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住宅ローンの変動金利は今後リスクが大きい?仕組みを徹底解説!

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注文住宅を建てようとしている時には、住宅ローンを使用する場合がほとんどです。全体の支払いに影響してくるのは当然金利なのですが、変動金利型はリスクが高くなってしまうとも言われています。今回は住宅ローンの変動金利型について、特徴やリスクを解説します。

住宅ローンの変動金利とは

住宅ローンと一口に言っても様々な種類が存在しており、各金融機関などで商品として展開されています。利用する側としてはローンを組む際に気になるのはやはり金利なのですが、その中に変動金利型というものがあります。

住宅ローンの変動金利の仕組み

変動金利というのは、名前の通り金利が融資を受け返済をしている最中に変動が起きるというものです。金利変動は半年に一度適用金利が見直されるものの、実際の返済額の利率に関しては5年に一度の見直しとなっています。

よって、変動自体が起こるのは変わりませんがすぐに変動が適用されるという訳ではありません。5年後の返済の金額は、その時点の元金残高、金利、残り返済期間を元にして再計算し算出が行われます。

見直しがされた後の返済額については適用される金利がたとえ大幅に上昇したとしても直前の返済額の最大1.25倍を上限とするというルールが定められています。よって、見直しがされ変動が適用されても大幅に返済額が増えるわけではありません。

住宅ローンの変動型金利の決まり方

実際の変動金利に適用される利率の基準になっているのは、金融機関が1年以内の融資を行う際の最優遇貸出金利である短期プライムレートを元としています。銀行が企業に対して融資をする際に、基準となる金利が短期プライムレートになります。

通常は銀行が企業に向けての融資を行う際、短期プライムレートをベースにして融資先企業の信用力に合わせて金利を上乗せしています。これは銀行のみならず、今回のような個人対象の住宅ローンの変動型でも用いられています。

更に短期プライムレートの指標となっているのはメガバンクが公表しているものになります。不動産担保ローンの場合には、融資先の信用力に加えて担保となる不動産の価値を基準に上乗せがされる状態となります。

住宅ローンの変動金利相場

続いては、実際の変動金利の相場がどの程度の利率になっているのかを見ていきましょう。ネット銀行、メガバンク、そして地銀それぞれの変動金利の平均は、2022年12月の数値で見ると以下の通りとなります。

  • ネット銀行:0.438%
  • メガバンク:0.442%
  • 地銀:0.666%

変動金利の中でも、ネット銀行とメガバンクに関しては利率が低めの傾向が見られており、逆に地銀に関しては割高になっているのが分かるでしょう。ネット銀行で住宅ローンを扱っているところは、auじぶん銀行・PayPay銀行などが代表的と言えます。

住宅ローンの変動金利を利用するメリット

住宅ローンの金利自体は、変動金利以外にも全期間固定金利や固定期間選択型などもあります。そんな中で変動型の金利を選択するのには、いくつかのメリットがあります。

メリット①金利が低めに設定されている

まず1つ目は、金利が低めに設定されている事にあります。全く同一の時点で別のタイプの金利と比較した場合、一般的には適用される金利が低くなっているケースがほとんどです。よって総支払額に占める利息の割合が少ないので、返済額を抑えることができます。

変動金利は短期プライムレートを基準にして利率が決定されるとご紹介していますが、国内における銀行預金などの利率は非常に低くなっています。プライムレートに関しても、2009年1月分と全く同じで変動が見られていません。

日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されているために、このような低金利状態が継続している状態となっています。よって、総じて国内の変動金利に適用される利率も低利が続いているという訳です。

メリット②金利が下がれば利息の支払額が減る

もう1つメリットとして挙げられるのが、金利が下がれば利息の支払い額も減るというものです。変動が5年おきに起きるのは間違いありませんが、もしそこで金利が変わらなければこれまでと同じ利率で支払えば済む話です。

金利が下がるような事があれば、その分返済額に占める利率が減少するということになりますので結果として返済額が減るということになります。よって、元から他よりも低金利である事も相まって総返済額を少なくできるという訳です。

先に述べている通り、金融市場では低金利状態が10年以上続いています。今後も国内の金利は低く抑えられた状態が続くと見込まれていますので、しばらくは短期プライムレートも低金利のままと予測されています。

住宅ローンの変動金利を利用するデメリット

金利が変動するという点がやはり大きな肝となっており、下がれば大きなメリットが生じます。しかしこの点は逆も然りと言え、金利が変わるからこそ生じるデメリットも存在しています。

デメリット①金利が上がって支払額が増える可能性がある

その1つ目が、やはりというべきか金利が上昇して支払額が増えるというリスクを孕んでいる事です。金利が変動することによって、下がった場合には利率が下がって支払額が減るというメリットが発生するのは間違いありません。

ですがこの点はリスクも抱えており、変動で利率が上昇すれば当然返済額も増えることとなります。一般的には5年のルールが設けられている変動金利型の商品の場合、その5年間は返済額が変わることはありません

よって期限経過後にもし金利が上昇するような事があれば、支払額が増えて負担になるというのが最も大きなデメリットとなっています。直前の返済額の最大1.25倍を上限とするルールはあるものの、逆に言えば最大で1.25倍に返済額が増える可能性があるとも言えます。

デメリット②利息の返済が増えて元金が減らなくなる可能性がある

利息が増える影響が出るのは、何も月々の返済額が増えるだけではありません。元金が減らないばかりではなく、利息まで払いきれないという事態も懸念されます。これまでにご紹介した通り、変動金利の上限は最大でも1.25倍までが上限にはなっています。

増える支払額に上限こそ存在してはいますが、これは債権者にとってのメリットではなくデメリットにもなっています。基本的に世の中で限度額を超えた利息を付ける訳にはいかないため、その分元金の返済額を減らす形で調整が行われます。

という事は、毎月の返済額の内利息の占める割合が増え、元金は一向に減らないといった事態が発生する可能性もあるという訳です。返済期間の終了が近づいているのにもかかわらず、元金が全く減っていないというケースもあります。

デメリット③返済期間終了時に未払利息が残る可能性がある

もう1つ、返済期間終了時に未払い利息が残る可能性も考えられます。実際に変動金利の住宅ローンで利息が大きく上昇すると、先に述べた通り最悪の場合毎月の返済額に占める利息の割合が非常に大きくなるケースも想定されます。

結果として利息ばかりが大きく膨れていき、支払いのすべての期間を終えても利息分の全額支払いができないという可能性まであります。あくまでも最悪の場合ではありますが、しかし決して可能性がゼロという訳でもありません。

住宅ローンには、返済期間の延長といった手段が設けられていませんので、残ったとしても月の返済延長は利きません。返済終了しても元金と未払い利息が残った場合、残っている残債を一括で支払うという事態もあり得ます。

住宅ローンの変動金利のリスク

返済をしている最中に金利が変わるという特徴を持っている以上、下がれば負担は減りますが上昇すれば負担が増えるというリスクを常に抱えているということになります。続いては、想定される変動金利のリスクを解説します。

リスク①変動金利が一気に上がる懸念

まず考えられるのは、変動金利ですので金利が一気に上昇するという懸念が常に付きまとう事です。実際に金利が一気に大きく上がるような事が起きれば、デメリットでもご紹介した通り返済額が増えて残債の一括払いという事態も想定されます。

現在の日本の金融経済を見てみると、日本銀行の金融緩和政策や金融機関等の金利優遇策などが広く影響している事もあって現状は金利が大きく変動するような事態は起きにくいと考えられています。実際、金利は10年以上低い状態のままで続いています。

しかし、これが10年後や20年後も同じと言い切る事は誰にもできません。実は金融機関の方から金利を上げる事はいつでも可能なのですが、他の金融機関に移り変わられる事態を避けるために上げていないというだけの話なのです。

仮に世界的な金融に関する影響が発生し、メガバンクも地銀も含めた金融機関が一斉に金利を上げるような事が起きたとするのならば、変動金利型の住宅ローンにおける利率が急に上昇することも想定できます。

リスク②金利の動きは予測不能

そして、金利の動きを予測することは非常に難しい話になっています。将来の金利の動きを正しく読むことができれば、変動金利をどのタイミングで利用するのが理想的なのかも分かります。

しかしそんなことができるのであれば金融に関して損をする人などいない筈ですので、不可能と言っても良いでしょう。よって結局のところは、ローンを利用する人が変動するリスクがあると踏まえた上でどれだけ対処できるかが重要となります。

現在変動金利型の住宅ローンは、全体のうち7割近くが選択されています。やはり低金利である事が最も大きな理由であり、0.5パーセントを下回るような金利のローンも少なくありません。

メリットの方が大きいケースとしては、経済的に余裕があって自己資金も多く、金利がたとえ上昇したとしても対応ができる人です。借入額がそこまで多く無かったり、借入期間を短めにする場合でも利点は大きいでしょう。

リスク③リスクを理解していない利用者が多い

固定金利型の住宅ローンを見てみると、金利は上昇傾向が見られています。審査が比較的通りやすく自営業者などでも利用しやすいフラット35の金利などを見ても、2022年1月を皮切りに月を追うごとに高くなっていっています。

固定金利の利率が月を追うごとに上昇を見せている一方で、変動金利型の利率に関しては動きが発生していない事も働いて現在の住宅ローンを新規で組む方の内7割以上が変動金利を選択しているという動きも見られています。

ですが、将来の金利上昇に伴う返済額増額への対応を質問として投げかけられた際、「理解しているか少し不安」「よく理解していない」「全く理解していない」と答えた方の総数は半数以上を占めているという調査もあります。

変動型の金利はまだしばらく低金利状態が続くと見られているために、思い切って変動型を利用する手も無い訳ではありませんが、リスクが存在している事自体を理解していない人が多いのも現状となっています。

住宅ローンの変動金利の利用が向いている人・向いていない人

金利水準によって支払額を抑えられるというメリットも存在している一方で、上昇した場合には利息分が増えるというリスクを抱えなければならないのもまた事実です。それらを踏まえた上で、変動金利型の住宅ローンが向いている人、そうでない人を考えてみましょう。

住宅ローンの変動金利の利用が向いている人

まず向いていると考えられるのは、例えば今後金利が下がるだろうと考える人が挙げられます。金利の動き自体に関しては誰も予知などできようもありませんが、下がる可能性があると考えているのならばその可能性に賭けて選んでも良いかもしれません。

もし金利が上昇したとしても、余剰資金があって十分に対応可能な方も向いているといえます。金利が上昇した時資金がギリギリだと返済が立ち行かなくなってしまいますが、仮に1.25倍の最大の上昇が発生したとしても問題が無い資金があるなら誰も困りません。

返済期間が少なく、借入期間も短い場合も同じく向いているケースと言えるでしょう。一般的に住宅ローンの返済期間は35年の最長期間で組みますが、長引けば変動リスクが生じる反面、短ければ金利上昇による影響も受けにくいです。

このほかにも、積極的な繰り上げ返済をしようと考えているのならそれも向いています。結果的に返済期間を短く出来ますので金利の変動影響を受けにくくなり、安いうちに借り入れて繰り上げ返済ができる余裕があるなら問題ないでしょう。

住宅ローンの変動金利の利用が向いていない人

逆に変動金利が向いていないといえるのは、例えば資金に余裕のない人が挙げられます。余剰資金があるならば金利が少々しても資金的に問題が無いものの、ギリギリでは返済もおぼつかなくなってしまいますので控えた方が良いです。

金利の動向を確認するのが面倒な人も避けた方が良いといえます。金利変動に敏感で管理をするのが得意と言えるならリスクにも対応できそうですが、そうでないのならば大きなリスクを抱えるのはあまり得策とは言えません。

住宅ローン変動金利の特徴を知っておこう

多くの人が選択しているのが判明している住宅ローンですが、メリットとデメリットに関してしっかりと理解したうえで選択するのが非常に重要となります。注文住宅を建てるなど予定しているなら、是非とも慎重に選んでください。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。