工場で製品を生産し、市場に流通させるまでには、製造業務以外にも工場全体を管理することも求められます。そこで、生産管理を行う担当の社員がいることで、品質や効率も伴った製品を生み出すための仕組みを作り、管理することができます。ここでは、生産管理の仕事内容や、役立つ資格の取り方をご紹介します。また、生産管理オペレーション以外で役立つ資格についても見ていきましょう。
生産管理とは、ものづくりの生産活動全体に関わる仕事で、使用する原材料の発注、製品の開発や納期管理、製品の納入に至るまでさまざまな分野の管理が求められます。つまり、工場で行われる活動全般を管理することが仕事になります。
生産管理の業務には、大きく分けて「需要予測」、「生産計画」、「生産実施・生産統制」、そして「品質管理」の4つがあります。
生産管理を行う立場の方には、工場内で行われている事業内容を理解していることに加え、クリエイティブな発想力も求められます。
では、生産管理の仕事をする上でおすすめの資格である生産管理オペレーションについて見ていきましょう。生産管理オペレーションとはどういう資格なのでしょうか。
生産管理オペレーションとは、生産システムの運用業務に関する知識の検定です。2007年に厚労省傘下の協会により創設された民間の資格で、「ビジネス・キャリア検定」の一つとなっています。
この資格試験の対象は、主に生産システムの制御や運用に関係する業務に携わる方を対象としています。資格には3級と2級があり、3級は3年程度の実務経験を積んだ方、2級は5年程度の経験がある方でさらなるステップアップを目指す方が対象です。
生産管理オペレーションの資格があることで、物流、オペレーション、在庫など管理に関する総合的な知識の習得が可能になります。
生産管理オペレーションには、3級と2級の2つのレベルがあります。そして、1級は、プランニングとオペレーション業務を組み合わせた内容となっています。
受験のための資格ですが、3級も2級も特定の資格を必要としません。そのため、製造業で働く幅広い層の人が受験することのできる資格といえます。
試験は3級と2級のどちらを受けても構いませんが、試験の範囲や難易度は異なります。合格することが目的ですから、自分の実力に見合った等級を選ぶのがおすすめです。
3級の試験では、主に現場で働く際に理解しておくべき作業工程に関係する知識が中心になっています。主に係長やリーダーを目指したい方を対象にした資格と言えるでしょう。
レベルとしては、実務経験を3年以上は積み、現場での作業工程について把握していることが求められますし、上司からの指示やアドバイスを理解し、それに沿った行動ができることも不可欠です。
それに対して2級では、生産現場の管理職としての十分な知識やスキルが問われることになります。マネージャークラスの資格と言えるでしょう。
2級が目指すところは、工場のオペレーションに関する包括的で幅広い知識に加えて、現場の中心的存在として判断が求められる場面で頼れる人材となることです。
では、生産管理オペレーションの試験を受けるにはどうすればいいのでしょうか。資格を取得するメリットも併せて見ていきましょう。
生産管理オペレーションは、人材育成を促進するために法律に基づいて制定された正式な資格であり、政府が制定した職業能力評価の国家基準にも沿っているため、信頼性の高い資格と言えます。
製造業に従事している方にとって、この資格は今後のキャリアに有利に働くことが期待されます。また、製造業への就職・転職に興味を持っている方も、この資格を持っていると採用時に有利になることがあります。
どちらにしても、生産管理オペレーション業務の資格を取得することで、現場の仕事をより効率的に、また正確にこなす能力を身につけることができます。受験資格は不要ですので、興味があって迷っているならぜひ受験することをおすすめします。
3級も2級も試験の申し込みや受付期間は同じです。試験は、年2回行われます。2020年は、前期試験を10月の第1日曜日に、後期試験を2021年2月の第3日曜日に実施されます。
受験料は3級が6200円で、2級が7700円と少し差がありますが、これは2級の方が試験に出る範囲が広いことや、難易度が関係しています。
試験への出願期間は、前期試験では約3ヶ月間、後期試験では約2ヶ月となっています。インターネットで申し込むこともできますし、書店や学校に置いてある申し込み用紙に記入して送付することもできます。
3級と2級はどちらを受験しても大丈夫ですが、2級では内容がより専門的になりますので、製造業での経験を積んでいない方は3級からスタートして、徐々に経験を積みながら2級を目指す方がおすすめです。
試験形式は、3級が4択形式の40問(110分)、2級が5択形式の40問(110分)となっています。合格発表は試験日から約1ヶ月後に発表されます。
一方、生産管理オペレーション2級は、「作業・工程・設備管理」の受験者数が615名に対して合格率は31.7%、「購買・物流・在庫管理」の受験者数は418名に対して合格率は38.3%でした。
3級でも合格率は50%台ですので、決してみんなが受かる簡単な試験ではないことがわかります。
では、生産管理オペレーション以外で、他にも生産管理に役立つ資格はあるのでしょうか。以下に代表的な資格をご紹介します。
生産管理プランニングとは、生産管理業務に関する知識を問う資格試験です。この資格を得るための知識により、生産計画、コスト管理、納期管理といった、生産管理業務に求められる知識を理解する助けとなります。生産管理に携わりたいと思っている方にはぜひ取得していただきたい資格の1つです。
生産管理プランニングとは、生産管理業務に関する知識を問う資格試験です。この資格を得るための知識により、生産計画、コスト管理、納期管理といった、生産管理業務に求められる知識を理解する助けとなります。生産管理に携わりたいと思っている方にはぜひ取得していただきたい資格の1つです。
生産管理の知識を身につけるには、国家資格である中小企業診断士を取得するのが一番です。中小企業診断士は、中小企業の経営コンサルティングに従事する者にとって唯一の国家資格です。
中小企業診断士の資格があると、企業の経営、財務、生産管理、販売といった分野でコンサルティング業務を行うことができます。
権威のある資格でもあり、中小企業診断士というだけで一目置かれるほどです。働きながら中小企業診断士の資格取得を目指し、ステップアップにつなげる方も増えてきました。
定年後に再就職したい方、転職を考えている方、また社内での昇進を狙う方にも人気の資格で、キャリアアップを目指すなら大変有利な資格だといえます。
品質管理検定(QC検定)とは、日本規格協会が実施する品質管理(QC)に特化した民間検定です。
「品質管理」という業務は生産管理の分野で最も重要な分野の一つであり、品質管理検定をパスしていることで、相対的な評価もしてもらいやすくなります。
この資格には、1級から4級まで様々なレベルがあり、まだ学生の立場の方から実際に現場で品質管理に携わる方まで、幅広い層に対応した資格です。
また、品質管理検定は、年間10万人以上の受験者がいる人気の高い資格でもあります。そのようなわけで認知度の高さという面でも持っていて損はない資格といえます。
品質管理検定は対策用の参考書や問題集が多く出版されているので、勉強しやすいのもメリットの一つです。
今回は、生産管理の仕事内容、業務に携わる方へおすすめの資格と資格の取り方をご紹介しましたが、いかがでしたか。
生産管理の仕事自体に資格が求められる訳ではありませんが、生産管理に関わる幅広い知識を持っていることを証明できれば、今の職場だけでなく、将来のキャリアアップにも有利です。
生産管理の分野に興味があり、この分野で活躍したい方は、ぜひ代表的な資格を取得されることをおすすめします。