工具の基礎知識まとめ!種類から正しい使い方まで徹底解説!
工具と言えば、人によって様々な物が思い浮かぶことでしょう。作業ではネジを回したり、ボルトやナットを回すなどの作業が行われますが、それぞれ適切な工具を用いる必要があります。その為、工具の種類も多岐に渡ります。今回は、そんな数多くある工具たちの種類、そして使い方を解説します。
目次
工具の基礎知識!種類を知ろう!
種類①ドライバー
まず1つ目はドライバーです。締緩作業、つまりネジなどの部品を回して締めたり緩める際に必要になる工具で、種類は先端の形状に依ってプラスドライバー、マイナスドライバー、そしてトルクスレンチの3種類に大別されています。
プラスドライバーはプラスのネジを、マイナスドライバーはマイナスのネジを回し、トルクスレンチはトルクスネジと呼ばれる特殊なネジに対応します。昔のネジはマイナスの形状が主であったため、マイナスドライバーが多く用いられていました。
しかし、現在は家電や自動車などの様々な製品に拘束力も作業効率も高い十字穴のネジが用いられるようになり、プラスドライバーが台頭しています。トルクスレンチ関しては主に欧米で多用され、安易に手を触れてはいけない場所に使われます。
種類②スパナ・レンチ
続いては、スパナ・レンチです。両方ともボルトやナット等の留め具を取り付ける、反対に緩めて取り外すといった作業に使う工具で、主に機械や自動車、そして建築など非常に幅広いシーンで使われています。
スパナは2つの面で留め具を挟んで回すという方法で、必ず口の片側が開いていますのでスピーディーな作業を可能としています。片口、両口のスパナがありますが、強力な締め付けを要する際は打撃スパナと呼ばれる種類が効果的です。
続いてレンチも同じくボルトなどの留め具を締め付け、緩めるといった作業に使う工具ですが、こちらは口部で留め具を挟み込んで回します。ラチェット、トルクス、めがね、モンキーなど種類も幅広く、そのサイズもレンチ同様様々です。
種類③ペンチ
ペンチは、切断や物をつかむ機能を持つ工具です。後述するニッパーと形状は似ていますが、こちらは切断よりも物をつかんだり、曲げる、引っ張るといった様々な動作が行える、汎用性の高い工具とも言えます。
電気関係や針金細工、板金等に用いられる事が多く、物をつかんだ時に滑らない様「くわえ部」と呼ばれる凸凹のスジがあります。これに依って、ニッパーでは出来ない強く掴む動作を可能とし、素手では曲げられない硬いものでも曲げられます。
種類④ニッパ
続いてニッパーは、切断する事に特化している工具です。前述した通りニッパーとペンチは似ていますが、ペンチがつかんだり曲げたりといった動作も出来るのに対し、ニッパーの役割は銅線などのつかめる物を切断するのみです。
これだけ聞くと融通の利かない道具のようにも思えますが、特化している分切断する能力は他の工具よりも優れており、特に切断能力が高いニッパーは太いものでもピアノ線の様な細く頑丈な線でも切れる程の切れ味を発揮します。
プラモデルの制作に使うプラスチックニッパー、刃の厚い強力ニッパー等、種類も豊富でそれぞれ適した用途があります。使用する際は、使う用途に合わせて適切な種類のニッパーを使うことで作業をスムーズに進められます。
種類⑤プライヤ
最後はプライヤーです。コンビネーションプライヤーとも呼ばれるこの工具は、材料をつかむ、回す、切断するなど様々な用途に利用可能です。機能は様々ありますが、一番の機能は掴むことにあります。
この工具の最大の特徴は、支点の部分をずらして咥える部位の開き具合を変えられる事です。プライヤーの一種にウォーターポンププライヤーと呼ばれるものがありますが、これは咥える部分が30度曲がっています。
くわえ部が曲げてあるのは、その方が支点をより広く移動させることが出来、結果としてくわえ部を大きく開けられる為です。水道、配管作業といった、太いパイプを利用するのが想定される場面で重宝されています。
工具の種類と使い方【ドライバー】
ドライバーの刃先の種類
ここからは、それぞれの工具の使い方などを解説しましょう。まずドライバーについてですが、既に紹介した通り対応するネジに合わせてプラス、マイナス、そしてトルクスレンチの3つの種類があります。この内トルクスレンチについては一般的な作業で使う事はほぼありませんので、刃先が一文字になっているマイナスか十字のプラスドライバーのどちらかを使う事になります。
金属製の本体が握る柄の内部に入っていますが、途中までしか入っていないものを普通形、先端まであるものを貫通形と呼びます。貫通形は柄の先端部分が硬い為、これをハンマーの様に使ってネジを緩める使い方が出来ます。
ドライバーの使い方
構造がシンプルである為、感覚的に使っている方も多いでしょう。それで大抵合っている事もありますが、正しい使い方を覚えればより効率よく作業を進められます。まず、ドライバーはネジを押しながら回していきます。
回す際には、ネジに対してドライバーは一直線上に配置し、ズレない様にします。回転させる際、軸がネジと直線になっていないと回す勢いで外れたり、ネジが斜めに刺さる事がある為です。毎度確認しながら行いましょう。
実際に回して使う前に、ネジに適合しているドライバーかどうかは必ず確認しましょう。大きすぎても小さすぎても、作業中にドライバーが外れやすい、溝が損傷を受けるなどのトラブルを引き起こしやすくなります。
マイナスドライバー使用時の注意点
基本的には前述の使い方を覚えておけばしっかりネジの締め付けと緩める作業が出来ますが、マイナスドライバーの運用に当たって注意する事があります。それは、先端部がネジのすり割りの幅に合致するものを使う必要があります。
先端の幅がすり割りよりも大きいと、すり割りに入らずにネジを回すこと自体できなくなります。反対に小さい場合は、完全にすり割りに先端が入って回す事は出来ます。しかし、サイズがあっていないために外れやすく、すり割りも損傷します。
実際にマイナスドライバーを使う際は、先端部分がすり割りよりも大きいものから順番に挿し、幅が一致するものが分かったらそのサイズのドライバーでネジを回します。回す際、ネジの中心部分をとらえながら回すと効率が良くなります。
工具の種類と使い方【スパナ・レンチ】
スパナとレンチは名前の由来の違いがある
スパナ、レンチ共にボルト等の留め具を締緩させる工具である事は同じですが、名前は異なります。「レンチ」はアメリカ英語で、スパナはイギリス英語ですが、辞書で見てみると両方ともボルトを締める工具という意味合いを持ちます。
日本では、口部の先端が開いているものをスパナ、開いていないものはレンチと呼ばれますが、明確な定義がある訳でも無い様です。実際に使う際は、やはり用途に適したものを選択する事が大切になります。
スパナ・レンチの種類
続いて種類についてですが、まずスパナには片方にだけ口部があり柄が長めの片口タイプ、そして両方に口部がある両口タイプがあります。また、打撃スパナと呼ばれる強い締め付けが出来るものも存在します。
続いてレンチですが、こちらの種類はスパナと比較しても豊富に存在します。例えば「めがねレンチ」は両端に口部がありめがねの様な見た目をしており、コンビネーションレンチは片方にスパナ、片方にレンチの口部を持ちます。
更に、見た目はスパナの様ですが口部を緩めて大きくしたり小さくし、様々な留め具のサイズに合わせられるモンキーレンチ、先端のソケットを好感して使うソケットレンチ、そして車両などに使われる留め具に対し、適切な締め付け具合で締めるトルクレンチなどがあります。
スパナ・レンチの使い方
スパナもレンチも、ボルトなどを回す工具ですが、実際に使う中で大切なのは「奥までしっかり挿して使う」と「斜めがけで回さない」「留め具に合ったサイズを使う」の3点です。前2つは、例え奥まで挿さず、斜めでも留め具は回せるので問題無いと思うかもしれません。
確かに留め具は回せるでしょう。しかし、工具側には目には見えなくとも負担が掛かっており、接触する面積が少ないと負担になるのです。逆に、しっかり留め具に掛けた状態なら十分な強度が出ますので、必ずしっかり挿して留め具に嵌まるように使いましょう。
そして、留め具のサイズに合致するものを使うのも大切です。規格の異なるレンチやスパナでは、留め具をうまく締められない、緩められないだけでなく、留め具を損傷させる事もあります。
スパナ・レンチの選び方
前述した通り、スパナ、レンチを使う際には正しい使い方をするのはもちろんの事、留め具のサイズに適切なものを選ぶ事が重要です。レンチなら様々なサイズに適応するものもありますが、スパナの場合対応する留め具のサイズは1つの為、より注意が必要です。
両方とも、事前にボルト、ナットのサイズを知っておくと間違いがなくなります。また、サイズの違う工具では留め具が潰れて回せなくなる事もあります。サイズはもちろん、締める力を細かく調整できる機能があるとなお良いでしょう。
工具の種類と使い方【ペンチ】
ペンチの種類
ペンチで代表的な種類と言えば、電気工事などで用いられる電工ペンチです。挟む部分が大きめである為細かい作業には向いていませんが、パイプやケーブルなど太い物を持ったり、針金などを切断できます。
一般的にペンチと言えば電工ペンチが挙げられますが、先端が細く細かい作業向きのラジオペンチ、配管工事などで使われるウォーターポンププライヤー、潰れたネジでも先端を使って回せる特殊ペンチなどがあります。
ペンチの使い方
実際にペンチを使う際は、片方の柄に親指をかけて人差し指と中指は柄の内側にかけます。薬指、小指を柄の間にして使えば、楽に開閉できます。柄の先端を持つと、より強い力を加えられます。
持つ機能を始めとして様々な用途に使えるペンチですが、針金などを切る作業に使いたい際はかなり大きな力を加える必要があります。構造上力を相当加えても耐えられる設計ですから、こじったりせずそのまま力で切断します。
ペンチ使用時の注意点
スパナやレンチは留め具に合致したサイズのモデルを使う事が大切と紹介していますが、ペンチでも同様に掴むもののサイズに合ったものを使う事が求められます。ペンチに依って、開ける角度や力の加えやすさが異なります。
例を挙げれば、針金を切断する作業が主であればラジオペンチのように先端が細く切断に向いているものを、水道管を修理するのならウォーターポンププライヤーを使うと、最もやりやすいです。
工具の種類と使い方【ニッパ】
ニッパの種類
切断する事が用途となるニッパーには、電光ニッパーのような刃が強化され切れ味が高いもの、太い刃を持ち針金や電線の様な分厚い線でも切れるタイプ、プラモデルの制作などプラスチックを切断するのに特化したプラスチックニッパーなどがあります。
その他、柄に対して刃の部分が斜めについている斜ニッパーや、刃が垂直に付いているエンドニッパーなどがあり、その使い方もピアノ線でも切れる切れ味を活かし、切りにくい線を切断するものや釘の頭を切断できるものなど様々です。
ニッパの使い方
こちらもやはり、用途に合わせて使用するニッパーの種類を選択する事が重要です。ニッパーの場合切断をするのに用いられますから、考えるべきは切る対象の素材です。柔らかいものもあれば、細く頑丈な線を切断する事もあります。
種類が豊富な為、ある素材を切るのには向いていても、他の素材を切断するのには難儀する時があります。いろんな用途に使いたい場合は切れ味が高い物を、予め切断するものが分かっているのなら、特化した種類のニッパーを選択するべきです。
工具の種類と使い方【プライヤ】
プライヤの種類
挟む機能が主でありながら、ペンチよりも開口部が大きくなるプライヤーは、コンビネーションプライヤーが代表的です。開口部は大きく開き、丸い材料もつかめる凹凸のアゴ部分、そしてより大きく口を広げる為の軸移動機構を備えます。
また、ウォーターポンププライヤーは水道などの大きなナットを取り付け、取り外す際に用いられ、バイスプライヤーは自由な開き具合でつかむ圧力を保ってロックが出来ます。
プライヤの使い方
プライヤーを使う際は、大きな開口幅に対して握りやすいハンドル角度で持つ事がポイントとなります。凹凸のあるアゴ部分は、平板なら平らな箇所を、パイプなどの材料の場合は丸くなっている箇所を使います。
レンチなどの様にナットを回す使い方も出来ますが、留め具の形状を変えてしまったり、傷が付く事がある為推奨はされていません。それでも使わなければならない場合は、握り幅を狭くして口を締めながら回します。
工具の基礎知識を知って正しく使おう!
感覚的に使い方の分かる工具でも、実は正しい使い方は大きく異なっていたかもしれません。基礎知識を事前に覚えておけば、もっと工具は扱いやすくなります。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。