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3Dプリンターの基礎知識!素材や材料・作れるものまで徹底解説!

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3Dプリンターは製造業や建築、医療関係など専門的な要素で使うイメージがありますが、どういった材料を使って、何が作れるかをあまり知らないという方も多いのではないでしょうか。近年は家庭用のタイプも販売され、趣味での需要も高まってきています。ここでは3Dプリンターの基礎知識をご紹介してまいります。

3Dプリンターって何?

そもそも3Dプリンターって何なのか、と聞かれると3次元のものをプリントできるもの、という認識の方が多いのではないでしょうか。正確には3次元、つまり立体のデータを元にして、樹脂などを使って立体造形物が作りだせる機械が3Dプリンターです。

2次元の形状を1層ずつ積み重ねていくことで立体にするもので、業務用で高価というイメージがありますが、近年は家庭でも使いやすいコンパクトで安価なタイプも増えてきています。

3Dプリンターを使うメリット

3Dプリンターを使うメリットはいくつかありますが、デザインを実際に形にすることができるので、製品化するにあたって様々な検証ができます。3Dプリンターを使わずに製品化の検証をしていくとなると、型を作って試作品を作りますが、形の変更があれば毎回型を作り直すことになるため、費用もかかれば時間もかかります。

コスト削減で開発までの時間も短縮できるというメリットもあると言えるでしょう。また、他社に試作品の依頼したり、型の製作を依頼している会社の場合は、情報を渡して作ってもらう必要があります。ここで情報が流失してしまう可能性もありますが、自社内で3Dプリンターを使えば、情報が洩れる危険性も低くなります。

また、3Dプリンターで製作し販売した商品が故障し、部品が必要になった際も、必要な部品だけ3Dプリンターで作ればよいので、部品を在庫をしておく必要もありません。必要な時に部品を作れるため、製造中止で部品が入手できなくなった、というような問題も起こりません。

3Dプリンターで使われる素材・材料

3Dプリンターで使われる素材・材料は複数あります。作りたいものによって材料は変える必要がありますが、材料選びに悩むほど使える素材は多いです。素材の特徴もチェックし、最適な素材で製品作りをしてみてください。

素材や材料①ABS樹脂

1つ目は、ABS樹脂です。正式にはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂と呼ばれ、略で頭文字を取ってABS樹脂となっており、この3つの有機化合物を結合させた合成樹脂になります。テレビやエアコンなどの家電製品やドアや流し台などの建築部材、おもちゃや文具などにも使われている素材です。

耐寒性・耐熱性もあるため使用できる温度範囲が広く、機械的な性質のバランスが良いという特徴があります。紫外線や有機溶剤の弱く、野外で使うものには不向きです。

素材や材料②PLA樹脂

続いてはPLA樹脂です。Poly-Lactic Acidの頭文字を取ってPLA樹脂と呼ばれるもので、ジャガイモやトウモロコシなどが原料の植物性樹脂です。日本語ではポリ乳酸とも呼ばれます。環境にやさしい素材であることからSDGsでも注目を浴びている素材です。

土中の微生物が分解できる成分のため、農業用ビニールマルチやレジ袋などにも使われています。3Dプリンターの材料としてはABSと並んで主流の材料で、石油系の臭いがなく、溶解温度が低いため熱収縮の歪みも少ないのが特徴です。

素材や材料③アクリル樹脂

アクリル樹脂は、透明性の高い樹脂です。アクリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合体で、PMMAと呼ばれることもある合成樹脂の1つです。水族館の水槽や乗り物の窓材、カーポートなどにも使われており、耐衝撃性や耐候性がある素材となっています。UVランプで硬化する速度が速く、微細な造形ができるのが特徴です。

素材や材料④エポキシ樹脂

エポキシ樹脂は分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物の総称で、液体状の樹脂を加熱して硬化させる熱硬化性樹脂に分類されます。分子の量によって液状や固体の製品もあり、塗料や接着剤の原料にも使われています。

高い電気絶縁性があるため電子部品の塗料として使われており、耐水性や耐薬品性、耐食性にも優れるため自動車や船舶の防腐用塗料にも使用されています。光造形によく使われる素材です。

素材や材料⑤ナイロン樹脂

ナイロン樹脂は洋服等でなじみのある方も多いですが、ポリアミドとも呼ばれる結晶性の熱可塑性樹脂です。耐熱性、衝撃特性に優れた素材で、エンジニアリングプラスチックの中でもよく使われている素材の1つです。

アメリカの企業が開発し、ストッキングの材料の合成繊維として最初に使われました。現在は自動車部品や電子部品などにも使われています。表面はざらざらしており、強度がありながら低価格なので人気の材料となっています。

素材や材料⑥石膏

家を建てる際や彫刻など美術で使うイメージのある石膏も、3Dプリンターの材料になります。石膏は硫酸カルシウムを主成分とする鉱物のことで、水に反応して様々な形状が作れます。短時間での成型が可能で、フルカラーで色が付けられるのが特徴です。

素材や材料⑦ゴムライク

ゴムライクは、その名の通りゴムのような弾性がある樹脂のことで、リアルな柔らかさを表現するのにおすすめの素材です。プリンターによっては、硬度の設定もできるため、どれだけ柔軟性を持たせるかも好みで変えられます。靴やサンダルの試作品製作などに使われています。

素材や材料⑧金属

最後は金属です。金属で材料につかる素材は多く、ゴールドやシルバー、プラチナも使用できます。中でも純チタンは金属アレルギーを起こしにくく、手術器具やペースメーカーなど体の一部の代わりになるものにも使われています。地金価格によっては価格が高騰している素材もあるので、その点も考慮する必要があります。

3Dプリンターの主な造形方式

3Dプリンターには造形方式がいくつかり、機種によってどの方式かは違います。造形方式によって使える素材も変わってくるので、自分が使いやすい造形方式をチェックしてみてください。

造形方式①熱溶解積層方式(FDM)

1つ目は、熱溶解積層方式(FDM)です。固形材料を熱で溶かして柔らかくし、ノズルから押し出して積層していく方法で、家庭用として販売されている3Dプリンターの中では主流の方式です。ABS樹脂やPLA樹脂などが材料として使えます。本体価格も材料もお手頃価格で入手可能なものが多いです。

造形方式②粉末焼結積層造形方式(SLS)

粉末焼結積層造形方式(SLS)は、粉末状の素材を敷き詰め、レーザーを照射して焼結させて1層ずつ積層していく方式です。縦方向の造形もスムーズです。樹脂ではナイロンや金属素材のチタンやアルミニウムなどの粉末が良く使われます。

造形方式③光学造形方式(SLA)

最後は光学造形方式(SLA)です。光化学樹脂に紫外線レーザーなどの光源を当てて硬化させて、1層ずつ積層していきます。UVレジンと同じ、というと分かる方もおられるかもしれません。樹脂で紫外線で硬化する材料しか使えませんが、透明度の高い造形物が作れます。

3Dプリンターで簡単!制作物例

3Dプリンターに興味がある方も、何が作れるのか、何を作ったら良いか、仕事以外で使うとなると悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。3Dプリンターで簡単に作れる制作物をご紹介していきます。

3Dプリンターで作れるもの

3Dプリンターで作れるものの代表と言えば、フィギュアです。表情なども細かく再現できます。プリンターのサイズによっては大きいものも作製でき、早いものでは数時間で完成してしまうなど、あっという間に思い描いていたものが作れます。

医療用模型では歯科矯正器具や歯列モデルの造形、家づくり用に建築模型なども作れるので、様々な現場で使われています。

3Dプリンターでつくる簡単自作アイテム

3Dプリンターで自作したものを使いたいという方におすすめなのが、花瓶です。おしゃれな形状も綺麗に作れます。歯ブラシ立ては、立てたい本数で好きな形状で作れるため、おすすめです。他にもスマホスタンドやジュエリースタンドなど、インテリア性の高いものも作れます。

3Dプリンターを気軽に使ってモノを作ろう!

3Dプリンターの基礎知識や材料をご紹介してまいりましたが、まだ専門的な知識がないと難しそうと感じている方も少なくありません。工業用は数百万円するようなモデルが多いのでなかなか手が出ませんが、家庭向けの安価なモデルや使い方も簡単なタイプなら、初心者の方でも安心でしょう。

3Dプリンターはまだ家庭への普及は多くはありません。しかし思い通りのものが作れる上、出来上がりまでのわくわくするような時間はモノづくりの醍醐味ともいえるでしょう。ぜひ3Dプリンターでモノづくりに挑戦してみてください。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。