獣害対策のための「電気柵」とは?基礎知識から使い方まで徹底解説!

田んぼや畑で大事に育てている農作物が獣害にあったらとても悲しいですよね。一生懸命に育てた農作物を獣害から守るために「電気柵」の設置が効果的です。でも、電気柵って素人でも扱えるのか不安・・・という方に基礎知識から使い方までまとめましたので、是非参考にしてみてください。

電気柵とは?

電気柵の役割

この柵には役割としては、二つの目的があります。一つは「放牧管理では、動物を外に出さない」という役割、二つ目は「害獣対策で、対象になる動物を敷地の中に入れない」という役割です。

この役割を果たす仕組みとしてはワイヤーに強い電気を流し込み、ワイヤーに触れた動物に電気ショックを与えることで「痛み」を覚えさせること、そして「怖い」と思う様に働きかけて、動物を「柵の中から外に出さない」「柵自体に近づかせず敷地の中に入れない」様にします。

柵に流れる電圧は最大10,000ボルトという強さの強い電気を流していますが、常時流しているわけではなく、1秒ごとに0.01秒以下という間隔で断続的に電気を流しています。動物への殺傷能力がある訳ではないので動物を傷つけることはなく、人間が誤って触ってしまっても人体への影響を回避できます。

電気柵の仕組みと回路

ここでは、どの様な仕組みになっているのかを説明します。回路はシンプルな構造でできており、本体がワイヤーと地面(アース)に繋がっています。そこに動物などが触ることによって、回路が成立してその際に電気ショックが発生する仕組みとなっています。

設置する際は重機などを使用しなくても設置できるため、費用が金属柵などと比較すると安価で設置をすることができるので、広く普及する様になりました。

電気柵の電圧

信頼性が高いメーカーの設備の電圧は1,000ボルトです。最大で10,000ボルトぐらいまで出力可能です。家庭用のコンセントが100ボルト位ですので、その100倍程もあります。万が一人間が触っても人が死亡する影響はありませんが、触った瞬間にビリっとした衝撃が走ります。同様に動物も痛みや恐怖を学習させることが目的のため、死なない程度の電圧になっています。

電気柵の安全性は?

電気柵の安全性

実際に電気柵が本当に安全なのか?という疑問はあると思います。柵に流れる電気の数値だけを見ると電圧は10,000ボルトで、家庭用の電圧が100ボルトなため比べると100倍の差があります。ですが、流れる電圧と電流は一瞬だけしか流れません。具体的には1,000分の1秒というほんの僅かな瞬間です。

例え人が柵に触れたとしても、静電気と同じ位の時間と衝撃程度なのです。また、電流・電圧ともに流れと流れに間隔を開けているため、万が一触ったとしても手を放すことができるので安全なのです。

自作は危険!正しく設置しよう

電気柵に関しての事故が無いわけではありません。「死んだ人もいる」という話も聞きます。過去の有名な事例では静岡県の感電事故などがその例です。

この事例で注意して頂きたいのが、畑の所有者が自分で作った柵に家庭用の100ボルトを流し続けた危険な「罠」だったということです。この柵は自作ですから、電気を一瞬しか流さない安全な装置では無く、電気が流れ続けている危険なものだったのです。そのため、触れた人の体に長い時間電気が流れ続けてしまい、大変な事故に繋がってしまいました。

お店などで電気柵として売られているものは、電気を発生させる構造が違いますので、絶対にこのような感電事故は発生しません。市販の電気柵を触ってびっくりして転倒した、という話しはたまにありますが、これは電気柵でなくても起こりうる話です。

市販の電気柵は、正しく設置すれば、安心・安全に使えるものであり、設置法説明書も付いているため初心者でも設置が難しくはありません。

電気柵設置のための準備

電気柵は市販のキットが便利

電気柵は市販で便利なキット販売していますので、ここでは2つのタイプを紹介します。

1.すぐに使える電気柵のフルセット

フルセットタイプの柵は必要な部材が全て揃っているので、初心者でも説明書を見て組み立て方が分かればすぐに設置して使用することが可能です。また、セットで購入するとそれぞれの部品ごとに購入するよりもお得に済む場合があります。

2.バッテリー切れの心配が無いソーラー式

ソーラー式の柵は太陽光から電気を生み出すため電気代がかからず、急なバッテリー切れの心心配がないためとても便利です。曇、雨の日や夜間でもしっかり作動し、充電切れによるバッテリー交換の手間も省けるので離れた田畑や広い土地などの設置でも安心して使用できます。

自分で用意する場合に必要なもの

自分で設置をする場合は基本的に、本体、支柱、簡易緊張具、クリップ、ゲートハンドル、ワイヤー(柵)、本体設置杭、アース、検電器、危険表示板、の10点の道具が必要です。

設置作業の時は上に記載した物の他にも、杭や支柱を地中に打ち込むためのプラスチックハンマーやゴムハンマー、ワイヤーを切断するためのニッパーやハサミ、そして作業用手袋などが必要です。

設置前の準備

柵を設置する場所としては、通電のよい場所を選ぶ必要があります。アスファルト上や石畳などでは動物に電気が流れないので注意です。田畑など設置が必要な場所がそのような所に面している場合は、電気柵を田畑の少し内側に設置するなどの工夫が必要になります。傾斜のある場所では、動物が高い地点から柵を飛び越えてしまうことがあるので違う場所に柵を設置する様にしましょう。

電気柵の設置方法と作り方

設置の高さは対象動物に合わせて

柵を設置する際は、支柱に必要な段数分のクリップを取り付けます。クリップの取り付け位置は支柱を設置をした後に再調整するので、始めから位置を決める必要はありません。支柱や、柵を取り付ける間隔は、対象動物によって異なりますので、以下の数値を参考にして設置してみてください。

クマなどの大型動物・・・柵 は 15cmの間隔で3〜4段、支柱間隔 は 4m以内

イノシシ対策・・・柵 は 20cmの間隔で2〜3段、支柱間隔 は 4m以内

シカなどの中型動物・・・柵 は 30〜45cmの間隔で4段、支柱間隔 は5m〜10m

ハクビシンなど・・・柵 は 10cmの間隔で4段、支柱間隔 は 4m以下

設置方法

設置自体は簡単にできます。畑が周囲100m程度の場合、電線と電線の間隔を200mm程度にして、支柱と支柱の間隔を3m~4mに設置します。近くに山や森林などが隣接している場合は、数多くの動物が生息していることが予想されますので、柵と一緒に防獣ネットの併用をおすすめします。

設置の流れは以下の通りです。

1.支柱を用意する:導線が外れないよう太目の支柱を使います

2.防獣ネットを敷く:動物の大きさに合わせた網目のものを使います

3.支柱を立てる:傾かないようにしっかり地面に挿します

4.バンドなどを使って支柱を固定する:バンドは100均ショップで購入可能です

5.防獣ネットをバンドで固定する:強風などでズレ落ちないようしっかり固定します

6.電気柵用の導線を敷く:子どもが触れない様に危険表示板を設置します

電気柵のメンテナンス

故障かな?と思ったら

電気柵は非常に便利ですが、しっかりとしたメンテナンスを継続していないと、消耗などから漏電してしまい期待している効果が半減してしまいます。そのため、故障かな?もしくは、電圧が弱いかな?と感じたら、下記の点検を行ってみてください。

※電圧を確認する時には電気柵用の柵線電圧測定器を使用してください。決して、電流が流れているワイヤーを素手で触らないでください。

1.本体(パワーユニット)の動作確認

本体(パワーユニット)自体が故障していないかどうかの確認です。まずは、本体にセットされているワイヤーを外してください。本体がどこにも繋がっていない状態で作動させて、電流検知器をあて
て点検を実施してください。

2.アースの確認

電気柵のアースはとても重要な役割を果たしています。もし、アースが設置不良だと、本体が正常に作動したとしても、電圧が適正値まで上がらず動物に与える電気ショックが小さくなってしまいます。

3.漏電箇所の確認

電気柵の電極は、ワイヤーがプラス、地面側がマイナスとなります。そのため、地面から生えているものは、マイナス要因となります。これがワイヤーに触れると、漏電してしまい出力が低下してしまうのです。そのため、害獣に与える電気ショックが弱くなり効果が薄くなってしまいます。

電気柵を正しく使って獣害から農作物を守ろう!

如何でしたでしょうか?市販のキットを購入すれば簡単に設置も可能ですし、しっかりメンテナンスを行えば十分な効果や安全なことが分かったと思います。丹精込めて育てた農作物を獣害から守るためにも、このサイトを参考に電気柵を正しく活用してみてください。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。