お風呂の排水溝やシャンプーボトルの底、石鹸箱、風呂桶などに付着しているドロっとした汚れが気になっている方は多いのではないでしょうか。実は、この汚れはロドトルラという酵母菌の繁殖で、一般的にピンク色のように見えます。放っておくと繁殖してしまい、掃除してもすぐにまた目立つようになります。当記事ではこの厄介なロドトルラの除去方法と予防法をご紹介します。
浴室の床や排水溝によく見られるピンク色の汚れは、カビの一種と思われがちですが、実はカビではありません。実はロドトルラという酵母菌の一種なのです。以下、詳しく見ていきましょう。
ロドトルラは一般的な空気中のカビで、湿った場所を好むため、浴室だけでなくキッチンやトイレなどでも繁殖することがあります。カビよりも繁殖速度が速いので、湿った場所に付着すると、たちまち広がってしまいます。
付着したときはまだ無色なので、繁殖しているかどうかわかりにくいのですが、3日ほど経つとピンク色が見えてきます。ロドトルラはカビの前段階の汚れといえるので、早めに除去することがカビ予防には重要です。
また、ロドトルラ自体は人体に無害とされていますが、放置して黒カビが繁殖すると、特に赤ちゃんなど免疫力の低い高齢者にとっては健康を害する可能性がある厄介な汚れです。そのため、早めに除去するようにしましょう。
ロドトルラは好きな環境が決まっています。その要素とは、水分、温度、栄養分です。ロドトルラは空気中に浮遊している酵母菌ですが、水分のある場所に付着すると、すぐに増殖を始める性質があるのです。
冷蔵庫の氷水タンクで増殖することもあります。ロドトルラは温度と栄養を必要とするが、何よりも湿気が大好きです。ロドトルラは、黒カビと同様、20℃~30℃の温度を好むと言われています。
そのため、梅雨から夏にかけて繁殖しやすくなります。また、入浴後は季節に関係なく温度が高いので、ロドトルラにとっては絶好の繁殖場所となってしまいます。
実はロドトルラは、水分さえあれば、あまり栄養がなくても繁殖できます。また、栄養分があるとロドトルラの繁殖が促進されてしまいます。
浴室内の栄養分となるのは、皮脂や石鹸カスです。シャンプーボトルの底にロドトルラがたくさんいるのは、石けんカスが豊富な栄養源だからです。
お風呂のピンクカビの正体がわかったところで、ロドトルラを撃退する掃除方法について見ていきましょう。カビと違ってピンクカビは簡単に落とせますが、除菌しないと再発しやすいので、掃除と除菌を同時に行うとよいでしょう。
使わなくなった歯ブラシやスポンジにバスマジックリンなどのお風呂用洗剤をつけ、ゴシゴシと洗うと落とすことができます。
また、バスマジックリン泡立てスプレーを塗って10分ほど放置すれば、ゴシゴシこすらなくても落とせます。汚れがピンクから黒に変色してしまうと落ちにくいので、早めに落とすとよいでしょう。
消毒用エタノールは薬局で手に入ります。エタノールはピンクカビに効果的です。ピンクカビ用のスプレーも販売されていますが、エタノールの原液を購入し、100均のスプレー容器に3分の1の水を入れて使用するとよいでしょう。
汚れにスプレーした後は、15分ほど放置してください。汚れが目立つ場合は、スプレーの上にキッチンペーパーをかぶせるとより効果的です。
浴室の壁、床のタイルの目地、浴槽のコーキング、玄関ドア周りなど、カビが生えやすい場所の掃除に使えます。
つけ置きした後は、必ず冷たいシャワーの水で洗い流してください。温水シャワーはカビが生える原因になるので厳禁です。
重曹を使ったピンクカビ退治は、台所にある重曹をそのまま使うだけなので、水に溶かすなどの面倒な準備は必要ありません。
まず、シャワーをかけて、赤カビの周辺を湿らせます。そして、重曹を粉のまま振りかけます。重曹の粉は、赤カビを少し覆う程度にしましょう。
次に、掃除用のスポンジを使って、重曹でピンクカビをこすり落とします。重曹のジャリジャリした動きで、きれいに落とすことができます。最後に、シャワーでよくすすいで完了です。
このように、「かける・こする・すすぐ」の3ステップでピンクカビはキレイになります。壁のカビは、スポンジに重曹をふりかけてからこすりましょう。また、少量の水に重曹を溶かしてペースト状にしたものを塗るのも効果的です。
アルコールスプレーが使えない場合は、お風呂のカビ掃除用の塩素系漂白剤でピンク色の汚れを落とすことも可能です。
前述の通り、ピンクカビはカビと同じ菌類のカテゴリーなので、モールドキラーなどの塩素系漂白剤で簡単に除去することができます。
ピンクカビに塩素系漂白剤をスプレーし、20分ほど放置した後、シャワーでよく洗い流します。ただし、塩素系漂白剤を使用する際は、必ず換気を行い、ゴーグルやゴム手袋で目や皮膚を保護してください。
塩素系漂白剤は酸素系洗剤と混ぜると有毒ガスが発生して大変危険なので、クエン酸やサンポールなどの酸性洗剤と混ぜずに、必ず塩素系漂白剤だけで使用するようにしましょう。
ピンクカビの洗浄と除菌が完璧にできれば、掃除は完了です。しかし、それで安心してしまうのはまだ早いでしょう。
ピンクカビはロドトルラやメチロバクテリウムなどの「菌」が原因なので、それらの菌が繁殖できる環境が残っていると、早い段階でピンク色のシミが発生する恐れがあるのです。そこで、予防となるいくつかのポイントを押さえておきましょう。
栄養源が豊富であることは、ピンクカビの繁殖に関係している可能性があります。ピンクカビの栄養源は、皮脂や石鹸カスなどの汚れです。
これらの汚れは普段からお風呂に存在しているため、赤カビが繁殖しても不思議ではありません。対策として有効なのは、ピンクカビの栄養源となる汚れを溜めないことです。こまめに掃除する習慣をつけるようにしましょう。
また、除菌効果のある浴室用中性洗剤は、日常の掃除にも使用できます。日常的に除菌をすることで、菌の繁殖を防ぐことができるので、毎日のお掃除に取り入れてみてください。
また、皮脂汚れも石鹸カスも、ある程度の汚れが蓄積されると目に見えるようになります。つまり、目に見えなくても汚れが付着している可能性があるのです。
使用したばかりの浴室であれば、汚れがこびりついていないため、簡単に落とすことができます。また、温度は高い方が汚れは落ちやすいので、その点でも掃除はしやすいでしょう。
シャワーでザッと流すだけで落とせる可能性が高いので、ぜひ習慣にしてみてはいかがでしょうか。ただし、お湯で汚れを落とす場合、室温(20℃~30℃)が原因となる菌が好む温度になっている可能性があります。
そのため、浴室を冷水で急激に冷やすようにしましょう。また、湿気も繁殖の要因となるため、洗い流した後は拭き取りを忘れずに行ってください。
カビと同様、お風呂のピンク汚れは高温多湿の環境を好みます。それを防ぐには、浴室を換気して温度を下げ、湿気を逃がすことが大切です。
窓のない浴室の場合、換気扇をつけることになりますが、電気代を気にされる方も多いと思いますが、つけっぱなしでも数百円程度しか電気代が増えません。できるだけ、浴室は常に換気して乾燥させておくことをおすすめします。
また、入浴後に水分を拭き取ることも効果的です。体を拭いた後にタオルで拭きながらでもいいですが、面倒な場合は専用のタオルを用意して、手早く水分を拭き取りましょう。
浴槽にお湯を張った際、浴槽に蓋をしないといつまでも浴槽の温度が下がらず、ピンクカビが好む環境になってしまいます。入浴後は、必ず浴槽にフタをしてから出るようにしましょう。
お風呂の最後に浴室全体を洗い流して、お風呂のお湯を有効活用する人もいますが、お風呂のお湯にはロドトルラのエサとなる皮脂が溶けているので、汚れが気になる人は、入浴後のお湯は使わないようにしましょう。
お風呂のピンクカビを掃除する方法と、予防法についてお伝えしましたが、いかがでしたか?ピンクカビの正体であるロドトルラは、いわゆるカビではないですが、カビが生えそうなところに先行して生えてきます。
ロドトルラを放置しておくと、すぐにカビが生えてくるので要注意です。また、ピンクカビは汚れが蓄積すると落ちにくくなります。そのため、日頃からお風呂を使った後の掃除を習慣づけるようにしましょう。