートタイプでは対応出来ない場合に最適です。
先端部分の直径はΦ1.2mmと小さく、リングの対応可能範囲は10~11mmとなり、小型のリングの着脱が可能となっています。グリップ部分にはスプリングを内蔵しており、開閉が楽に出来るように工夫がされているのも特徴の一つです。
クニペックスからリリースされている「スナップリングプライヤー 4811J2」は、先端部分がストレートタイプの内径用スナップリングプライヤーです。
素材にクロームバナジウム鋼を採用し鍛造法で製造されているため、優れた耐久性と強度を備えており、ハードな使い方をしても破損することが少なく、またグレーの亜鉛合金メッキを施すことで、錆び難く長く愛用出来るモデルです。
先端直径はΦ1.8mm、対応可能リング径は19~60mmと使用範囲も幅広く、さまざまな機械メンテナンスに使用可能で、さらにグリップ部分にはプラスチックコーティングを施し、メンテ中にオイルやグリスが付着しても滑り難いため、作業をスムーズに行うことが出来るのも特徴の一つです。
ハンドツールをはじめ、各種工具類の販売を手掛けるストレートからもスナップリングプライヤーがリリースされています。
ご紹介する「スナップリングプライヤー 12-3600」は、ストレートタイプでは対応出来ない、狭くて奥まった部分にあるスナップリングの着脱に便利な内径用モデルです。
先端のクロー部分が90度に曲がっており、さらに有効長さが55mmと長いため、自動車やバイクのブレーキキャリパーのメンテナンスなどに最適で、先端直径はΦ1.3mm、対応可能なリングサイズは19~60mmとなっています。
次ページから、シャフト用、内径用の兼用タイプをご紹介します。
1 of 2 次へ