キッチンをリフォームする際、ステンレスのキッチンが良いとおっしゃる方も多いのではないでしょうか。ステンレスキッチンは耐久性に優れ、お手入れも簡単なので、忙しい主婦の方にもおすすめです。今回は、ステンレスキッチンのメリット・デメリットから大体の価格帯、失敗しない選び方まで紹介します。キッチンリフォームにお悩みの方は、ぜひご覧ください。
目次
ステンレスキッチンとは、キッチンのシンクやワークトップなどがステンレスでできているキッチンのことです。
日本のキッチンでは一般的に、シンクなどのワークトップにはステンレスが、キャビネットや扉には主に木が使われています。
木製品は大量に生産できるため、価格を抑えられるというメリットがありますが、もともと木は湿気に弱いため、必ずしもキッチンには最適な素材とは言えません。
より機能的なキッチンを求めるのであれば、オールステンレスのキッチンを検討してみてはいかがでしょうか。
オールステンレスキッチンとは、棚や扉などの部分も含めて全てをステンレス製にこだわった商品になります。
まずは、ステンレスキッチンを導入するメリットについてご紹介します。ステンレスキッチンにはスタイリッシュなデザインをはじめとして、さまざまなメリットがあります。
ステンレスの英語表記は「Stain less」で、「汚れ(サビ)が少ない」という意味合いがあります。また、その言葉の通り、ステンレスは錆びにくい性質を持っています。
ステンレスの表面には「不動態皮膜」という保護膜があるため、傷がついても瞬時に修復され、サビを防ぐことができるのです。
また、金属であるステンレスは、汚れや臭いが染み込まないため、さっと拭いて衛生的に使えるのがメリットの一つです。
汚れにくいことに加え、使用頻度の高い油や臭いが強めの調味料も安心して収納できます。木製のキャビネットと違い、長年使っても油汚れや臭いが定着しにくいので、お手入れするだけで新品のようにお使いいただけることでしょう。
毎日使うキッチンでは、熱いお湯や熱い油を使ったり、熱くて重い鍋を置いたりするので、劣化は意外と深刻です。
システムキッチンの老朽化によるトラブルは、シンクに穴が開いて水が漏れる、鍋の熱で変形する、天板が割れる、掃除しても元に戻らない表面の変色、システムキッチンの接合部に段差ができるなどです。
一方、ステンレスは熱や衝撃に強いため、耐久性に優れています。熱したフライパンを置いても割れませんし、重いものを落としても割れる心配がありません。
耐久性を考えて長く使えるシステムキッチンを選べば、本当に費用対効果の高いリフォームができます。
ステンレス素材は、他の素材にはないモダンな質感が魅力です。好みにもよりますが、モダンなデザインやスタイリッシュな見た目にこだわる方にはぴったりの素材と言えるでしょう。
また、キッチン自体が目を引き、インテリアの一部としてスタイリッシュな空間を演出できるのもステンレス製品の特徴です。他の部屋とは違う、オリジナリティあふれるLDK空間を目指している方におすすめです。
キッチンは油や水、火を使うので、特に汚れやすい場所です。たいていの家の構造では家族が食事を取るスペースとキッチンの距離が近いことが多いため、キッチンの汚れが家全体の臭いの元となりやすいという要素があります。
そうした点を考えると、シンク周りの臭いはもちろんのこと、調理スペースは常に全体を清潔に保つことが必要となってくるでしょう。
システムキッチンを選ぶ際には、お手入れのしやすさも重要なポイントになります。耐久性やメンテナンスのしやすさで知られるホーローシンクは、黄ばみやすいという欠点があります。
人工大理石も同様に黄ばみやすいので、色が移りやすい料理などには注意が必要です。ステンレスは表面が滑らかで内部に汚れが入り込みにくいため、油やカビで汚れても、ほとんどの汚れは家庭用中性洗剤とスポンジで簡単に落とすことができます。
また、目地のないステンレスのキッチンは、さっと拭くだけで簡単に掃除ができるので、隙間に汚れがたまる心配がありません。
ステンレス製はメリットも多いのですが、デメリットもあります。事前に知っておくことで対策につながりますので、ひとつひとつ押さえておきましょう。
まず一番に取り上げたい点として、深い傷や鋭利なものによるへこみが目立ちやすいというデメリットがあります。
レストランの厨房などでは、傷やへこみが味になるケースもありますが、最初はむしろ気になるかもしれません。その対策として、傷がつきにくいステンレスを選ぶことをおすすめします。
ワークトップやシンクのステンレス表面には、主に物を落としたときにできるキズやへこみがあります。
最近では、傷が目立ちにくいエンボス加工のステンレス製品もありますので、傷が気になる方はそういった製品を検討するとよいでしょう。また、ワークトップのみ人工大理石を選ぶという選択肢もあります。
ステンレスは基本的に錆びにくい素材です。しかし、他の調理器具の錆や、薬品による劣化で錆が発生することがあります。濡れたスチール缶や鍋の底が錆びたまま放置しておくと、錆の原因になるので注意しましょう。
錆を見つけたらすぐに対処することが一番の予防策です。ステンレスのサビは、最初は小さくても時間が経つにつれて広がっていきます。そのため、錆を見つけたらすぐに対処することが大切です。
ステンレスの最初のサビは、専用のクリーナーや市販のサビ取り剤で比較的簡単に落とすことができます。
普段の拭き掃除や掃除の際に、サビを見つけたらすぐに対処できるように、こうしたサビ取り剤を用意しておくとよいでしょう。
水垢とは、ステンレスの表面にできる白い汚れのことです。厳密には水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラルで、ステンレスに水滴が付着すると、水だけが蒸発してステンレスの表面にはミネラルだけが残ります。
カビや汚れではないので人体には無害ですが、放っておくと除去が困難になります。水垢の対処法としては、こまめに拭いて水滴が残らないようにすることが最も重要です。水垢ができても、初期であればスポンジの研磨剤や酸性洗剤で簡単に落とせます。
ステンレスキッチンはインターネットで簡単に注文できるようになりましたが、本体価格しか表示されていないサイトも少なくありません。
リフォームには工事費も加算されるため、本体価格だけで判断すると予算をオーバーしてしまう可能性があります。ここでは、工事費込みの価格についてご紹介します。
ステンレスキッチンの相場は、メーカーやデザイン、サイズなどによって異なるため一概には言えませんが、「本体+工事費+消費税」で40万円~200万円程度です。
例えば、コンパクトなI型商品「コルティ」は、従来の奥行きが600mmなので、マンションやアパートなどの限られたスペースにぴったりフィットし、十分な通路と作業スペースが確保できます。
また、仕切りのないハイキャビネットと使い勝手の良い引き出しにより、使い勝手が良く、キッチングッズをすっきりと収納することができます。工事費込みで総額約42万円です。
ワークトップのみがステンレス製の商品が一般的ですが、ここでは収納やキャビネット部分もステンレスにした「オールステンレスキッチン」を紹介します。
オールステンレスキッチンへのリフォームの価格帯は、約60万円~250万円となっています。商品の値段や設置費用の違いなどにより価格帯は広いですが、コンパクトなキッチンや低価格帯のモデルを選べば、さらに予算を抑えられる可能性があります。
設備や素材はもちろん、インテリアや食器棚などにもこだわりたい場合は、300万円以上かかる場合もあります。
ステンレスフレームキッチンは、その名の通りフレームのみのキッチンです。シンクと脚のついた天板だけがあり、それ以外の部分は空洞になっています。
ステンレスフレームキッチンのみの相場は30万円程度です。水回り設備は含まれていますが、引き出しやコンロなどを追加する場合は、すべて別売りのオプションとなります。
そのため、予算に応じて必要最低限のオプションをつけることで価格を調整することができます。また、オプションパーツを自分で取り付けることで、コストを下げることも可能です。
メリットとデメリットが理解できたものの、結局どの商品を選べばいいのか悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、家の雰囲気に合い、予算内でステンレスキッチンを選ぶための3つのポイントをご紹介します。
キッチンには様々なスタイルがあり、それぞれ設置に必要なスペースが異なります。無理に大きなシステムキッチンを設置すると、冷蔵庫などの家電がうまく設置できず、せっかくリフォームでお金をかけたのに、以前より家事がしにくくなることもあります。
そのようなわけで、それぞれの商品の短所や長所を考えるだけでなく、設置スペースとのバランスを理解した上で選択するようにしましょう。
あとは、実際に自分のキッチンに設置できるかどうか、リフォーム会社に相談して確認する必要があります。主な種類として、I型、II型、L型があります。
I型は、コンロとシンクが一直線に並んでいるタイプのキッチンです。システムキッチンの中で最もシンプルなタイプで、限られたスペースでも簡単に設置できるため、最も人気があります。
II型キッチンは、コンロとシンクが並列に独立しているタイプです。作業スペースが2つに分かれているため、夫婦や友人同士で料理を楽しむことができます。家電や冷蔵庫を使いやすく配置できる利点がありますが、狭いキッチンでは設置が難しいです。
L型キッチンは、コンロとシンクが90度に配置されたシステムキッチンです。II型と同じく複数人で作業しやすく、見た目もスタイリッシュなので、キッチンリフォームの際に従来のI型からL型に変更される方が多いです。
コーナーが使いにくいのが難点ですが、収納グッズをうまく使えば、キッチングッズをすっきり収納することができます。
ステンレスには種類があり、それによって価格も変わってきます。基本的にキッチンで使われるステンレスは、安価な「SUS430」と高価な「SUS304」の2種類に分けられます。
SUS430はクロムの含有量が約13%で、一般家庭の厨房で使用されています。一方、SUS304は、約18%のクロムに加え、約8%のニッケルを含んでいます。
SUS304はSUS430に比べて耐食性、耐熱性に優れており、主に飲食店などの業務用として使用されています。
SUS430は磁石がつくタイプで、SUS304は磁石がつかないタイプという違いはあるものの、一般家庭では安価なSUS430でも日常的な使用に問題はありません。
住まいのインテリアはバランスが大切です。好みにもよりますが、スタイリッシュでシャープなイメージのオールステンレスのキッチンは、和風の住宅には合いません。
キッチンがリビング・ダイニングと直結している間取りも多いので、リビング・ダイニングのインテリアとのバランスを考えてデザインを選ぶことが重要です。
和風の住宅でも、ステンレスのキッチンキャビネットの扉を木目調にすると、落ち着いた雰囲気になり、合わせやすくなります。
ステンレスキッチンは、ホームセンターにサンプルとして展示されていることが少ないため、メーカーに直接注文することがほとんどです。
リフォーム会社を通して注文する方法と、キッチンメーカーに直接注文する方法があり、メーカーが自宅まで来てサイズを測り、詳しい説明をしてくれます。こうしたオーダーメイド感覚は、既存のキッチンでは味わえない良さです。
ステンレス製のキッチンを購入したい場合は、専門の会社、特に業務用キッチンも扱っている会社を探しましょう。既製品の業務用厨房を購入すると、オーダーメイドよりも安く、場合によっては100万円以下で購入することも可能です。
また、キッチンメーカーによっては、インテリア性を重視した人工大理石のキッチンに力を入れているメーカーと、本格的なステンレスのキッチンに力を入れているメーカーに分かれます。
錆びにくさの研究に力を入れているメーカーもありますので、デザイン性や利便性など、使用目的に合わせてお買い求めいただくことをおすすめします。
以上、ステンレスキッチンのメリットと注意点を解説しました。ステンレスは、丈夫で美しく、お手入れも簡単な大人気の素材です。コストパフォーマンスが高く、丁寧に手入れをすれば長く使うことができます。
長く暮らす住まいには、清潔感や耐久性に優れ、個性的なデザインのステンレスキッチンがおすすめです。もちろん、既存のキッチンをそのまま交換するのもいいですが、せっかくならレイアウトも含めたトータルコーディネートを考えましょう。
料理のスタイルも年々変化しているので、現代にマッチしたレイアウトにすることで、より効率的に料理ができるようになります。