家具を自分でDIYで修理してみよう!古くなった家具を蘇らせる方法
古くなった・壊れた・傷んだ・不都合が生じたなどの家具は、捨てないでDIYで修理してみませんか?
DIYと聞くと、自分の手でいちからオリジナルの家具を作るイメージがありますが、修理・修繕・リフォームなどで不具合を直し、現状回復するのもDIYです。最近では、エコブームの影響で家具だけに限りませんが、できるだけ、壊れた・古くなっただけでモノを廃棄せずに、自分の手で修理して甦らせるという考え方が主流になってきました。
大量生産・大量消費・大量廃棄の経済システムが進展したことで大量のゴミが増え続け、焼却や埋め立てが追い付かない問題を、個人レベルから解決していこうという動きもあります。そのため、DIYで新しい作品を作るだけではなく、古い家具などは自分のDIYスキルで修理修繕して甦らせる方法が注目されているのです。
そこで、ここでは壊れたり古くなったりした家具をDIYで修理するメリットや基礎知識、素材別の基本的な修理方法などの情報を紹介します。
「新しい家具を買うのはもったいないから、自分で修理して甦らせたいな」などと考え中の人は、ぜひ参考にしてください。
目次
壊れた家具を自分で修理するメリット
古い家具や不具合が生じた家具をDIYで修理することは、いろいろなメリットが考えられます。
環境に配慮できる
家具を自分で修理して再生することで、壊れた家具を捨てる必要がなくなります。そうすると、地域の粗大ゴミを減らせる上に地球環境にも配慮できます。
SDGsの考え方である「持続可能な社会を作る」意識を持つことにもつながるでしょう。
自分にとって良いことがたくさんある
環境に配慮する以外にも、自分にとって良いメリットがたくさんあります。
- DIYで修理して再利用すること自体が節約になる
- 修理経験を積むことでDIYの知識が増える
- DIYの腕を磨ける
- 自分にとって本当に必要な工具が分かる
- 家族と一緒に作業すれば共通の趣味ができる
- 子どもにリサイクル・リユースの教育ができる
自分にとってのメリットは上記のようなものが挙げられます。
また、いきなり修理に取り掛かる前に、修理方法や必要な道具などをインターネットで調べる過程も楽しめるでしょう。
お気に入りの家具をさらに素敵なインテリアに昇華させることもできるかもしれません。修理の途中で色を塗ってみたり装飾品を付けてみたりなど、アイデアが湧いたらそれをすぐに実行できるのも、DIY修理ならではの醍醐味です。
修復完成後のイメージを固めるためにも、いろいろチェックしておくのがおすすめです。
家具をDIYで修理する時の基礎知識
「DIYで家具を修理」とはいっても、いろいろな方法があります。まずは基本的な知識を知っておきましょう。
一般的な家具の種類
ひとくちに「家具」といっても、種類・素材・構造などさまざま。以下が、い
- ダイニングの家具(テーブル・椅子・ダイニングボード(食器棚)など)
- リビングの家具(テーブル・ソファ・オットマン(足乗せ)パーソナルチェア・リビングボード・テレビ台・スタンドライトなど)
- 寝室の家具(ベッド・ナイトテーブル・ワードローブ・ドレッサー・衣類タンスなど)
- 子ども部屋や書斎(デスク・ライティングビューロー(収納棚が付いた書物机のこと)・椅子・子ども用ベッド・本棚など)
- キッチン(食器棚・ミニテーブル・収納棚・収納ワゴンなど)
家具のダメージの種類
家具がどんなダメージを受けているかについてもいろいろな種類があります。
- 家具自体の塗装が剥げている
- 傷が目立つ
- 釘やネジが抜けた
- 扉などの蝶番がガタついたり緩んだりしている
- 扉や引き出しの取っ手が緩んで取れた
- 引き出しがスムーズに開け閉めできない
- テーブルや椅子の脚がガタつく
- 椅子の座面の生地が汚れたり破けたりしてきた
- テーブルの天板の汚れ・変色・傷が目立つ
- 金属部分のサビが目立つ
よくあるダメージの種類としては上記が挙げられるでしょう。ダメージの種類に応じて適切な処置をするのが大切です。
ダメージの状態に合った修理をする
家具の種類やダメージの状態によって、ふさわしい修理状態は異なります。なんとなくカンやイメージで修理を進めてしまうと、逆にダメージを広げてしまい直せるものも直せない状態になってしまうと、粗大ゴミを増やしてしまうだけ。そうなっては逆効果です。
「DIYでの家具修理」に慣れている人ならいいのですが、慣れていない人、初めて挑戦する人などは、必要な基礎知識を仕入れてから始めましょう。必要な道具や安全対策について、しっかり確認してから作業を始めてください。
DIYに必要な道具と材料について
前述したように、ひとくちに家具といってもいろいろな素材がありダメージの具合も異なるために必要な道具も材料も異なります。
そこで、これからDIYで家具の修理から始めようと考えている人に、おすすめの基本的な道具を紹介しましょう。
持っておきたい基本的なDIYの道具としては、以下が挙げられます。
- 電動ドリルドライバー:ネジの締め付けや穴あけができる電動ドライバー。 ネジ締めが大変な家具の組み立てに役立ちます。 DIY初心者は、軽量で小型のモデルが使いやすいでしょう。
- ビットセット:電動ドリルドライバーに必須なのが先端工具=ビット。大きく分けると「ねじを締めるドライバービット」と「穴開けるドリルビット」があります。セットの付属以外にも、小さいねじ用の1番ビットもあると、フックなどのねじを締めたいときに便利です。
- のこぎりとのこぎりガイド:木材をカットするために必要です。のこぎりは、のこぎりガイドとセットで用意しましょう。まっすぐ垂直に切るのは結構難しく時間がかかるもの。ガイドがあれば作業も仕上がりも違ってきます。
- クランプ:作業中の固定や接着剤の固定などに使用する金具です。1人で作業するときにとても重宝します。
- コンベックス:スチールやステンレスなどの金属製テープでできている巻き尺(メジャー)です。正しくサイズを計ることはDIYの基本になります。
ほかにも、数種類のサイズ違いのドライバー・レンチ(ボルトやナットを回して締めつけを行う工具)・ニッパー・ペンチ・タッカー(布製品や革製品、薄い木材を固定する大きなホチキス)など、基本の工具が工具箱に入ったセットがあると便利です。
DIYをする際の安全対策と注意点について
DIYで家具の修理を行う人は、安全対策にも十分気を付けましょう。基本的な安全対策や注意点について紹介します。
常に整理整頓に気を配る
当たり前のことのようですが、安全にDIY作業を行うためには作業場の整理整頓が基本。
不要なものは捨てる、必要なものは分かりやすくケースに分類して入れるなど、作業しやすい状態に整えてください。乱雑な状態だと作業の効率が衰えたり床に落ちている工具などで転んだりして危険です。
作業台は安定させる
作業台がガタ付いていたり斜めになったりしていると危険です。作業台を安定させましょう。
それぞれの工具の使い方を先に把握しておく
使用する工具は取り扱い説明書を読んで、しっかり使用方法を把握してから使いましょう。使い方を把握することで、その工具の危険なポイントも分かります。
「保護アイテム」を用意する
軍手は厚みがあり手先で細かい作業ができません。電動ドリルや丸ノコなど電動工具を使用する際には危険です。
自分の手にピッタリするサイズ・薄手で表面に滑り止めがついた手袋がおすすめです。ただし細かい作業のときは素手のほうがやりやすいでしょう。
また、作業によっては木片などが飛んできたりすることも。電動工具は音がうるさいこともあるので、ゴーグルなどの保護メガネや耳栓を用意しておくと便利です。
長い髪は結んでおく
髪の長い人は垂らしたままでは、電動工具に巻き込まれる危険性もあります。後で結ぶ、帽子をかぶりその中に髪を全部収めるなどしてください。
木製家具の修理方法
一般的に家庭で使用する家具として一番多いのが木製家具でしょう。木製家具のダメージとしては、目立つ傷・凹み・接合部分のゆるみやぐらつき・塗装の剥がれなどが代表的なものです。
それぞれの修復方法を紹介しましょう。
傷や凹みの補修
たとえば、木材のテーブルなどは重い鍋や食器などをぶつけて凹みや傷ができることが多いものです。無垢材のオイル塗装製品などは、DIYで修復できる方法があります。(ウレタン塗装・ラッカー塗装の製品では塗膜を傷つける可能性があります)
凹みの補修
▪︎必要な材料
アイロン・アイロン作業のときの当て布・霧吹き・メンテナンスオイル・ウエス
▪︎補修の手順
- 凹み部分に霧吹きで水をかける
- 当て布を被せそれにも霧吹きで水をかける
- 「高」に設定したアイロンで2を20~30秒ほど軽く抑える(高温の蒸気に注意)
- 1回で凹みが戻らなければ、1〜3の作業を繰り返す
- ウエスにオイルをとり天板に塗布し10分程度放置
- ウエスで余分なオイルを拭き数時間~半日程度乾燥させる
傷の補修
▪︎必要な材料
サンドペーパー120番・240番・オスモカラ、リボス、えごま油などのオイル・ウエス
▪︎補修の手順
- サンドペーパーで全体を磨く(木目に沿って軽い力で磨くときれいに仕上がる)
- オイルをウエスに染み込ませて木目に沿って伸ばす
- 塗り終わった後は乾いたウエスで、余分なオイルを拭き取る
緩んだ接合部の修復
長期間使用し続けた木のテーブルや椅子は、接合部分が緩んでグラグラしてくることがあります。また、収納家具などの場合は、扉の蝶番のネジが緩んでくることもあるでしょう。
テーブルや椅子の緩んだ接合部分の修復
▪︎必要な材料
潤滑スプレー・広めのマットや毛布・スパナやドライバー
▪︎補修の手順
- 床に広めのマットや毛布を敷いて修復する家具をひっくり返して置く
- テーブルの脚と天板の接合部を確認する
- 潤滑スプレーを接合部にかける
- ボルトの場合はスパナ、ねじの場合はドライバーを使って接合部の緩んだ部分を締め直す
テーブルや椅子の緩んだ接合部分の修復
通常は、ドライバーで緩んだネジを締め直せば簡単に直ります。けれども、いくら締めても力がかからずネジが空回りしてしまう場合もあるでしょう。そんなときの修復方法があります。
▪︎必要な材料
つまようじ・接着剤・ドライバー・ハギレ
▪︎補修の手順
- 広がった穴を木工ボンドで埋める
- つまようじを差し込む(緩いときは2〜3本差し込む)
- 少し叩いて奥まで差し込む
- 穴からはみ出したボンドは、濡れたハギレで固まる前に拭き取る
- つまようじをカット(カッターで切り込みを入れてから折る)
- 穴の補修が終わったら千枚通しで穴を少し開け、最後にネジを入れて締め直す
塗装の剥がれた部分の修復
木製のテーブルは長年使用しているうちに天板の塗装が剥がれてきます。放置すると劣化が進んでしまうため、早めにDIYで修理しましょう。
塗装の剥がれの補修
▪︎必要な材料
木工補修用マニキュア・木工補修用傷隠しテープ
▪︎補修の手順(傷が小さい場合)
- テーブルの色に近い木工補修用マニキュア準備
- 剥がれた部分に塗る
- アルコールで拭き取り余分なマニキュアは取り除く
▪︎補修の手順(傷が広い場合)
- テーブルの色に近い木工補修用キズ隠しテープを準備
- 傷隠しテープを必要な幅と長さにカットする
- 傷にテープを当て空気が入らないように少しずつ貼る
布張り家具の修理方法
ソファや椅子など座面に布を貼った家具の場合、長年使用していると剥がれてきてしまいます。また薄い色の場合、飲み物や食べ物をこぼしてシミを付けてしまうこともあるでしょう。
そんな場合の修理方法は以下の通りです。
クリーニングによる修復
布製のソファや椅子の汚れが目立ってきた場合は、以下の方法でクリーニングします。
布製ソファ
▪︎必要な材料
掃除機・タオル2枚・中性洗剤重曹(適量)
▪︎クリーニングの手順
- 掃除機でソファや椅子の誇りを取る
- 座面全体に重曹を粉のまま振りかけ、数時間放置
- 掃除機で重曹を吸い取る
- 水に濡らしたタオルで拭いて仕上げる
合皮ソファ
▪︎必要な材料
洗濯用洗剤・タオル2枚・重曹・スプレーボトル・メラミンスポンジ
▪︎クリーニングの手順
- スプレーボトルに水100mlと小さじ1杯の重曹の粉を混ぜ重曹水を作る
- ソファの表面を乾拭きする
- 水で濡らし固く絞ったタオルに洗剤を少量つけソファ全体を拭く
- 落ちにくい汚れの上には重曹水を吹きかけメラミンスポンジで軽く汚れをこする
- ソファ全体を水拭きして洗剤と重曹を拭き取り乾燥する
本革ソファ
▪︎必要な材料
掃除機・タオル2枚・レザークリーナー・革用保護クリーム
※クリーム類は本革の素材にあったものを選ぶ
▪︎クリーニングの手順
- ソファに掃除機をかける
- ソファの表面をタオルで乾拭き
- 革用レザークリーナーをつけて汚れやシミを優しく拭き取る
- 革用保護クリームを全体に塗ってからタオルで乾拭き仕上げ
張り替えによる修復
ソファや椅子の形や大きさによって、DIYによる張り替えの難易度は異なります。手間・難易度・費用を考え、自分でやるか専門の業者にお願いするのか考えてください。
▪︎必要な材料
針・マチ針・系・鋏・タッカー・張り替え用の布
▪︎修復の手順
- ソファや椅子に張り替えしたい生地を被せる
- ずれないように要所要所マチ針で止め、生地を引っ張りつつ、できるだけ目立たない位置に縫い付けていく
- 縫い付けた場所をタッカーで固定する。タッカーはソファの裏側など目立たない場所で、適度な間隔をあけて止めていく(ソファや椅子をひっくり返して作業する)
また、サイズがあえば、市販の「椅子の張り替えキット」を利用するのもおすすめです。
簡単なリメイクによる修復
以下のような方法で、簡単にリメイクしてしまうのも一つの手です。
ヴィンテージのTシャツやトレーナーを利用
小さめの背もたれなしの椅子の座面の張り替えは、生地を用意しなくても「古着」を被せるのもおすすめ。背もたれがないので簡単です。
破れたり裂けたりしている座面の古い生地を外してください。
古着屋さんで着古した感じのアメカジ風のロゴTシャツやトレーナーなどヴィンテージ感のある服を入手し、座面にかぶせて裏で縫ったりタッカーで止めたりします。
もちろん、もう着ないけれどお気に入りでなかなか捨てられないTシャツなどを利用してもいいでしょう。
大きめのバンダナを利用
座面の小さい豆椅子やお子さん用の椅子なら、大きめのバンダナを利用してもいいでしょう。破れたり裂けたりしている座面の古い生地を外してください。
次に、好みのバンダナを被せて裏で縫ったりタッカーで止めたりしましょう。
金属製家具の修理方法
スタンドライト・オブジェ・スツール・テーブル・スチールラックの脚など、金属部分がある家具は、長年使用していくうちに塗装が剥げたりサビが目立ってきたりします。
また、最近人気の高いアイアン家具も「鉄」なので錆びやすいのが難点。ダメージが目立つ前にDIYで修復してください。
錆びの除去方法
金属家具のサビは、長年空気と触れ合うことによる酸化・ほかの金属製品からのもらいサビ・メッキが剥がれてしまい下の金属が露出したためなどが理由です。
サビの度合いによっても異なりますが、一般的には以下の3つの方法があります。
サビ取り消しゴムを使う
▪︎必要な材料
サビ取り消しゴム・防錆潤滑剤・ゴム手袋・スチールウール・やわらかい布
▪︎修復の手順
- 1.ゴム手袋を装着
- 2.サビ部分に防錆潤滑剤を吹きかけて、スチールウールで優しく磨く
- 3.サビが落ちたら布で磨く
クレンザーを使う
▪︎必要な材料
クレンザー・やわらかい布
▪︎修復の手順
- 雑巾にクレンザーを取り円を描くようにサビをこする
- サビが取れたら水拭き
- よく乾かす
歯ブラシを使う
▪︎必要な材料
歯磨き粉・歯ブラシ
▪︎修復の手順
- 歯ブラシに歯磨き粉を少し付けてでサビをこする
- 水でよく洗い流す
- サビを防ぐために乾かす
また、テーブルの脚のサビなどは、「クロームメッキにはほぼ反応はせずサビのみ反応する」という、市販のサビ取り剤をクロスに付けて拭くときれいに落ちます。
サビを取ったあとは、ふたたびサビが付くのを予防するために市販の保護剤などで仕上げ拭きをしましょう。
塗装による修復
スチールラックは長年使っているとサビ・傷・塗装のハゲが目立ってきます。DIYで好みの色に塗装してリフレッシュするのもおすすめです。
初心者の場合は、刷毛を使用するよりもスプレーのほうがムラなく濡れます。
▪︎必要な材料
新聞紙・サンドペーパー・塗装用のスプレー・プラマー塗装(透明か色が薄いものでサビ止め効果があるものがおすすめ)
スプレー塗装が初めての場合は「水性のスプレー塗料」がおすすめです。
油性塗料に比べ水性塗料のほうが臭いは抑えられます。揮発性の臭いが苦手な人、作業する部屋がせまい場所などのときもおすすめです。
扱いやすさならラッカー塗料を使用してください。揮発性が高く乾燥までの時間が短いので作業が早くできます。
▪︎修復の手順
- 換気がいい作業場を決める
- 床に新聞紙を敷き詰める
- (壁やそばの壁などに飛び散りそうな場合は、そちらも新聞紙で養生をする)
- 塗装前に埃などは拭き取り、スチールラックの場合はパーツにバラす
- プライマー塗装をする
- プライマー塗装を完全に乾かす
- スプレー塗装をする(乾かしながら2〜3回に分けて行う)
- 完全に乾くまで放置
- 乾いてから組み立てる
まとめ
ひとくちに、DIYで家具を修理するとはいってもいろいろな種類の家具があり、大きさ・素材・ダメージの度合いなどによって、必要な道具や方法も異なるものです。
今回紹介した内容を参考にしつつ、ぴったりの方法を選んでくださいね。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。