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建設現場の人手不足が深刻!そのワケと解決する対策を徹底解説!

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建設現場で人手が不足していることをご存知でしょうか。なぜ、建設現場が深刻な人手不足に陥ってしまっているのかという原因、また人手不足を解消できる解決策はあるのか、ご紹介していきます。建設現場の雇用を促進したいと思っている方は、ぜひ解決策を参考にしてみてください!

人手不足な建設現場の現状を把握しよう

まずは、建設現場の現状を把握しましょう。建設現場は1997年以降を境に減少、さらに2016年になると半減、技能労働者もピーク時に比べ100万人以上減ってしまっているのが現状です。このことは、有効求人倍率でも良く分かります。どの業界よりも、建設現場の有効求人倍率が高いのです。有効求人倍率の高さからも、建設現場が人手不足だと言うことが分かります。

建設現場はなぜ人手不足?

建設現場がここまで人手不足になってしまったのには、当然理由があります。なぜ、人手不足になってしまったのでしょうか。対策をしようにも、原因が分かっていないと対策することはできません。まずは、なぜ、どうして人手不足になってしまったのか、原因から探っていきましょう。

原因①若者離れ

人手不足の原因は、若者離れが一番の要因ではないでしょうか。建設業界に入職している人数を1995年と比べると、2010年の時点で7割も減ってしまっているのです。若者にとって、建設業界は「3K」と言われ、「危険・きつい・汚い」と言わばブラック企業のように思われています。

過酷な肉体労働なうえ、休みも週休2日でないこと、危険な作業が多いこと、土や泥、油などで汚れてしまうことから、そう言われてしまっているのです。他業種と比べてもこれは顕著に表れており、55歳以上と29歳以下の働き手の間に圧倒的に差があります。

また、現場での修行も今の若者には向いてないのでしょう。最近の若者は人間関係を最も重んじ、叱られることを嫌います。そういった建設現場が肌に合わないことも若者が離れていってしまっている原因の1つでしょう。

原因②離職率の高さ

建設業界の人手不足には離職率の高さもあげられるでしょう。中でも、低賃金、長時間労働が離職率の高さをあげていると言われています。

2014年の年収を比べてみると、建設業の平均年収は409万円、全産業の平均年収は479万円と建設業の平均年収が低くなっているのが現状です。建設業界の年収が低くなってしまうことにも、きちんとした理由があります。

それは建設業界の給料が月給制ではなく、日給制であることが理由にあげられます。日給制なので、風邪をひいてしまった際の欠勤や、早退、遅刻、悪天候時の仕事の中止など、毎月一定に給料を得ることができません。この不安定さが、全産業の平均年収より低くなってしまっているのです。この日給を時給に換算すると、最低賃金を割ってしまうこともあり、離職率が上がってしまっています。

また、日本の職人には基本的に公的な資格がありません。建設業界だけに言えることではありませんが、資格がないので職人の技量をきちんと評価できるシステムが構築されていないのです。そのため、裁量は所属している会社によりさまざまです。適正な評価をしてもらえないことも離職に繋がってしまっているのでしょう。

原因③リーマンショックの影響

リーマンショックによる経済的な影響も多いとされています。リーマンショックにより建設業界の仕事が激減してしまい、転職できる世代の若者たちがこぞって他業種に転職してしまったことも原因にあるようです。2008年に多くの方が離職してしまい、一気に建設業界で働く方が減ったと言われています。

原因④需要の拡大

2008年のリーマンショック以降冷え込んでしまった建設業界ですが、2011年の東日本大震災や、2020年に開催予定だったオリンピックの建設ラッシュで建設需要が高まり、建設業界も盛り上がりを見せるようになったのですが、その需要に応えられるだけの、人員が十分におらず、せっかく需要があるのに、人手不足のため体制がとれていないことが大きな問題となっています。需要の拡大に応えられるだけの人員確保が何よりも解決しないといけない事柄でしょう。

建設現場の人手不足を解決【雇用促進】

雇用の促進が急務となっている建設現場ですが、どのよう対策をとっていけば雇用に繋がるのでしょうか。いくつか対策をあげてみたので、参考にしてみてください。

対策①イメージを改善

3Kとあまり良いイメージが付いていないので、まずは建設現場のイメージを変えることから始めてみましょう。悪いイメージを払拭するために、建設現場との接点を持つことからはじめているところが多くあります。工業高校の生徒を建設現場の教育訓練センターに派遣をしたり、文系の学生が建設業界との接点を持てるような機会を作ったり、「ゲンバ男子」と言う冊子を作り、建設現場で働き輝いている若者にスポットを当てた雑誌などを作り、イメージを払拭しようと奮闘しています。

対策②待遇を改善

建設業界にとって待遇改善も大きな課題となっています。雇用を促進するのももちろんそうですが、雇用の流出も防がなければなりません。建設業界で求められている待遇の改善には、充実した福利厚生、給与のUP、労働時間の短縮が求められています。待遇の改善なくしては、3Kのイメージの払拭は難しいでしょう。

大手ゼネコンの建設会社は待遇改善が行われてきてはいますが、下請けの零細企業などはやはり待遇改善はあまり進んではいないようです。福利厚生が充実していれば、若者も安心して働けるので社会保険加入をはじめ、福利厚生から充実させていってほしいものです。

対策③適正な仕事量

2020年のオリンピックに向けて需要が拡大した建設業界ですが、人手不足なことも相まって厳しい納期が課せられたようです。工事は天候も左右されてしまうため、悪天候で工事の工程が遅れてしまえば、納期に間に合うように長時間労働を強いられてしまうのです。

納期と工事量、人員のバランスを鑑みて適正な仕事量を請け負う必要があります。人員が不足しており、長時間労働をせざるを得ない仕事量は受けるべきではないのです。

建設現場の人手不足を解決【生産性向上】

建設現場での人手不足解決には、雇用の促進だけでなく、生産性を向上することも大切です。少ない人員でも工事が進むよう、生産性を向上させるというのも1つの方法です。生産性を高める方法をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。

対策④ロボット溶接

梁の下フランジをロボットにより溶接する方法です。これは、複数のロボットを1人の作業員が操作し使用できるので、省人化できます。また、技術者不足の中で、ロボットが正確に溶接をしてくれ、省力化にもなるので生産性が向上すること間違いありません。

対策⑤鉄筋先組み工法

梁や柱など鉄筋を組み立てる必要がある箇所を、予め組んでおく工法のことを言います。この工法を取り入れることにより、納期が3分の1に短縮できたところもあるようです。人手不足により、長時間労働を強いなければならない場合などには、この工法を利用して、少しでも労働時間を減らすことができるでしょう。

対策⑥移動式吊り足場

移動式の足場を組み立てることにより、足場を組む時間を短縮することができます。移動式の吊り足場は2本のラックレールを設置するだけで利用できるので、納期の短縮に繋がります。

対策⑦プレキャスト・コンクリート工法

コンクリート部材の柱や梁を予め組み立てておく工法のことを言います。近年では、柱や梁以外にもこの工法を使用し納期を短縮している建設業者が多数あるようです。

建設現場の人手不足は国も対策をしている

建設現場の人手不足を国も懸念しており、「不当に低い請負代金の禁止」と言う法律を発令しました。下請け業者を守るために、通常必要とされる原価に達していないものの入札をできないようにしたのです。また、建設業者が、労働者の賃金を極端に減らさないようにするため、「一般管理費を一定割合以上にしなければならない」というルールも設けました。

このように、建設現場の人手不足を解決すべく、国も動いているのです。待遇が改善され以前のような活気ある建設現場に戻ると良いですね。

労働環境を改善して建設現場での雇用を広げよう

建設の仕事は私たちの生活になくてはならない仕事です。しかし、悪いイメージが一人歩きしてしまい、人手不足が大きな問題となっています。

雇用促進のためのイメージの払拭や、福利厚生の充実など待遇の改善、労働時間を減少させるため生産性の向上など、国をあげて取り組んでいます。適正な労働評価など待遇を改善し、誰もが働きやすい環境を作り、建設現場での雇用が広がることが、建設業界の人手不足を解消させる問題解決の第一歩でしょう。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。