注目の小さい家「タイニーハウス」とは?間取りや価格まで詳しく解説!
持ち物が少なくても豊かな暮らしができるというミニマリスト的な暮らしの延長線上に、タイニーハウスという新しい家の形があります。タイニー(tiny)とは小さいという意味で、タイニーハウスとは小さな家となります。アメリカ発祥のこのタイニーハウスは、今日本でも注目を集め始めています。
この記事では、タイニーハウスとはどんなものなのか、そのメリットやデメリットを解説しつつ、実際に買うことのできるタイニーハウスの例を示して参ります。タイニーハウスを知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
小さい家「タイニーハウス」とは?
近年、よく耳にするようになったタイニーハウス、翻訳すると小さな家となります。日本で小さな家というと、多くの方が狭小住宅という言葉を思い浮かべる方が多いでしょう。両者とも明確な定義付けはありませんが、50㎡以下の小さな住宅を指す点で、定義上はほぼ同じと言えます。
日本での狭小住宅は、50㎡以下の土地に建てられる住宅のことを指し、多くは2階建て以上で建蔽率ギリギリに建てられた住宅が多く3人以上の家族が住むことも多いです。それに対しタイニーハウスは、日本でいう狭小住宅よりももっと小さな10〜20㎡ほどの家を指すことが多く、平屋であることも多いです。設備面でも必要最低限ギリギリの設備で、極限まで生活に不必要な無駄を切り落としたような住まいが多く、対応人数も1〜2人程度のものが多いです。
この両者はニュアンス的には違いがあり、狭小住宅では狭い土地でもできるだけ広く住まおうというような意識で建てられるものが多く、タイニーハウスの場合は、必要最低限の設備で狭く小さくシンプルに住まうことを楽しむといった、よりミニマル思考の強い住宅であることが多いです。
狭小住宅は従来型の住宅の小さい版といった感じですが、タイニーハウスはよりバラエティに富んでいます。コンテナやプレハブのような簡単な作りのものや、車で牽引して移動できるトレーラーハウス、キャンピングカーなども、タイニーハウスとして分類されます。小さな家を楽しもうという前向きでより自由な発想によって、まるでレジャー体験をしているかのような気軽で楽しい家が多いのが特徴です。
タイニーハウスのメリットとデメリット
タイニーハウスのメリット・デメリットを解説しながら、従来の住宅との利害やそのライフスタイルについて説明していきます。
タイニーハウスのメリット
タイニーハウスは初期費用が低く抑えられるというメリットがあります。従来の住宅に比べ建築価格が低く、初期費用が抑えられる点が大きなメリットです。キャッシュで購入できることも多い価格帯なので、ローンを組まなくても良いことも多いです。また、非常にコンパクトな空間なので、暮らしていくのに最低限必要な家具や家電のみを厳選して置くことになります。たくさんの家具や家電を置く余白が少ない分、無駄なものが家の面積を占めることはありません。生活するのに必要な最低限のものだけで、シンプルにミニマルに住まうための最適な住宅と言えます。
また、詳しくは後述しますが、コンパクト故に移動のできるタイニーハウスもあります。日本で建つ従来の住宅は移動することを前提に建てられていないため移動はできませんが、タイニーハウスの中には移動することを前提に作られたものもあります。タイニーハウスに住む方の中には、ひと所に定住するのではなく家も一緒に移動しながら暮らすという新しいライフスタイルを選択する方もいます。タイニーハウスは多様化するライフスタイルに適応する新しい家の形を提案しています。
タイニーハウスのデメリット
タイニーハウスのデメリットは、無駄な余白がない分元々住んでいる人以外の人数の増加に対応はできません。子どもが産まれるなどで家族が増える可能性のある方は、その時を想定しておきましょう。また、同様に来客を招くスペースを捻出できないこともあります。タイニーハウスで生活することになっても来客を招きたい場合は、来客時にスペースを作れるように考えておきましょう。来客時にスペースを作るために折りたたみの家具をしまうなどの工夫をされている方もいます。限られたスペースを有効に活用する工夫は考えておく必要はあるでしょう。
また、非常にコンパクトなスペース故に、個々のプライバシーを確保するのは難しい場合も多いです。このような面も従来型の住宅とは大きく違う点です。どのように暮らしていくのかを十分想定し検討し、住んだ後の公開がないように準備しましょう。
タイニーハウスの種類
タイニーハウスにはいくつかの種類があります。ここでは、その種類についてご紹介し、その特徴を解説していきます。
種類①スモールハウス・プレハブ住宅
スモールハウスは従来型の住宅と同様に基礎や土台から作り、間取りや設備を最小限のものにしたコンパクトな住宅のことを言います。これまではファミリーで住むには難しいとされてきましたが、様々なメーカーがファミリーでも住めるスモールハウスを開発・販売しており、ものを少なく持ちシンプルでコンパクトな暮らしを選択すつファミリーも増えています。機能性だけでなく、デザイン性も高いおしゃれなモデルも多く販売されています。
プレハブ住宅は、工場の段階でできる限り加工や組み立てを行い、実際に現地で建てる段階では極力作業を少なくするプレハブ工法で作られた住宅をさします。そのため、工期が非常に短く、数日から数週間で完了するものもあります。作り方を選べば、設置した後で移設することも可能です。海外ではおしゃれで自分でも組み立て・カスタマイズの可能なユニット型のプレハブ住宅も多数販売されています。
いずれの住宅もメインの住宅として住まう方もいれば、敷地内のセカンドハウスや趣味の住宅として活用される方もいます。カスタマイズもしやすいタイプなので、自分好みに作り上げていく楽しさもあります。
種類②トレーラーハウス・コンテナハウス
トレーラーハウスは住宅の下部に車輪がついており、車で牽引しての移動が可能な住宅を言います。おしゃれで移動可能ということで、日本では店舗用に購入する方も多いです。海外ではコンテナハウスもタイニーハウスのタイプとしてよく利用されています。日本は災害大国で建築基準法が諸外国に比べ厳格なため、日本ではコンテナタイプのタイニーハウスはまだ少ないですが、海外では貨物用のコンテナを自分でDIYして住宅用に利用することができる国もあります。海外ではより自由な発想で作られたおしゃれなコンテナハウスの例を見ることができます。
種類③キャンピングカー
キャンピングカーは、車で生活できるような居住スペースが設置された車です。日本でもキャンプやサーフィン、釣りなどアウトドアな趣味を持つ方や車が好きな方には人気のタイプで、メインの住居というよりは休日用のセカンドハウスとして活用する方も多いです。キャンピングカーのメリットは、どこでも自由に移動できることです。小回りが利く分全てがコンパクトで、設備やスペースには限りがあります。
タイニーハウスの建築メーカーやブランド
続いて、タイニーハウスを販売しているメーカーやブランドをご紹介していきます。皆さんが良く知っているハウスメーカーのタイニーハウスもありますので、参考にしてみてください。
タイニーハウス①無印良品の無印良品の小屋
シンプル・ミニマルなデザインの雑貨や家具で知られている無印良品も、「無印良品の小屋」というタイニーハウスを販売しています。無印良品らしい無駄を削ぎ落としたシンプルでミニマルなタイニーハウスです。シンプルながら従来の住宅と同じベタ基礎から作られたスモールハウスタイプのターニーハウスです。外壁には強度の高い日本の伝統技術である焼杉を採用したり、床はモルタルで仕上げ家主がDIYを楽しむ余白も残したり、シンプルながらこだわりの感じられる作りになっています。
無印良品では、この無印良品の小屋を活用して「二拠点居住」という新しいライフスタイルの提案も行なっています。その土地を知り交流を深めることで、単なる週末の旅の拠点から第二の生活の拠点へとシフトしていくきっかけとして、無印良品の小屋を活用してみるもの良いでしょう。
タイニーハウス②snow peakの住箱
キャンプ用品で有名なsnoupeakからもトレーラーハウスタイプのタイニーハウスが販売されています。建築に木材を多用し自然との調和を図る設計が特徴の隈研吾が設計を担当し、ほぼ全面がヒノキ合板で作られた箱のようなタイニーハウスです。シンプルで無駄な装飾がない分、自分の好みに合わせた内装にしやすく、使う人の使い方に委ねられている部分の大きな住宅です。サイトでは実際の使用例も掲載され、グランピング施設や店舗に活用されているなど幅広く自由な活用方法をみることができ、参考になります。
タイニーハウス③BESSのIMAGO
ログハウスを手がけてきたbessのログハウス型のタイニーハウスです。自然の中に拠点を作って、お休みに家族や仲間と楽しむといった楽しみ方を提案しています。マニュアル付きでセルフビルドにも対応したタイニーハウスで、自らタイニーハウスを作り上げることも可能です。ログハウスがお好きな方や、セルフビルドに興味のある方はぜひチェックしてみてください。
タイニーハウス④casa cago
casa cagoは、6畳を1つの単位として、それを組み合わせて作るという新しい発想の住宅です。建売の住宅によくある必要以上にある部屋や2階部分は、結局活用される頻度が少なく無駄になっているご家庭も多く見られるので本当に必要ではない。そこで、本当に必要な空間だけを選び取り、組み合わせるといったミニマリスト的な思考で生まれたのがこのcasa cagoです。
このcasa cagoをタイニーハウスとして利用することもできます。家の離れとして利用したり、趣味の小屋として利用したり、自然の中の拠点として使ってみたりと、タイニーハウスとしても活用できる住宅です。
タイニーハウスの間取りは?
必要最低限のもので生活するタイニーハウス。その間取りとはどんなものなのか、具体例をご紹介しながら解説していきます。
タイニーハウスの間取りや価格
タイニーハウスといっても極々小さなものから比較的大きなものまで選ぶことができます。まずは、タイニーハウス自分がしたいライフスタイルを確認し、そのライフスタイルで生活していくのに必要な設備やスペースを考えてみましょう。
タイニーハウスとして活用できるものは1坪ほどの極々小さなものもありますが、日本人に慣れ親しんだ6畳がおよそ10㎡、坪でいうと3坪程度になります。ひとまず3坪を1つの目安として考え、間取りを想定してみるのが良いでしょう。というのも、10㎡以下の建物については自治体への「確認申請」が不要な場合が多いため、申請に必要な費用と手間を省くことができるからです。
タイニーハウスの費用は住宅同様、設備や間取り等によりピンキリと言えますが、100万円台で販売されているものもあり、設備があまりない小屋タイプのものであれば100万円以下のものも多く販売されています。高くても1000万円以内で販売されているものばかりですので、一般の住宅に比べると安価に購入できる住宅です。
タイニーハウスの間取り実例
タイニーハウスの間取りの参考になる実例をご紹介していきます。夫婦2人で10坪のタイニーハウスに住まれている実例です。こちらはキッチンですが、タイトなスペースに必要なものだけがきちんと配置されているので、狭さを感じず使いやすさの方が際立つ空間です。
海外の例になりますが、キッチンやトイレなどの設備が一通り揃ったタイニーハウスの様子がよく分かります。一階にベッドルームとキッチン、リビング、トイレがあり、ロフトが部屋のサイドに2つある間取りです。一階部分の床面の長さは34feetsなので、約10mほどの長さの中にこれほどの設備やスペースが配置されている例となります。
この動画では、タイニーハウスフェスティバルというイベントを取材した動画です。店舗用、住居用のスモールハウスやキャンピングカーまで様々なタイプのタイニーハウスを見ることができるためイメージがわきやすいです。
固定資産税のかからない間取りのタイニーハウス
建築物には全て固定資産税がかかるかと言えば、そうではありません。例えば、物置には固定資産税はかかりません。固定資産税がかかるかどうかの基準は、土地への定着性で判断されます。つまり土地に定着した(固定した)資産であるかどうかで判断されるため、建物の場合基礎の上に建てられた建築物かどうかが判断基準となります。
タイニーハウスの場合は、基礎のあるスモールハウスと移動・移設のできるトレーラーハウス、コンテナハウスなどをご紹介しましたが、そのうち基礎のないものが固定資産税の対象外のタイニーハウスということになります。
ただし、災害の際の安全性の確保ということを考慮すると、基礎のないタイニーハウスの購入を考える際には十分検討しましょう。
モデルルームなどで実際の間取りを体験してみよう!
この記事ではタイニーハウスがどんなものなのかをご紹介して参りました。とはいえ、実際どのくらいのサイズ感なのかなどは体験してみるのが一番です。タイニーハウスに興味のある方は、イベントやモデルハウスなどで実際の大きさや設備などを見て体感して見ると良いでしょう。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。