住宅ローンの団信(団体信用保険)とは?加入条件や種類を徹底解説!
住宅を購入する際にはローンを組むのが一般的となっていますが、その際には団信こと団体信用生命保険への加入を行うのが義務となっているケースが多いです。今回は、団体信用生命保険とはどんなものなのか、加入に際しての条件や保険内容などについて詳しく解説します。
目次
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)とは
注文住宅を建てたり、建売や中古の住宅を購入する際には住宅ローンを組むのがほとんどの流れとなっていますが、ローンを組む際に加入する保険の1つに団信が挙げられます。まずはどんな内容の保険なのか見ていきましょう。
団信の仕組み
住宅ローンを組む際によく聞く団信というのは、団体信用生命保険の略称になります。簡単にその内容を説明すると、住宅ローンを組んだ当事者が死亡、または重度の障害を負うなどして返済が困難となった時、返済を肩代わりしてくれる保険です。
実際、住宅ローンを借りている人が何らかの理由で亡くなったか、または高度障害と認定される障害を持った際に保険が適用されます。これによって、返済が困難となった場合ローン返済が免除され、家族もその家にそのまま住み続ける事が可能となります。
基本的に住宅ローンというのは35年、フラット35でも最短で15年間は返済の期間があります。長い期間の返済をしていく必要がある以上、その途中で事故や重い病気を患う可能性もゼロとは言えませんから、こうした保険によって安心できるという訳です。
生命保険との違い
契約者が死亡した場合に適用される保険という意味では一般的な生命保険とも似たような部分が見られます。確かに生命保険の一種である事は間違いありませんが、正確に言えば両者には大きな違いが存在しています。
まず一般的な生命保険を利用している場合には、契約者が死亡した時死亡保険金は契約時に決めた受取人に対して支払われる運びとなります。その一方で、団信の場合にはローンを組む際に契約をした金融機関に対して支払いが行われます。
この支払先が家族なのか金融機関なのかといった点が大きな違いになっています。したがって、契約者が亡くなったなどの理由で保険が適用されたとしても、家族などの相続人に現金が支払われるわけではなく、あくまでも金融機関に支払われるのです。
団信の加入は必須?
安心という意味でもローン契約を行う際に団信に加入する意義はとても大きくなっていますが、基本的に団信への加入は義務付けられている訳ではありません。その為、加入せずとも住宅ローンを組もうとすれば可能ではあります。
しかし、実際に金融機関で住宅ローンを組もうとしたときには、大抵の場合には団信への加入をローンを組む条件として設定しているケースが非常に多くなっていますので、加入しないというケースはほぼ無いといっていいでしょう。
もし団信への加入なしにローンを組んだ場合、当然契約者が亡くなるなどしても返済は続きます。この場合には、貯蓄を残しておいてそこから払うか、またはほかの生命保険で補うといった形で対処することになります。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)の加入条件
住宅ローンの契約をしようとするときには、例えば年収や借入金額、借入期間や担保とする住宅の規格といったように様々な条件を審査の中で見ることとなります。そして、団信の加入に際しても条件が存在しています。
加入条件①新規借入れや借換えをする人
まず1つ目は、新規での借り入れや借り換えを行っている人が対象になるというものです。厳密にはこれらが加入のタイミングとなるという話になるのですが、住宅ローン契約を行う際のみに団信の加入は可能となります。
一度契約を行うと、それ以降内容の変更などはできずに特約を追加したり解約したりといった事はできないようになっています。その為、今後数十年続くローン返済中に不安が出ないよう最初から十分に補償内容を考慮する必要があるという訳です。
また、借り換えを行うというケースの場合にはそれまで加入していた金融機関の団信契約は解約となります。借り換え先の金融機関で新しく団信加入はできますが、その際には改めて審査を受ける必要があります。
一度借り入れを行ってから新たに借り換えをする訳ですから、年齢も上がり健康診断で引っかかりやすくなっていますので少々審査が厳しくなってしまう点は否めません。
加入条件②ありのままの健康状態を告知
もう1つ、現在のありのままの健康状態を告知することも必要です。生命保険の一種として数えられている団信ですから、過去の病歴や治療歴などについてをそのまま記入しなければなりません。
- 最近3か月以内に医師の治療や投薬を受けたか
- 手・足の欠損または機能に障害があるか
- 心臓病や精神疾患、そのほか該当する臓器の疾病に罹ったことがあるか
実際の健康状態の告知に関しては金融機関によって診査する内容は異なっているものの、よくある例としては上記のような内容が挙げられます。もし1つでも該当する項目があった場合、さらに詳細についての記載が必要です。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)に入れない病気とは
- 脳の疾患:脳卒中・脳動脈硬化症など
- 心臓の疾患:狭心症・心筋梗塞・心臓弁膜症・先天性心臓病・心筋症など
- 胃腸の疾患:胃潰瘍・十二指腸潰瘍・潰瘍性大腸炎など
- 肝臓・すい臓の疾患:肝炎・肝硬変・肝機能障害・すい炎など
- がん:がん・肉腫・白血病など
実際に団信で健康状態の診査を受ける際、先に述べた通り1つでも該当する疾病がある場合には、告知事項に関する治療期間、入院や手術の有無、現在の経過といったように細かい部分を記載する必要が出てきます。
持病があると生命保険の加入時にはマイナスになってしまいますが、保険会社としても病名や疾病歴だけで決めている訳ではなく現在の病状、治療状況なども含めて加入の可否を判断しています。
よって、該当する病気があると入れない可能性は確かに出てきますが、だからといって告知が必要な病気を告知しないのは義務違反となります。これは厳禁とされている事項ですので、必ずありのままを告知してください。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)の種類
正しく保険として機能する団体信用生命保険は、ローンを組む際に加入をしておくことで安心して長期ローンとなる住宅ローン返済を行うことができます。団信と一口に言っても、補償内容などによっていくつかの種類があります。
種類①特約なしの団信
まずは、特約なしの団信についてです。これは契約者が死亡、もしくは高度障害と認定されている状態になった際に保険金が支払われるタイプのプランとなっていて、名前通りほかの特約などについては付帯していません。
団体信用生命保険に関しては加入さえしてしまえば本命である住宅ローンの契約は可能となりますので、特約を必ず付帯させなければならないという決まりはありません。
高度障害状態とは、生命保険会社が指定する所定の状態を指します。もし障害に該当しない場合、例えがんや脳卒中や急性心筋梗塞といったような重い病気なのは間違いなくとも保険の対象にならなくなってしまいます。
種類②夫婦連生団信
続いては、夫婦連生団信です。こちらは夫婦の収入を合算して住宅ローンを契約する場合に使用する事が可能となる団信であり、夫婦の内片一方が主債務者、もう片方は連帯債務者として連帯債務型のローンに利用される事があります。
同じく夫婦それぞれで借り入れを行うペアローンの場合、1つの物件に対して夫婦それぞれが住宅ローンの契約を行いますので片方の債務者が亡くなったとしてももう片方の債務者のローンが残ったままとなります。
夫婦連生団信であれば、夫婦の内片一方が亡くなったり高度障害状態として認定された場合に住宅ローンは残された側の分も完済されることになります。
種類③3大疾病保障付き団信
住宅ローンの返済が難しくなるのは、死亡したり高度障害に罹った場合だけではありません。3大疾病保障付き団信は特約なしの団信に加えて、債務者がガン、脳卒中、急性心筋梗塞のいずれかを発症した場合にも保険金が支払われます。
保険の支払い条件については金融機関や利用する商品によって異なっている部分はあるものの、フラット35などを例として見てみると以下のような条件で新3大疾病付機構団信として定められています。
- 上皮内がんや皮膚の悪性黒色腫以外の皮膚がんを除き、ガンと医師から診断されたとき
- 脳卒中で初めて医師から診療を受けた日を含めて60日以上神経学的後遺症が継続したと診断されたとき
- 急性心筋梗塞で医師から初めて診療を受けた日を含めて60日以上、労働の制限を必要とする状態が継続したと、医師が診断したとき
種類④8大疾病保障付き団信
もう1つ、8大疾病保障付き団信もあります。3大疾病保障付き団信では一般の団信である高度障害及び死亡した場合に加えてガン、脳卒中、急性心筋梗塞になった場合も適用されますが、更に8つの疾病が加わった形となります。
- ガン
- 脳卒中
- 急性心筋梗塞
- 糖尿病
- 高血圧性疾患
- 肝硬変
- 慢性膵炎
- 慢性腎不全
8大疾病の内容に関しては上記の通りとなっています。もし長期入院を余儀なくされるような状況化となった時にも、ローンの支払いを心配することなく治療に専念できます。保険料としては借り入れ金利に年0.3%上乗せなどが例となります。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)の選び方
団信と一口に言っても、ここまでご紹介してきたように種類は様々存在している事がお分かりいただけたでしょう。特約の有無などが存在しているのを踏まえた上で、どれを選べばよいかの選び方の基準を解説します。
選び方①無料付帯の疾病保障がある
まず1つ目に考えたいのが、無料付帯の疾病保証があるかに関してです。通常の団信では死亡するかまたは高度障害に罹った場合に適用される運びとなりますが、金融機関はそれぞれで独自の疾病保障を設けています。
例としては、悪性新生物、つまりガンになると住宅ローン残高を0にしてくれる、一定期間以上入院すると住宅ローン残高が0円になるといったようなものがあり、近年では付帯する保障の充実度合いも上向きの方向になっています。
無量の疾病保障付帯が充実している住宅ローンとしては、auじぶん銀行住宅ローンや住信SBIネット銀行住宅ローン、楽天銀行住宅ローンなどが挙げられます。基本付帯するなら保険料に上乗せされる事はありません。
選び方②保証内容をチェック
続いて、保証の内容をチェックしてみましょう。障害によって団信の基本保証を受けようとする際には、高度障害状態や身体障害状態といったように金融機関によって適用される条件が異なっています。
先に述べた通り特約も色々とありますが、その中にリビングニーズ特約というものもあり医師の診断をもとに余命6か月以内と判断された場合にも適用される保証内容です。金融機関によっては基本保証にこの特約が含まれているケースもあります。
その他の特約を付帯させるかについてはどの範囲までカバーしたいかを考えましょう。すでに加入している生命保険の内容なども踏まえて、団信でカバーしたい部分を選択したいところです。
選び方③優遇される金利を確認
もう1つ、優遇される金利についても確認したいところです。団信に加入する際には金利の上乗せも行われるのでその点が気になりがちですが、場合によっては特約分の金利が上乗せされる代わりに住宅ローンの金利を優遇されることもあります。
団信への加入によって住宅ローンの金利が優遇されるケースであれば、補償範囲の狭い団信とほとんど変わらない負担額で補償内容を充実させることも可能となります。加入によってどんな変化があるのかをチェックしましょう。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)の審査に通らないときは?
注文住宅にしても建売や中古住宅にしても、ほとんどのケースで団信加入は必要となっています。仮にもし団信の審査を受けても通らなかった場合には、いくつかの対処法がありますのでそちらもご紹介しましょう。
ワイド団信を検討する
1つ目は、ワイド団信の利用を検討することです。こちらは健康上の理由から通常の団信審査に落ちてしまった方に向けて、引き受け基準を緩和して加入しやすくしている保険です。簡単に言えば、審査基準が緩くなった団信ということです。
このワイド団信を提供している金融機関はそれほど多くなく、一部に限られています。よって団信の審査が健康上の理由から心配というのであれば、最初からワイド団信を用意している機関を選択するという対処法があるのです。
フラット35を利用する
もう1つは、フラット35を利用するという方法があります。住宅金融支援機構の展開しているローンの一種であり、団信への加入については任意という形を取っていますので審査に通らないとローンが使用できないといった決まりもありません。
自営業や個人事業主といったように、通常のローンの審査も受けにくいという方であっても利用しやすくなっています。2017年10月1日以降に申し込んだ場合、毎月の支払いに団信の費用も含まれるので保険料の別途支払いの必要が無くなりました。
住宅ローンの団信(団体信用生命保険)は住宅購入の際に大事な保険
どんな住宅ローンを利用するにしても、団信への加入は住宅を購入する上で非常に大切な保険となっています。どのような種類のものがあるかに関してもしっかりと押さえつつ、必要な保険はどれなのかを把握してみてください。
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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。