防毒マスクとは?基礎知識からおすすめ商品まで厳選紹介!
防毒マスクは、有害な物質によって汚染された作業現場で、必ず必要なアイテムです。工事現場や建築現場など、日頃からそういった環境で作業に従事されている方々はもちろん、農薬散布や塗装作業といったDIYでも意外に必要となるシーンがあるのです。
シンナー等、揮発性の高い有機溶剤を取り扱う場合は、必ず防毒マスクを着用しましょう。
健康被害や人命にも関わる、非常に重要なアイテムです。この記事では、防毒マスク(ガスマスク)の使い方や、種類などを初めての方にも分かりやすく解説していきます。また、おすすめの国家検定合格品の防毒マスクも、いくつか紹介してまいりますので是非ご参考ください。
防毒マスクの正しい知識と、正しい使い方を理解して、安全に作業を行いましょう。
防毒マスク(ガスマスク)とは?
画像がダースベイダーのようですが、防毒マスク(ガスマスク)は、面体と吸収缶で構成されています。この吸収缶により、浄化された空気を着用者が吸引する仕組みです。吸収缶とは、取替えのできる”カートリッジ”のようなもので、これによって有害な物質を吸収する仕組みです。その種類も対象となる有害物質により様々で、使い方を間違ってしまえば意味もなくなるのです。
面体とは、顔に装着する部分のことを指します。画像のような顔全体を覆うものと、普通のマスクのように鼻と口部分だけを覆うものもあります。
防毒マスクには、使用できる作業環境というものも定められています。
- 酸素濃度18%以上の環境であること
- 使用する防毒マスクに対し、環境空気中の有毒ガス等の平均濃度を超えないこと
- 常温・常湿・常圧の環境であること
2.に関して労働安全衛生法の定める指標を簡単にまとめると
- 直結式小型 0.1%
- 直結式 1.0%
- 隔離式 2.0%
の、ように定義されています。
また、吸収缶には、有害物質の種類に応じて、外部の側面が色分けされています。
これからご自身が行う作業によって、どのような有害物質が発生するかを把握しておく必要があります。
種類 | 色 |
ハロゲンガス用の吸収缶 | 灰色及び黒色(二層に分ける) |
有機ガス用の吸収缶 | 黒色 |
一酸化炭素用の吸収缶 | 赤色 |
アンモニア用の吸収缶 | 緑色 |
亜硫酸ガス用の吸収缶 | 黄赤色 |
このように、有害物質によって色分けされています。そして、これら吸収缶には使用期限があります。必ず、説明書と破過曲線図をよく読んでから使用しましょう。
※破過曲線図については後述します。
防毒マスクの種類
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防毒マスクは大きく分けて3つの種類に分かれます。
- 直結式
- 直結式小型
- 隔離式
この3つの種類に分類される「防毒マスク」を、1つずつ詳しく説明していきます。
種類①直結式
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直結式は、面体(マスク本体)と吸収缶を直接取り付けるタイプの防毒マスクです。低濃度、中濃度ガス用の吸収缶が使用できます。
画像のような、口と鼻の部分だけをカバーするものから、顔全体を覆う「フルフェイスマスク」タイプのものもあります。ちょっとカッコイイです。
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換気が良くない作業現場や、大量に発生する有害物質などに応じて使い分けるといいでしょう。目に刺激を与える有毒ガス(アンモニアなど)の場合は、「フルフェイスマスク」タイプを使用すれば、別でゴーグルを用意する必要もありません。
直結式は、「低濃度や中濃度ガス用の吸収缶を使用できます」と述べましたが、高濃度(濃度1.8%以上の有毒ガス)に対応できる大型の吸収缶を装着できる直結式タイプもあります。
種類②直結式小型
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直結式小型は軽量で、家の外壁の塗装作業などに適しています。構成は直結式と同じで面体に直接、吸収缶を取り付けるタイプです。低濃度ガス用の吸収缶を用いるため、”直結式小型”と呼ばれています。
低濃度の有機溶剤(シンナー等)を使用する作業用に、吸収缶と面体が最初から一体になった”使い切りタイプ”もあります。DIYなど、一回の作業でしか使う予定がない人には非常に便利です。
種類③隔離式
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隔離式防毒マスクは、面体と吸収缶が連結管で繋がったものです。ネーミングの通り、隔離(離れている)しているので大型の吸収缶を使用することができます。高濃度のガスに対応できる吸収缶を使用したり、作業途中で吸収缶が取り替えられず、長時間になる時に使用します。
DIYなどではなく、高濃度のガスが漂う本格的な防御が必要な作業向けです。
防毒マスクの選び方
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防毒マスクは、基本的には大きく分けて直結式、直結式小型、隔離型と、3種類のタイプです。まず、作業の内容により発生する有害物質に応じて、吸収缶を選択しなければなりません。それに見合った面体タイプ、作業効率などを踏まえて軽量で機能的な種類のものにするかどうか?ですね。
画像のように、吸収缶を2つ取り付けることができる「デュアルタイプ」もあります。「デュアルタイプ」のメリットは、シングルタイプの防毒マスクと比べて約2倍の作業時間を確保できます。また、呼吸もしやすいという点もあります。
選び方①種類
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ここまでで、解説してきた鼻と口を覆う半面形タイプや、顔全体を覆うフルフェイスタイプ、または、使い捨てタイプの防毒マスクもあり、こちらは衛生面でとても優れています。
選び方②吸収缶の数
先ほど紹介した「デュアルタイプ」では、2つの吸収缶を取り付けることが可能です。一般的には、1つの「シングルタイプ」と比べて、約2倍の時間を使用することができます。長時間の作業時にもってこいですね。
また、先ほども述べていますが「デュアルタイプ」は「シングルタイプ」より呼吸がしやすい、というメリットがあります。高地などの酸素が薄いところ、または呼吸が荒くなるほど体を動かす作業時などでオススメです。
吸収缶の仕組みを理解しよう
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吸収缶は、いわばフィルターのような役目を担っています。冒頭で解説しましたとうり、吸収缶は対応する有害物質によって分けられています。そして法令により、ハロゲンガス、有機ガス、一酸化炭素、アンモニア、亜硫酸ガスの5つについては、側面に決められた色で色分けがしてあります。
吸収缶の色分け表👈表の再確認はこちらへ
では、吸収缶がどのようにして有害物質を無毒化しているのでしょうか?
吸収缶には、有害物質の種類に応じて3つの除毒方法があります。
- 物理吸着(有機ガスなど)
- 化学吸着(ハロゲンガス、酸性ガス、アンモニア、亜硫酸ガスなど)
- 触媒反応(一酸化炭素用)
詳しい説明をすると、化学の難しい理論となります。簡単に説明できる範囲でまとめてみました。
- 物理吸着とは、空気中の有毒ガスを活性炭などで吸着して、無毒化する原理です。
- 化学吸着とは、有毒ガスを金属酸化物やアルカリ剤などで中和して、吸着させる原理です。
- 触媒反応とは、有毒ガスを酸化などにより無毒化したり、吸着させやすい物質に変換させる原理です。一酸化炭素用では、ホプカライトと呼ばれる吸収剤の触媒作用により、毒性の低い二酸化炭素に換えて無毒化しています。
このように、有害物質の種類で除毒方法も異なるのです。そのような事から、防毒マスクを使用する際、この吸収缶を取り違えると防毒マスクの意味がなくなってしまいます。重大な事故にもなりかねないことですので、対象の有害物質は必ずご確認してください!
そしてもう一点、吸収缶には使用期限があり、機能が低下した状態を破過といいます。濃度と時間でグラフ化された「破過曲線図」というものが説明書関係と一緒に同梱されているので確認しましょう。使用期限内に使うことはもちろん、使用期限内であっても一度使用したものは、再利用せずに廃棄しましょう。
選び方③国家検定合格品
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画像中央の3つのステッカーに「国(’19)検」と記載されています。これが、国家検定に合格した証、「合格証」です。吸収缶で色分けされていた、ハロゲンガス、有機ガス、一酸化炭素、アンモニア、亜硫酸ガスには、この国家検定に合格した防毒マスクを使用しなければなりません。
画像のように、すぐにわかる位置に合格証のステッカーは貼られています。
防毒マスクの正しい使い方
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防毒マスクは、正しい使い方をしないと、その機能を発揮することができません。確認事項と正しい使い方のポイントをチェックしていきましょう。
- 作業によって発生する、有毒ガスの種類を確認する。
- 国家検定合格品か、合格証の確認をする。(防毒マスク、吸収缶)
- 面体と締めひも、面体との結合部に劣化はないか確認する。
- 吸収缶が、発生するガスに対応しているかどうかの確認をする。
- 吸収缶の使用期限、破過曲線図の確認をする。
まず、上記の5点を確認します。次は使い方のポイントです。
- まず、後頭部に締めひもをかけます。
- 締めひもを引っ張って、顔と面体を密着させます。
- 吸気口を手でふさぎ、息をゆっくりと吸い込み、隙間から漏れがないかチェックする。
しっかり密着させないと、隙間から有毒ガスが入り込んでしまいます。重大な事故につながるので、完全な密着を心掛けてください!なお、フィットチェッカーというアイテムを使う方法もあります。
防毒マスクの保管方法もしっかり確認!
面体の締めひもを、フックなどにかけての保管はやめましょう。締めひもが伸びて、伸縮性が失われる可能性があります。そして、使い終わったら乾いた布か、軽く湿らせた布で面体、締めひも、吸気弁と排気弁を拭いて保管します。
吸収缶は、”常温保存の食品”と同等の保管方法と心得ましょう。未開封でも、高温多湿や直射日光は避けるようにしてください。使用した場合は、栓があれば栓をして、栓がなければ密閉できる容器に入れ、未開封の時と同様に高温多湿と直射日光を避けて保管しましょう。
おすすめの防毒マスク5選
防毒マスクには、非常にたくさんの種類があります。簡易的に防御する低濃度用のものから、本格的に防御する必要がある、高濃度用のものまで様々なタイプがあります。それぞれのシーンに合った、防毒マスクが各メーカーから発売されています。ここから、この記事でおすすめする5つの防毒マスクをご紹介していきます!
おすすめ①3M 吸収缶 3000シリーズ
3M 防毒マスク 面体 HF-51 (S/Mサイズ)+3M 吸収缶 3000シリーズ 有機ガス用
重量はわずか89グラム
適応ガス:有機ガス
通気抵抗(平均実測値):92Pa
除毒能力(平均実測値):244分
軽量設計の面体と、吸収缶、2つセットの商品です。適応するのは、有機ガスです。有機ガスとは、アルコールやアセトン等の有機溶剤から発生するガスです。除光液の主成分でもある”アセトン”は非常に高い揮発性があり、常温でも蒸気となります。また、引火性の強いガスでもあるのです。
その有機ガスに対応する吸収缶がセットとなっております。
おすすめ②3M有機溶剤作業用マスク
セット内容:3M 面体 1200 1個、3M 有機ガス用吸収缶 3301J-55-S-1 1個
用途:塗装作業(刷毛塗り)、有機溶剤での洗浄作業、有機溶剤取扱い作業
重量:面体 54g、吸収缶 55g
適用ガス:有機ガス
除毒能力(平均実測値):146分
使い捨てタイプの、塗装作業用防毒マスクです。シンナーなどの有機溶剤を使用する塗装作業は、DIYでも度々あることです。お手頃の価格でもあるので、初めて防毒マスクを使用する方にも、おすすめの商品です。
おすすめ③3M 6000 半面形面体
3M 防毒マスク 半面形面体 6000 ラージ 国家検定合格品
ダイオキシン類作業保護具の区分レベル2に対応しています
3MTM 送気マスクデュアルエアラインSA-2100 と組み合わせることにより送気マスクとしてもご使用いただけます
推奨用途:ダイオキシン類/塗装/粉じんと有毒ガスがある環境下での作業(吹き付け塗装; 自分は粉体だけど周囲で有毒ガス)
国家検定合格品。吸収缶を2つ付けられるデュアルタイプの防毒マスクです。4点支持の締めひもで、高い密着性を実現しています。軽量、2つの吸収缶なので、長時間の作業にも最適の防毒マスクです。
おすすめ④重松製作所 防毒マスクGM77
信頼できる、日本の防毒マスクメーカーシゲマツの商品です。こちらの商品は、吸収缶は別売りですので、作業で発生が予測される有毒物質によって吸収缶を用意しましょう。紹介している商品はMサイズですが、Sサイズ、Ⅼサイズもあります。軽量コンパクトで、女性の方にも扱いやすい防毒マスクです。
おすすめ⑤興研 防じん機能付き防毒マスク
興研 防じん機能付き防毒マスク 7191DKG
防じん機能付き防毒マスク(有機ガス+粉じん)
マスクを装着したまま会話や指示が行える伝声器付
7191DK(国家検定合格第TM210号 / 区分RL3)としても使用できます。(フィルタ別売)
規格:L3 /
しめひも:タイプXDB / 質量(面体のみ):165g以下
対応吸収缶(別売り):RDG-5型、KGC-15型、RDG-7型(各2個)
防じんマスクに力を入れている興研の国家検定合格品です。このマスクの大きな特徴は、伝声器がついていることです。大勢の人数での作業や、会話が必要となる現場で便利な防じん機能付き防毒マスクです。2つの吸収缶を取り付けることができる、デュアルタイプなので長時間作業もOK。
塗装や農作業の際には防毒マスクが手放せない!
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「防毒マスク」は、適材適所で選ぶことが重要です。揮発性の高い、有機溶剤を使用する塗装作業や、人体に有害な物質を含む農薬散布作業には「防毒マスク」が欠かせません。DIYでも、このようなシーンは多々あることですね。あなたの作業は大丈夫ですか?
近年では、ドローンを使って農薬散布を行うシーンを見かけますね。上空から大量に降りそそぐ、有害物質等を吸い込まないために、防毒マスクをしっかり着用しましょう。
また、趣味で模型を塗装するときや、車の一部などを塗装するとき、家の外壁などを塗装するときといった場合も、扱うものによってはしっかり防毒する必要のものもあります。「少量だからいいだろう」というのは油断禁物。始めは何ともなくとも、蓄積されて症状がでる例があるがあるのです。
作業前に必ず、使用する薬品、薬剤をしっかり確認しましょう。それに見合った、防毒マスクと吸収缶を選びましょう!それと、換気も忘れずに!
最適な防毒マスクを着用して、楽しく安全にDIYライフを満喫してください。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。