集じん機の目的別おすすめ品はこちら!構造やメーカー別の特徴も
切断や研磨などの加工を行うと、そこでは必ず粉じんが発生します。その粉じんを吸い取って、空気中に撒き散らさないようにするのが集じん機です。
現在はたくさんのメーカーから様々な種類の集じん機が出ていますが、それらはどう違うのでしょう?業務用と家庭用はどうちがう?電動工具につなげることはできる?なかなかわからないことが多いですよね。
今回はそんな集じん機についてご説明します。初心者の方でもわかるように、易しく説明しますのでぜひご覧ください。
集じん機とは?
大型から小型まで、家庭用から業務用、湿式から乾式とさまざまな種類がある集じん機。いったいどんな機械で、どのようなことに使うんでしょう?まずは集じん機の基本的な部分をご説明します。
集じん機とは?
集じん機とは、ものづくりの加工で出る粉じんを吸引して除去する装置です。用途に応じて様々な大きさの機種が販売されています。
工場の換気に使われれるたいへん大きなものから、家庭用として小さなものでは空気清浄機も集じん機といえます。また構造が似ている製品として掃除機がありますが、後述の通り目的や構造が異なります。そのためメーカーでは、掃除機は集じん機とは別に「クリーナー」と定義して紹介しています。
引用:ボッシュ
どんなことに使う?
工場などで、木を切る、金属を削るといった「加工」を行うと、必ず粉じんが発生します。そのまま作業を続ければ、工場内は粉じんでいっぱいになり、製品内に粉じんが混入してしまいます。また何より作業者が粉じんを吸い込んでしまうため、人体にも有害です。
そこでこういった加工を行う工場内では、集じん機が取り付けられ、粉じんの吸引が行われています。
またホコリの他に泥水などを吸引できる乾湿両用の製品もあります。このように粉じんから泥水の掃除まで、様々なところで集じん機が使われています。
引用:京セラ
集じん機と掃除機(クリーナー)の違い
集じん機は、空気中の粉じんを吸い取ることが目的です。そのため吸引する空気の量が大変多くなっています。たくさんの空気を取り込み、その中の粉じんをフィルターにかけることで空気をキレイにします。掃除機よりもフィルターが大きく、吸引力が落ちにくいことが特徴です。
掃除機は、床のホコリを吸い取ることが目的です。掃除機のノズルは空気を取り入れる口を小さくしています。そのために圧力が高くなり、この圧力でたくさんのホコリを吸い取ります。吸引する空気の量が集じん機よりも少ないため、本体が小さいのが特徴です。フィルターが小さく詰まりやすいため、集じん機のように粉じんを吸い取り続けることはできません。
ただし統一した規格があるわけではないため、掃除機型の集じん機も発売されています。また集じん機にノズルをつけることで、掃除機と同じような使い方でホコリを吸い込むことも行います。
業務用と家庭用の違い
業務用には工場用の大型のものから、作業机の足元に置けるような小型のものまで、加工を行う現場に合わせた集じん機があります。大量に粉じんが出る現場もありますから、業務用はとにかくハイパワーで大量の空気を取り込むことができます。
引用:OTC
全てのメーカーが業務用と家庭用を分けているわけではありませんが、例えばリョービの場合は、家庭用の集じん機は吸込仕事率が160Wと業務用の280Wよりも低くなっています。この吸込仕事率とは吸引力の目安で、つまり家庭用のほうが吸引力は弱いということです。
引用:京セラ
集じん方式の違い
集じん機には、いくつかの集じん方式があります。ここでは小型集塵機に使われる代表的な3つの集じん方式をご紹介します。
まずはフィルター式です。フィルターを通して空気を吸い込むことで、フィルターで粉じんをキャッチします。粉じんは本体タンクに溜まっていくため、溜まったところで本体からタンクを取り出して粉じんを捨てます。紙パックを購入する必要がないためランニングコストは安いですが、定期的にフィルターを掃除する手間がかかります。乾湿両用集じん機などに使われ、小型の集じん機ではこの方式が最も多く使われています。
引用:HiKOKI
次は紙パック式です。紙パックをフィルター代わりにして空気を吸い込み、粉じんは紙パックで捕まえます。溜まった粉じんは紙パックごと捨てられますのでお手入れは楽ですが、紙パックを購入する必要があるためランニングコストはかかります。乾式集じん機や充電式クリーナーに使われることが多いです。
最後がサイクロン式です。遠心力によって空気と粉じんを分離させ、溜まった粉じんを処理します。吸込口から吸込まれた粉じんは、空気とともにサイクロンの内部で回転させることで、空気より重い粉じんが分離して外側に弾かれます。こうしてきれいになった空気だけが、サイクロン部から出ていくという仕組みです。家庭用クリーナーなどで使われています。
この他に工場用の大規模な集じん機では、静電気を利用して空気をキレイにする静電気方式などがあります。
集じん機の仕組みと構造
ここまでで集じん機の種類などはわかりましたが、では一体どんな構造になっているんでしょう?またカタログに載っている数値はどういう意味なんでしょう?ここでは仕組みと構造についてご説明します。
集じん機の仕組みと構造
ここでは一般的な小型集じん機の仕組みをご説明します。フィルター式の集じん機で、下図のような構造になっています。左下の吸気口から吸い込んだ粉じんが、プレフィルタ→パウダフィルタを通ることでキレイな空気になって排出されます。フィルタにかかった粉じんはポリ袋に落ちるため、ポリ袋に粉じんが溜まったところで捨てればいいという仕組みです。
引用:マキタ
この仕組みは掃除機と同様ですが、写真でわかるとおりだいぶ大きいフィルタを使っています。そのため、掃除機のようにフィルタの目詰まりを起こすことはありませんが、定期的なフィルタの掃除は必要となります。
スペックの見方
集じん機のカタログには様々な数値が載っています。ここではHiKOKIのカタログに記載された数値の重要な箇所をご説明します。
引用:HiKOKI
・乾湿両用:乾式専用ならば粉じんや砂などを、湿式専用ならば水などを吸い取ることができます。乾湿両用とはその両方を吸い取ることができる機種ということです。
・連動:連動に適用している電動工具のコンセントをこの集じん機に差すことで、電動工具をオン・オフにすると集じん機も連動してオン・オフになる仕組みです。
・集じん容量(給水容量):本体タンクに溜め込むことが出来る粉じんや水の量です。どちらも同じ本体タンクに溜まります。
・吸込み仕事率:この数値が大きいほど、吸い込む力が強いというものです。300Wはかなりハイパワーな部類に入ります。
・最大真空度:吸い込む力のことです。真空度と風量から吸込仕事率を計算することが出来ます。
・最大風量:1分でどの程度の量の空気を吸い取ることが出来るかという値です。
電動工具と接続・連動する
集じん機のホースにアダプタを取り付けることで、丸のこなどの電動工具と接続することが出来ます。接続することで、丸のこで木材を切りながら、そこで出る切りくずをすぐに吸い取ることが出来ます。屋内に粉じんが舞うことがないため、環境が良くなり作業が非常にはかどります。
引用:HiKOKI
また前項の「連動あり」の機種を接続すれば、電動工具のスイッチオン・オフに連動して集じん機も自動でオン・オフを行うため、より一層作業がはかどります。
集じん機アタッチメントの種類
集じん機には電動工具に接続するアダプタの他にも、掃除などを行いやすくする様々な形状のノズルなどたくさんアタッチメントもあります。用途にあったノズルを選ぶことで、各種作業がクリーンにこなせます。
引用:ボッシュ
目的別のおすすめ集じん機
集じん機は大きさや機能が様々な製品が存在します。あまりに多くて、どの機種を選んだらいいかわからなくなってしまいますよね。そこで今回は、あなたの目的にあった集じん機をご紹介します。
木工細工で使う
木工細工で出る切りくずを集じんしたい。そんなときにおすすめしたいのは上記でもご説明した「連動」機能付き集じん機です。電動工具側のオン・オフに集じん機も連動するという機能ですが、ここではさらに新機種をご紹介します。
マキタでは業界初の「無線連動」を実現しました。以前は電源コードを集じん機に差すことで連動していましたが、その連動を無線で行えます。そのため電動工具も集じん機も、無線連動に対応した機種であれば、どちらもコードレスでよいことになります。これまでは電源コードと延長コードで足元がコードだらけになっていた現場が、コードレスで足元スッキリ、コードに引っかかる危険もなくなります。
ベランダなどの掃除に使う
ベランダなどの掃除に使うということは、落ち葉や泥水も吸引します。こういった場合には、乾湿両用の集じん機を選びましょう。乾湿両用とは、砂などの乾いたものと水の両方を吸い取ることが出来る機種のことです。また業務用ほどの吸引力はいらないでしょうし、本体も大きすぎないほうが片付けしやすくなります。
そこで、こちらではリョービの家庭用集じん機をおすすめします。乾湿両用で、下駄箱の掃除からテラスの掃除まで使うことが出来ます。またコンパクトボディなため収納スペースをとりません。もちろん家庭用コンセント100V対応です。
屋外の電源がない場所で使う
電源がない場合は、コードレスの集じん機を選びましょう。HiKOKIでも、マキタに続いて無線連動機能搭載の集じん機を開発しました。Bluetoothによって電動工具と連動運転を行います。
HiKOKIの18Vと36Vのコードレス機器に使えるマルチボルト蓄電池対応ですから、ひとつ蓄電池を買っておけばたくさんのコードレス工具に使い回すことが出来ます。ただしこの製品は乾式専用のため、水を吸い取ることはできません。
ネイルケアに使う
ネイルケアでもかなりの削りかすが出るようですね。爪を削ってツヤを出しますから、電動のトリマーなど使えば大量のネイルダストが出ています。ネイルダストもそのまま放っておくと目に入ったり、肌についたりして不健康です。
今はネイルケア用のネイルダスト集じん機も発売されています。手を置いてネイルケアしながら集じんできる形になっているので使いやすいですね。
持っている電動工具に取り付けて使う
現在持っている電動機器に取り付けて使えるかどうかは、各メーカーのカタログで確認できます。
また取り付ける際には、別売りのアダプタが必要になる場合があります。そのうえで、連動機能があるかどうかを確認しましょう。まずは手持ちの電動工具のメーカーとカタログをご確認下さい。
・マキタ 総合カタログ
・HiKOKI 電動工具総合カタログ
・リョービ パワーツール総合カタログ
・ボッシュ 電動工具総合カタログ
・ケルヒャー カタログ
メーカー別の特徴とおすすめ集じん機
集じん機は様々なメーカーから販売されていますが、それぞれのメーカーによって特徴があります。ここではメーカーごとの製品の特徴とおすすめの集じん機をご紹介します。
マキタ
国内電動工具の最大手であるマキタ。集じん機のラインナップも豊富なのが特徴です。コードレス、有線、紙パック、フィルターなど用途に合わせてたくさんの種類から選ぶことが出来ます。掃除機(クリーナー)のラインナップも豊富です。また前記の通り、世界で初めて無線連動を実現したのがマキタです。常に新技術を追い求めている姿勢が高いシェアにつながるんでしょうね。
ここでは、やはり他メーカーにはない業務用クリーナーを紹介します。ロビー、倉庫、工場内のテニスコート3面分の広さを自動でキレイにします。
HiKOKI(ハイコーキ)
2018年に日立工機から工機ホールディングスに社名変更し、「HiKOKI」ブランドとしてスタートしました。日立工機も電動工具メーカーとして大手でしたので、その流れを引き継いで集じん機のラインナップが豊富です。18Vと36Vのリチウムイオン蓄電池を共用できるマルチボルト蓄電池や、マキタに次いで無線連動装置を搭載するなど、常に新技術の開発に取り組んでいます。
ここでは、HiKOKIの電動工具の豊富さをいかすために、電動工具接続専用の小型集じん機をご紹介します。電動工具との連動機能を搭載しており、小型ながらメッシュのダストボックスにより6.6Lの集じん容量があります。
リョービ
2018年にパワーツール事業が京セラグループの一員となったリョービ。マキタやHiKOKIほどラインナップはありませんが、品質の高さには評判があります。
ここでは、ステンレス製タンクの集じん機をご紹介します。ステンレス製ですので汚れに強く、洗いやすい。汚泥など液体の吸込みに最適です。またダブルファンタイプなので、パワフルなのに静かです。
BOSCH(ボッシュ)
ドイツ生まれの世界ブランドボッシュ。集じん機のラインナップは多くはありませんが、電動工具はたいへん多くの種類が発売されています。そのため連動装置付きの集じん機をおすすめします。
こちらの製品は連動コンセント付きです。またブロワとしても使える1台2役です。集じん機用のアクセサリーも多いため、掃除する場所に応じたノズルを探すことができます。
ケルヒャー
高圧洗浄機で有名なケルヒャー。集じん機は「バキュームクリーナー」という名称で販売されています。コードレスタイプから業務用の大きめのバキュームクリーナーまで揃っています。
ここではコードレスタイプをおすすめします。軽量・コンパクトタイプですが乾湿両用で、何とブロワまでついています。車内清掃にピッタリのアクセサリーがついていますので、家庭用には最適です。
コンテナ容量:7L
バッテリー:18V
定格入力電力:230W
連続使用時間:10分
まとめ
いかがでしたか?今回は特に小型の集じん機についてご説明しました。
たくさんのメーカーから、それぞれの特色をもった製品が販売されていましたね。ぜひ今回の記事を参考にして、あなたの用途にそった集じん機を探してみて下さい。ピッタリの集じん機が見つかれば、あなたの作業効率がますますアップすることは間違いありませんよ。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。