バックホーとユンボの違いって?重機詳しく解説!
みなさん、こんにちは。
前回、クラムシェルについてお話をしました。そして、そのなかでショベル系掘削機の種類についても説明しました。
今回は、掘削機としても活躍しているユンボについてお話していきたいと思います。
重機にはさまざまな種類があり、呼び方も多くあるため、重機の違いがわからないという方は多いかもしれません。
ここでは、ユンボとバックホーの違いから、ユンボが活躍する作業工程、さらにはユンボを操作、運転するために必要な免許、資格について説明していきます。
バックホーとユンボの違いについて
バックホーとユンボの違いとは何でしょうか?それぞれについて説明していきたいと思います。
ユンボとは
ユンボとは、油圧ショベルという建設機械のことを指します。
「ユンボ」という言葉は、土木、建築、産業関連機械を中心におよそ105万点もの商品をレンタル、自社商品の開発、製造、そして販売を行っている「レンタルのニッケン」という会社の登録商標となっています。
現在、油圧ショベルを表す言葉として、「ユンボ」という名称は全国的に広まっています。
これは広告する際に文字数が少なくて済み、狭いスペースに広告を掲載する際にも都合が良かったためといわれてるようです。
ユンボという名称の詳しい語源
昭和30年代の日本は、ほとんど重機製造をしておらず、海外からの輸入に頼っていました。
そんな中、新三菱重工(現:三菱重工業)がフランスにあるシカム社という会社から技術提供を受け、Y35という機種を製造しました。
そしてこのY35の名称を、シカム社の商品名である「ユンボ」として販売をしたところ、性能がよく、評判も高かったことから、油圧ショベル全体を表す言葉として土木建設業界を中心に広まっていったといわれています。
バックホーとは
バックホーは、back(後部)とhoe(くわ)が語源となっており、この2つの単語が合わさりバックホーといわれています。
こちらも油圧ショベルという建設機器を指しており、「バックホウ」という単語で日本の行政用語として扱われています。
ユンボもバックホーも同じ「油圧ショベル」
ユンボ、バックホーともに油圧ショベルであり、実体はほとんど同じです。
油圧ショベルは、建設機器メーカーの商品名が一般的に使われているため、呼び方はそれぞれ異なり、前述にもありますが、ユンボはレンタルのニッケルの登録商法、バックホーは行政用語となっています。
その他にも、パワーショベルやショベルカーなどもありますが、すべてほとんど同じ重機です。
メーカーによって名称が異なるため、社団法人日本建設機械工業会が「油圧ショベル」と、名称を統一するよう提唱し、現在は「油圧ショベル」が定着しつつあるようです。
ユンボの様々な活躍場所
実際に、ユンボはどのようなところで活躍しているのでしょうか?
ユンボはさまざまな場所で活躍しているので、順番に見ていきましょう。
ユンボの活躍場所①解体作業
通常ユンボは、ビル・住宅など建造物の解体作業や釣り作業を行う際に活用されています。
しかもユンボには、さまざまな大きさのサイズがあるため、建物の大きさや作業するスペースに応じて、ユンボのサイズを使い分けすることができます。
ユンボの活躍場所②掘削作業
土木工事で土を掘ったり、山を削ったりしている建設機械を見たことがある方は多いかと思います。
このような掘削作業でもユンボは使用されており、土木工事や農林業でも活躍しています。
ユンボの活躍場所③産業廃棄物の分別や積み下ろし
ユンボは、廃棄物処理場での廃棄物の分別作業や、積み下ろしの際にも活用されており、産業廃棄物処理業でも活躍しています。
ユンボの活躍場所④整地や法面の整備
ユンボが活用されているのは、解体作業や掘削作業だけではありません。
土地を均すための整地作業や、盛土などで作られた斜面を整備するための作業でも活用されています。
車体の前方の下部に、土砂を押し出したり、均したりするための板である「排土板」を装着することで、このような作業が可能となります。
ユンボを操作するために必要な資格や免許
ユンボは、さまざまな場面で活躍しているということが分かったかと思います。
では、実際にユンボを操作、運転するためには、どのような資格が必要なのでしょうか?
ここでは、ユンボを操作、運転するために必要な資格、免許を説明していきます。
ユンボの操作にはどんな資格が必要?
ユンボを操作、運転するためには、「自動車免許」と、「小型車両系建設機械の運転の業務にかかる特別教育」あるいは「車両系建設機械運転技術講習」どちらかの資格を取得しておく必要があります。
まず自動車免許は、一般道路でユンボを運転する際に必要な免許です。
そして、車体総重量によって免許の種類が異なります。
免許 | 車両総重量 |
---|---|
普通自動車免許 | 3.5t未満 |
準中型自動車免許 | 3.5t以上7.5t未満 |
中型自動車免許 | 7.5t以上11.0t未満 |
大型自動車免許 | 11.0t以上 |
次に、工事現場など、道路ではない不特定の場所でユンボを操作、運転する場合は、「小型車両系建設機械の運転の業務にかかる特別教育」あるいは「車両系建設機械運転技術講習」のどちらかの資格が必要となります。
どちらの資格が必要になるかは、操作、運転するユンボの重量差で決まります。
小型車両系建設機械の運転の業務にかかる特別教育 | 3t未満の車体 |
---|---|
車両系建設機械運転技術講習 | 3t以上の車体 |
無資格で運転してしまった場合
免許、資格がないのにユンボを操作、運転してしまった場合は、厳しい罰則があるので覚えておく必要があります。
ユンボで一般道路を走行する際に、自動車免許を持っていなければ、道路交通違反となり、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金、さらには免許取り消しとなってしまいます。
そして、「小型車両系建設機械の運転にかかる特別教育」あるいは「車両系建設機械運転技術講習」の資格を持っていないにも関わらず、工事現場などでユンボを操作、運転してしまった際に、万が一事故を起こしてしまった場合は、現場の責任として代理人の方が逮捕されてしまう可能性があります。
もし無資格でユンボを操作、運転した場合は、自身だけでなく他の人も罰則を受けるので、無資格でのユンボの操作、運転は絶対にしないでください。
私有地でのみ資格がなくてもOK
資格がなくても、ユンボを操作、運転しても良い場所があります。それは、私有地です。
私有地は、道路交通法が適応されません。そのため、資格を取得していなくても、操作、運転ができるのです。
ここで注意しなければいけないのは、たとえ私有地であったとしても、解体や工事などの業務としてユンボを操作、運転する場合は、労働安全衛生法に基づいて資格を取得しておかなければいけません。
私有地でのユンボの操作、運転の際は、必ずしも資格は必要ありませんが、もしユンボをレンタルする際は、安全を確保するために、資格の提示する必要があります。
ユンボの資格の取り方
ユンボに必要な資格が分かったら、次は資格の取得の仕方について説明していきます。
ユンボの資格取得のプロセス
ユンボの資格取得の仕方は、ユンボの重量差で異なります。
まず3t以上の資格である「車両系建設機械運転技術講習」を取得するためには、指定の教習所で講習を受ける必要があり、学科試験、実技試験に合格しなければ、資格取得とはなりません。
およそ13時間ほどある学科講習は、操作、運転に必要な一般事項や走行、作業に関する装置などについての内容となっています。
そして、学科講習修了したら、学科試験を受け合格する必要があり、試験を合格すると、次は実技講習があります。
実技講習は、おもにユンボの操作、運転についての内容となっており、およそ25時間の講義時間となっています。そして実技講習後にある実技試験に合格すると、晴れて「車両系建設機械運転技術講習」取得となります。
次に、3t未満の資格である「小型車両系建設機械の運転にかかる特別教育」の資格取得について説明します。
学科講習内容は、「車両系建設異界運転技術講習」の内容とほとんど同じですが、小型車両についてだけであるため、講習時間は6時間と短くなっています。
しかも、講習修了後の試験はなく、学科講習、実技講習合わせて12時間ほどの講習を受講、修了することで資格を取得することができます。
ここで、特定の免許を取得していると、学科講習、実技講習が免除されることがあります。そのため、特定の免許を持っている方は、一度指定の教習所で確認してみると良いでしょう。
資格を取る際に必要な費用
資格を取得に必要な費用も、ユンボの重量差によって異なります。
3t以上の資格である「車両系建設機械運転技術講習」を受講するためには、40,000円ほどかかります。これに加え、テキスト代などを含めると、合計46,000円ほどになります。
次に、3t未満の資格である「小型車両系建設機械の運転にかかる特別教育」を受講するためには、15,000円ほどかかります。こちらもテキスト代などを含めると、合計17,000円ほどになります。
重機の免許に関する注意点
ユンボの免許で知っておきたい注意点について、説明していきたいと思います。
注意点①作業用と移動用の免許は違う
ユンボの操作に必要な資格の部分でも、説明していますが、「小型車両系建設機械の運転にかかる特別教育」あるいは「車両系建設機械運転技術講習」は、工事現場などの不特定の場所で操作、運転に必要な資格です。
つまり、一般道路での運転はできず、そのために必要な免許は、自動車免許です。
もし、必要な自動車免許をもっていない場合は、トラックやトレーラーなどにユンボを積んで移動させる必要があります。
ただ、ユンボを移送するためのトラックやトレーラーなどを運転するためには、大型特殊免許が必要となります。
注意点②失効してしまった場合
取得していた免許が失効してしまった場合は、再発行の手続きをする必要があります。
再発行の手続きをする場所は、警察署、運転免許センター、または運転試験所となります。
そして免許取得の際、技能講習などで取得した資格については、再発行をするときに試験を受けた機関で行いましょう。
もし、かなり前に免許を失効していてはっきり覚えていないという場合は、各都道府県の労働局に確認をしてください。
あるといろいろ活用できるユンボの資格を取得してみよう
いかがでしたか?
ユンボはさまざまな場面で活用できます。
ユンボといっても、サイズはさまざまです。
小さいサイズであれば、自宅の庭など敷地内で操作、運転も可能かと思います。
重機を使用する職業に就いている方だけでなく、私有地での整地や積込などの作業をしたい方は、ぜひユンボの資格取得を検討してみてはどうでしょうか。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。