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エアコンは自分で取り付けできるの?準備から設置方法まで詳しく解説!

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エアコンを買い替えたときは、基本的に専門業者が設置してくれますが、取り付け方法や手順、コツや必要工具さえ把握していれば自分で取り付けすることも不可能ではありません

引っ越しで元々使っていたエアコンを付け替えたり、施工費用を少しでも節約するなら自分で取り付けしてみるのもいいでしょう。こちらの記事ではエアコンを取り付けるための準備や設置方法などを紹介します。

エアコンの取り付けをするための心構え

専門業者に依頼しなくても自分で取り付けることができるエアコンですが、素人が作業する場合にはさまざまなリスクがあることを知る必要があります。

エアコンの取り付けはメーカーや取り付け場所など環境によって難易度も異なり、自分で取り付ける際には失敗する可能性もあるということを念頭に置くようにしましょう。取り付け方法に一通り目を通し、作業イメージが把握できないようであれば専門業者に依頼することをおすすめします。

自分でエアコンを取り付ける方法【準備】

エアコンの取り付けはいきなり取り付けるのではなく、まずは準備することから始めます。必要工具を揃えたり、作業できる環境を整えておきましょう。

準備①必要な部材

エアコンを取り付けるにはさまざまな機材や工具が必要になりますが、そのなかでもエアコンを取り付けるときに必ず必要となってくる部材があるので紹介します。

  • 据え置き台(プラブロック):室外機を設置するための台
  • 配管パイプ(エアコン配管用被覆銅管ペアコイル):エアコン空調機の冷媒配管(新冷媒R140Aに対応)
  • ドレンホース:エアコン内部に溜まった水を排水するためのホース
  • 化粧カバー(スリムダクト):配線の見栄えを良くしたり劣化を防ぐためのカバー
  • 配管テープ:化粧カバーを使用しない場合の代用品
  • 貫通スリーブ:配管を室内から室外に出す穴を保護する部材
  • エアコン配管用パテ:壁に開けた穴に配管を通したあとに穴を塞ぐ
  • 渡り配線用の電線:エアコン本体と室外を接続するケーブル
  • ボードアンカー:エアコン据付板の取り付け用
  • アース棒・アース用ネジ、アース線:漏電や感電対策のアース工事用

エアコン取り付けに必要な上記の部材は消耗品であり、取り付けのたびに準備する必要があります。

準備②部屋の養生をする

エアコンを取り付けるときは部屋の養生を行いましょう。床や周囲の壁を養生シートやマット、ビニールシートで覆い、キズや汚れを防ぐようにします。

床を養生する場合は脚立を置いたり工具を落とすとキズがつくので、できるだけ厚手のものがおすすめです。作業用の養生マットや要らなくなった毛布を敷くといいでしょう。

準備③取り付け場所の確認をする

準備として取り付け場所の確認も必要です。室内だけでなく室外機を置く場所もしっかりと確認しないと、配管用の穴を開ける場所を間違えてしまうこともあります。エアコンを設置するための配管用の穴が壁にあいている場合は、それに合わせてエアコン本体を設置することをおすすめします。

配管用の穴だけでなく、エアコン専用のコンセントがある場所も確認しておきます。エアコンは普通のコンセントには接続できないので注意してください。もし電圧が違う場合は電圧変更の作業も必要になります。

自分でエアコンを取り付ける方法【手順】

必要な部材や部屋の養生、設置場所の確認ができたら取り付け作業にかかります。エアコンを自分で取り付けるときは、失敗すると修復費用が余計にかかる場合もあるので、作業に入る前にきちんと手順を把握しておきましょう。

手順①配管のための穴あけ

エアコンは本体と室外機を繋ぐための配管用の穴が必要になります。穴は壁にあけますが、賃貸や新築でも基本的に配管用の穴があいていることがほとんどです。

しかし穴のない場所にエアコンを設置したい場合や、壁に穴があいてないときは自分で穴あけする必要があります。穴あけする場所や壁のなかに配線やガス管、梁や柱がない場所を選びましょう。穴あけに失敗すると壁穴修理やクロスの貼り替えが必要になるので注意してください。

穴あけ作業は壁の材質に適したコアドリルを使います。スムーズに排水ができるように、穴は斜め下に勾配をつけてあけるようにしましょう。穴をあける位置はエアコン本体の右下が一般的で、左下にあけることもできますが、排水がうまくいかない場合もあります。壁に穴をあけたあとは貫通スリーブを設置しておきましょう。

手順②据付版を取り付ける

次にエアコン本体を設置するための据付版を取り付けます。据付版は取り付ける位置を間違えると貫通スリーブの場所がずれたり、配管接続に支障をきたす、排水がうまくできなくなるなどの不具合が生じるので注意してください。

据付版の位置が決まればビスやアンカーで固定しますが、壁の材質などによって使用する固定具が異なります。石膏ボードの場合はボードアンカーを、下地があるなら25mmのビスを使用しましょう。コンクリート壁はオールアンカーかプラグとビス、コンクリート専用ビスを使います。土壁などの強度が低い壁にはタテサン金具を固定してから据付版を取り付けましょう。

手順③室内機を取り付ける

据付版を取り付けできたらエアコン本体である室内機を取り付けましょう。室内機は据付版にあるツメを室内機にあるウケに引っかけるだけですが、しっかりと引っ掛けておかないと落下する危険があるので気をつけましょう。

室外機が重く、1人では持ち上げられない場合は無理をせず2人以上で作業するようにしてください。室内機の取り付けができたら露受け皿に水を流し、貫通スリーブから出た排水ホースから水が出ることを確認し、排水できていればOKです。

手順④フレア加工の施し方

今度は配線パイプのフレア加工を施しますが、フレア加工は配線パイプ内にある銅管の端を広げることで接続しやすくするために必要な作業です。正しく接続されていないとガス漏れを起こし、電力効率の低下やエアコンが故障するので注意してください。

フレア加工の手順はまずチューブカッターを使って配線パイプをまっすぐ水平に切断し、リーマーや金具用ヤスリを使って銅管のバリを取り真円状にします。バリ取りする際は銅管内に金属粉が入らないように気をつけて作業してください。

バリ取りができたら配管パイプにフレアツールを使いフレアナットをしっかりと取り付けます。手動のフレアツールの場合はカチッと音がするまでハンドルを回しましょう。その後銅管がらラッパ上になればフレア加工の完成です。

フレア加工は室内で行うか、屋外で作業するなら雨や風のない日に行います。これはフレア加工で配管内に水が侵入するのを防ぐためで、水分が侵入すると電力低下に繋がるので気をつけてください。

手順⑤室外機の設置場所について

室外機の設置場所についてですが、室外機は貫通スリーブを通した排水パイプがある真下に置くのが理想ですが、必ずしもそこに設置する必要はありません。室外機の設置場所はある程度考慮することができますが、その場合配管の延長や専用金具が必要になることもあります。

室外機は水平になる場所が必須であり、室内機との距離は約15m以内になります。15m以上離れてしまうと冷媒料が足りずにエアコンの効きが悪くなります。

設置場所として室内機と室外機が異なるフロアになる場合(室内機が2階で室外機が1階など)は立ち下しや立ち上げとなり、配管を延長しなければいけません。一戸建ては専用の金具を使って屋根置きにすることもあり、公団やマンションでベランダが狭いときには専用金具で天井吊り下げにすることもあります。

また、屋根や天井下にも設置できない場合にはL字金具を取り付けて壁付けする方法や、さらにエアコン2台の室外機を上下に積み重ねる2段置きも専用金具で設置できます。

手順⑥冷媒管同士の接続

フレア加工ができたら室内機と室外機の冷媒同士の接続を行います。フレア加工された箇所をてスパナやトルクレンチを使ってフレアナットを締めますが、配管同士をまっすぐにして潰さないように気をつけて作業してください。

スムーズに作業するために冷凍機オイルを塗っておくようにしましょう。しっかり締めておかないとガス漏れになる原因となります。冷媒配管施工では内部にゴミ(金属粉など)や水分が侵入しないことや冷媒漏れがないことを確認してください。

手順⑦室外機を接続する

冷媒配管同士の接続ができれば銅管とVVFケーブルを室外機に接続します。室外機右側面にある保護カバーを外し、VVFケーブルの被覆を1cmほど剥いて同じ色同士を順番に差し込みます。

冷媒配管も接続しますが、ここで注意しなければいけないのが接続する場所です。冷媒配管には受け取る側と送り出す側があり、配管の太さを確認して間違えないように接続してください。冷媒配管の長さは少し余裕があるようにしましょう。

手順⑧真空引き(エアパージ)

配管内部を真空にするめに真空引き(エアパージ)を行い、内部にある水分などの不純物を取り除きます。真空ポンプや真空ゲージを準備し、規定圧以下になるよう作動させます。

真空引きをしているときにポンプから長時間水蒸気が出ている場合は空気が混入しているので、接続部やコントロールバルブを確認してください。

手順⑨ガス漏れチェック

真空引きが終わればガス漏れチェックをします。バルブを締めてから真空ゲージの針を確認して、10分ほどゲージ圧に変化がなければOKです。針が下がる場合は空気漏れしているので、フレアナット接続部に石けん水をつけて泡立ちがある箇所を修正してください。

手順⑩ガスの開放

ガス漏れチェックで異常がなければ冷媒ガスを開放します。六角レンチを用いて室外機にあるバルブを細い方を先に、太い方をあとにして順番に緩めます。ガスの開放ができたらバルブキャップを締め、保護カバーを付ければ完了です。

手順⑪パテうめと試運転

手順⑩までが終了すれば貫通スリーブ箇所をパテ埋めして隙間をなくします。隙間があると雨や風、虫が侵入するのでしっかり埋めておきます。最後に室外機の全面パネルをもとに戻し、試運転してみましょう。冷たい空気が流れてくればエアコン取り付けの完了です。

試運転する際のチェック項目はこちらで確認してください。

  1. 冷暖房どちらで運転したときも吹き出し口から風がでているか
  2. 排水ホースから水が流れているか
  3. 室外機のファンが回転しているか
  4. 運転時に室内機の熱交換器が冷えているか
  5. 一定時間運転しても室内機から水分が落ちてこないか

上記5つを確認し、すべてOKであれば正常に作業できたことになります。

自分でエアコンを取り付けるときの便利アイテム

自分でエアコンを取り付けるときにあれば作業がはかどる便利アイテムを紹介します。

アイテム①マキタの真空ポンプ

マキタ(Makita) 充電式真空ポンプ
マキタ(Makita) 充電式真空ポンプ

ポンプ:1段式ロータリー
排気速度(L/分):50

コードレスタイプのマキタの真空ポンプは屋外でも使いやすく、マックス充電で50分使用可能なので真空引きには十分使えます。安心感のあるマキタブランドということもあり、マキタユーザー以外にもおすすめできる真空ポンプです。

アイテム②タスコのトルクレンチ

イチネンTASCO TA771FC 高精度トルクレンチセット
イチネンTASCO TA771FC 高精度トルクレンチセット

仕様:TA771B×1本、1/4用(17mm×17.2N・m) TA771H×1本、3/8用(22mm×39.9N・m) TA771L-2×1本、1/2用(26mm×53.9N・m)

フレアナットを締めるときに便利なタスコのトルクレンチは配管パイプ(ペアコイル)接続時に利用できます。専用ケース付きで収納にも便利です。新冷媒のR410AやR32対応となっています。

アイテム③BBKのラチェット式フレアツール

BK 超軽量型ラチェット式フレアツール 700-RPA
BK 超軽量型ラチェット式フレアツール 700-RPA

700シリーズに待望のラチェット式
適合サイズ:1/4 3/8 1/2 5/8 (4穴)

BBKのラチェット式フレアツールはアルミ製で軽量、ラチェット変換ギアがハンドルの下にあるので誤作動防止になっています。位置決めはカチンと音で判別できるので、必ずしも目視で確認する必要もありません。フレア加工面もきれいに仕上がるおすすめアイテムです。

自分でエアコンを取り付けるときの注意点

自分でエアコンを取り付けるときは、専門的な知識がないぶん注意を払う必要があります。エアコンは取り付け失敗がそのまま故障や効きの悪さに直結してしまうので、自分で施工する場合の注意点を把握しておきましょう。

注意点①ガス漏れのリスク

エアコンを自分で取り付ける場合にもっとも注意しなければいけないのがガス漏れです。特に配管内の空気を抜く真空引きが正しくできていないと冷媒ガスが循環できずにエアコンの効きが悪くなります。さらに配管の接続を間違えたり、接続時に冷媒配管を折ってしまうことやフレア接続部の締め具合などもガス漏れに繋がります。

自分でエアコンを取り付ける場合に1番多い失敗がガス漏れであり、そうなると専門業者に依頼して冷媒ガスを充填するしかありません。自分でエアコンを取り付けることはガス漏れのリスクがあることを知っておきましょう。

注意点②できれば2人以上で行う

エアコン本体や室外機はかなりの重量なので、できるだけ2人以上で作業するほうがいいでしょう。無理に1人で作業するとエアコンを落下させたり、その衝撃で床や壁にキズをつけてしまうだけでなく、ケガをする可能性もあります。

注意点③失敗すると保証がない

自分で取り付けする場合、失敗したときになんの保証もないことを念頭に置くようにしましょう。専門業者に依頼した場合は数年の保証期間が設けられていますが、DIYでは失敗してエアコンが使えなくなったとしてもそれで終わりです。

自分でエアコンを取り付ける場合はリスクも理解しよう

エアコンの取り付けは専門業者に依頼しなくても、自分で取り付けることは可能です。しかし素人作業ではさまざまな失敗やリスクがあることを踏まえた上で行うようにしてください。

DIYで取り付けると施工費や出張費が節約でき、自分のタイミングで作業できますが、しっかりとリスクを理解し、手順がよく分からない、作業に不安がある場合はプロに依頼するようにしましょう。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。