DIYで使える家庭用溶接機は?100vと200vの違い・選び方・スズキッドなど人気メーカーアイテム7選
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溶接機は、プロ用の製品だけではなくDIYで使える製品もあります。1台購入すれば、金属製品の修理・メンテナンス・制作などの際に大活躍してくれるでしょう。金属素材同士の「接着」には、ビス・接着剤などを使用する方法もありますが、仕上がりやかっこよさを求めるなら、やはり溶接機を使ったほうが確実かつスマートですよね。そんな家庭用溶接機の選び方や人気メーカーの製品などをご紹介しましょう。
目次
そもそも家庭用溶接機って何ができるの?
溶接機と聞くと、プロの工事や建設現場やアーティストの作業現場で使われている光景が思い浮かびますよね。一体、どのような工具でどんな目的で使のか……製品選びに役立つ知識を仕入れておきましょう!
家庭用溶接機とは、どのような工具?
DIYで金属を使うときに、「溶接機があれば、もっとかっこよくなるのに!」と思うことってありますよね。実は、簡単な修理や家具・雑貨などを作る際、金属同士の接続に使える家庭用溶接機があるのです。
溶接は、金属部分に「何かしらの方法」で熱を加える→金属が溶ける→溶けた金属が一体化して冷えて固まりくっつく状態です。この「何かしらの方法」にあたるのが溶接機になります。溶接のメリットは、ネジなどを使った接合のようにでこぼこしない・外れる可能性も少ない・素材が一体化するので強度がある……などです。
家庭用溶接機は、以下のようなときに使います。
- 独特の風合いが人気の、アイアン素材を利用した家具作り
- 金属のオブジェや雑貨などの制作
- ポストやガーデニングの柵・ベンチなど、金属製エクステリアの修理
- バイクや自転車など、金属部分の修理やメンテナンス
家庭用溶接機を選ぶポイント
家庭用溶接機には、いろいろなものがあります。選ぶ際の目安となるポイントをご紹介しましょう。自分の用途に合ったものを選んでくださいね。
【1】溶接の種類によって選ぶ
ひとくちに「溶接」といっても、数え切れないほどの種類があるので、ここでは代表的なものをご紹介しましょう。
アーク溶接
アーク溶接は、もっとも一般的に知られた溶接です。アーク放電(※)という現象を利用して溶接を行います。
アーク溶接機の特徴を挙げてみましょう。
- 溶接ホルダーのケーブルを延長すれば取り回しがしやすい
- 移動しながらの細かい作業や野外での作業に向いている
- 仕組みが単純なために、故障しづらくコンパクトでリーズナブルな製品が多い
- 初心者にも向いている
- 溶接後は、黒い皮膜が付くのではがす必要がある
- 溶接棒を、金属の種類に合わせた「専用のもの」に変えれば、ほとんどのものに使える
※アーク放電:「空気という絶縁体」で隔てられた、2つの電極に電圧をかけると、電極間に発生した電流が強い光と高熱を引き起こすこと。わかりやすい例をあげると、通電しているときにコンセントを引き抜くと、「バチッ」という音とともに火花が散る現象です。
直流インバータ溶接機
アーク溶接機の一種である「直流インバータ溶接機」は、インバータ制御により薄い板も溶接できるのが特徴です。交流アーク溶接機よりも、値段が高く出力が安定しているために溶接作業も楽でしょう。
半自動溶接機
溶接棒ではなく、スイッチを押すと溶接棒の部分から自動的に出てくる「溶接ワイヤー」を使って溶接するタイプです。アーク溶接よりも、使いやすく溶接のスピードも高いのが特徴で、DIY向けの半自動溶接機も販売されています。
半自動溶接機は、ガスを使用するタイプで、MIG溶接(アルゴン)・MAG溶接(混合ガス)・Co2溶接(炭酸ガス)などを使用します。また、ノンガスワイヤーなど「ガスが封入されている」溶接ワイヤーを利用すれば、ガスが無くても作業が可能です。ただし、それらのワイヤーはコストが高いために、使用頻度が高い場合はガスを利用したほうがいいでしょう。
TIG溶接機
タングステン電極棒を使用し、電極から発生する高温の光をあてて溶接するのがTIG溶接機です。使用時には、金属が酸化防止用に専用のガスが必要になります。
- 作業音が静か
- 火花も飛ばない
- 溶接面の仕上がりが美しい
このような点が特徴です。
【2】家庭用溶接機の場合、電圧は100vと200vどちらを選べばいいの?
一般的に、家庭用の溶接機は100vの製品が多いようですが、200vのものや100・200vを切り替えできるタイプもあります。購入前に、自宅で利用できる電圧を確認してください。
100Vのメリット・デメリット
100Vの場合は、コンセントやブレーカー直引きで簡単に使用できます。ただし、パワー不足なために溶接の強度が必要なものには適さないこともあります。それほど強度を要さず、手軽に利用したいなら100Vの溶接機でもいいでしょう。
200Vのメリット・デメリット
家庭で200Vの電圧が確保できれば、200Vのほうがトラブルなく溶接が進められます。たとえば、半自動溶接機で3mm以上の母体をがっちりと溶接したい場合などは、200Vの溶接機が向いているでしょう。最近は一般住宅でも200Vの電化製品が普及しているため、200V用のコンセントがある家もあります。
200Vが使用できない家庭であれば、電気屋などに依頼をすれば、約1万円程度の工事費用で100Vコンセントを200Vコンセントに交換できるでしょう。
【3】溶接機は直流か?交流か?
電気を使う溶接機の場合は、「直流」と「交流」があります。
直流
精度の高い溶接が可能ですが、使用できる地域は限られます。価格も比較的高価です。
交流
溶接のパワーや精度は落ちますが、どんな地域でも利用可能でリーズナブルです。
家庭で手軽に使いたい場合は、交流タイプがいいでしょう。
【4】知っておきたい「定格使用率」とは?
溶接機には、「定格使用率」というものがあります。これは、溶接機を「10分間内で何分間溶接機を連続して使うことができるか」という目安のことです。溶接機は連続して使用するとオーバーヒートしてしまいます。そのために、それぞれの機種の能力にあった定格使用率を設けることで「休憩が必要なこと」ことを利用者に知らせているのです。
溶接機は、この定格使用率が決めた使用時間がくると、電源がカットされる仕組みになっています。たとえば、定格使用率が30%の場合、「10分間中に3分が利用可能で、7分はお休み」となります。溶接量が多い場合は、定格使用率が高い機種を選んだほうがいいでしょう。
【5】サイズ・操作性・値段もチェック!
家庭に作業現場があり溶接機を置く場所がキープできる場合はいいのですが、持ち運びをする場合は、本体のサイズや重さも考えましょう。また、使用する頻度によっては、操作部が使いやすいか、細かい設定ができるかなどの要素もチェックしましょう。
ただし、DIYでたまに利用する程度なら「大きい・重い・値段が高い・オーバースペック」な溶接機は負担になってしまいます。
人気メーカーの家庭用溶接機
アマゾンでも購入できる家庭用の溶接機の中から、人気のある製品をメーカー別に紹介しましょう!
スズキッド(SUZUKID)
スズキッド(SUZUKID)は、小型溶接機のパイオニアとして知られるメーカーです。「溶接を仕事とする誇り」「溶接を趣味とする喜び」を世界中に広めるために、小型・軽量・家庭用などのはば広い溶接機の開発を55年以上行っています。溶接初心者のDIYユーザーから現場作業まで対応するさまざまな種類の製品を展開し、多くの人に愛用されています。
★100Vと200Vの兼用タイプです。200Vなら安定した溶接をすることもできます。
★初心者でも安全に、スポット溶接などを行えます。一般的なDIY使用としては十分でしょう。別売りのワイヤーを変更すれば、鉄とステンレスの溶接が可能です。
リランド(RILAND)
リランド(RILAD)は、1993年中国で設立したメーカーで、年間35万台の溶接機を生産、55%はEU・アジア・アメリカに輸出しています。1台で、TIG溶接(※)・アーク溶接・プラズマカットの3役をこなす「インバーター直流マルチ溶接機」が有名です。
※TIG溶接:電気を用いるアーク溶接の1つで、タングステン(不活性ガス溶接)を使用する溶接機。ステンレスやアルミの溶接に適しています。
★家庭用電源で薄板溶接ができる出力2段調整式のノンガス半自動溶接機です。
★重量が5.5kgなので、持ち運びがしやすいタイプです。
育良精機
電動油圧鉄筋カッター・アングル加工機・鉄筋ベンダー・アーク両説機などを幅広く製造・販売しているメーカーです。「IKURA TOOLS」のブランド名で、直流アーク・バッテリー内蔵・直流パルス・半自動などの溶接機や関連製品を展開しています。
★初心者の入門用としても向いているタイプです。クラフト作業などに向いているでしょう。
★小型で軽量なので持ち運びが楽なのも魅力です。
Duty Japan
整備工具の専門Duty Japanでは、ハンドツール・ツールボックス・リペアグッズなどのほか、ノンガス半自動溶接機などを扱っています。低価格で性能もしっかりしていると評判です。
★リーズナブルなので、初心者も気軽に使用できるタイプです。
溶接機と一緒に揃えておきたい必須アイテム
家庭用と溶接機を使用するにあたっては、絶対に必要なアイテムがあります。安全に快適に溶接を行うためにも、必ず用意しておきましょう。
遮光溶接面
溶接時の熱・火花・光から目や皮膚を守るために欠かせないのが、「遮光溶接面」です。いろいろな種類がありますが、光を遮る強さを自動的に変えてくれる自動遮光タイプが人気です。溶接の際だけに使用する「手持ち」タイプと、すっぽりとかぶる「かぶりタイプ」がありますが、初心者の場合は両手を利用できる「かぶり型」がいいでしょう。
溶接棒
溶接機に溶接棒がセットになっているものもありますが、自分で購入する場合は、溶接する板の厚さに応じて、溶接棒の直径を選びます。目安としては、「直径の倍の厚さ」までが、溶接できるサイズと考えてください。反対に直径からマイナス0.2mmくらいの厚さなら溶接が可能でしょう。
革手袋
溶接時に手を守る、作業用の革手袋もマストアイテムです。「外縫い(背縫い)」という外側に縫い目があるほうが、手に当たらずに快適です。ただし、火花が縫い糸に当たると糸が切れる可能性もあります。つけ心地は外縫いよりも劣るものの、内縫いのほうが作業時の引っかかりや縫い目のほつれなどの心配は少なくなります。また、素材はスプリットレザーと呼ばれる「牛床革」のほうが、耐熱性・耐久性があるので溶接向きでしょう。
革エプロン
溶接時の火花を防ぐために、作業時にはエプロンを着用してください。革やデニムなどの丈夫で燃えにくい素材のエプロンがおすすめです。丈が長すぎると、作業時に邪魔になったり動きにくかったりするので、購入時には必ずサイズの確認をしてください。
知っておきたい!溶接機を使う際の注意点
溶接機を使用する際には、十分安全性に配慮する必要があります。以下のことに気を付けてください。
感電に気を付ける
溶接機の事故で多いのが感電です。使い慣れているプロでも感電してしまうことがあるため、十分に気を付けましょう。
・溶接棒などをうっかり自分の体に接触させない
・夏場に汗をたくさんかくと電気が流れやすくなるのでよく拭く
・古いタイプの溶接機には自動電撃防止装置が付いていないこともあるため要注意
電圧が不安定な場合は昇圧器を使う
電圧が不安定だと、溶接がスムーズに行われないため昇圧器を使って電圧を上げる方法もあります。きちんと溶接をしたいなら、1万円程度で購入できる昇圧器を用意するといいでしょう。
道具のメンテナンスも大切
溶接機を使用した後は、拭き掃除などをしてきれいにしてから片付けましょう。また、バッテリー式の場合は、使用量に関わらず、使用後には「充電完了」になるまで充電してから保管してください。使用しないときにも1か月に1度はかならず充電完了まで充電しましょう。
作業スペースを確保しよう
溶接作業中に飛び散った火花が終えやすいものに引火しないように、十分な作業スペースを確保してください。また、アーク溶接機で電源コードを延長すると、溶接で負荷がかかり電圧が降下して使用できなくなることもあります。延長コードを使わなくてもいい場所を作業スペースとして確保しましょう。
溶接機、皆何に使っているの?
皆さんのお気に入り溶接機や、溶接機を使った作品などをSNSから集めてみました!
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目的に合った溶接機を選ぼう!
溶接機は、一見敷居が高そうですが、初心者でも使えるものがあります。まずは、どれくらいの頻度で使用するのか、どんなことに使うのか、専用の作業場はあるのかなど、ここに挙げた溶接機選びのポイントを参考に最適なものを選んでください。遮光溶接面や手袋など、安全のために必要なアイテムも必ず揃えてから作業をするようにしましょう!
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。