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電気工事業で開業する為のノウハウを徹底解説!資格や登録方法は?

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電力機器や送電線、電灯、配電盤といった電気工作物の工事を行う「電気工事業」。電気工事をするには資格が必要で、電気工事業を開業するには業務内容に応じて登録申請をする必要があります。今回は、電気工事業の仕事内容や必要な資格、登録の種類に加え、開業する為のノウハウを解説していきます。

電気工事業とは

電気工事業とは、一般電気工作物や自家用電気工作物の設置や変更の工事を行う業者のことです。電気工事業が行う工事には資格が必要ですが、以下に記載している軽微な工事は電気工事士等の資格がなくても行うことができます

  1. 600V以下の電圧で使用する差込み接続器・ねじ込み接続器・ローゼット・ソケットの接続工事および600V以下の電圧で使用するカットアウトスイッチやナイフスイッチ、スナップスイッチなどの開閉器にコードやキャブタイヤケーブルを接続する工事
  2. 施設で使用するインターホンや火災感知器、豆電球などの小型変圧器の二次側の配線工事(二次電圧が36V以下の配線工事に限る)
    電線を支持する柱や腕木に類する工作物の設置、変更をする工事
  3. 地中電線用の暗渠(あんきょ)または管の設置、変更をする工事
  4. 600V以下の電圧で使用する配線機器を除く電気機器または600V以下の電圧で使用する蓄電池の端子に電線(コード、キャブタイヤケーブル、ケーブル)をねじ止めする工事
  5. 電圧600V以下で使用する電力量計若しくは電流制限器又はヒューズを取り付け、又は取り外す工事

一般用電気工作物

一般電気工作物は電圧が低く、安全性が比較的高い電気設備が含まれています。なお、600V以下の電圧で受電し、受電以外に構外にわたって電線路を有しないもの、もしくは構内に設置する小出力発電設備で発電された電気を600V以下の電圧で他の者の構内において受電する場合その目的以外で構外にわたって電線路を有しないものと定義されています。

また、低圧受電している建築物の電気設備も一般用電気工作物に該当します。ほかにも太陽光発電設備では出力50kW未満、原動力が内熱力の発電設備では10kW未満、風力発電所や水力発電所(ダムを伴うものは除く)は出力20kW未満も一般用電気工作物に該当します。

なお、10kWの太陽光発電設備や15kWの風力発電設備、8kWのコージェネレーションシステム用発電機なども一般電気工作物に分類されます。しかし、安全性が高い発電設備は規制緩和が行われており、太陽光発電設備は50kW未満、ダムを伴わない水力発電所は20kW未満のものは一般用電気工作物として扱われています。

自家用電気工作物

自家用電気工作物は電気事業法第38条で「電気事業の用に供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物」と定義されています。

電力会社から600V以上の電圧を受電し、電気を使用している設備が該当します。これには工場や学校、病院、スポーツ施設、ホテル、娯楽施設などが当てはまります。

また、100Vまたは200Vの低圧受電である場合でも、小出力設備以外の発電設備を有するものは自家用電気工作物となります。例えば200Vを受電している事業所が非常用として出力10kW以上の発電機を設置している場合は自家用電気工作物に該当します。

そのほかにも低圧受電の事業場であっても構内以外からの電線路を有する場合は自家用電気工作物になり、火薬工場や炭鉱は電気設備の不具合で火災が発生する恐れがあるため、全て自家用電気工作物に分類されます。

電気工事には電気工事士の資格が必要


電気工事の仕事をするには、電気工事士の資格を取る必要があります。電気工事士は国家資格のひとつで、「第一種電気工事士と第二種電気工事士」があります。それぞれの違いは以下の通りです。
【第一種電気工事士】

工場やビルなどの自家用受電設備や発電設備のうち最大500kW未満の設備の電気工事を行うことができる。また、一般住宅や小規模店舗などで600v以下の電圧で受電している設備の電気工事を行うことができる。

【第二種電気工事士】

一般住宅や小規模の店舗や事業所などで、600V以下の電圧で受電している電気設備の電気工事を行うことができる。

電気工事業開業時の登録の種類

電気工事業を営むためには電気工事業者の登録(通知)を行う必要があります。業務内容によって登録の種類が異なるので、順番に見ていきましょう。

業者の種類①登録電気工事業者

建設業許可を受けていない業者や登録電気工事業の登録業者、一般・自家用電気工作物の工事をする業者は「登録電気工事業者」に登録する必要があります。経済産業大臣または都道府県知事に登録申請をしたのち、電気工事業者登録証が交付されます。

業者の種類②みなし登録電気工事業者

自家用電気工作物の電気工事のみを行う電気工事業者で、建設業許可の電気工事業を取得している業者が該当します。これに当てはまる場合は、登録をする必要があります。

また、通知電気工事業者の登録を行い、建設業許可の電気工事業を取得した場合は「みなし通知電気工事業者」の登録になります。

業者の種類③通知電気工事業者

自家用電気工作物のみの工事を行う業者は、通知電気工事業者に登録する必要があります。そのほか、建設業許可を受けていない業者や、電気工事業開始通知を行った通知業者も該当します。

業者の種類④みなし通知電気工事業者

建設業許可を受けている電気工事業者は、電気工事業開始の届出が必要です。中規模~大規模な電気工事を請け負う場合に必要で、自家用電気工作物の工事のみ行う業者や、電気工事業開始通知を行った通知業者が該当します。また、届出事項に変更がある場合は変更の届出が必要です。

業者の種類⑤電気工事業の登録が不要な軽微な電気工事

電気工事業の登録が不要な軽微な電気工事をする場合、1つの都道府県の区域内に営業所がある業者は「都道府県知事」に申請します。

また、2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設置している業者は、1つの産業保安監督部の区域内だと「産業保安監督部長」2つの産業保安監督部の区域にまたがる場合だと「経済産業大臣」に申請をします。

電気工事業開業時の登録申請書類の提出先

電気工事業を開業する際の手続きは、営業所を設置する予定の都道府県の数によって提出先が異なります。

・1つの都道府県内に営業所を設ける・・・都道府県知事
・2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合で1つの産業保安監督部の区域の場合・・・産業保安監督部長
・2つ以上の都道府県に営業所を設ける場合で2つ以上の産業保安監督部の区域である場合・・・経済産業大臣

ただし、2つ以上の産業産業保安監督部の区域にまたがる場合でも、産業保安監督部に提出するケースがあるので都度確認してください。

電気工事業開業時の登録の要件

電気工事業を開業するには、一定の要件が定められています。次に、電気工事業を開業する際の登録の要件をみていきましょう。

主任電気工事士

主任電気工事士になれるのは、第一種電気工事士の資格を有する者か、第二種電気工事士の免状交付後、3年以上電気工事の実務経験のある第二種電気工事士です。

電気工事業務の管理を行う営業所(店舗)には、「主任電気工事士」を置く必要があります。ただし、経営管理や契約の締結のみを行っている店舗はこれに該当しません。主任電気工事士は専任となる必要があり、掛け持ちができないので注意が必要です。

経済産業省令で定める器具・営業所

電気工事業では営業所ごとに経済産業省令で定める器具を揃えておく必要があります。登録と通知で異なる内容の詳細は以下の通りです。

【一般用電気工作物を扱う場合/登録のために必要な器具】

  • 絶縁抵抗計
  • 接地抵抗計
  • 抵抗・交流電圧測定回路計

【自家用電気工作物で最大500kW未満の需要設備を取り扱う場合】

  • 低圧検電器
  • 高圧検電器
  • 絶縁抵抗計
  • 絶縁耐力試験装置
  • 接地抵抗計
  • 抵抗・交流電圧測定回路計
  • 継電器試験装置

また、電気工事の営業所は、技術者がいるものが該当します。経理や総務だけの事務所や店舗は営業所にあたりません。

電気工事業開業時の集客方法

電気工事業を開業して軌道に乗せるためには、早い段階で集客をかけていく必要があります。代表的な集客方法は以下の通りです。

集客方法①チラシやポスティング

自分のお店のチラシを作り、一般家庭や店舗等のポストに投函する方法です。取り扱う業務の内容や金額、イベントなどを掲載しておくことで、問い合わせや申し込みの獲得が期待できます。特に地域密着型の方針であれば、目的とする地域にくまなく投函すると効果的です。

集客方法②ホームページ

自社のホームページを作成すれば、インターネットで検索する潜在顧客への集客を効率良く行えます。ホームページを活用すると年中無休でお店をアピールすることができますが、ホームページを運用するにはコストがかかるというデメリットもあります。

また、同業者が多い地域では「電気工事業者+地域名」で調べられた時に検索結果の上位に表示されるようにSEO対策をする必要があります。SEO対策は専門的な知識をもとに行うため、外部に依頼する場合はさらにコストがかかることを考慮しておきましょう。

電気工事業で独立開業するには電気工事業の登録等が必須

今回は電気工事業の仕事内容をはじめ、電気工事業を開業する際の登録の種類や開業するためのノウハウ、集客方法などについてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。電気工事業には一般用電気工作物と自家用電気工作物があり、電気工事をするためには電気工事士の資格を取得する必要があります。

これから電気工事業を開業する場合、どのような形で工事を行うかによって登録の種類が異なり、申請する内容も異なります。また、開業して軌道に乗せるためには自社を適切な方法でアピールしていく必要があります。これから電気工事業の開業を志している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。