エアーコンプレッサーの選び方と用途別おすすめ品
強力なパワーで作業をこなすエアーツール。このエアーツールを使う場合に欠かせないのがエアーコンプレッサーです。
しかし工場用からDIYまで、多種多様な機種があるため「一体どれを選べばいいのかわからない!」という方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、エアーコンプレッサーの基本から選び方、用途別のおすすめ品などをご紹介します。「初めてエアーコンプレッサーの購入を考えている」といった方にも読みやすいよう、わかりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。
目次
エアーコンプレッサーとは?
引用:マキタ
まずはエアーコンプレッサーがどのようなものか、概要と用途をご説明します。
エアーコンプレッサーとは?
エアーツールの動力源になる圧縮空気。その圧縮空気を作り出すのがエアーコンプレッサーです。空気を取り込んでタンク内に圧縮空気をため込み、エアーホースでエアーツールに排出します。その種類はDIYで使用する小型タイプから、工場で備え付けされる大型のものまで様々です。
エアーツールは電動工具よりも断然パワーがありますが、ツールの他にエアーコンプレッサーやホースなどを揃える必要があります。そのため工場や建築現場など、業務用で使われるケースが多いです。
どんな用途で使う?
引用:ヤマキシ
エアーコンプレッサーの先にエアーツールを取り付ければ、次のような作業を行うことができます。
- インパクトレンチ:タイヤ交換時のボルト付け外し
- ネイラー(釘打機):釘やステープル(U字型の釘)の打ち込み
- エアダスター:機器のゴミやホコリの清掃
- スプレーガン:屋根や壁、小物などの塗装
- タイヤチャック:タイヤやボールなどの空気入れ
エアーコンプレッサーの選び方
様々な種類があるエアーコンプレッサー。ここではその選び方をご紹介します。
オイル式かオイルレス式で選ぶ
エアーコンプレッサーにはオイル式とオイルレス式の2タイプがあり、それぞれ次のような特徴があります。あなたの用途にあったタイプを選びましょう。
オイル式
- コンプレッサーの潤滑と冷却のために機械内部にオイルを使用するタイプ
- 業務用向けで多く見られる
- 耐久性に優れており、使用時間が長い
- オイルレス式に比べ、作動音や振動が静か
- 吹き出されるエアーに油分が含まれるため、塗装などの用途には向かない
- 定期的にオイル交換をする必要がある
オイルレス式
- 機械内部にオイルを使用しないタイプ
- DIY向けで多く見られる
- オイル式に比べて、耐久性や連続使用時間に制限がある
- オイル式に比べて、作動音や振動が大きい
- 吹き出されるエアーに油分が含まれないため、塗装などにも使える
- オイル交換をする必要がない
空気タンクの容量で選ぶ
引用:トラスコ
圧縮空気を貯めておくのが空気タンクです。この容量が大きければ使える圧縮空気の量が多いため、エアーツールでの多くの作業が可能に。ただしその分、タンク自体も大きく重くなります。
タンク内の空気が減ると、モーターが運転して空気を取り入れ始めます。圧縮空気がタンクに貯ればまたエアーツールを使うことができますが、貯まるのを待たなければいけません。また頻繁に圧縮空気のため込みを行うと、ピストンなど内部の部品が消耗していきます。
あまり頻繁に再稼働させることがないよう、作業量にあったタンク容量のエアーコンプレッサーを選びましょう。
最高圧力で選ぶ
コンプレッサーの電源を入れるとモーターが回転し、空気タンク内に圧縮空気を貯め始めます。そして一定の圧力になるとモーターが止まるのですが、このときのタンク内の圧力が最高圧力です。この値が大きいほど高圧で空気を貯めることができるため、エアーツールで作業できる時間が長くなります。
一般的なコンプレッサーの最高圧力は0.78MPaです。エアーツールを使用すれば圧力が低下し、タンク内圧力が0.59MPaになると再度空気を取り込むためにモーターが回転し始めます。
ただし建築現場では、釘打ちなど瞬間的に高圧のエアーを必要とするツールが主流です。そのため建築現場向けのコンプレッサーでは最高圧力が4.5MPaといった高圧の機種が多くラインナップされています。
静音性で選ぶ
エアーコンプレッサーは動作音や振動がたいへん大きくなります。そのため周囲に民家がある場所でコンプレッサーを使用する場合には「低騒音・低振動」や「静音」タイプの機種を選びましょう。オイル式・オイルレス式の両方で「静音」タイプが販売されています。
一般的なエアーコンプレッサーの騒音値は70db(デシベル)。これは「高速走行中の自動車内」と同程度の騒音です。しかし静音タイプであれば62〜65dBといった低い騒音値になります。こちらの動画を見て頂くと、その差は歴然ですね。
吐出量:50Hz/約120L/min 60Hz/約137L/min
使用最高圧力:約0.8MPa(約8.2kgf/cm2)
安全弁設定圧力:約0.88MPa(約9.0kgf/cm2)
エアーコンプレッサーの使い方と使用上の注意点
エアーコンプレッサーは圧縮空気を取り扱うため、使い方を間違うと大変危険です。ここでご紹介する使用上の注意を守って、作業を行いましょう。
エアーコンプレッサーの使い方
エアーコンプレッサーの使い方は次のとおりです。
- エアーコンプレッサー本体に、エアーホースと使用するエアーツールを取り付ける。
- 電源コードをコンセントに挿し、本体電源のスイッチを入れる。
- 圧縮機が動き出し、空気タンクに空気を貯めていく。このときまだ、エアーツールは使わない。
- 空気タンクが満タンになるとモーターは自動的に止まる。
- 減圧調整ノブを回してエアーツールの適正な使用圧力に調整し、ツールを使用する。
- タンク内の圧縮空気が減ると、自動でモーターが動き出して再度空気タンクに空気を貯めていく。
使用上の注意
取扱いを間違えると機器が故障したり、怪我につながることも。以下の注意を守って使用しましょう。
取出口には専用のエアーホースを取り付ける
エアーコンプレッサーには「高圧用」と「一般圧(常圧)用」の機種があります。高圧用のコンプレッサーを使用する際は、必ず高圧用エアーホースを使用しましょう。
電源の延長コード使用は避ける
電源の延長コードを使用すると、電圧降下によるトラブルの原因となります。コンセントが近くにない場合、できるだけ延長コードの使用は避けて、エアーホースを延ばすようにしましょう。
使用後は水抜きをする
引用:サンエイエアー
コンプレッサーを使用すると、タンク内に結露(ドレン)が発生して水がたまります。水をそのままにしておくとタンク内にサビが発生して、故障の原因になることも。そのため使用後には、必ず水抜きを行いましょう。
オイル式の場合、半年ごとにオイル交換を行う
一般的には、月に1〜4回ほど使用する場合は半年ごとにオイル交換を行います。またオイルは必ずコンプレッサー専用のものを使用し、全量を交換しましょう。
用途別のおすすめコンプレッサー
タイヤ交換ならこれ!
タイヤ交換に使う場合は、中程度の馬力・タンク容量が必要です。そこでおすすめするのがアネスト岩田のHX400499。こちらは何と「タイヤ交換セット」ということで、コンプレッサーのほかにインパクトレンチ、タイヤチャック、ダスター、エアーホースがすべて揃っています。
もちろんエアーコンプレッサーの容量等も問題なし(出力=0.75kW、タンク容量=30L)です。このセットがあればタイヤ交換から空気入れ、清掃まで全てが行えます。
セット内容:コンプレッサ(コルトHX4004)・インパクトレンチ・タイヤチャック・ダスター・エアーホース
モーター出力:0.75kW
制御圧力:0.67~0.85MPa
吐出空気量(50・60Hz):60・65L/min
タンク容量:30L
塗装ならこれ!
塗装に使用する場合の絶対条件はオイルレス式のエアーコンプレッサーを選ぶことです。もしオイル式を使ってしまうと、吹き付ける塗料に若干ですが油が混ざるため、塗装の仕上がりに影響を及ぼしてしまいます。
またエアーブラシでの塗装の場合、馬力・タンク容量とも小程度で十分です。しかしスプレーガンで塗装を行う場合は、中〜大程度の馬力・タンク容量が必要になります。
そこでおすすめするのは高儀 EARTH MAN ACP-39SLAです。もちろんオイルレス式で、タンク容量も39Lと充分。さらに騒音値が65dbの静音タイプですので、周囲に不快な思いをさせません。
吐出量:50Hz 120L/min 60Hz 137/min
使用最高圧力:約0.8MPa
安全弁設定圧力:約0.88MPa / リリース起動圧力:約0.5MPa
吐出圧設定範囲:約0~0.8MPa
接続口:ワンタッチ 1/4
エアーブラシの場合のコンプレッサーについては、こちらの記事をご覧ください。
小型で取り回しやすいものならこれ!
小型のエアーコンプレッサーでおすすめしたいのは、マキタのAC700です。重さが12キロと軽量なので、付属のショルダーベルトで肩がけして楽に移動ができます。
空気タンク容量:5L
騒音値:69dB
吐出圧力:0.96MPa
吐出空気量:70L/min
業務用(建築現場向け)ならこれ!
建築現場向けの高圧対応エアーコンプレッサーはHikokやMAXからも販売されていますが、おすすめするのはマキタのAC462XGHです。
高圧タイプが主流の建築現場ですので、エアーコンプレッサーも高圧専用です。クラス最小のコンパクトボディに、低振動(振動値90%カット)・低騒音(62db)。大容量16Lの空気タンクと4口の空気取り出し口で、使い回しも抜群です。
AC 100V、最高圧力:4.5(MPa)
タンク容量:16L
吐出し空気量:[高圧]85L/分
質量:18.0kg
ホコリ飛ばしならこれ!
ホコリ飛ばしに使う場合、どの程度の広さに使用するかで、選ぶエアーコンプレッサーの性能も変わってきます。狭い範囲なら小さいタンク容量でもOKですが、広い範囲であれば大きいタンク容量が必要です。
そこで今回は家庭用としておすすめします。ミナトワークスのCP-8A+エアーツール3点付きセットです。エアーコンプレッサー自体はタンク容量8Lと一般的な家庭用サイズですが、何よりダスター・タイヤチャック・コイルタイプエアーホースがセットになっています。
このセットがあればホコリ飛ばしとタイヤの空気入れにすぐ使うことができます。また重さも7.7kgと運びやすいので、家庭用に1台持っておくにはちょうどいいセットです。
設定圧力:0.69MPa (7.04kgf/cm2)
定格時間:15分
吐出量:19.8L/min
タンク容量:約8L
100V(DIY)用ならこれ!
家庭用電源100Vで使用できるエアーコンプレッサーはたくさん出ていますが、今回はMAXのAK-820をおすすめします。こちらはMAXが家庭内のリフォームやDIYでの使用をおすすめしているモデルなんです。
そのため、同一デザインのライトユース向けネイラー(釘打機)も販売されています。「DIYでネイラーを使ってみたい」といった方にぴったりです。
ステープル装填本数:100本(1連)
ステープル足長さ:10・13・16・19・22・25(mm)
使用空気圧:0.5~0.7MPa(3.5~7kgf/cm2)
使用ホース:内径6mm以上
エアーコンプレッサーの関連ツール
ここでは、エアーコンプレッサーには必須のエアーホースから、あると便利なグッズまでご紹介します。
エアーホース
エアーコンプレッサーで圧縮された空気をツールに送るエアーホース。エアーホースにもいくつか種類があり、次のような条件から選びます。
【条件1】高圧用か、一般圧用か
使用しているコンプレッサーに合わせて、高圧用と一般圧(常圧)用のどちらかを選びます。
【条件2】ホースの太さ(内径)
大型トルクレンチのようにパワーが必要なツールを使う際には、内径が大きいホースが必要になります。細いホースを使用すると、ツールがパワー不足で使えなくなるため注意が必要です。
下記のKTCサイトを参考に、用途に合わせたホースの内径を確認して下さい。
・KTC【意外に大事なエアホースの内径】
【条件3】ホースの形状(ストレート、コイル、ドラム)
ホースの形状によって3つのタイプがあります。自分の作業環境に合ったタイプを選びましょう。
ストレートタイプ
オーソドックスなエアーホースです。コンプレッサーから離れた場所でも使用でき、ホースをつないでの延長も可能です。
ただしコイルタイプやドラムタイプよりも片付けがしづらいため、よれにくく柔らかい種類を選ぶことをおすすめします。
コイルタイプ
コイルのように巻かれた部分を、伸縮させて使用するタイプのホースです。柔軟性、弾力性に優れています。手元部分はストレートになっているため、作業の邪魔にはなりません。
ドラムタイプ
ホースが巻き取りドラムに収まったタイプです。コンプレッサーから離れた場所で作業することが可能。巻取り式なのでホースを片付けるのも楽です。
補助タンク
エアーコンプレッサーに接続することで、圧縮空気の容量を増大させ長時間の作業を行うことができます。また中間タンクとして使うことで、釘打機連打時の凍結を防ぐことも可能です。
引用:MAX
補助タンクにも高圧用と一般圧(常圧)用があり、接続するコンプレッサーと合わせる必要があります。ただしメーカーによって接続工具が異なるため、同一メーカーのコンプレッサと補助タンクのみが接続可能です。
圧縮機最高圧力(Mpa):4.4
空気タンク容量(ℓ):5.5
空気取出し口:一般圧カプラ(メス)×1個・高圧カプラ(メス)×1個
連結エアーホース
引用:マキタ
同一メーカーのコンプレッサーを2台持っている場合、連結エアーホースでその2台をつなぐことができます。すると大量の圧縮空気を得ることができ、さらに効率運転になるため1台使用時の3倍以上の作業が可能です。
連結エアーホースもメーカーによって異なります。また、同一メーカーのモデルでも接続ができない場合があるため、詳しくは各メーカーのカタログをご確認下さい。
用途に合ったエアーコンプレッサーで作業を快適に
今回はエアーコンプレッサーについてご説明しました。種類はたくさんありますが、どういったことに使いたいかという「用途から選ぶ方法」がわかれば考えやすいですよね。
エアーツールは、電動工具と比べてパワーがあり、さらにコンパクトです。エアーツールを使いこなすことができれば、あなたの作業環境はずっと広がるはずです。ぜひ今回の記事を参考に、あなたにぴったりのエアーコンプレッサーを見つけて下さい。
※記事の掲載内容は執筆当時のものです。