小さな池【ビオトープ】とは?簡単な作り方から注意まで徹底解説!
ビオトープと聞いてもいまいちピンと来ない方も多いでしょう。しかしビオトープは私たち日本人にとって意外と身近な存在で、あちらこちらで見かけることがあります。そこで今回はビオトープとは何か、作るための準備や作り方などについて徹底解説いたします。ぜひ参考にしてみて下さい。
目次
そもそもビオトープとは?
ビオトープは元々ドイツ語で「Biotop」と綴り、英語では「Biotope」バイオトープと呼ばれることもある、生物群集の生態系を指す言葉です。日本語に訳すと「生物空間」という意味合いになり、人工的に作られた小さな生態系、およびその環境のことを意味します。
水辺の生態系を模したものが多く、よく神社の境内や懐石料理店の庭、和風庭園の軒下などでも見かけることが多いはずです。もしかすると小学校時代、校庭の中にあったという方もいるのではないのでしょうか。
ビオトープは室内に設置するアクアリウムやテラリウムなどと違い、水替えやエサやりなどをしなくてよいので、こまめに手入れや生き物の世話をする時間がないといった方にもおすすめです。生態系に必要な環境さえ最初に整えれば、後は自然と虫やカエル、鳥などが集まってきて小規模の食物連鎖が始まることもあります。
忙しい生活の中でのちょっとした癒しにもなりますし、小さな子どもがいる場合は生態系を学ぶのにもぴったりかもしれません。池のように広い場所が必要なく、土を掘って排水工事をする必要もないので手間が掛からないのも魅力です。
ビオトープの作り方の前に!必要な物を準備しよう
ビオトープの作り方の前に、まずは必要なものをチェックしてみましょう。水鉢などの容器、底床材、水、石、植物、魚や貝といったお好きな生物を揃えます。水草や生き物は育てやすいものを選びましょう。水草はホテイアオイなどのようにあまり手入れをしなくても勝手に増えていくようなものがおすすめです。
ホームセンターやガーデニングショップなどでビオトープに必要な材料を探してみて下さい。どれにしようか悩んだら、お店のスタッフに相談してみましょう。
初心者でも大丈夫!ビオトープの作り方を徹底解説
ここで、初心者でも簡単に作れるビオロープの作り方について徹底解説します。ビオトープは初心者でも気軽に取り組むことができるので、ぜひ参考にしてチャレンジしてみて下さい。
作り方①ビオトープの置き場所
まずはビオトープの置き場所について考えましょう。太陽が一日中照らすような場所だと水も蒸発しやすく、中にいる魚類が棲みにくくなります。水温が必要以上に上昇すると水草などにも影響を与えることがあります。
中に入れる植物や生き物の暮らしやすい温度や気候を考え、置き場所を検討してみましょう。自然のままの状態で生態系を維持するためにも、鳥や虫が寄ってきやすい場所がおすすめです。
作り方②容器を選ぶ
ビオトープ用の容器や大きな水鉢を専用に購入するのも良いですが、まずは自宅にある使っていない大きめのプラスチック製プランターで代用してみるのも一案です。水はけ用の穴が開いている場合は、水場の補修をする時に使うシリコン材で塞げば問題ありません。
形状も丸にこだわる必要はなく、長方形や池をイメージした波型の容器など、好みのものを選んでみましょう。メダカや金魚などを泳がすのであれば、ある程度魚たちが窮屈に感じない程度の広さを意識してみて下さい。
作り方③土を入れる
好みの容器が見つかり、場所も決まったら次に土を入れていきましょう。土と言っても園芸用の土ではなく、アクアリウムで使われるソイルや川砂が必要です。水の中に入れても大丈夫な材料を選ぶようにしましょう。
大磯砂や五色石などの砂利が手軽でおすすめです。本格的に植物を植えて育てたいのであれば、園芸用品の「赤玉土」の小粒もぴったりです。価格も安いので、安心してたっぷりと使えます。ホームセンターやガーデニングセンターなどで探してみて下さい。
作り方④水草を入れる
土を入れたら今度は水草の番です。水草と言っても具体的に草の名前が思いつかないという方も多いでしょう。ガーデニングセンターやホームセンターに行けば、水生植物のコーナーが必ずと言ってよいほど用意されているので、そこで好みの水草を選ぶことができます。初心者の場合、見た目の美しさよりも育てやすさを重視して選んでみて下さい。
水草は直接容器の底床に植えるものと、小さなプランターに入れてから容器ごと沈めるものがあります。水草を選ぶ時はその辺りもポイントにして吟味してみましょう。最近はビオトープを始める方も多いので、店のスタッフに質問すれば詳しく教えてくれるはずです。
水草を入れたら、カルキ抜きした水をそっと入れていきましょう。一般的に水道水には微生物を取り除くためのカルキが含まれています。一度鍋ややかんに入れて沸騰させてから冷ましてみたり、直射日光に1~2日当てたりすれば自然とカルキが抜けていきます。
手早くしたいのであれば、カルキ抜き剤を使うという方法もあります。井戸のくみ上げ水や池の水など、もともとカルキが含まれていない水を使用した場合は、すでに水は生物が生きていくために十分な環境を備えているので、そのまま使っても大丈夫です。
作り方⑤メダカなどを入れる
ビオトープの楽しみの一つと言えば、中を自由に泳ぎ回る魚の姿です。メダカや金魚が一番ポピュラーですが、泳いでいる姿を眺めているとほっと心が癒されるという方も多いようです。ビオトープの土台ができると、すぐにでもメダカや金魚などを入れたくなるかもしれませんが、1~2日我慢して、ビオトープの水の中に微生物やバクテリアがわくのを待つようにしましょう。
1~2日してから少量のメダカなどを少しずつ入れて様子を見ます。様子を見てメダカなどが元気にしているようであれば、残りのメダカなどを入れるようにして下さい。メダカは暑さに比較的強い魚なので、外でも元気に過ごしてくれることでしょう。
作り方⑤管理
ビオトープを一度作ったからと言って、すぐにそのまま注意もせず放置するのは危険です。ビオトープ内の生態系が完成して環境が落ち着くまでは適宜お手入れをするようにしましょう。藻が増えすぎていないか、水質の管理をし、水が蒸発しやすい夏などは水の量が一定であるかチェックすることも大切です。
逆に大雨で水の量が急激に増えると容器から水があふれだして危険なので、気を付けましょう。季節によって太陽の当たり具合も変わってくるので、必要に応じて場所を変えたり、日よけなどで日陰を作ったりするのも一案です。
ビオトープの作り方を工夫しよう
ビオトープに慣れてくると、もっと素敵で魅力的なビオトープにしてみたいと思うこともあるでしょう。ここではビオトープの作り方の工夫についてご説明します。参考にして自分なりにアイデアを駆使して楽しんでみて下さい。
おすすめの生き物の種類
小さな自然の生態系であるビオトープでは、生物は自由に繁殖を繰り返し、自然とその数を増やしていきます。メダカを飼う場合は、生き物はメダカだけで飼うのがおすすめですが、生き物の種類によってはメダカと共存できるものもいます。
たとえばドジョウは水の底の方で生活をするので、水の上の方で泳いでいるメダカとぶつかることもなく上手に棲み分けができます。さらにメダカとドジョウはお互いに食べる関係にはないので安心です。
ミナミヌマエビを入れると、ビオトープ内で増えたコケを食べてくれるのでコケ取対策にもなります。通常はメダカを襲って食べることはありませんが、メダカの稚魚や弱っているメダカがいる時は注意した方が無難です。
メダカのいるビオトープで一番人気なのがタニシかもしれません。メダカと共存可能ですが、あまりたくさん入れると水草を食べてしまうので、タニシを入れる時は1~2匹までにとどめておきましょう。
ビオトープでミドリ亀を飼っている人もたまにいるようですが、カメは気が付くと逃げ出して近くの池などで勝手に繁殖してしまうので要注意です。また、メダカがいるビオトープにザリガニを入れると、メダカを食べてしまうので禁止です。ザリガニを飼いたいのであれば、メダカは水槽に入れほかの場所で飼うようにしましょう。
このようにビオトープでよく使われるメダカと共存できる生き物はいくつかいます。環境を上手に整え、生き物たちが快適に暮らせる環境を整えるようにしましょう。
おすすめの容器の種類
ビオトープを始めるにあたり、おしゃれな金魚鉢や丸鉢を揃えたいと思うかもしれません。しかし従来の水鉢は重たくて、水や底砂などの内容物を入れた状態で必要に応じて移動するのは難しいでしょう。
FRP、つまり繊維強化プラスチックであれば軽くて丈夫なので、持ち運びや手入れも簡単です。FRPはテントの骨組みなどにも使われている素材であり、耐久性があるので野外で使うのにぴったりです。
レイアウトのコツ
初めての場合、どのようにレイアウトしたらよいのか迷うことでしょう。レイアウトのコツとしては、植物をセットする時に高低差をつけることにより、より立体感を演出できます。正面から見た時に、背後に当たる位置に背の高い植物を、手前に背の低い植物を配置することにより、奥行き感のあるデザインになります。
水面から流木や石、小岩などが頭を出すようにレイアウトするとよりナチュラルなデザインになります。配置を工夫して、まるでミニチュアの自然の風景になるようにアレンジしてみましょう。風景写真などからアイデアを得るのも名案です。
上手にレイアウトできなくても、水連とメダカや金魚を入れるだけで充分池のような雰囲気を楽しむことができます。また、草を茂らせて湿地のような印象にするのもよいでしょう。まずはできる範囲でレイアウトを楽しんでみて下さい。
ビオトープの作り方に困ったらセットがおすすめ
ビオトープに取り掛かったものの、意外とそのレイアウトが難しかったり作り方に悩んだりすることもあるでしょう。こんな時は一から自分で材料を揃えるのではなく、最初からセットを利用するのも名案です。
姫スイレン+楊貴妃メダカ+ガラス鉢セット
ガラス製の鉢とビオトープに必要な睡蓮と土、そしてメダカがセットになったタイプで、これ一つですぐにビオトープが始められます。ガラス製の鉢なので、上からだけでなくサイドからも水の中の様子がわかり、メダカの泳ぐ姿が観察できます。
初めてメダカやスイレンを育てる人にはぴったりのセットです。まずはこれでビオトープを始めてみましょう。
ビオトープ作りを始めてみよう
今回はビオトープについてご紹介しましたがいかがでしたか?ビオトープという名前は聞きなれなくても、これまでどこかで目にしたことがある方も多いでしょう。今回の記事を参考にして、是非ビオトープにチャレンジしてみて下さい。きっと日常生活の素敵な癒しとなってくれるはずです。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。