CVTフルードって何?交換時期からおすすめオイルまで徹底解説!
車であれば、オートマチックでもマニュアルでも、ミッションが入っている限り変速を行っています。こうした機構のある自動車の中には、変速機構の中にCVTフルードと呼ばれる潤滑剤が用いられるものもあり、毎度の走行で欠かす事の出来ない部品となります。今回は、そのCVTフルードの役割などを解説します。
CVTフルードとは
運転手自らギアの切り替えを行うマニュアル車、自動的に切り替わるオートマチック車は、双方必ずミッションが搭載されています。当然自動車はエンジンの力を動力源として走っていますが、坂道などでは高いギアのままだと走りにくい為、下のギアに切り替えるなどの作業を行います。
こうした各々のギアの変化を行う際には、必ず専用の油であるCVTフルードが用いられます。ギアは当然金属部品の集まりである為、これらをスムーズに動かす為、潤滑剤となるフルードが作用しています。
主なフルードの役割としては3つ挙げられ、1つはエンジンが発したパワーをタイヤへと伝達させられる様潤滑に動かすこと、1つはエンジン内部にある各装置を、油圧によって作動させること、そしてもう1つは、エンジン内部が焼き付くのを防止する事です。
CVTフルードのはじまり
CVT=「Continuously Variable Transmission」は、日本語で訳せば「無段階変速機」です。ミッション、オートマチックでは歯車を用いて切り替えを行いますが、CVTの場合プーリー、つまり滑車の幅を変える事で変速を行います。
元はスクーターや原付、現在多く普及する軽自動車といった、比較的小さな力を発揮する自動車に用いられていました。最初こそ強い力を発揮するエンジンに耐えられませんでしたが、技術の進歩によりベルトの強度は増し、一般の乗用車、SUVなどにも普及しています。
CVTフルードの仕組み
仕組み②プーリーの構造
前述した通り、CVTは歯車の噛み合わせを変化させての変速をするのでは無く、プーリーの幅を変えて最適な状態を作り出します。二つの円錐が向かい合うような構造をしており、これらは油圧の力でくっつく、離れるを繰り返します。
詳しいギアチェンジの仕組みについては後述しますが、エンジンの回転軸、プーリーの回転軸はそれぞれ直径を変化させ、現在走っている速度等に応じて調整を行えるのです。
仕組み②変速
CVTを構成しているのは、前述した円錐状のプーリー、そしてベルトの2つです。通常のプーリーではその直径を変化させられませんが、CVTのそれは溝の幅を変えられる特殊仕様で、これが直径変更を可能にしています。
2つのプーリー同士が離れていれば、ベルトは中心の深くまでかかり、逆に近くなればプーリーの外側へベルトが移ります。こうしたベルトの軌道直径を変化させ、伴う動力伝達を滑らかな無段階状態にさせています。
CVTにはクリープ現象がない!
マニュアル車なら関係はありませんが、オートマチック車にはブレーキを離すと少しずつ車が進んでいくクリープ現象が起きます。渋滞時などゆっくりとした走行が必要になる場合は、わざわざアクセルを踏まなくとも進むために使われやすいです。
ただし、何もしなくとも前へ進んでしまう為、これが事故の原因になってしまう事もありますが、CVT車にはクリープ現象はありません。なぜならば、自動車に置いてクリープ現象が起きるのは、エンジンの回転がトルクコンバーターを経由しているからです。
CVT車は、構造上それは搭載していませんので、ブレーキを離しても前へゆっくり進むことは無いのです。ですが、AT車から乗り換えた際に進まないのに違和感を感じない様、敢えてトルクコンバーターをエンジンへ仕込んでいる車種もあります。
CVTフルードの交換時期の目安
そんな機構に必要なCVTフルードですが、目安としては2万キロに一度程度が望ましいとされています。フルードを続けて使用していると車の燃費を悪化させたり、性能が低下し加速が上手くいかないなど支障を起こしてしまいます。
全ての車が必ず2万キロで交換するわけではありませんが、1つの目安として覚えておきましょう。フルードのレベルゲージがあれば、適量の範囲内かを確認します。また、ドレーンプラグ周辺に液のにじみが無いか等も見ておきましょう。
CVTフルードの交換方法
ハスラーのCVTフルードの交換方法を動画で確認
具体的な交換の方法についてですが、基本的にこれは自動車整備のプロに依頼する事です。車種によってはフルードの交換は不要としているものもあり、そうした車はセルフではCVTフルードの交換をそもそもできない様に設計している事が多いです。
セルフでできる車種もありますが、実際の交換は難易度が高く、素人が手を出せる領域ではありません。その為、余程車に詳しい方で無ければ、交換に手を出すのはおすすめできないのです。特に年式が古い、又は走行距離が多い車は、素人が交換をするとスラッジが攪拌され、エンジン内部で詰まる恐れもあります。
業者に依頼した際の費用
費用に関しては、依頼した場合大抵5千円から1万5千円程度になります。これは車種、そしてフルードオイルの量に依っても異なりますので一概には言えませんが、大体はこの金額の中に収まると考えてよいでしょう。
交換に関しては、オートバックスなどを始めとした専門店、または車のディーラー等への依頼となります。もしCVTフルードを自前で持っている場合、それを持ち込んでの交換作業を受け入れてくれるところもある様です。
交換リスクの把握しよう
前述した通り、基本的にCVTフルードはユーザーが交換不可能な物もありますし、出来るとしてもエンジンオイルの交換の様に簡単では無い為、交換と言えば業者を頼って行うのが普通と言えます。もし自己責任で行う場合、相応のリスクを把握して臨むべきです。
CVTという機械の構造自体、非常に精密で繊細なものです。内部に細かいほこりなどが浸入すると、それがオイルの通る道を塞いでしまい、トラブルに繋がりかねません。
メーカー別のCVTフルードの交換目安
交換の距離としての目安は大体2万キロ程度と言われてはいますが、各自動車メーカーごとで交換の目安は異なります。例えばトヨタ車の場合CVTと言えば2種存在しますが、交換無しかシビアコンディションなら10万キロごとの交換となります。
他にも、日産車であればエクストロイドCVTなら10万キロ、hyperCVTなら6万キロと違いがありますが、勧めているのは4万キロでの交換の様です。また、ダイハツ車なら推奨は5万キロ、街乗りでの使用なら4万キロ程度での交換でも良いとされています。
おすすめのCVTフルード
おすすめ①パワークラスター
もしもCVTフルードを持ち込みで作業してくれるなど、選べるのであればおすすめなのは「パワークラスター」です。独自の分子技術を受けた事に依り、保護性能は高く且つエンジンの全域の性能を向上させてくれるため、主に街中で多用される低中速のスピードの乗りをスムーズに感じられます。
変速の際のショックの低減、エンジンから車輪への動力の伝達効率向上、ギアの切り替わり時のスピーディーな変速など、車の性能を十二分に発揮させてくれます。レーシング、ビレンザ、ビレンザプロASSの3種から選べ、街中での使用なら「ビレンザストリート」が推奨されます。ATとCVT車両方対応です。
おすすめ②トヨタ純正 CVTフルード
もう1点が「トヨタ純正CVTフルード TC」です。製品名通りトヨタがCVT車に純正で使っているフルードで、添加剤組成と基油を最適化する事に依ってジャダー防止性能を良好にし、また金属摩耗係数も高い数値に達しています。
利用している車がトヨタ車の適合CVT「スーパーCVT」であれば、このフルードをそのまま利用可能です。勿論利用できるかどうかは車種によって異なりますので、自分の車のマニュアルの確認をするか、若しくは交換前に業者への連絡をしておきましょう。
CVTフルードを交換してトラブル知らず!
無段階変速を行うCVT車にとって、CVTフルードは必ず必要となる必需品なのです。それと同時に、どんな車にも使われるエンジンオイルなどと同様、オイルの一種である故に劣化していく消耗品ですから、定期的な交換も必須となります。
CVTという機構自体は、メンテナンスが不要な構造として知られてはいます。実際一般的な車と比較すればメンテナンスにあまり手間と時間をかけなくても良い所は有りますが、一台を健康な状態で乗り続けるのであれば、走行距離等を加味しながらしっかり交換してあげましょう。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。