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キャッシングの総量規制とは?総量規制の概要や対象となるキャッシングの種類

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キャッシングの申し込みで、「総量規制」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

キャッシングの利用には審査に通ることが必要であり、収入をはじめさまざまな点から審査されます。

もし安定した収入があり、借入の返済実績があにも関わらず審査に通らなかった場合は、総量規制が影響しているかもしれません。

今回はキャッシングにおける総量規制の概要について解説します。

キャッシングにおける「総量規制」とは

総量規制はキャッシングやカードローンなどからの借入で、利用者が「返済不能」や「多重債務」に陥るのを防ぐため、利用者保護を目的に返済能力を超える過度な借入を防ぐ制度です。

具体的には、下記3つの項目に応じた適切な貸付条件と照らし合わせた上で、利用者が返済期間内に完済できないような貸付を禁止しています。

  • 利用者の収入
  • 借入状況
  • 借入の目的

なお、総量規制における「返済の能力を超える過度な借入」は、年収の3分の1を超えるかどうかを判断基準のひとつとしています。

従って、年収の3分の1を超える貸付は原則禁止されています。

ここでいう年収とは以下の7つのことを指します。給与や所得だけを含むわけではありません。

  • 給与
  • 役員報酬
  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 年金
  • 恩給
  • 株式による収益

一方、宝くじや競馬など一時的な収入は除外されます。

また、総量規制により新規で50万円以上の借入を希望する場合、あるいは合計借入が100万円を超える借入申込をする場合、収入証明書の提出を義務付けられています。

収入証明書は年収を証明する書類で、確定申告書類や源泉徴収票、給与明細などを提出します。

  • 総量規制における「年収の3分の1」とは

総量規制における「年収の3分の1」とは、1つの業者からだけではなくすべての貸金業者からの借入合計を指します。

例えば年収300万円の人であれば借入できる上限は100万円ですが、すでにA社から60万円を借りている場合は、B社からは40万円までしか借りられません。

つまり、借入の総合計が年収の3分の1を超えない必要があります。

銀行の融資などでは、保証人がいることで借り入れがしやすくなる場合がありますが、キャッシング審査における「総量規制」では、保証人がいても年収の3分の1以上の借入をすることはできません。

保証人以外に担保の有無や資金使途(消費目的や事業目的など)も関係なく適用されます。

さらに、年収の3分の1までなら必ず借りられるというわけでもありません。

貸金業者の審査では、年収だけでなく借入状況などもチェックし返済能力の有無を判断するため、状況によっては、年収の3分の1以内でも借入ができない可能性はあります。

  • 総量規制の「年収の3分の1」は総支給額で判断

キャッシングの総量規制における年収の3分の1を自分で計算する場合は、賞与(ボーナス)なども含めた、年収の「総支給額」で計算しましょう。ただし、税金は含めません。

例えば、ボーナスを含めた総支給額が600万円であれば、200万円が借入可能な上限となります。

総支給額は給与明細書や源泉徴収票で確認できますが、このとき「手取り」の部分と間違えないよう注意しましょう。

  • 総量規制ができた背景

キャッシングやカードローンなどに総量規制が設けられた背景は、多重債務者の増加があります。以前は申込者の年収を含めて属性や信用情報をもとに、各金融機関で審査し借入枠が決められていました。

ですが、この方法だと年収に対する全体の借入枠が決まっていなかったため、収入に見合わない無理な貸付・借入が頻繁に行われることとなりました。

例えば、年収300万円の人でも各貸金業者から数十万ずつでも借入枠があれば、年収を超える債務が発生する可能性があったのです。

また、貸付利息も現在より高い20~30%などの高金利が設定されていました。結果、国内に多額の負債を抱える人が増加したのです。

総量規制はこうした問題を解決すべく2006年に貸金業法が改正され、総量規制を含む「改正貸金業法」として2010年6月18日に施行されました。

改正貸金業法では、グレーゾーン金利の廃止や年収に応じた貸付ルールなども定められ、細部にわたって多重債務を防ぐ制度へと内容が改正されています。

総量規制の対象となるキャッシングの種類

総量規制の対象となるキャッシングは、貸金業法の対象となる業者のキャッシングです。

  • クレジットカードのキャッシング
  • 消費者金融のキャッシング
  • 信販会社のキャッシング

総量規制の対象となる「貸金業者」

総量規制の対象となる貸金業者とは、お金を貸し付ける業務を行い、財務局または都道府県に登録済の業者をいいます。

例えば消費者金融や、クレジットカード会社、事業資金の貸付を行う事業者金融などが該当します。

ただし、銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などは含まれません。銀行や信金等もさまざまな融資を行っていますが、貸金業者には該当しないことを押さえておきましょう。

  • 個人事業主は例外的に3分の1以上の借入が認められるケースも

個人事業者を含む個人向けの貸付も、担保や保証人の有無、資金使途(消費目的、事業目的など)を問わず総量規制の対象となります。

ただし、個人事業主の場合は事業実績や事業計画に基づき、明らかに返済能力があると認められる場合は「顧客の利益の保護に支障を生じることがない契約」として例外的に3分の1以上の借入が認められています。その場合、追加資料の提出を求められることもあります。

ただし、実際に3分の1以上の貸付を例外として認めるかどうかは、最終的に貸付を行う各貸金業者の判断にゆだねられます。

キャッシング審査における総量規制の審査方法

キャッシング業者が利用申込者の総量規制についてチェックするときは、個人信用情報機関に登録されているデータを使って、金融機関からの借入残高を確認します。

個人信用情報機関のデータから、利用申込者の借入総額がすでに3分の1に達している場合はキャッシングの審査を否認されることになります。

一方で借入総額にまだ余裕があれば、改めてその業者内でキャッシング枠の審査を行います。

ただし、その業者の審査基準に満たなければ年収の3分の1に満たずとも審査に通らない場合もあります。

総量規制の対象外となるキャッシング・融資の種類

キャッシングの総量規制の対象外となる貸付もあります。どのようなケースでは総量規制が対象外となるのか押さえておきましょう。

  • 銀行のキャッシングなどは総量規制の対象外

総量規制には、対象となるキャッシングの種類がある一方で対象外となるものもあります。

例えば、銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫などは貸金業者ではないため、総量規制の対象外となります。

総量規制対象外の会社から借入をする場合は、当然ながら年収の3分の1以上の金額も借入が可能です。すでに消費者金融で100万円を借入している場合でも、銀行系のキャッシングは利用できる可能性があります。

  • 各種ローンや融資

銀行や信用金庫、信用組合、労働金庫以外にも、住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、有価証券の担保貸付、手形割引、高額医療費の貸付、各種つなぎ融資などは総量規制の対象外です。

対象外となるのは、住宅ローンは家、自動車ローンは車というように、資産が明確であり売却すれば現金化できるためです。

従って、すでに住宅ローンや自動車ローンを組んでいても、年収の3分の1まで借入は可能です。加えてすでにキャッシングで年収の3分の1を借りていても、住宅ローンや自動車ローンは組める可能性があります。

また、総量規制の対象は個人向けの貸付にのみ適用されます。個人向け保証のような貸付契約は総量規制の対象外となります。

さらに、おまとめローンなど金利がさがって有利になる場合にも、総量規制の例外として借り換えが可能です。

  • クレジットカードのショッピング枠

クレジットカードのキャッシングは総量規制の対象ですが、ショッピングについては貸金業法の対象外となるため、総量規制の対象外になります。

また、ショッピングの分割払い、ボーナス払い、リボ払いには「割賦販売法」が適用されます。

  • 法人への貸付・保証

法人向け貸付や法人向け保証など、法人に対しても総量規制は適用対象外です。

法人の経営状態は一様ではなく、年収の3分の1などの一律基準を設けることが困難だからです。あくまで総量規制はキャッシングやカードローンなど、個人向け貸付にのみ適用されます。

  • 専業主婦に対する配偶者貸付は認められている

総量規制の例外として、専業主婦に対しても配偶者の年収を元に貸し付けを行う、配偶者貸付が認められています。

ただ、法的には借入が認められているといっても、消費者金融系の貸金業者では専業主婦の申し込みを受け付けていない場合も多いのが現状です。

専業主婦の場合、銀行系のカードローンでは積極的に申し込みを受け付けているケースもあるため、キャッシングの利用を検討する際は、銀行系も視野に入れてみましょう。

キャッシングの総量規制における注意点

キャッシングの総量規制では知っておきたい注意点もあります。気を付けたいポイントについても見ていきましょう。

  • 年収の3分の1以上のキャッシング利用はカード枠減額に

クレジットカードやカードローンで、キャッシングを3分の1以上利用した場合は、ただちにカード枠の減額が実行されるので注意が必要です。

例えば、年収300万円の人は100万円が借入上限ですが、複数クレジットカードを持っていて、合計100万円以上の借り入れをしてしまったとします。

すると、いずれかのカードで利用可能枠の引き下げが行われることになります。例えば50万円のキャッシング枠が付いていたのが、引き下げにより30万円の限度額に下がるといった具合にです。

さらに多くの貸金業者では、他社とのキャッシング利用件数が3件以上となった場合に、新たな融資を停止する傾向にあります。

キャッシングを利用する際はキャッシングの利用額とともに、利用件数についても注意したほうがよいでしょう。

  • キャッシングの総量規制の解除方法は借入返済のみ

キャッシングにおいて総量規制を解除する方法としては、借入金を返済し、借入残高を減らすしかありません。

例えばボーナスなど臨時収入によって繰り上げ返済をして、一時的にでも借入残高を減らすことができれば、総量規制の解除が可能です。

銀行系カードローンが利用できる場合は別として、その審査に通らなかった場合は、自分の借入上限を把握し、総量規制の範囲内で計画的に利用する必要があるでしょう。

  • 闇金キャッシングに注意

キャッシングやカードローンの利用では、闇金の存在に注意が必要です。

総量規制をオーバーして借入ができないからといって、安易に闇金に手を出すことは絶対にやめましょう。法外な利息や、悪質な取り立てにより、自分だけでなく家族や親族、友人など身の回りにも被害が及ぶ恐れがあります。

闇金は「審査なし」、「ブラックでも借りられる」などの誘い文句で勧誘するのが常套手段です。甘い言葉に惑わされて足を踏み入れないよう気を付けましょう。

もし消費者金融やクレジットカードのキャッシング審査が通らなかった場合は、銀行系のカードローンに申し込んでみましょう。

それでも審査が通らず借金も膨らんでいる場合は、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。

キャッシングの総量規制についてのまとめ

キャッシングの総量規制は、利用者の借りすぎ防止を目的に、年収の3分の1を借入上限とする制度です。

総量規制の対象となるのは、消費者金融や信販会社、クレジットカードのキャッシングで、同じキャッシングでも銀行や信用金庫等のキャッシング、カードローンは対象外となります。

また、個人向け貸付にのみ適用されるため、個人向け保証や法人に対する貸付・保証にも適用されることはありません。

その他、個人事業主の場合は例外として3分の1以上の貸付が認められることもあります。

なお、総量規制は全体の借入合計額に適用されるため、複数業者からキャッシングする場合は、借入上限を超えないよう注意する必要があります。

もし借入合計額が総量規制をオーバーした場合は、利用可能枠が減らされます。総量規制の仕組みを理解した上で、計画的で無理のない範囲で利用していきましょう。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。