ハーブに天然の虫除け効果があることをご存じですか?お庭やベランダなどでハーブを育てたり、ドライハーブや虫除けスプレーにして取り入れることで、虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。市販の殺虫剤をなるべく使いたくないという方や小さなお子様やペットがいるご家庭におすすめと言えるでしょう。そこで今回は、虫除け効果の高いハーブと室内での活用方法をご紹介します。
植物は害虫などから身を守るために、害虫が苦手な味や香りのある分泌物を出して食べられるのを防いでいます。植物が出す分泌物を忌避物質(きひぶっしつ)といい、強い香りを出しているハーブは虫を寄せ付けにくくする忌避作用(きひさよう)があると言われています。
ハーブには蚊や蜂、アリ、ゴキブリなどの虫が嫌がる成分や香りが含まれていますが、殺虫する効果はなく、あくまで虫除けです。普段の生活にハーブを取り入れて虫が近づくのを防ぎましょう。
ハーブはたくさんの種類があり、どの害虫に対して効果が期待できるのかも異なります。ご自宅に発生しやすい害虫に効果があるハーブから探すと効果的です。
【蚊・ハエ】
蚊やハエには「シネオール」が効果的です。シネオールはバジルやゼラニウム、レモンユーカリなどに含まれています。
【蜂・アブ・アリ・カメムシ】
蜂やアブ、アリ、カメムシには「メントール」が効果的です。メントールはペパーミントや二ホンハッカなどに含まれています。
【蛾】
蛾には「メントール」「カンファー」が効果的です。カンファーはローズマリーやゲットウなどに含まれています。
【ダニ・ノミ】
ダニやノミには「メントール」「カンファー」「シネオール」が効果的です。シネオールはレモンユーカリやゼラニウムに含まれており、カンファーはローズマリーなどに含まれています。
【ゴキブリ】
ゴキブリには「メントール」「チモール」が効果的です。チモールはタイムに含まれています。
ここからは虫除け効果が高いハーブとその特徴をご紹介します。ご家庭でも育てやすい種類が多く、見た目や香りは種類によってさまざまです。ぜひお気に入りのハーブを取り入れてみてください。
レモングラスはイネ科オガルカヤ属のハーブで、レモンのようなフレッシュな香りが特徴です。主要成分の「シトラール」や「シトロネラール」には防虫効果があり、蚊やゴキブリ、ダニ除け効果が期待できます。
爽快感のある香りを活かして虫除けスプレーを作るのがおすすめで、料理やハーブティーに使うこともできます。レモングラスは丈夫で育てやすく、鉢植え・地植えのどちらでも栽培できます。
ラベンダーはシソ科ラヴァンドラ属の植物で、紫色の小さな花を咲かせるのが特徴です。ラベンダーには「リナロール」という防虫成分が含まれており、蚊や蛾などを寄せ付けにくくする効果が期待できます。
ラベンダーは香りが良く、ドライフラワーや芳香剤、エッセンシャルオイルなどに用いられています。ハーブの代表とも言える知名度を持つラベンダーは花屋やホームセンターなどで購入できます。
レモンユーカリはフトモモ科ユーカリ属の植物で、甘くてさわやかなレモンのような香りがするのが特徴です。レモンユーカリには「シトロネラール」が豊富に含まれており、蚊やハエ、蜂、ダニなどの虫を寄せ付けにくくする効果が期待できます。
日当たりと水はけの良い場所を好むレモンユーカリは地植え・鉢植えのどちらでも栽培できます。葉を乾燥させてポプリにするのもおすすめです。
ペパーミントはシソ科ハッカ属のハーブで、強いハッカの香りが特徴です。ペパーミントに含まれる「メントール」に虫除け効果があり、蚊やハエ、アリをはじめ害虫全般が苦手とします。
数多くの種類があるミントの中でもペパーミントはハッカの成分が強いため、虫よけの効果が高いといわれています。ペパーミントは生命力が強く繁殖力が高いので、地植えにするとあっという間に広がります。そのため、移動しやすいように鉢植えにするのもおすすめです。さわやかな香りを活かして虫除けスプレーを作るのも良いでしょう。
ローズマリーはシソ科のハーブで、爽やかな香りと可愛い花を咲かせるのが特徴です。ローズマリーには「シネオール」「カンファー」などの忌避成分が含まれており、蚊やハエ、蛾、ダニ、ノミなどの虫除け効果が期待できます。
ローズマリーは比較的丈夫で、生長のスピードがが速い性質を持ちます。ベランダなどに置きたい場合は、ほふく性よりも上に伸びる立ち性の品種を鉢植えで取り入れるのがおすすめです。
ゼラニウムはフクロソウ科の植物で、可愛らしい花をつけるのが特徴です。ゼラニウムには「シトロネロール」「テルピネオール」という忌避物質が多く含まれており、蚊やハエなどを寄せ付けにくくする効果があります。
ゼラニウムは香りが良く、たくさんの品種があります。玄関先やベランダ、窓辺で育てると華やかになるのでおすすめです。
タイムはシソ科イブキジャコウソウ属のハーブで、さわやかな香りが特徴です。タイムには「リナロール」や「チモール」などの忌避成分が含まれており、蚊やハエ、ゴキブリ除けの効果が期待できます。
タイムは品種が多く丈夫で寒さにも強いので、地植え・鉢植えのどちらでも育てやすいです。ご家庭で栽培しておけば肉や魚などの料理に使うことができて便利です。
シトロネラはイネ科のハーブで、レモンのような爽やかな香りが特徴です。シトロネラには「シトラール」「シトロネラール」という成分が含まれており、蚊やゴキブリ、ダニなどの防虫効果が期待できます。
デオドラント作用もあるシトロネラですが葉の状態では強く香らないので、精油を用いて虫除けスプレーを作ると良いでしょう。生命力が強く庭木としても人気がありますが、寒さにやや弱いので鉢植えで取り入れるのもおすすめです。
タンジーはキク科のハーブで、日本ではヨモギギクと呼ばれています。タンジーを庭やベランダなどで栽培するとハエが近寄りにくくなると言われており、ノミやダニを防ぐ効果も期待できます。
強い香りを持つタンジーは古くから寄生虫駆除などの民間薬として用いられてきました。口に入っても安全なので、小さなお子様やペットのいるご家庭でも安心して栽培できます。
バジルはシソ科メボウキ属の植物で、イタリア料理に欠かせないハーブとしても知られています。バジルには「シネオール」という成分が含まれており、蚊よけに効果があります。
バジルは鉢ごと置いておくだけで虫除けになるため、日当たりの良い窓辺に置いて土が乾いたら水やりをしましょう。料理に使う場合はキッチンのカウンターなどに置けば、洗ってすぐに料理に使えるのはもちろん、室内の虫除けにも役立ちます。
ハーブの力を取り入れた虫除けといえばガーデニングを思い浮かべるかもしれませんが、室内でもできる虫除け方法があります。ここからは、室内でハーブの虫除けを取り入れる方法をご紹介していきます。
ハーブを乾燥させて束にして部屋に飾る方法は、インテリアとして取り入れながら虫除けできるのがメリットです。ドライハーブは花屋やインテリアショップなどでも購入できますが、ご家庭で栽培している場合は手作りするのもおすすめです。手順は以下の通りです。
【ドライハーブの作り方】
サシェ(匂い袋)にしたい場合は、乾燥させたハーブをお茶パックに詰めた後、巾着袋に入れたりハンカチなどで包んで完成です。クローゼットや玄関、ベッドサイドなどに置くのもおすすめです。
お庭やベランダ、窓際など植物を育てられる環境がある方には、防虫効果のあるハーブを組み合わせて作る寄せ植えがおすすめです。
単体でも問題ありませんが、ハーブは種類によって防げる害虫が異なるため、ハーブに虫がついてしまうことがあるのです。そんな時に寄せ植えであれば複数のハーブが足りないものを補い合うため、互いを害虫から守ることができます。
寄せ植えはバランス良く植物を配置することで見た目も良くなります。ローズマリーやゼラニウム、ラベンダーなどのハーブは初心者でも扱いやすくておすすめです。急激に大きくなりにくいハーブを選びましょう。
虫除けスプレーを作っておけば、外出時などにも手軽に虫除けができて便利です。自分で育てたハーブを利用して安心して使える虫除けスプレーを作ってみましょう。手順は以下の通りです。
【準備するもの】
【作り方】
ハーブの成分が含まれた精油やアロマキャンドルを取り入れて虫の侵入を防ぐのもひとつの方法です。好みの香りを選ぶのが一番ですが、はじめは香りが穏やかなのラベンダーやゼラニウムがおすすめです。
ハーブは刺激が香りが強いものが多いので、慣れるまでは少量ずつ使うようにしましょう。また、香りが苦手だと感じた場合は、使用を中止して他のハーブを試してみてください。
【精油の使用方法】
お好みの精油をディフューザーやアロマランプなどに3~4滴垂らし、お部屋に拡散します。香りの刺激が強いことが多いので、垂らし過ぎには注意しましょう。
【アロマキャンドルの使用方法】
手順は簡単であるものの、精油は引火性です。火が完全に消えているか確認してから精油を垂らしましょう。また、火の取り扱いには十分注意してください。
今回は、虫除け効果の高いハーブと室内での活用方法をご紹介しましたが、いかがでしたか。植物は害虫などから身を守るために、害虫が苦手な味や香りのある分泌物(忌避物質)を出して食べられるのを防いでいます。
お庭やベランダでハーブを育てたり、精油や防虫スプレーで取り入れることで虫を寄せ付けなくする効果が期待できますが、ハーブの忌避作用は殺虫するまでの効果はなく、あくまで虫を寄せ付けなくする効果になります。
記事の中では虫除け効果のあるハーブをご紹介しました。嫌いな虫に効果のあるハーブを普段の生活に取り入れてみてください。