レンチの基礎知識まとめ!種類から正しい使い方まで徹底解説!
レンチというと、どんな工具を思い浮かべるでしょうか?留め具の固定作業を行う際に活用する工具の一種で、車やバイクの整備をした事のある方なら容易に想像できるでしょう。様々な種類があり、長さ、形状などそれぞれ異なります。今回は、そんなレンチの種類や使い方を解説します。
レンチとは
レンチは、ボルトやナットを回転させて締めつけたり、逆に緩めたりする際に使う工具の事です。同じ目的で使用するスパナは有名な工具ですが、レンチはアメリカの英語、スパナはイギリスの英語で、両方ともボルト等を締める工具の事を指しています。
めがねレンチを例に挙げると、スパナが2か所で固定して回すのに対し、6つの点で留め具をとらえます。この構造ゆえに、回す際に工具は外れる事がなく、スパナよりも強い力で締めつけたり、逆に素早く緩めるのを可能とします。
レンチの種類
種類①めがねレンチ
レンチと言っても様々な種類がありますが、中でも有名なのが「めがねレンチ」です。両端の部分にボルト等を固定する為の円形の口があるのが特徴で、両端の丸が眼鏡の様な見た目である事からめがねレンチと呼ばれています。
素手に紹介していますが、めがねレンチは6つの点でボルトをとらえます。回転させる際はレンチが外れにくく、スパナよりも強い力をかけて締める、緩めるの両方の動作が出来ます。
種類②コンビネーションレンチ
続いては、コンビネーションレンチになります。めがねレンチは両方ともがレンチであったのに対し、このコンビネーションレンチは片一方がレンチ、もう一方はスパナになっています。
全てがそうというわけではありませんが、多くのコンビネーションレンチはレンチもスパナも口径が同じになっています。狭い場所のボルトなどはレンチは不向きな為、両方を使い分けられるのが最も大きな利点と言えます。
種類③モンキーレンチ
めがねレンチと並んで有名なのが、モンキーレンチです。こちらはボルトをつかむ口部の手前にウォームと呼ばれる調節部品が付属しており、これを回す事で口部を広くすることも狭くする事も出来、サイズを調整できます。
サイズが調整できれば、大きさの異なるボルトも回せるようになります。但し、めがねレンチの様に多くの面で固定するのではなく、スパナの様に2つの面で挟んで回すタイプである為、他のレンチと比較すると力は入れづらい面があります。
種類④ソケットレンチ
ソケットレンチは、ボルトやナットの頭部分に嵌めるソケットという部品と、それを回すハンドルで構成されているレンチです。完全にボルトやナットを挟み切った状態で締めたり緩めたりしますので、他レンチよりも強い力を加えられます。
ソケットの部分は回すボルトに合わせて部品を換える事が出来るモデルも少なくなく、サイズの異なるボルトやナットにも対応させられ、使用する際はアイテムの数こそ多くなりますがモンキーレンチよりも強固に固定できます。
種類⑤ボックスレンチ
続いては、ボックスレンチです。ボックスレンチは、ソケットレンチで使われていたソケットとハンドルが完全に一体となったタイプのレンチです。ソケットに関しては六角タイプで、一体化している分より加えられる力が強くなります。
形状も様々で、L型、十字型、Y字型などがありますが、ボックスレンチの中で代表的なのはT形タイプです。ハンドルの部分がTの形になっており、両手で握って力を加えられます。車のホイールに使われるナットなど、強い力が必要な部位で用いられます。
種類⑥ラチェットレンチ
ラチェットレンチは、レンチの口部にラチェット機能を付加したレンチになります。口部が特殊というとソケットレンチと類似している様に感じますが、こちらはソケットの様に交換する事は出来ません。
口部を換える事が出来ませんので、回すボルトやナットに合わせたものを揃える必要がありますが、一度ボルトなどにはめ込んでしまえば回転の際にはめ直さず回し続けられます。その為、作業もスムーズに行えます。
種類⑦クロウフットレンチ
クロウフットレンチは、特殊レンチと呼ばれる種類の1つです。非常に特殊な形状をしており、ソケットなどが入らないような入り組んだ場所での作業をするのに適しています。自動車や産業機械などの油圧配管等、特殊なケースで用いられます。
主に、車のブレーキやクラッチに使われるナットを回したり、エアコンの油圧機械などが用途として挙げられます。締めたり緩める際は5面で捉えて回しますので、傷を付けずに力を入れて動かせます。
種類⑧トルクスレンチ
最後はトルクスレンチです。これは、トルクスねじと呼ばれる特殊な形状をしているねじに対応したレンチで、プラスやマイナスのドライバーでは回せないトルクスねじには必ずこのレンチを使います。ねじに接触する部分は、六角星型をしています。
トルクスねじは、例えばコンピュータの設計や管理上素人が触ってはならない場所に使われています。その為、ねじの中心に無闇に触らない為の突起が付いています。この為、トルクスレンチでしか締めたり緩める事は出来ません。
レンチの正しい使い方
使い方①めがねレンチ
続いて、それぞれのレンチの使い方の解説に移ります。まずめがねレンチには、紹介した通り両端に口部が備わっていますが、大抵それぞれのサイズは異なります。その為、使う留め具のサイズに合致したものを用意する必要があります。
留め具のサイズに合うレンチを用意したら、カッチリ嵌まるまで深くレンチを挿し込ませます。留め具とレンチが水平になる所で回せば、留め具が回りだします。サイズが異なると力も入れられず、留め具自体をつぶしてしまう事もあり得ます。
使い方②モンキーレンチ
続いてモンキーレンチは、めがねレンチとは異なり口径部分の調整を行えますので、サイズの異なる留め具でも1つで回せます。まず、できるだけ余裕を持たせてレンチを開き、上あごを留め具へと当ててかみ合わせられるまで下あごを締めます。
回す際は、必ず下あごが下側に来るようにします。逆、つまり下あごが上に来るように回すと、留め具を壊す原因にもなりかねません。大きいサイズのモンキーレンチで小さい留め具を回す事も出来ますが、その際は力の調整が繊細になります。
使い方③ソケットレンチ
ソケットレンチは、解説した通り留め具のサイズに合わせてソケットを組み替えて使うレンチです。その為、実際に使う際はまず留め具に合ったサイズのソケットと、そのソケットに合致するハンドルとを組み合わせます。
レンチには、作業をする中でソケットが外れない様、ロックする機構が備わっています。取り付けの時にヘッド部分のリリースボタンを押しながら繋げれば、ロックが出来ます。そして、締めるのか緩めるのかをレバーで切り替え、正しい方向に回します。
使い方④クロウフットレンチ
クロウフットレンチは、単体では作業に使えませんので、スピンナハンドルを組み合わせて使います。めがねレンチの片一方の様な形状のフレアや、スパナの様な形のオープンエンドは、変換アダプタなどと組み合わせるとより奥まった場所で使える様になります。
使い方⑤トルクスレンチ
最後にトルクスレンチですが、これもめがねレンチと同じく1つのレンチのサイズを変化させることは出来ませんから、留め具のサイズに合致したものを用意します。これを留め具の奥まで挿し込ませ、同じように回せば留め具が回せます。
使用する際は、先端部分を倒さない様に使いましょう。倒すと口部が破損する恐れがあります。また、すでに亀裂の入ってしまっているレンチも使うべきではありません。必ずサイズの合ったものと、適正な状態のトルクスレンチを使って作業をします。
レンチを使用する際はサイズに注意!
使い方の中でも開設した通り、レンチを使用する際は留め具と合致するサイズのものを使うのが基本となります。使っている途中、留め具が硬くて緩められないからとハンマーでハンドル部分を叩くなどはしてはいけません。レンチや留め具を壊してしまいます。
緩めた状態から締める際は適切な力を加えるだけですが、ずっと緩めていないボルトが緩めにくいというのなら、潤滑油などをスプレーしておきましょう。それでも無理ならば、電動工具やエアツールなどのインパクトレンチを使うという手もあります。
使い方に合わせてレンチを選ぼう!
レンチと言ってもその種類は様々で、留め具のサイズに合わせる事はもちろんの事、作業の内容に適したタイプのレンチを選ぶ事が非常に大切になります。用途、留め具のサイズ、形などに応じ、最も力を発揮できるレンチを選びましょう。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。