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溶接工の資格|取得費用や難易度を初心者向けに解説

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溶接工を目指すなら、資格は必ず取っておかなくてはなりません。

とはいえ溶接の資格は複数あるので、どんな資格があってどれから取れば良いのか少しわかりづらいですよね。

  • なぜ溶接工になるなら資格が必要なの?
  • 資格の種類や概要、費用、難易度を知りたい
  • それぞれの資格に合わせた作業内容も教えて欲しい

未経験で溶接工を目指そうと資格について情報収集を始めた際、上記のような疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。

そこでこの記事では「溶接工の資格(種類や難易度・費用)」について、まとめました。

初めて溶接工を目指そうと思った方でも、記事を見るだけで資格の概要や必要性について知れますよ。ぜひ参考にしてくださいね。

溶接工になるには資格が必要

溶接工の仕事を行うには、資格を取得しなくてはなりません。

業務内容に危険が伴うため、安全意識の向上や知識を学ぶためにも、資格の取得は必須です。

資格を取得していれば必要な知識を保有している証明になるので、ぜひ取得しやすい資格から挑戦してみましょう。

溶接工に資格が必要な理由

溶接工は高温度のガスや高電圧のアークを使い、鉄板を溶かし合わせます。その際に扱い方を間違えると、ガスが爆発したり感電したりして非常に危険です。

そのため溶接に係る業務を行うには、必要な知識と経験を学べる資格を、必ず取得しておかなくてはなりません。

未経験でも溶接の基礎を学べる資格は、下記の2つです。

  • アーク溶接作業者
  • ガス溶接技能者

見習い溶接工として資格を取得せずに働き始めた場合でも、一定の品質・知識を保有している証明のために、上記の資格取得を促される場合がほとんどです。

特に事業者は一定の安全管理や品質維持を求められるので、無資格だと管理不十分を問われてしまうでしょう。

また難易度の高い溶接業務になると、資格がなければそもそも業務自体が行えません。

無資格でも業務は行えますが、継続して業務を行う際に支障が出ます。ステップアップも含めたうえで、資格は必ず取得しなければならないと覚えておきましょう。

溶接工の業務内容

溶接工は電気やガスを使い、金属同士をつなぎ合わせる業務全般を行います。例えば下記のような溶接をすることが多くあります。

  • 建設現場の建材
  • 自動車部品
  • 一般機械
  • 金属部品
  • 家具や家電
  • 公園の遊具

電気であれば感電や火災のリスクがあり、扱い方を間違えると命が危険にさらされるかもしれません。

またガスであれば可燃性のガスや酸素を扱うため、専門的な知識と技術が必要です。

そのため安全管理をしっかり行ったうえで、金属の材料をつなぎ合わせたり加工したりします。

ステップアップしていくとより大きな材料を溶接する他、特殊な技能を必要とする業務に携わることも可能です。

そして加工が難しいものを溶接できるようになると、専門性が高まって収入アップにつながります。

未経験者であっても、回数をこなせば着実にスキルアップ可能な業務がほとんどです。

溶接工の資格概要|種類・取得費用や難易度・取得制限

溶接工の資格は難易度や専門的な技術に合わせ、多くの種類に分かれています。

また未経験者でも取得できるもの、経験に応じて制限がかかっているものと、条件はさまざまです。

この項目では資格の種類と難易度、取得制限について解説しています。資格の概要を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

資格の種類

溶接の資格は複数あるため、代表的な資格を挙げます。

  • アーク溶接作業者
  • ガス溶接技能者
  • アルミニウム溶接技能者(基本・専門級あり)
  • 溶接作業指導者
  • ガス溶接作業主任者
  • ボイラー溶接士

未経験者の場合、アーク溶接作業者かガス溶接技能者が取得可能です。最初はどちらかを取得しておくと良いでしょう。(取得の難易度は後述します)

上記の他にも特殊な金属素材に合わせた「チタン溶接技能者」や「ステンレス鋼溶接技能者」といった資格もあります。

より専門的な資格になると、新たに知識や技術を取り入れなくてはなりません。難易度が上がるのはもちろん、取得に制限がかかってきます。

また溶接の業務と関わりが無さそうな「潜水士」も、水中溶接を行うのに必要な資格です。

そのためステップアップを考える際は、どの資格が必要か事前に調べておくと良いでしょう。

資格取得の難易度

溶接工の資格には「初心者・中級者・上級者向け」と、異なる難易度のものがあります。

初心者向け

ガス溶接技能者とアーク溶接作業者は、講習を受ければ最後の修了試験も突破しやすい難易度なので、初心者におすすめの資格です

講習内容は溶接工として基本的な安全意識を確立するための知識や、実際の溶接技術を教わります。

そのため基本的には、講習を受けて学んだことを覚えていれば、問題なく資格を取得できます。

中級者向け

実務経験1ヶ月程度の中級者におすすめなのが、アルミニウム溶接技能者の資格です。

アルミニウム溶接技能者は基本級から実務経験が必須で、試験項目も初心者向けの資格と比べて難易度の高いものとなっています

※ただし実技を中心にした講習会が開催されており、5日間の試験対策を行えます。(実技を主体としたアルミニウム溶接技術講習会|一般社団法人軽金属溶接協会

さらにアルミニウム溶接技能者の専門級になると、実務経験と基本級の所持が必須です。

上級者向け

中級者向けまではある程度の経験を積めば取得できましたが、上級者向けの資格は技術や知識の他に、管理する能力が求められてきます。

例えば溶接管理技術者は筆記試験に合格しても、実際に知識と職務に関する能力を口述試験で証明する必要があるのです。

ガス溶接作業主任者は溶接だけではなく、溶接装置から取り扱い・業務に関する知識や法令についても、理解していなくてはなりません。

ボイラー溶接士もボイラーの製造・修理に必要な溶接技術で、幅広い知識と技術が必要です。

取得にかかる費用や取得制限

それぞれ取得にかかる費用や日数・取得制限について、表にまとめました。

難易度順に並べており、一番上が最も取得しやすい資格です。下部に行くほど、取得の難易度が上がります。

資格名 受講料 日数 取得制限 参照元
アーク溶接作業者 11,600~15,240円程度(実施会場による) 3日間(学科2日/実技1日) 満18歳以上 一般社団法人 労働技能講習協会
ガス溶接技能者 13,000~18,000円程度+教材費1,650円程度 2日間(学科と実技) 満18歳以上 一般社団法人 労働技能講習協会
アルミニウム溶接技能者(基本級) 学科(1,210円)実技(8,580~53,240円)合格後は認定料(4,510円) 1日 満15歳以上、実務経験1ヶ月以上 一般社団法人 軽金属溶接協会
アルミニウム溶接技能者(専門級) 学科(1,210円)実技(8,580~53,240円)合格後は認定料(4,510円) 1日 満15歳以上、実務経験3ヶ月以上、基本級所持(基本級と専門級の同時受験OK) 一般社団法人 軽金属溶接協会
溶接管理技術者 筆記試験Ⅰ/Ⅱ(26,400円)口述試験(22,000~27,500円)合格後、登録料19,800円 筆記試験1日、口述試験1日 理大卒業及び要実務経験1~8年 溶接技術者交流会1・2級 溶接管理技術者評価試験案内
ガス溶接作業主任者 受験料6,800円 1日 誰でも受験可能 一般社団法人 労働技能講習協会
ボイラー溶接士 学科試験6,800円実技試験(1時間)18,900円 1日 実務経験1年以上 公益財団法人 安全衛生技術試験協会

溶接工の資格別・作業内容

溶接工は業務内容に合わせ、専門性の高い知識と技術を要します。

そのため作業に応じた資格を保有しており、ある程度資格から作業内容が推察可能です。

この項目では、代表的な6つの資格でどのような業務が行われているか解説します。

アーク溶接作業者

アーク溶接は溶接工の中でも基本と言われることが多く、あらゆる業務で使われています。

  • 工事現場
  • 自動車工場
  • 建設現場
  • 造船所
  • 鉄工所

よく工場や建設現場で火花を散らしながら作業しているのを、見たことある方もいらっしゃるでしょう。

放電時のアークを利用して高温の炎を作り出し、その熱で金属を溶かします。その際に火花が飛び散るのです。

基本的には溶接棒を使い、金属と溶接棒の間に電位差を作り出して、溶接棒を溶かします。

ガス溶接技能者

ガス溶接は電気ではなくガスを使い、金属を溶かしてつなぎ合わせる工法です。

アーク溶接と違って火花が飛び散らず、作業箇所をよく見ながら作業できます。

ただしアーク溶接よりも加熱に時間がかかるため、どうしても作業時間がかかるのがデメリットです。

炎の調節で細かい溶接が可能なので、作業内容によってガスとアークを使い分けます。

※作業内容自体はアーク溶接とあまり大きな違いはありません。

そのためガス溶接もアーク溶接も取っておいた方がスイッチでき、ステップアップにも有効です。

アルミニウム溶接技能者

アルミニウムは軽く丈夫なので、軽さと強度が求められる部品によく使われています。

しかし酸化しやすく溶けやすいため、溶接には専門の知識と技術が必要です。軟鋼の溶接技術だけでは、アルミニウムの溶接は失敗確率が高まります。

特に自動車工場からのニーズが高い資格で、実際に働く際も自動車関連の部品や、機械の溶接が中心となるでしょう。

繊細な溶接技術を要する側面もあり、知識だけでは溶接が行えない場面も多くあります。業務を行うのが目的な場合でも、ステップアップを目的とする場合でも、実際の経験だけが頼りとなります。

少しずつ現場で覚えつつ、専門級を目指すのが近道です。

溶接管理技術者

溶接管理技術者は溶接の技術だけではなく、総合的に溶接業務を管理する能力が求められます。

例えば官公庁からの依頼は、溶接管理技術者の選任を条件にしている場合がほとんどです。溶接管理技術者がいなければ、そもそも依頼を受けられないケースも。

実際の作業内容は施工計画から作業の管理まで行い、全体の進捗を適切に把握しながら運営していきます。

溶接管理技術者は、難度度別に特別級と1級、2級に分かれています。学歴によって必要経験年数が変わるため、どの分野の学校を卒業したかが重要です。

しかし経験年数さえ積めば、特に学歴関係なく応募できるため、実務を積んだら挑戦してみると良いでしょう。

ボイラー溶接士

ボイラー溶接士は、非常に専門性の高い資格です。労働安全衛生法によって、ボイラーの製造や修理でボイラー溶接士の資格取得者の配置が必須とされています(*)。

また基礎的な溶接技術が求められるため、一般的なアーク・ガス溶接の経験を積んだあとに挑戦する方が多い資格です。

ボイラーは工場や火力発電所で重要な機関として使われていることが多く、熱・圧力が加わる過酷な条件から溶接の難易度が高くなります。

さらに第一種圧力容器やフランジといった曲面が多い対象物も、十分な強度を保ちながら正確に溶接しなくてはなりません。

難易度が高い反面、ボイラー以外の溶接技術も養われます。

(*)ボイラー及び圧力容器安全規則|中央労働災害防止協会

ガス溶接作業主任者

ガス溶接作業主任者は、ガス溶接の作業全般を管理する管理者です。

また労働安全衛生法施行令にて「アセチレン溶接装置またはガス集合溶接装置を使った溶接・溶断・加熱」を行う場合、ガス溶接作業主任者の選任が義務付けられています(*)。

ガス溶接はアセチレン溶接装置が主流のため、非常にニーズのある資格です。

実際に溶接は行わず、管理者として作業方法や指揮・管理を行います。そのため資格試験も実技はなく学科のみです。

資格として管理する立場の他、会社からはリーダー的な立ち位置で指揮を期待されるでしょう。

労働安全衛生法施行令|中央労働災害防止協会

まとめ:溶接工の資格は必須!経験やステップアップで取得していこう

溶接工を目指すなら資格は必須です。取得しておけば、あらゆる場面で役に立つのは間違いありません。

また将来、溶接の道でステップアップしていきたいときも、上位の資格にチャレンジしていけます。

自分がどんな業務に就きたいのか、どういう将来を思い描くのか考えながら資格を取得していきましょう。

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。