引用:竹之内組

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【鳶職】の仕事内容とは?作業別の種類や年収・取得したい資格を詳しく解説!

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「トビシゴトって何?」「給料はいくら?」など鳶職に関する疑問を持つ方はたくさんおられます。鳶職人とは、高いところに足場や骨組みを作る仕事です。学歴や資格がなくても働くことができ、近年では待遇も改善されてきています。今回は、鳶職人の仕事内容や1日のスケジュール、給料や年収について紹介します。また、キャリアアップに必要な資格についても解説します。

鳶職とは?

鳶職人とは、建設現場の高い位置で働く職人のことです。「鳶」「鳶の社」「鳶工」とも呼ばれ、町内では基礎工事、簡易地盤工事、関所石工なども請け負います。「現場の華」と呼ばれるのは、高いところを華麗に動き回ることに由来しています。

新築・改築工事には欠かせない存在ですが、高所作業が主であるため常に危険と隣り合わせの仕事であるのも事実です。そのため、高い技術や体力はもちろん、強い集中力や経験も必要とされる仕事といえます。

名前の由来ですが、「高いところで働く=鳥の鳶」と誤解されることが多いようです。しかし、鳶職は江戸時代から続く伝統的な職業で、語源は江戸時代の職人が使っていた「鳶口」という道具であるとされています。

ちなみに、江戸時代の鳶職人は、火消しも兼ねていました。江戸では「喧嘩と火事は江戸の華」と言われるほど、火事が多かったようですが、現代のように放水による消火方法は発達しておらず、当時は近隣の家屋を破壊することで延焼を防いでいました。

そこで鳶職人は「工事のスペシャリスト」として、棒状の鳶口を器用に使いながら、建物を解体し、火災を鎮火させたという歴史があります。

鳶職の種類や仕事内容

しかし、一口に「鳶」といっても、実際にはさまざまな専門分野があります。例えば、「重鳶」「橋鳶」といった職種がありますが、それぞれの職種が何をするのかよくわからないという方もおられることでしょう。鳶職は、専門分野によって6種類に分かれます。以下、それぞれの職業について詳しく解説します。

鳶職の種類①足場鳶

「足場鳶(あしばとび)」は、高所作業現場に欠かせない足場を、鉄パイプやファスナー、足場板などを使って組み立てたり、解体したりする仕事です。「鳶に始まり鳶に終わる」という言葉があるように、鳶が最初に現場に入って足場を組み立て、さまざまな職人が工事に関わる作業を行います。

足場作業員はよく見かけるので、皆さんが持っているイメージに一番近い職業かもしれません。そして、すべての作業が終わると足場は不要になるため、工事が終わると足場を解体し、職人たちは帰っていきます。

つまり、鳶職とは形として残らない仕事ではありますが、足場がなければ工事を進めることができないので、とても重要な役割を担っていると言えます。

鳶職の種類②鉄骨鳶

また、高層ビルやマンションなどの大規模な建設現場で活躍する鉄骨鳶(てっこつとび)もいます。鉄骨工の仕事は、高層ビルやマンションなどの大規模な建設現場で、建物の土台となる骨組みを組み立てることです。

鉄骨の部材をクレーンで吊り上げ、ボルトで固定していきます。高所で行うため危険性が高く、クレーンで鉄骨を自在に操るには高度な専門知識が必要です。

そのため、一流の鉄骨工になるには、長く現場で経験を積むことに加え、さまざまな資格を取得する必要があります。

鳶職の種類③重量鳶

重量鳶(じゅうりょうとび)は、大型機械などの重量物を建物内に設置する仕事です。上記2種類の鳶職人に比べて専門性が高く、土木工事では橋梁の現場で主桁を架設する仕事も含まれます。また、空調・給排水・電気設備工事のプラントや部品を担当するケースも多いです。

鳶職の種類④橋梁鳶

橋梁工(きょうりょうとび)は、橋梁や高速道路、ダムなどの土木工事を行う作業員です。また、鉄塔や競技場などの建設を担当することもあります。この職業は、比較的大規模な工事を行う現場に携わります。そのため、他の鳶職人とは異なる専門的なスキルが求められることもあります。

具体的な作業としては、足場組み、鉄骨組み、橋梁架設などがあり、橋や道路の建設のため、橋梁工事従事者は出張することが多いです。

鳶職の種類⑤職長

職長とは、他の鳶職人を監督・指揮し、工程管理、施工管理、安全管理などを行う人のことです。いざ作業が始まると、自分の作業に集中するあまり、周囲への意識が薄れ、事故が発生することもあります。

そのような訳で、職長さんの務めは非常に重要であり、時に命に関わる危険を回避しなければなりません。現場監督者は、1つの現場に1人必ず配置することが求められています。この仕事を行うには、訓練を受け、研修の修了証書を取得している必要があります。

「安全衛生責任者」と混同されることがありますが、この2つは似て非なるものです。簡単に言うと、「職長」は現場管理などの業務を担当し、「安全衛生責任者」は総括安全衛生管理者との連絡などの外勤業務を担当します。どちらも重要な仕事ですが、その役割や業務内容は大きく異なります。

鳶職人になるには見習いから始めよう

現在、鳶職を学ぶための専門学校はなく、学歴も資格もない人が採用されるケースが多いです。つまり、鳶職になるために特別に学校に通ったりする必要はないのです。

基本的には建設会社等に就職して1から技術を学んでいくことになります。18歳未満の場合、高所作業に従事することは法律で禁じられていますので、まずは一般運搬などの地上作業がメインとなります。

冒頭で述べたように、鳶職は怪我や命を落とす危険な仕事なので、事故防止のために先輩から厳しい指導を受けることもあります。仕事に慣れるまでは、肉体的・精神的に厳しいと感じるかもしれません。

鳶職人として取得したい資格

鳶職人におすすめの資格は、以下の4つです。鳶職人になるために必要な資格は特にありませんが、資格を持っていることで収入アップやキャリアアップにつながることもあります。

資格①玉掛け

鳶職人になるために必要な資格は特にありませんが、この資格を持っていれば、クレーンを操作して吊り荷にワイヤーロープをかけたり、外したりすることができます。

足場鳶、鉄骨鳶、重量鳶、橋梁鳶など、上記のどの鳶職でも玉掛け・玉下ろしの作業は必要ですので、まずはこの資格を取得することを目標にしてみてはいかがでしょうか。

資格②足場の組立て等作業主任者

この資格は、吊り足場、張り出し足場、高さが5mを超える構造の足場の組立・解体・交換を行う際に必要な資格です。これらの足場の作業には、労働災害の防止を図るため、足場資格者の配置が法律で義務付けられています。

足場免許を取得するには、足場の組立・解体・交換など足場に関する業務に3年以上従事した経験が必要です。土木、建築、造船を専攻して学校を卒業した場合は、2年以上の足場作業の経験が必要となります。

資格③建築物等の鉄骨組立て等作業主任者

「建築物等の鉄骨の組立て等作業主任者」は厚生労働省が認定する国家資格です。高さ5m以上の鉄骨建築物の組立・解体を行う場合、この資格を持つ者を配置する必要があります。

そのため、鳶職として働く人には需要がある資格です。この講座を受講するためには、実務経験が必要です。建築や土木の学校で学んだ人は2年、学校に通っていない人は3年の実務経験が必要です。

資格④とび技能士免許

鳶職人が将来的に取得を目指す重要な国家資格「とび技能士」ですが、資格には3つのレベルがあります。2級は実務経験2年以上、1級は実務経験7年または2級取得後2年の実務経験が必要です。特に1級は取得が難しく、多くの知識と経験が必要とされます。

しかし、1級を取得すれば、独立し、職業訓練校の講師として働くことができます。将来的に鳶職人として独立を考えているのであれば、必須の資格といえるでしょう。

鳶職の年収はどれくらい?

鳶職人の給与体系は、日給月給制が一般的です。月給は、働いた日数から休んだ日数を引いて計算されることが多いですが、一般的に見習いの場合、日給は7,000円から10,000円程度です。職長になれば給料のアップが期待でき、日給は12,000円から18,000円です。

厚生労働省の調査報告書によると、2015年度の鳶職の所定内給与の平均月額は28万5000円、ボーナスを含む特別給与の平均月額は33万7000円ほどでした。鳶職人の年収は、単純計算で約375万円です。

鳶職人の給料・年収は、経験年数や与えられた役職によって変わってきます。また、会社によっては給料が安かったり、ボーナスがなかったりするので、事前に労働条件をよく確認しておきましょう。

鳶職に将来性はある?

デジタル分野の技術が進歩し、AIが人の代わりをするようになった現在では、レジが自動化され、アクセルを踏まなくても車が走る世界に向けて急速に動いています。そのうちレジの店員もタクシーの運転手もいなくなるかもしれません。

しかし、足場鳶は機械学習ではできない仕事であり、衣食住の一つである建物は、そこに住む人がいる限り建ち続けるといえます。一度技術を身に付ければ、将来的にも仕事がなくなることはないでしょう。

鳶職に就くなら若いうちから経験を積もう

足場作業員に必要なのは、経験です。現場をこなせばこなすほど、スキルは向上し、ノウハウも蓄積されます。そうすれば、元請けやお客様からのさまざまな要望に応えられるようになります。

現場の安全性を高め、作業員の負担を減らす工夫をしながら、質の高い足場を作ることができるようになります。

もちろん、未経験で入社した場合は、誰もが初心者です。しかし、先輩から技術を教わったり、教えてもらったりすることで、徐々にスキルアップしていくことができます。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。