退職理由はなんて言う?円満に仕事を辞めるための伝え方ポイント
仕事を辞めるとき、必ず聞かれるのが「なぜ辞めたいのか」ということです。どのように理由を述べたらいいのか、悩む方も多いのではないでしょうか。退職理由は人によってさまざまです。理由の伝え方次第で印象が変わり、退職を切り出すのはとても勇気のいることですが、今回ご紹介する方法を参考に、上手に退職できるように備えておきましょう。
仕事を辞める祭に多い退職理由とは?
大手企業では、毎年多くの社員が入社してきますが、その一方で、辞めていく社員も少なくありません。そのような人たちはなぜ辞めてしまうのでしょうか。ここでは、退職の理由に着目し、どのような主な理由があるのかを解説していきます。
退職理由①給料が安い
ある調査によると、働く理由は「家族を養うため」「独立して生計を立てるため」と答えた人が7割以上いるそうです。つまり、ほとんどの方が生活のため、お金のために働いているのです。
そう考えると、「給料が安いから転職する」というのは、至極真っ当な退職理由と言えるのではないでしょうか。給料に納得ができないなら、自分の仕事を正当に評価してくれる転職先を、迷うことなく探せば良いのです。
人間関係は本人が努力すれば改善されるケースもありますが、給料が劇的に変わることはまずありません。そのため、給料の低さから転職を考え始める方も少なくありません。
役職につけば多少は変わるかもしれませんが、役職についた途端に「役員だから残業代は出ない」「部下より低い給料で働け」と言われるようなブラック企業もあるようです。
退職理由②人間関係でのストレス
上司をはじめとする職場の人間関係がうまくいかず、退職する方も多くおられます。会社の人間関係全般でいえば、社内の連携がずさんであったり、仕事を手伝ってほしいときに誰も手を貸してくれなかったり、フォローが必要なのに仕事を増やしたがらなかったりといったケースがあります。
さらに、自分と同僚に与えられた仕事の量に明らかな差があり、残業をしないと仕事が終わらない、内容的に重すぎるという場合も、不満の原因になります。
職場の人間関係は、仕事をスムーズに楽しく行えるかどうかに大きく影響し、悪化すれば大きなストレスを感じたり、ひどい場合は病気になったりすることもあります。
退職理由③労働環境や条件への不満
労働時間が長すぎることへの不満もよくある理由です。特に最近は、「仕事も大切だが、プライベートの時間も大切にしたい」「オンとオフのメリハリをつけたい」と、ワークライフバランスを重視する若手社員が増えています。入社前に想定される労働時間や休日を伝えておく、あるいは労働環境を見直すのもよいでしょう。
退職理由④やりたい仕事ではなかった
また、「自分に合っていないのかもしれない」「やりたかったことと違う」など、自分の考えと実際の仕事のギャップに悩み、退職を考える方もいます。
退職理由⑤会社の将来性に対する不安
他にも「会社の安定性や将来性に不安がある」など、不安を抱えている方もいらっしゃいます。特に現代は、次に何が起こるかわからない不確実性の高い時代です。AIの急速な発展や自然災害など、さまざまな不確定要素が将来への不安を生んでいます。
そんな中、多くの社員は「この会社は大丈夫だろうか」と自問自答しています。そして、その不安が現実味を帯びてきた時に、もし他に選択肢があるなら会社を辞める決意をする方が多いでしょう。
「なるべく安定した会社や業界へ転職したい」というのは、不安要素の多い現代における生存戦略ともいえます。
退職の意思を伝える際のポイント
まずは、多くの方が退職を決意する理由になる原因について考えてきましたが、いざ退職を決意しても、どのようにすればよいのかわからないという方もおられます。まずは、退職理由の上手な伝え方から学んでいきましょう。
まずは直属の上司に退職の意向を伝える
退職の意思を同僚や部下に簡単に漏らすのではなく、まずは直属の上司に相談するのが筋です。また、直属の上司に限らず、上司や他部署の上司に伝えるのも好ましくありません。
また、上司に退職の意思と退職希望日を伝える場合、一方的に伝えるのではなく、上司の指示に従ってください。そうすることで、上司もあなたの意向を聞き入れやすくなりますし、今までお世話になった上司への誠意も伝わります。
さらに、上司の仕事の邪魔にならないよう、就業時間後や仕事が一段落した頃に話し合いを始め、時間をもらうのがベターです。円満退職の秘訣は、自分の決断が軽いものではなく、熟考の末のものであること、退職後もお付き合いをさせていただきたいことを後任者に伝えることです。
会社を辞める1ヶ月前までには伝える
退職の意思は、遅くとも退職の1ヶ月前には雇用主に伝えておくのがベストです。仕事の引継ぎや取引先への挨拶など、退職希望日までに十分な余裕を持たせた方が良いからです。
会社によって、退職日の何日前に退職の意思を伝える必要があるかは異なります(1~3ヶ月前が一般的)。こうした点は就業規則に記載されていますので、事前に確認しておきましょう。
また、残される社員への負担が増えることを考えて、組織変更や人事異動が発表された直後の退職表明は、なるべく避けましょう。
退職の連絡は、必ず応募先企業から内定通知書を受け取り、正式に内定を承諾した後に行うようにしましょう。口頭で伝えた内定が、まだ承認されていない段階である場合も稀にあるため、取り消されるリスクもあります。
時には建前が必要
退職理由は人によって様々で、「給料が安いから」「人間関係に悩んだから」など、なかなか本当のことを言えない場合もあります。そのような場合は、理由をそのまま伝えないことが大切です。
ただし、「体調が悪い」「結婚した」など、事実と異なる嘘をつくということではありません。嘘はいずればれるものですし、転職先が今の会社の取引先になるなど、どこで別の縁があるかわかりません。
なるべく会社に印象を残さないように、事前にどのように真実を伝えるかを考えておきましょう。本当のことを言うと角が立つ、報復を受けるなどの恐れがある場合は、適切な言葉と態度で対応することがポイントです。
ケース別で見る退職理由の上手な伝え方
ここからは、辞める事情によって異なる、ベストな退職理由の伝え方について解説します。シチュエーションが当てはまる方はぜひ参考にしてください。
ケース①家庭の事情が理由の退職の場合
退職を考える生活環境の変化には、「結婚」「妊娠」「不妊治療に専念するため」などの理由が挙げられます。
それぞれの理由により円満な退職の切り出し方は変わってきますが、例えば結婚に関してはあらかじめ計画的にタイミングを考える方が多いですので、その場合には、時期が決まった時点で早めに退職願いを出すとよいでしょう。
妊娠・出産・不妊治療などで突然仕事を続けられなくなった場合は、辞めることにした理由を理解してもらえるように、丁寧に説明することが大切です。妊娠中は、高血圧症や切迫早産など、予期せぬトラブルが起こる可能性があります。
そうした急なトラブルで退職が早まることも考慮し、安定期に入ったら早めに報告・引き継ぎをするとよいでしょう。
ケース②病気が理由の退職の場合
病気の場合、上司から「何の病気か、いつからか、そんなに悪いのか、などの質問をされることがあります。上司の中には、今まで気づかなかったことに責任を感じてしまう人もいるかもしれません。
そうした可能性を踏まえて、「これまで頑張って仕事を続けてきましたが、持病が悪化したため、しばらく療養するために退職という形をとることにしました」と経過を伝えるようにすれば、納得してもらいやすくなるでしょう。
ケース③介護が理由の退職の場合
親の介護や配偶者の転勤など、家庭の事情で退職せざるを得ない場合もあります。この場合、上司との信頼関係にもよりますが、可能な限りありのままの事実を伝えるとよいでしょう。そうすることで、会社側も希望すれば休職や時短勤務など、働き続けられるように配慮してくれるかもしれません。
ただし、細かいことを話したくない場合は、「家庭の事情で家族と相談した結果、退職することにしました」などと言っておくとよいでしょう。
退職理由を伝えるタイミングや切り出し方は?
伝え方や退職理由のほかにも、早めの準備や職場への配慮、会社に迷惑がかからないような引き継ぎなど、円満な退職のためには欠かせないことです。ここでは、気をつけるべきポイントを2つお伝えします。
繁忙期は避ける
退職願を出すタイミングは、繁忙期を避けるようにしましょう。この時期はとにかく仕事に追われて通常の仕事をこなすだけでも精一杯という時期です。
そのようなタイミングで突然辞めさせて欲しいと伝えても、「今、忙しい。今度にしてくれ」と言われてしまうのがオチです。
ですから、上司が比較的精神的にも時間的にも余裕のある閑散期を見計らって退職の旨を伝えるのが正解です。
上司への切り出し方
忙しい上司をオフィスや会社の廊下で捕まえて、いきなり「ちょっといいですか?」と切り出すのは辞めておきましょう。そもそも、退職のような重大な話を、立ち話で済まそうとすること自体、失礼な話です。
まずはメールで「お話があるのですが、少しお時間をいただけませんか」とアポを取ることをおすすめします。この段階では「辞令」という言葉は使わず、相手の都合を確認するための文章にしておくのが良いでしょう。
しっかりと準備してから退職理由を伝えよう
いかがでしたか?今まで勤めていた会社と揉めることなく、円満に退職の手続きを進めることができるよう、退職のタイミングや手続きなど、正しいステップや方法を理解し準備しておくことが大切です。円満退職は簡単ではありませんが、当記事の内容が少しでも役に立つことを願っています。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。