ファクタリング支払を【元銀行員】が徹底解説 ! その種類や流れ、条件など

ファクタリングにおいて支払という言葉はとても重要です。なぜなら支払なしにファクタリング取引が成り立たないので。

また立場によって「支払」という言葉の意味が変化します。たとえばファクタリング会社が利用者から売掛金を買取りして、利用者の口座に「入金」するのは支払です。一方、売掛先企業が売掛代金を業者に「支払」する場合は、ファクタリング会社には支払が「回収」を意味します。

そこで今回の記事では、その「支払」に徹底的にこだわって、色々な状況の下での支払について詳しく解説します。

1.ファクタリング取引の種類と支払の流れ

ファクタリングといえばまず買取りファクタリングです。またその取引形態は2つのタイプに分けることができます。その2つの取引タイプから支払の流れを見ていきましょう。

1.1 3社間取引

ファクタリングにおいて、ファクタリング利用者(以下利用者)、ファクタリング業者(以下業者)、売掛先企業(以下売掛先)の3社を巻き込んで取引を行うのが3社間取引です。

支払の流れは以下のようになります。

  • ①利用者が業者に売掛金売却を申込む
  • ②審査と併せて、利用者および業者が売掛先に売掛金の譲渡を通知、および譲渡の承諾を求める
  • ③通知および承諾後、利用者が売掛金を業者に売却する
  • ④売掛金の回収期日に売掛先が業者の口座に資金を「支払」する

1.2 2社間取引

2社間取引は、取引の事実を売掛先には知らさず、利用者と業者の間で直接取引を行います。

支払の流れは以下の通りです。

  • ①利用者が業者に売掛金売却を申込む
  • ②審査終了後、利用者が業者に売掛金を売却する
  • ③売掛金の回収期日に利用者が売掛先から代金を代理受領する(集金代行して一時的に自社の口座に受取する)
  • ④自社口座に入った資金を利用者は即日で業者宛て振込して「支払」する

2.支払条件から見た違い

ファクタリング取引も事業者間取引のひとつなので色々な支払条件があります。その支払条件は買取り業者によっても違うし、売掛先企業や売掛金の信用度、取引形態によっても変化します。そこでこの章ではその支払条件のうち、条件に強く影響を与える大きな項目に絞って詳しく解説します。

2.1掛け目

掛け目というと思い浮かぶのが銀行融資の担保です。

担保は融資先の倒産等で銀行融資が回収不能になった時、担保物件を売却してその代金を融資残金に充てて回収する役目を持っています。

銀行担保で一般的なのは土地建物等の不動産ですが、担保となっている不動産をいざ市場で売却しようとしても銀行の思い通りの売値がつくわけでもありません。そこで銀行は融資審査において、担保の「掛け目」を不動産評価の7割程度に設定し、また実際の融資もできるだけ掛け目評価の範囲で行い、いざという時の換金リスクに備えています。

この掛け目の原則はファクタリング取引でも応用されています。業者によって、取引形態、売掛先企業及び売掛金の信用度、業者の規模や業歴、買取り実績などで売掛金に掛け目を設定するかどうか決めているのです。

2.1.1掛け目ありの場合

掛け目ありの場合、業者が売掛金の回収リスクを下げるため取引に掛け目を利用しています。※

取引にも慎重な対応のため、このような場合、ファクタリング業者として比較的業歴があり、財務的にも優良会社であることが分かります。取引形態も3社間取引を好み、あまり2社間取引には熱心でありません。その代わり、ファクタリングの買取り手数料は比較的安い業者が多いです。利用者にとって「支払」手数料はコストでもあるので安いのに越したとはありません。

※ファクタリングの掛け目の相場は売掛金総額の7割~9割程度です。

2.1.2掛け目なしの場合

掛け目なしの場合、売掛金を全額買取りしてくれるので、業者としては回収リスクをいとわない取引に積極的な業者であることが分かります。

利用者の多くは売掛先に内緒で売掛金を売却したいニーズが強く、その場合2社間取引がメインとなりますが、それに応えてくれるのもこの「掛け目なし」で対応してくれる業者が多いです。業者のタイプとしたら比較的業歴の浅いファクタリング会社が多く、リスクを取って積極的に買取りに応じようとします。

ただしリスクを取る分、業者の買取り手数料も高くなる傾向があり、利用者にとっても「支払」手数料が増えるので、自社に取っての資金の必要性や緊急性、また利用頻度も考えて活用する必要があります。

2.2支払手数料

ファクタリングの支払手数料の相場は取引形態によって大きく変わります。

以下が一般的な手数料相場です。

・3社間取引…売掛金額に対して1%~5%

・2社間取引…売掛金額に対して10%~30%

新興業者の中には、すべての取引がオンライン(ネット)完結できることを唄っている業者もあり、その場合の支払手数料は高くても9%以内となっています。

2.3償還請求権(リコース)

ファクタリング取引では、利用者が業者に売掛金を売却するので、いったん売却したらその権利(売掛金の所有権)は業者に移ります。そのため、仮に売掛先が回収期日前に倒産や業務縮小で売掛金を決済できなくなっても、利用者はもう関係ないと思うかもしれません。

しかしファクタリング取引では売掛先から業者が資金を回収できて初めて取引終了となるので、回収リスクの度合いもよりますが、買取りに当たり業者が利用者に契約条件として償還請求権(リコース)付きを要求することもあります。

いったん利用者が償還請求権(リコース)付きを認めたら、その取引では仮に売掛先から代金回収ができない不測の状態が起こると、利用者は業者に対し買取り金額相当額の資金を返済しなければなりません。

ファクタリング取引ではこのように、支払条件として支払義務あり(ウィズリコース)と支払義務なし(ノンリコース)の場合があって、売掛金の信用度、利用者と業者の力関係、取引形態などで支払条件が変わってきます。ただし日本のファクタリング取引ではノンリコース契約が多用されています。

3.その他支払項目とは ?

ファクタリング契約の中には業者が利用者に対し、支払条件として債権譲渡登記を要求する場合があります。

債権譲渡登記とは、業者が買取りした売掛金の権利を第3者に対して対抗・主張するために法務局にその所有権を登記する手続きのことをいいます。

いったん登記が済むとその内容は公に誰でも閲覧できる状態になるので、業者としても安心して売掛金の回収期日を待つことができます。回収リスクの高い2社間取引ではよく使われている方法です。

ところでこの登記に関しては、司法書士に設定

登記から無事に債権を回収できれば抹消まで手続きを依頼することになるので本人への報酬も含めて色々なコストが掛かります。もちろんこの費用の「支払」は利用者が負担することになります。

債権譲渡登記に係る主な費用項目は以下の通りです。

  • ・登録免許税
  • ・印紙代
  • ・司法書士報酬(設定登記および抹消費用)

またファクタリング取引では、取引の開始時に「事務手数料」あるいは「審査料」という名目で別途支払を要求される場合もあります。もちろんこれも利用者の負担になりますが費用として要求するかどうかは業者次第です。

4.一括支払、分割支払という違い

ファクタリングには売掛金を売却した時にその買取り代金が業者から支払われます。

その支払方法に「一括割引方式」つまり業者が一括で支払する方式と、「個別割引方式」業者と利用者が対象の売掛金の範囲内で自由に「売却額」「受渡日」を決めて支払う方式があります。

・一括割引方式

一括割引方式は業者が契約日あるいは指定日に売掛金全額を一括で買取りして支払う方式であり、通常のファクタリング取引はほぼこの方式です。

・個別割引方式

個別割引方式では、売掛金の売却額の範囲内で業者と利用者が「売却額」「売却日」を取り決めでき、利用者の資金ニーズに合わせて自由に設計可能です。

一般的には「個別割引方式」のほうが「一括割引方式」より業者の回収リスクも上がるので、ファクタリング支払手数料も高くなります。

また2社間取引は「一括割引方式」を取るのが多い一方で、3社間取引では「一括割引方式」「個別割引方式」のどちらでも選べます。

自社の資金ニーズ、業者の対応、支払手数料の水準など勘案してより良い方法を選ぶようにしましょう。

5.まとめ

今回の記事ではファクタリングの支払にこだわって色々な視点から詳しく解説してきました。この記事がファクタリングを深く知りたい中小企業者の参考になれば幸いです。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。

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