債務超過

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債務超過とは?債務超過が及ぼす悪影響やその具体的な解消方法を解説

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会社の財務状況に「債務超過」という状態があります。

一度は耳にされたことがあるかと思いますが、債務超過とは一体どのような状態を指しているのかご存知でしょうか?

「超過」という言葉が使われているので、あまり良い状態でないことは想像できますよね。

またどうすれば債務超過は解消できるのでしょうか?

今回の記事では、債務超過について紹介するとともに、その解消方法や放置したとき会社に起こる悪影響、さらにできるだけ債務超過に至らないような対策も詳しく解説します。

債務超過とは?

そもそも債務超過とは、負債と純資産のバランスが崩れてきて、負債の額が純資産(いわゆる自己資本)を上回る状態を指します。つまり純資産がマイナスの状態です。

資産には現金や売掛金を筆頭に色々な項目がありますが、それらを全て換金しても負債をまかなえない財務状態のことです。

赤字と債務超過の違い

赤字とは会社経営において、一定期間の事業活動で利益が出ていない状況のことを指します。

一般的に会社は1年単位で事業活動を行っており、その期間で利益が出なければ決算書に赤字が計上されます。

これに対して債務超過は、赤字の累積により負債が資本を上回っており、会社にとってはかなり危険な状態です。

赤字が一時的に経営状況が悪化しているだけなのに対し、債務超過はこれが長期的に続いています。

とはいえ、債務超過だからといってすぐに倒産に結びつくのではありません。

外部からの資金調達も含めて、会社の資金繰りができている限り、会社の事業を継続できます。

しかし債務超過を放置すれば事態は悪化する一方なので、できるだけ早く債務超過を解消するよう努力しなければなりません。

債務超過を放置するとどんな悪影響がある?

では債務超過を放置すると会社にどんな悪影響があるでしょうか?以下の6つの影響が考えられます。

融資を受けにくくなる

債務超過放置すると、金融機関からの融資を受けにくくなります。最悪の場合、融資の申込みを断られてしまいます。

融資を行う金融機関にとって、債務超過の会社の印象はかなり悪く映るものです。

金融機関としても、貸してもすぐに返済遅延や返済不能になる可能性が高く、最悪倒産するかもしれない企業への融資は躊躇します。

そのため融資の申込みを断ろうとしたり、応じても担保の提供を要求したりして、融資条件を厳格化します。

金利の引き上げや融資の返済を迫られる

融資を受けている金融機関から、金利の引き上げや融資の返済を迫られます。

融資先の債務超過が長く続くと、金融機関は融資の増額時や切替え時に、金利の引き上げを要求してきたり、増額どころか、逆に融資残金の返済を迫ってきたりします。

金融機関としても債務超過が長引くと、最悪の事態を想定して行動を早めるためです。

取引先の協力・取引が停止される

仕入先や販売先など、取引先からの協力が得られなくなります。

金融機関から融資を断られたことが取引先や関係者に知られると、取引先からの信用を失い、仕入れや販売条件が悪化したり、最悪取引を停止されたりする恐れがあります。

このように金融機関だけではなく、業務上関係する企業からの信用を失ってしまう可能性が高いでしょう。

上場廃止のリスクに晒される

上場企業であれば、上場廃止のリスクに晒されます。

債務超過はなにも中小企業だけの話でなく、社会的信用が高い上場企業でも陥る可能性があります。

証券取引所では「上場中の会社が債務超過になり、1年以内に解消できないときには上場を廃止する」という厳格なルールがあります。

しかし、債務超過になった時点で、株価の低下を予想して投資家は株式を売りに出すので、株価低下は避けられません。

そうなれば資本力はさらに低下するため、債務超過を解消する手立てがなくなり、上場廃止を免れなくなるでしょう。

事業譲渡したくても高く売れない

債務超過になると、事業を譲渡したくても高く売れません。

自社で債務超過を解消できないときの解消策として、M&Aを通じて市場競争力の高い他社に自社を買ってもらう方法があります。

他社に自社の弱い部分をテコ入れしてもらって、他社の高い技術力や販売力に頼れば債務解消も夢ではありません。

しかし自社が債務超過だと、かなり低い評価の購入額を提示してくる可能性が高くなります。それどころか、買い手がつかないことさえ考えられます。

倒産リスクが上がる

最も深刻な問題として、倒産リスクが上がります。

債務超過を続けると、中小企業は金融機関から融資が借りられなくなり資金繰りが厳しくなるほか、取引先からも取引を停止される可能性があります。

一方上場企業は、債務超過が原因で上場廃止リスクや、株主の売り浴びせによる株価の低下から資金調達力を失うかもしれません。

いずれのケースも会社の資金繰りの悪化に直結するので、経営状況はより悪化し最終的には倒産につながるでしょう。

債務超過が起こる主な原因

債務超過が起こることで、様々なリスクが起こることがわかりました。では、債務超過はなぜ起こるのでしょうか?

ここからは債務超過が発生する原因について解説します。債務超過の原因が分かれば、その対策も取れるようになります。

赤字が連続すると債務超過が起こる

言うまでもなく債務超過が起こる最大の原因は、会社の経営がうまくいかず、赤字が累積した結果によるものです。

何らかの要因で売上げが減少して利益が出なくなり赤字が常態化すると、資金調達力が下がり資金繰りが悪化していきます。

その結果どんどん資金が外部に流出して純資本が減少し、最終的には債務が資本を上回って債務超過という状態になるのです。

会社に市場競争力がないと債務超過に陥る

債務超過が起こる原因のひとつに会社に市場競争力がないということが上げられます。

会社に技術力や新製品開発力、販売力で市場競争力がないと、他社との競争に負けて売上高を落としてしまいます。

売上げ規模に関わらず、常に経営には一定の経費・固定費がかかるので、売上高が下がってくると、すぐに赤字が発生。

さらに赤字続きだと、将来の設備投資や商品開発に回せるお金も減って、さらに市場競争力を失うでしょう。市場競争力を高められず、さらに赤字となる悪循環に陥ります。

脆弱資本による創業赤字が原因

会社創業時に脆弱資本のまま開業してしまうと、資本力の低さが原因で債務超過に陥る可能性があります。

創業当初はまだ売上高が少ないにもかかわらず、人件費や光熱費など一定の経費は当初から毎月かかります。そのため資金繰りはどうしても厳しくなるものです。

創業時に十分資本金を準備せず開業してしまうと、固定費がネックとなってたちまち資金繰りが悪化して債務超過に陥ってしまいます。

さらに近年は会社法の改正で、資本金なしでも会社が作れるようになったことから、十分な資本金を持たず創業する経営者が後を絶ちません。

その上、創業時は金融機関からの信用がないので、借入による資金調達にも限界があります。

そのような厳しい環境のもとで過少資本で創業してしまうと、小さい要因でもすぐに債務超過に陥り倒産してしまうリスクがあります。

債務超過の解消方法

債務超過に陥る原因がわかったところで、ではどうすれば債務超過を解消できるのか、その具体的な方法を解説します。

経費を見直して黒字を確保する

経費を見直して利益を確保しましょう。

債務超過になる一番の原因は、利益が上がらずその状態が何期も続くこと。売上増加に努力するのはもちろんですが、毎月固定でかかる経費を細かく見直すことでも利益を確保することはできます。

余計な経費のカットや、減額ができればたとえ売り上げが変わらなくても、徐々にでも赤字は解消されていきます。

いずれは債務超過の状態を改善することは可能です。

また、金融機関にも評価され融資が受けやすくなる土壌作りにもつながります。

増資を行う

タイミングを計って増資を行うことも債務超過の改善策です。

増資して資本金を増やせば、純資産額が上がり、債務超過の解消につながります。

増資のやり方は色々あります。

経営者が個人として自己資金に余裕があれば、会社で株式を発行して経営者が見返りに増資金を払い込むことで資本金を強化できるほか、経営者や役員に余裕がなければ、会社取引先や投資ファンド、個人投資家に増資を依頼して対処することも可能です。

ただし増資すれば株主構成も変わってくるので、構成比率次第では増資に応じた第三者が会社の経営権を左右できるリスクを抱えてしまいます。

そのため増資による資本金増強の場合は、あくまで代表者が経営権を維持できる範囲で慎重に対応する必要があります。

会社の遊休資産を売却して借入金を返済する

会社の遊休資産を売却して得た代金で、借入金を返済するのも債務超過に有効な方法です。

借入金を返済すれば、債務を減らして純資産を増やし、債務超過を減らすことができます。

また資産売却により総資産が圧縮されるので、総資産経常利益率も上昇して経営指標が改善します。

そうすれば銀行の信用格付けアップが見込めるので、銀行融資が再び借りやすくなるでしょう。

代表者・役員からの借入金があれば債務免除してもらう

会社に代表者・役員からの借入金があれば、それを債務免除してもらうことで債務超過を減らす方法もあります。

債務免除とは、代表者・役員が会社に貸付けている債権の権利を放棄することを言います。

会社が債務免除を受ければ、その分負債が減るので、純資産額が増えることになり債務超過額を減らせるのです。

銀行に債務と株式交換を行ってもらう

会社に銀行からの借入金があれば、銀行の協力を得て債務と株式の交換を行い、債務超過を減らすのも債務超過の解消に有効です。

この方法をDES(Dept Equity Swap)と呼び、債務と株式の交換を意味します。

具体的には銀行の持つ貸出債権を、融資を受けている企業が発行した株式と等価交換してもらい、その株式を銀行に差し出します。

そうすると、会社の負債が株式に置き換わるので、債務が減ると同時に純資産が増加して債務超過を減らすことが可能です。

銀行としても、債務超過の会社に対して特に何も対策せず放置していると、倒産のリスクが上がります。

倒産してしまえば融資の回収も難しくなりますが、DESを駆使して債務と株式の交換を行えば、その会社の株式を所有できて、かつ将来会社の業績が上向けば、配当を得られるほか、売却して売却益を受け取ることもできます。

また株式の保有比率にもよりますが、銀行が直接、経営指導にあたることも可能です。

このように、債務超過に陥っている企業だけではなく、銀行側にもうまみがあるため応じてもらいやすいでしょう。

同様に、会社代表者が会社に対して貸付金があれば、DESを駆使して貸付金を資本金に振り替えて、資本増強を図ることで債務超過を減らすことも可能です。

銀行借入の場合、事前に金融機関の同意が必要なので、DESの活用は難易度が高いのですが、こちらの方法であれば経営者の判断だけで対処できるためより現実的です。

M&Aを利用して会社を売却・譲渡する

M&Aを活用して会社を売却・譲渡するのも有効な手段です。

債務超過の状態が長く続き、自社の努力だけでは回復の見込みがないときは、会社を売却・譲渡できれば、債務超過を解消できる可能性があります。

債務超過の会社は、評価が低いため高値で売れることはあまり期待できません。

しかし、自社に他社にはない技術力や高度人材、のれんや販売網など独自のアピールポイントがあれば、それを魅力に感じて買収に応じてくれる会社があるかもしれません。

粘り強く自社にマッチングする相手を見つける努力を続けましょう。

うまく売却話が進めば、たとえM&Aで会社を手放すことになっても、自社が培ってきた技術力の継続や、従業員の雇用維持などを期待できます。

最終手段として法的整理を考える

これまで紹介してきたいずれの方法を駆使しても、債務超過が解消しない場合は法的整理を考えましょう。

法的整理には「民事再生法」または「会社更生法」が活用できます。

民事再生法とは、主に中小企業や個人事業主が使える事業の再生方法です。

一方、会社更生法とは、大手の会社が事業に行き詰まったとき、再生を目的に使える手法です。

いずれの方法も債権者に債務を放棄あるいは大幅に免除してもらい、会社を身軽にして再生を目指します。

民事再生法と会社更生法の大きな違いは、民事再生法では会社再生後も旧経営者がそのまま留任して会社経営を行えますが、会社更生法では旧経営陣は全員退陣して新しい経営陣に交替しなければなりません。

どちらの方法を使って会社を再生・存続させるかは会社の規模によりますが、いくら会社が債務超過であっても、これらの方法を使えれば債務超過して即日倒産とはなりません。

債務超過の解消は会社健全化への第一歩

債務超過について詳しく解説してきました。一時的な赤字ではなく、慢性的に経営状態が悪化すれば債務超過となります。

債務超過になれば、金融機関からの借り入れが難しくなるばあかりか、取引先からも信用を失い取引停止となる恐れがあります。

そうなっては自力で経営を立て直すことは困難。債務超過になる前に資金調達を行い、経営状態を健全にしましょう。当サイトでは様々な資金調達に方法を解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
法人の「債務超過」解消法についてはこちらも参考にしてみて下さい。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。