チェーンブロックやホイストといえばキトー!シェアNo.1の理由は?
海外での売上高が世界トップ3に入る、そんなグローバルな日本の機器メーカーをご存知ですか?それが今回ご紹介する株式会社キトーです。キトーが専門とするのは、チェーンブロックやレバーブロックといったマテリアルハンドリング、いわゆるマテハン機器です。
日本のみならず海外でも高いシェアを誇るキトーのマテハン機器。どんな特徴があって、なぜユーザーから選ばれるのでしょう?
今回はキトーのマテハン機器がユーザーから選ばれる理由から、その主力製品のラインナップまでご紹介します。
株式会社キトーとは?
現場で実際にキトー製品を使っている方でも、キトーがどれだけ素晴らしい会社なのか知っている方はそう多くはないかと思います。そこで、ここでは会社の沿革からその特徴まで見ていきましょう。
会社の沿革
株式会社キトーは1932年、鬼頭美代志氏によって東京で「鬼頭製作所」として創立されました。1947年には日本初の万能けん引機「レバーブロック」を開発。その後も現在の主力商品であるチェーンブロックなどの製造・販売を行い、「製品の小型軽量化、安全性と耐久性の向上」を実現させることで順調に売上を伸ばします。
1970年には社名を「株式会社キトー」に改称。 さらに1983年には本社工場を川崎市から現在の山梨県昭和町に移転します。その後はアメリカを始めとして、カナダ、フィリピンなど海外にも続々と子会社を設立し、海外販売網を広げていきました。
現在は東証1部に上場し、連結での従業員数が2308名。国内に12ヶ所の営業所、海外には12カ国に子会社と50ヶ国に海外代理店を持つ世界的な企業となっています。
引用:日刊工業新聞
日本のチェーンブロック市場シェアNo.1
日本国内におけるキトーのチェーンブロックの市場シェアは60%でNo.1です。またレバーブロックの開発や80年以上にわたる製造販売の実績から、国内マテハンメーカーのリーディングカンパニーとなっています。
そのためキトーの製品は、高速道路の建設やジェットエンジンのメンテナンスなど、安全が最優先される様々な現場でも多く使われています。
引用:キトー
世界中50カ国に販売網
キトーは日本国内だけでなく、世界中に販売網を広げています。その数は何と50カ国!海外の代理店を50カ国に有しているのです。
海外でのチェーンブロック市場シェアはアメリカで40%、カナダで50%と、日本国内同様の強さを持っています。またロープホイストにおいては中国でシェア25%とこちらも売上を伸ばしています。
そんな海外での売上高は70%を超え、世界市場でもトップ3に入るほど。フィンランドとアメリカの大手クレーンメーカーに次いで3番手となり「世界3大ホイストメーカー」のひとつと言われるほどのグローバル企業になっています。
キトー製品が選ばれる理由は?
日本だけでなく、世界中に販売網を持ち高いシェアを誇るキトー。選ばれる理由はどこにあるんでしょう?ここではキトーの製品がなぜユーザーから選ばれるのかをご紹介します。
開発、製造から修理まで一貫して提供
キトーが世界中のユーザーから選ばれる理由は、その品質の高さです。その品質の高さを実現するのが開発から設計、製造、販売、据付、メンテナンスまで行っている一貫した事業形態。すべてを自社で行うことで、すべての工程に熟練した社員の目が行き届き、品質にバラつきが起こるということがありません。
また、キトーは部品を含めた60%を内製化しています。特にマテハン機器では大変重要になる「鎖」を内製化していることで、ユーザーから高い信頼を得ています。実はこれは大変なことで、部品は外部から調達して組み立てだけを行うメーカーが多い中で、ここまで内製化にこだわる企業は多くはありません。こういった品質に対するこだわりがユーザーの心をつかみ、シェアNo.1を実現しているんですね。
引用:キトー
製品ラインナップの多様さ
販売している製品ラインナップが多様なこともキトーが選ばれる理由です。チェーンブロックだけを見ても、手動・電動があり、さらにそれぞれ大型・小型タイプがあり、またさらに定格荷重別に製品が揃っています。しかも機能や形状が様々な製品も揃っています。
引用:キトー
このような幅広いラインナップを揃えることで、顧客は現場に最適な機器を揃えることができます。
キトーの認定販売代理店
キトーは2014年4月に、それまで600社以上あった代理店を厳選し100社を認定販売代理店としました。
認定販売代理店は保守やメンテナンスといった技術を、キトーから直接指導されます。そのため認定販売代理店で販売した製品も、キトーから買った場合と同等の点検・メンテナンスを受けることができるという仕組みです。ただ作るだけじゃない、サポートまで考えた仕組みがユーザーの心をつかんでいます。
こんなところにもキトー製品
キトー製品が活躍するのは工場だけではありません。何とプロバスケットボールチーム「宇都宮ブレックス」の本拠地、ブレックスアリーナ宇都宮でも使われています。
コート中央に備え付けられており、ゲーム中の演出にも使われ試合を盛り上げるLEDビジョン。そのLEDビジョンは、キトーの逆さ吊り電気チェーンブロックで吊り上げているのです。
引用:キトー
またアリーナ内の音響設備や照明機器も、キトーの電気チェーンブロックで吊り上げています。ちなみにこのチェーンブロックは従来のタイプより小型化されており、万が一オイル漏れが起こったときでもアリーナを汚さないようグリスを使っているんだそうです。
引用:キトー
ユーザーに優しいキトーのサービス
キトーがユーザーから選ばれるのは、品質や製品のラインナップだけが理由ではありません。そのホームページには、ユーザーのことを考えたたくさんの情報が公開されているんです。
詳細な分解組立マニュアルも公開
クレーンだけでなく、チェーンブロックやレバーブロックを玉掛用具として使う場合も、各種点検を行うことが法的義務となります。種類によっては年次や月次検査のほか、日常点検が必須になります。
そんなとき大変役立つのが「分解組み立てマニュアル」です。
キトーでは各製品にそれぞれこの分解組み立てマニュアルを公開しており、そこには
・分解に必要な工具と潤滑油
・分解手順
・組立手順
・組立終了後の操作チェック、作動テスト方法
といったことが記載されています。このマニュアルさえ見れば、メンテナンス等を目的とした分解・組立がとても安全に行えます。
引用:キトー
またホームページにはその他にも
・パーツリスト
・定期点検基準マニュアル
・故障の原因と対策
といった資料までが公開されています。点検を行うユーザーの立場に立った情報提供で、現場には大変ありがたいですよね。
CADデータの無料ダウンロード
キトーのホームページでは、各機器のCADデータも公表されています。また無料で会員登録すればDFX形式のCADデータをダウンロードできます。
同業他社のホームページでも寸法図を公開しているところはいくつかありますが、CADデータがダウンロードできる企業は多くはありません。
現場作業員がよろこぶテクニカルなFAQ
充実したキトーのホームページについて、最後にお伝えしたいのがサポート内にあるFAQです。質問一覧を見れば一目瞭然なんですが、とにかくその内容がマニアックです。製品や技術に関することだったり、安全や法律に関することまで幅広く載せられています。こういった内容も、現場で作業する方にとってはかなり実務的でありがたいですよね。
引用:キトー
様々なお役立ち情報が満載のキトーのホームページ。このホームページだけでも、キトーがどれほど現場のこと、安全のことを第一に考えているかがよく分かります。
キトー主力商品の特徴は?
ここまで企業としてのキトーの魅力をお伝えしてきましたが、主力商品にはどんな特徴があるのでしょうか?ここからはキトーの主力商品ラインナップなどをご紹介します。
チェーンブロック
チェーンブロックとは、チェーン(鎖)とブロック(滑車)を使った滑車の原理により、小さな力で重量物を上げ下げできる機器です。上げ下げを手動で行う機器と電動で行う機器があります。
まずは手動チェーンブロックからご紹介します。こちらは電源が不要なため、コンセントが届かないような場所にでも使うことができます。キトーのチェーンブロックのラインナップは次のとおりです。
・手のひらサイズでも1トンまで吊り上げ可能なCXシリーズ
・世界最高レベルのロードチェーンで50トンまで吊り上げ可能なマイティM3形CB
特にマイティM3形CBに使われるロードチェーンは、1000N/㎟以上の破断応力を持っており、これはISOの最高等級VH級を満たす世界最高レベルの強さを持っているといわれます。
次に電気チェーンブロックです。こちらは電動モーターを内蔵しており、手動より楽に重量物を上下させることができます。キトーの電気チェーンブロックのラインナップは次のとおりです。
・家庭用電源から使えるタイプもある手軽に使える超小形のセレクトシリーズ
・2速インバータ採用により小型でも荷ぶれが少ないEQシリーズ
・世界最高レベルM6等級の耐久性を持つエクセルER2シリーズ
エクセルER2シリーズは「安全性」と「耐久性」の両方を最優先に設計されており、「製品保証3年、昇降ブレーキ保証10年」という業界では例のない保証を備えています。キトーがその完成度の高さによほどの自信を持っているということですよね。
レバーブロック
キトーが開発したレバーブロックとは、レバーを操作することで荷物の引き上げ、締め付けなどを行う機器です。キトーのレバーブロックラインナップは次のとおり。
・グッドデザイン賞も受賞した、手のひらサイズでも抜群の荷締感のLXシリーズ
・小型軽量ながらも強靭なフレームで耐久性に優れたL5形シリーズ
L5形シリーズは、独自の研究開発で高強度を実現したニッケルメッキチェーンにより耐食性・耐摩耗性を実現。またレバーの形状と板厚を見直してレバー強度も向上しています。このような、世界最高レベル品質や機能性の高さなどが国内外で評価を得たことを認められ「日本機械学会優秀製品賞」を受賞しています。
クリップ
キトーのクリップは、レバーブロックやチェーンブロックとワイヤーロープ併用作業用に開発された専用固定器具です。荷物や機械の引き寄せ作業などに使われます。
ホイスト
ホイストとは、チェーンを巻き上げることで荷物を上げ下ろしする機器です。キトーのホイストラインナップは以下のとおり。
・ロープを巻き上げることで荷物の上げ下ろしするロープホイスト
・圧縮空気を動力としたエアーホイスト
エアーホイストには、高速のTCSシリーズ、低中速のTCRシリーズ、大容量のTNCシリーズといったラインナップです。強度や耐久性、精度の全てで高品質な超強力ニッケルメッキロードチェーンを採用。また過巻時でも本体やロードチェーンへのダメージを防止する過巻防止装置を装備しています。
引用:キトー
クレーン
クレーンは、動力によって荷物を吊り上げて水平に運搬することを目的とする機器です。キトーのクレーンラインナップは次の通り。
・建屋の天井梁に走行レールを取り付ける天井クレーン
・ビームが旋回するジブ機構を取り入れたジブクレーン
・地上に敷設した走行レール上に設置する橋形クレーン
クレーンは作業内容や設置場所に合わせた高さやスパン、定格荷重などに対してオーダーメードが行えます。
引用:キトー
まとめ
マテハン機器のトップメーカー、キトーについてご紹介しました。製品の品質や耐久性の高さはもちろん、ユーザーの検査対応まで考えたマニュアルの公開など、リーディングカンパーであることを忘れないその姿勢がユーザーからの支持を得るのではないでしょうか。
現場で実際にキトー機器を使っている方はぜひ、改めてキトーのホームページで様々な情報に触れてみて下さい。皆さんの作業が、これまで以上にはかどることは間違いありませんよ。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。