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苦渋の決断とは?意味から使い方まで詳しく解説!

ビジネスを経営しておられる方なら、さまざまな場面で決定が求められますが、時に「苦渋の決断」を迫られることがあることでしょう。とはいえ、「苦渋の決断」という言葉の真の意味を理解すると、日常のビジネスシーンで「苦渋の決断」と言われる決定を迫られる場面はそう多くないと気付かれるかもしれません。当記事内では、「苦渋の決断」の意味、苦渋の決断と同じ意味を持つ古事成語、苦渋の決断の類語を解説しています。

「苦渋の決断」とは

比較的難しい決定を迫られた時に、ついつい使いたくなる「苦渋の決断」という言葉ですが、本当のところはどういう意味なのでしょうか。苦渋の決断の意味と正しい漢字を確認しておきましょう。

苦渋の決断の意味

まずは、「苦渋の決断」の読み方ですが、「くじゅうのけつだん」と読みます。端的に言えば、「辛く大変な決定を下す」という意味があります。

「苦渋」という言葉は苦味や渋みのような、望ましくない感情が関係しています。つまり、大きな決定をする際に、決定を行うプロセスの中で苦しみや辛さを味わいながら辛い決定を下すことを意味しています。

人生の中で、それほど大きな苦しみを味わいながら決定する出来事や状況は、通常ならそう度々あるものではないでしょう。

「苦渋の決断」と「苦汁の決断」正しいのは?

「くじゅうのけつだん」を漢字で表記する際に、「苦渋の決断」とする方と「苦汁の決断」とする方がいます。確かに、「くじゅう」と発音する言葉には2通りの漢字表記があるため、どちらが正しい漢字なのか迷ってしまうことがあります。

では、「苦汁」と「苦渋」の意味の違いについて考えてみましょう。まず「苦汁」ですが、「苦しい汁」を舐めることを想像すると、「苦汁」は実際に経験している苦しみだと理解できます。

一方、「苦渋」はどちらかというと心の状態と関係しており、直面している問題に悩まされ、苦しい思いでいる様子が想像できます。

このように、「苦汁」と「苦渋」に含まれる意味の違いを考えると、苦しみ悩み抜いて決断を出すという意味を表すには、「苦渋の決断」という漢字を当てるのが適切だと言えます。

苦渋の決断の使い方

では、苦渋の決断はどのような使い方をするのでしょうか。また、どのような場面で苦渋の決断をすることがあるのでしょうか。使い方の3つの例を見てみましょう。

使い方①一般的な使い方

「苦渋の決断」が使用される一般的な例をまず見ていきます。例えば、「自分のキャリアを貫くために苦渋の決断をした」、「苦渋の決断を強いられる結果になった」のように使います。

また、「会社を畳むことは苦渋の決断だったよ」、「苦渋の決断ですが、このプロジェクトが終わればに引退することにしました。」などの言い回しも、正しい使い方です。

このように、痛みや苦痛を伴うような厳しい決定を迫られる時にはじめて「苦渋の決断」という言葉を使うことができます。

時間をかけて、悩みに悩んで考えた結果、デメリットがあったとしてもそう決定する方が良い結果になると判断する場合にのみ、使うようにしましょう。

ですから、多少悩んだものの、辛くて苦しいとまではいかない決定の場合には、「苦渋の決断」という言い回しは使いません。

例えば、「今日は洋食と和食のどちらを食べに行こうかな?」とか、「デートに何着ていくか迷ってるんだけど」のような決定を下す場面では、「苦渋の決断」とは言わないでしょう。

「苦渋の決断」という表現は、ビジネスにおける決定だけではなく、家庭内での決定組織における決定などにも用いることができます。

スポーツ選手が引退するときに、「苦渋の決断でした」とコメントするのを聞かれたことがきっとおありでしょう。

使い方②敬語での使い方

「苦渋の決断」の敬語的表現に関してですが、そもそも「苦渋の決断」と言う表現は自分の気持ちを表す言葉として使用します。

そのため、言葉自体を敬語表現に変えることはありません。とはいえ、その前後の言い回しで、話している相手に敬意が伝わる仕方で表現することは可能です。

目上の方や取引先の方などに「苦渋の決断」について報告する時には、不本意ながらもそう決断せざるを得ない状況があることを理解してもらえるように、丁寧な言葉選びをすることで気持ちが伝わりやすくなります。

例えば、ビジネスの相手に対して「当社としましても、苦渋の決断であることをどうかお察しください」というように「お察しください」「ご推察ください」のような表現を用いるのが適切です。

使い方③英語の使い方

英語を使った「苦渋の決断」の表現も覚えおくと、ビジネスシーンでいざというときに使うことができます。「苦渋の決断」を英語で言うと「an agonizing decision」となります。

難しい決断を下すという状況を表現するなら、単純に「difficult decision」を使うこともできます。とはいえ、より正確に「苦渋の決断」であることを伝えたいなら、「辛く苦しい」「大変」と言うニュアンスが伝わりやすい形容詞を使用する方が適しています。

そこで「agonizing」を使う訳ですが、「an agonizing decision」と会話で出てくれば、聞いている相手も、そこまでの辛く苦しい思いをして下した決断なんだ、と言うことを理解しやすくなります。

苦渋の決断と同じ意味を持つ故事成語

「苦渋の決断」と同じような意味合いを持つ故事成語についても見ておきましょう。使用する表現の幅が広がると、その時、その時の状況に合わせて、より適切な言葉で感情を表現できるようになります。

故事成語①断腸の思い

まずは「断腸の思い(断腸の思い)」という言葉です。この言葉には、はらわたが千切れてしまうほどの、非常に激しく、苦しく、辛い思いをしているという意味があります。

決して実際に身体の痛みに苦しんでいるという訳ではなく、あくまで感情面での辛さを表現する言葉になります。

この故事成語の由来ですが、「断腸」という表現は「世説新語(せせつしんご)」と呼ばれる中国の故事に起源があります。

東晋の武将、桓温が蜀に攻め入って三峡までたどり着いたとき、桓温の従者が子猿を捕まえます。すると小猿の母親は悲痛な声をあげながら、百里以上も一行の後をついていきます。

そして、ようやく船に飛び乗ったと思ったら、その場で力尽きて死んでしまいました。その母猿の腹を割いたところ、腸はすでにズタズタに千切れてしまっていたそうです。

この中国故事が語源となり、腸が千切れるほどの辛く非常な悲しみや苦痛を言い表すために「断腸の思い」という言葉を使うようになりました。

故事成語②泣いて馬謖を斬る

ほかにも、「泣いて馬謖を斬る(ないてばしょくをきる)」という言葉もあります。少し難しい表現ですが、意味は「規律を守るためなら、愛する人でも感情を無視して処罰(処分)する」というものです。

規律やルールを愛する人よりも優先させるという考え方です。こう聞くと、冷徹なイメージかもしれませんが、あくまで自分が大切に思っているものを犠牲にしてまでしなければいけない辛い決断ということです。

聞いている相手からすると、「そこまでの辛い思いを押し殺してでも、しなければいけない決断だったんだな」と理解しやすくなります。

例としては、信頼関係のある部下やビジネスパートナーが不祥事を起こしてしまったようなケースが考えられます。「自分としては何とかして守ってやりたいが、悪いことをした以上は処罰も止むを得ない」と決断するような時に使います。

また、不祥事を起こしたわけでなくとも、業績の悪化などにより、リストラしなければいけない状況では、「泣いて馬謖を斬る思いで、長年勤めてくれた社員をリストラすることにした」という風に使います。

苦渋の決断の類語

では、「苦渋の決断」には似たような意味の類語もあるのでしょうか。言い回しの例をいくつか見てみましょう。

類語①苦渋の選択

「苦渋の選択」という言葉には、何か選択を迫られた時に、辛い気持ちを感じながらもやむを得ずにどちらかを選択するという意味で使われます。「ちょっと悩むな」「困ったな」、程度の感情で使うには大袈裟な言葉といえます。

類語②苦渋の判断

「苦渋の判断」という言い方もあります。この場合は判断が求められる場面で、苦しみのうちに悩んだ結果、決意を固めて決定するというニュアンスがあります。

類語③やむを得ない決断

「止むを得ない決断」はどうでしょうか。例えば、ここまで悩んできたけれども、もうこれ以上はどうすることもできない選択肢が他には考えられないという状況で使うことができます。

苦渋の決断は簡単に覆されるものではない

このように「苦渋の決断」には大きな苦しみや悩みが伴い、簡単に覆せるような決定ではありません。一度苦渋の決断を下したなら、その決定に対する責任を持ち、最後まで貫き通す覚悟が必要です。

苦渋の決断は重みのある言葉

「苦渋の決断」という言葉に含まれる意味と例文、またよく似た意味の言葉や類語をご紹介しました。考えているよりも深刻な意味のある言葉であることが理解していただけたことでしょう。

とはいえ、特定の状況下ではあえて使うことで、相手に決断の重みや、こちらの辛い気持ちが伝わりやすくなります。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。