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憧れの古民家リノベーション、最初の一歩ですべきことって?ー「オカハチリノベーション」岡山さん

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都会での生活に疲れて、田舎での暮らしや古民家リノベーションに憧れを抱く方も増えてきました。

今回取材したのは、京都府舞鶴市で漁業や農業の傍ら、YouTubeでリノベーションやDIYについて情報発信をしている岡山さん。

田舎暮らしやリノベーションにチャレンジするにあたり、最初の一歩ですべきこと。こちらにフォーカスして色々と聞いてみました。

 

–はじめまして。工具男子新聞編集部です。まずは簡単に自己紹介をお願いできますか。

 

DIYのYouTubeチャンネル、『オカハチリノベーション』を運営している岡山です。

もともとインテリア系の雑貨メーカーで、デザインの仕事をしていたのですが、2016年の12月に故郷の京都府舞鶴市にUターンして、祖父母がやっていた家業の漁業と農業を夫婦で始めたんです。そこで岡山八朗兵衛商店を創業して独立しました。

現在は舞鶴の海のそば、妻と子供(6歳、4歳、1歳)の5人家族で、築100年の古民家をセルフリノベーションして暮らしています。

岡山さんご自身でリノベーションしたという現在のご自宅

京都府舞鶴市の海

 

–はじめて岡山さんの動画をみたときは、リノベーションされた古民家が素敵でつい動画に見入ってしまいました…!DIYがテーマのチャンネルとのことですが、どのようなきっかけで運営を始めるようになったんでしょうか。

 

じつは妻が日々の育児日記をマンガでインスタグラムに投稿していて、古民家のリノベーションの記録もたまにインスタグラムに掲載していたのですが、フォロワーさんからの評判が良くて。

DIYやインテリア関連の質問をたくさんいただいていたんです。何かそういった方たちへ役に立てたらと思い、YouTubeチャンネルを開設しました。

 

–もとは、奥様のマンガきっかけだったんですね。岡山さんご自身が古民家リノベーションをしよう、そう思われた動機についてもぜひ聞かせてください。

 

住む家を自分が本当に使いやすくて、カッコ良いと思える空間に仕上げたかった気持ちが大きいです。そのために、できるところは自分たちで挑戦しようと思って。

ただ正直なところ最初はとにかく住む家が必要で、必要に駆られて探した結果、紹介して頂いたのが今の自宅という感じでしたね。

もともと古い物が好きだったこともあり、家を見せて頂いたとき、囲炉裏の煙で燻された梁や柱が所々見えていて、すごく立派な家で魅力的に感じたことは今でも覚えています。

囲炉裏の煙で燻された梁や柱

–理想に対して、まずは自分でチャレンジしてみようと思えるってすばらしいですね。にしても、注目なのは岡山さんのDIYやリノベーションの技術…。どのように知識を身につけていったのでしょうか?

 

ありがとうございます。

僕は地元の高専の機械工学科を卒業し、照明メーカーに1年務めたのちに大学に入り直しています。大学では建築を専攻していました。

高専で習得した設計図の描きかたや溶接技術、もちろん大学で身につけた建築の知識もリノベーションの仕事にとても役立っています。

 

–大学を卒業されたあとは、勉強していたことを生かすような職についたんですか?

 

卒業後は伝統工芸越前漆器の産地で、木地(きじ)と呼ばれる漆を塗る前の重箱やお膳を作っているメーカーに就職しました。

その工房は木地づくりの技術を活かしてインテリア雑貨や文具など、現代の生活に合う商品を開発し、製造、販売までを一貫して行っているブランドでした。

そこで2年間商品企画と製造を担当し、東京への直営店出店のタイミングで都内に転勤しました。

その後は主にマネジメント業務に従事していましたが、1つ店舗をオープンするまでに必要な仕事をすべて行っていたので、店舗設計のノウハウもとても役に立っています。

木材の扱いも結構くわしいと思います!

前職、Hacoaの商品は今でも愛用しています

–つまり大学で身につけた技術や工房での勤務経験が、今の岡山さんのDIYやリノベーション技術に大きな影響を与えている…ということですね。ありがとうございます。

***

昨今、田舎暮らしや古民家リノベーションに憧れている、という方がシニア層だけでなく、若者の間でも広がりつつあります。まずはどんなことからはじめたらいいのか、岡山さんに色々とアドバイスをいただきました。

–田舎で暮らしたい、古民家リノベしたい、そう思った方がまずすべきことはどんなことでしょうか…?

 

まずは住む場所、家、仕事を決めるところからです。田舎暮らしは都会の暮らしと比べて良いこともたくさんありますが、思いがけない不便な面もあるのが現実です。

特にIターン(※)の方は移住したい市町村のことを事前によく調べるのがおすすめです。自治体によっては移住に関する住宅紹介制度やリフォーム補助制度を用意されている場合もあるので、まずは役所に相談されるといいと思いますよ。

受け入れる村の皆さんもいきなり知らない人が引っ越して来るより、役所経由で紹介してもらった方が安心してもらえると思います。

※Iターン…都市部から自分の出身地とは違う地方に移住すること

 

–まずは事前調査ですね。確かに自分が受け入れ側だったとしても、役所経由の方が安心できそう…。岡山さんの移住当時を振り返るとどうでしたか。

 

僕たちはUターンだったこともあり、村の皆さんにはもともとの知り合いの方もいて本当によくしていただいています。

.草刈りなどの村仕事や祭りの行事を通して交流もさせて頂いていますが、そういった地域コミュニティへの参加もとても大事なことだと思います。

※Uターン…地元から都市へ移住した人が地元へ戻ってくること

近畿百景に選ばれる舞鶴市の観光名所、五老ヶ岳公園

–移住後は行事に参加して、村の方との積極的に交流するのがポイントですね…!初心者がリノベーションにチャレンジする際、技術面でできることはあるのでしょうか…?

 

リノベーションも工程や仕上げ方法によって難易度も様々ですが、初心者の方でも簡単にできることはあります。

例えば「解体」は、体力とやる気さえあれば何とかなります(笑)

ただし初心者の方は、構造上壊してはいけない所を壊さないよう勉強したり、まずはプロの方にアドバイスをもらったりするのが安心です。

電気工事や水道工事は資格が必要ですので、セルフリノベーションといってもすべてを自分で行うことは難しいのが現実。業者さんにお願いする工程とDIYする工程を相談の上、決めていけばいいと思います。

解体作業の様子

–解体作業ですか。岡山さんの動画でも大掛かりな解体作業をやっているシーン、拝見しました。確かに必要な工具と正しい知識さえあればできるかもしれません。そこでお聞きしたいのがリノベーションについての知識の身につけ方…。これはどのように考えればいいでしょうか?

 

技術や知識は短い期間で習得できるものではないです。ですが、今は昔と違って大概の情報はインターネットで入手することができます。

最近僕はプロの大工さんが運営するYouTubeをみて、参考にしていますね。忙しい方が勉強するのに動画コンテンツは最適だと思います。スマホがあればいつでもどこでもみることができますし、動画は本やBlogなどの画像と文章のコンテンツよりもとても分かりやすいものが多いです。

自分に合うコンテンツを探して勉強すれば、あとはスマホを片手にDIYしながら習得していけると思いますよ。

 

–確かに動画だと伝わる情報量が多い、という意味で学びやすいですね。そのほか岡山さんが大事にされていることはありますか。

 

個人的には技術やノウハウと同じくらい「感性を磨くこと」が大事だと思います。

家は間取りや耐震性、耐久性などの基本性能が一番大事ですが、自分がカッコいい、かわいい、心地よい空間を実現させることも僕は同じくらい重要視していて。

やっぱり気分が上がる家に住みたいじゃないですか。そういった心に機能する空間づくりを意識してやっています。

 

–なるほど、感性ですか。ノウハウよりも抽象的で難しい…どのように身につけていくのがいいでしょうか。

 

具体的にはPintarest(※)を使って好きなテイストのイメージを収集したり、自分が好きなSNSアカウントをフォローしたりするのがおすすめです。

ただ、それよりも実際に建築をみに行ってリアルに体感してみると良いと思います。

建築家が設計した建物の他に、有名なカフェやショップは一流のデザイナーが設計しているものが多いので、デザインの参考になります。

感性を磨くのも時間がかかりますが、普段の外出のついでに意識するだけでできることもあります。いつも何気なく過ごしている空間を意識的にみることで、外出の楽しみも増えますね。

※Pintarest…Web上の画像を集めることができる、画像収集サービス

 

–普段お店の内装をおしゃれだな、と感じることはありますが「なぜおしゃれに感じるのか」を考えるだけで感性が磨かれるということでしょうか…?これなら今日から実践できますね。

–リノベーションするにあたって、使用する道具も大切だと思うんです。ここ最近で岡山さんが購入してよかった工具などあれば教えていただきたいです。

 

最近マキタの18Vインパクトドライバー(TD149DRFXB)を購入しました。

これまでは10年くらい前に購入した12Vの物を使っていたんです。

それと比較するとトルクも強くてバッテリーの持ちも良く、作業効率が格段に上がりましたね。

マキタ インパクトドライバTD149
マキタ インパクトドライバTD149

カラー:黒
仕様:18V(リチウムイオン3.0)
最大締付トルク:165N・m
回転数min-1[回転/分]:0~2300
打撃数min-1[回/分]:0~3200
全長:135mm
質量:1.5kg(バッテリ含む)
付属品:バッテリBL1830×2、充電器DC18RC、ケース付、プラスビット2-65、フック

今後は電動のコンクリートミキサーがほしいです。大量のモルタルを手練りしたことがある方はわかると思いますが、本当に重労働で…。2~3万円しますが十分安いと思います。

マキタのインパクトドライバー18v

岡山さんが使用するマキタのインパクトドライバー

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現在、新たな物件でリノベーションを開始しているという岡山さん。そんな岡山さんの今後についても聞いてみました。

 

–岡山さんが今後、チャレンジしてみたいことについてぜひ教えてください。

 

昨年、築40年位の中古住宅を購入し、現在リノベーション中です。ものづくりやデザインが好きなので、今後も何件、何十件と続けていけたらいいですね。物件を見て、頭の中で間取りやデザインを考えるときが一番ワクワクします。

DIYに挑戦する上で技術やノウハウの習得と、自分が思い描いたデザインに仕上げられるかということが大きな課題だと思います。

 

–ありがとうございます。岡山さんの運営するチャンネル、「オカハチリノベーション」ではどのようなことを伝えていきたいですか。

 

そうですね。DIYに興味があるけど、色々わからなくて困っている。そんな方の役に立ちたいと一番思っています。

リノベーションやDIYの専門チャンネルとして、知識や技術的なことだけではなくデザインのアイデアやそれに関わること全般を扱っていきたいです。

まだ、ものづくりの楽しさを伝えられるようなエンターテイメント性のある番組づくりはハードルが高く感じていますけどね。

視聴者の方ともリアルで交流できるような企画も今後、行っていきたいと考えています。

 

–技術だけでなく、それを補完するようなデザイン知識やアイデアまで勉強できるチャンネルになるということですね。今後がとても楽しみです。

–最後に田舎暮らしやリノベーションにチャレンジしてみたい方にメッセージをいただきたいです。

 

古民家には歴史を感じる趣や力強さがあるのが魅力です。しかし基本的に築50年以上となりますので、住み始めた後もメンテナンスが必要となります。そういった意味で基本的なDIYはできるようにしておいた方がいいですね。

今は新築だけでなく、中古建築を買ってリノベーションするという価値観もじわじわ浸透してきていると思いますが、自分でつくると業者さんに頼む以上に愛着がわきますし、ご家族もきっと喜んでくれると思います。なにより子供に尊敬されます(笑)

ぜひDIYも古民家暮らしの楽しみのひとつとして、理想の空間とライフスタイルを実現させてください!

リノベーションしたご自宅

–本日は田舎暮らしや古民家リノベーションについて、初歩的なところから教えていただきありがとうございました!

 

***
時代の流れとともに暮らしについての考え方も少しずつ変わってきている昨今。古民家をリノベーションし、理想の空間を自らつくっていくのも面白いかもしれません。

岡山さんの運営するチャンネル「オカハチリノベーション」ではそんな方への手助けとなるノウハウ、知識を発信中。DIY、リノベーションに興味のある方は、ぜひ一度のぞいてみてはいかがでしょうか。

岡山さんのチャンネル「オカハチリノベーション」はこちら

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。