記事更新日:

ファクタリングと「貸金業法」元銀行員が徹底解説 ! どんな影響を受ける ?

当サイトの記事には広告、アフィリエイトが含まれています。

ファクタリングと貸金業法はどのような関係にあるのでしょうか ? あるとしたらどのような形で貸金業法はファクタリング取引に影響するのか、それがこの記事のメインテーマです。

金融取引は大なり小なり、何らかの法律の影響を受けています。いやむしろ法律の制限を受けずに、金融取引をする項目を見つけるのが難しいくらい大きな影響を受けているものです。

そこで元銀行員の筆者が自分の体験を踏まえて、まず「貸金業法」について詳しく説明します。その上で、貸金業法がファクタリングとその取引にどのように影響するのか、さらに深く解説します。

中小企業経営者の私がオススメする業者一覧
※即日OKのおすすめファクタリング業者を見る

1.貸金業法とは ?

貸金業法とは、消費者の利益を守ることを目的に作られた貸金業者の登録制度、規制を含めた法律のことをいいます。

元々は1983年に貸金業規制法という名前で施行されていましたが、2006年に内容が大幅に改正され名前を現在の貸金業法に変更、さらに2010年に法律として完全施行されました。つまり貸金業法というのはいわゆる貸金業者を規制する法律のことです。またここでいう貸金業者というのは、消費者金融やキャッシングを取り扱う信販・クレジットカード会社を指し、銀行や信用金庫はこの法律の対象外となっています。

2.その他の金融機関、金融業者を規制する法律

それでは銀行や信用金庫、クレジットを扱う信販会社等はどんな法律で規制されているでしょうか ?

答えは以下の通りです。

  • 銀行…銀行法
  • 信用金庫…信用金庫法
  • JA農協…農業協同組合法
  • 日本政策金融公庫…日本政策金融公庫法
  • 信販会社・クレジットカード会社(ショッピング枠)…割賦販売法

それぞれ業界ごとに作られた法律があり、金融業者は各々の法律を守りながら規制を超えない範囲で金融取引をしなければなりません。もし業者が法律違反をした場合は、それに対して刑事罰や行政処分など厳しい罰則が加えられ、最悪業務停止という対応が待っています。

3.貸金業法と総量規制

貸金業法というのは貸金業者を規制する法律ということは前に述べましたが、その中でも総量規制という法律は改正された貸金業法の中でも特筆すべき項目です。

法律の流れとしては2006年に改正され2010年完全施行されました。

総量規制の主要な改正項目はいくつかありますが、この章では特に重要な部分について解説します。

3.1貸金業者の融資総額が申込者年収の3分の1以内に制限された

じつは貸金業法というのは、業者が融資を行う対象を個人に絞った法律で、この法律が適用されない除外項目や例外項目がいくつかあります。

たとえば担保を必要とする住宅ローンや自動車ローンは総量規制の除外項目です。また個人事業主に対する事業性資金は最初から総量規制の例外項目に指定されています。さらに法律が守るのが個人なので法人も外れています。

※このような総量規制に当てはまらない各項目を除き、貸金業者は2010年に総量規制が完全実施されて以降、個人に対する融資総額が本人年収の3分の1を超えて貸付できなくなりました。つまり貸金業者が申込者本人の支払い能力を超えて過剰融資できないよう、融資を総額でしばるようにしたのです。

※総量規制の除外項目、例外項目に関してはこちらのサイトを参考にして下さい。

参照先:日本貸金業協会 総量規制とは

http://www.0570-051-051.jp/contents/user/1-1.html

3.2 貸付の上限金利が年20.0%以下に

総量規制のもうひとつの大きな改正項目は、融資に伴う金利の上限が年20.0%と定められたことです。これ以降、消費者金融等の貸金業者は年20.0%を超えて貸出すると法律違反となり、刑事罰を受けることになりました。

ここで金利に関する法律を2つ紹介します。

出資法と金利制限法です。

それぞれの法律が制定された目的を簡単に書くとこうなります。

  • ・出資法…金融業者を規制する法律
  • ・利息制限法…消費者(ローン利用者)を守る法律

これらの金利に関する法律は、消費者金融等の貸金業者の融資(含むクレジットカードのキャッシング)だけでなく、銀行や信用金庫等の融資にも適用される法律です。

ただこの2つの法律には取扱いで違いがあり、それは出資法の上限金利が全ての融資に対して年20.0%である一方、利息制限法では融資金額によって上限金利が異なります。

具体的には

  • ・融資額10万円未満…上限金利年20.0%
  • ・融資額10万円以上100万円未満…上限金利年18.0%
  • ・融資額100万円以上…上限金利年15.0%

となっています。

これらにより、もちろん金融業者が年20.0%を超えて貸出すると出資法違反となり刑事罰の対象となりますが、それ以外にもたとえば融資額が150万円で金利が年18.0%で貸出したような場合は、利息制限法に抵触して行政処分の対象となります。(この場合、業者は年15.0%以下の金利で貸出さねばなりません)

なお総量規制全体の詳しい内容については以下のサイトがよく分かります。

参照先:日本貸金業協会 貸金業法について

http://www.0570-051-051.jp/

4.ファクタリングと貸金業法の関係

それでは次にこれまで説明してきた貸金業法はファクタリングに何らかの影響を与えるのでしょうか ?

銀行以外のお金を取り扱う業者を一般的にノンバンクと呼び、消費者金融もノンバンクとして貸金業法の影響下にあることから、ファクタリング会社も貸金業法の影響を受けそうに感じますよね。

しかしながら結論から先に述べると、ファクタリングは貸金業法の影響をまったく受けません。

それどころか現在のところ、ファクタリングを規制する法律はなく、さらに指導監督官庁もないので、言い方は悪いですが業界は野放し状態といっても過言ではないでしょう。またファクタリングは貸金業法に絡む融資でなく、売掛債券の売買(譲渡)とみなされているので、現時点では非課税取引として取扱いされています。

たしかに経済産業省がこれまであまり利用されてこなかった売掛金の活用のため、信用保証協会や銀行を通じてABL(売掛債権担保融資)の積極的利用やファクタリング活用を呼び掛けている側面もあります。※

将来規制のための法律が作られるとか、経産省がファクタリング業界の監督官庁となる可能性もありますが、いずれにしてもファクタリング業界に追い風が吹いていることは間違いありません。

その影響もあってか、参入障壁の垣根の低さも相まって、どんどん色々な業界から新しくファクタリング会社が作られています。まさにファクタリング業界は未だブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓の市場)といえるでしょう。利用環境が整備されることで、これからもさらに取引の活発化が期待できる業界と筆者は考えています。

参考:ファクタリングに潜むリスク・危険性とは?(ファクタリングは貸金業ではない!)

※参照先 経済産業省中小企業庁 「売掛債権の利用促進について」

http://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/urikake_panhu2.htm

5.ファクタリングのメリット・デメリット

ただそうはいっても、何でも手放しで歓迎という状況でもありません。どんな金融商品でもメリットもあればデメリットもあります。

貸金業法のように色々な厳しい社会的実験を経てどうにか消費者を守る法律ができましたが、ファクタリングに関しては未だ利用者を守るような法律も監督官庁もありません。すべて自己責任の下で行わねばならないのがファクタリング取引です。

失敗を避け健全にファクタリングを活用するためにも、利用者はまず、ファクタリングのメリット、デメリットを十分知った上で取引を行う必要があります。

筆者の考えるファクタリングのメリット・デメリットは以下のようなものです

▪メリット

・ファクタリング業者…法律の規制がないので、ファクタリングの取引条件や運用基準を会社独自に決められる、手数料率や取引額にも制限がない

・利用者…自社のニーズや財務状態に応じて色々な取引形態を選ぶことができ取引の弾力性が高い、また融資より審査が早く急ぎの資金に間に合うので資金繰り対策ができる

▪デメリット

・金利に関する法律適用がないので20.0%~30.0%の利用手数料が取られる場合がある

・取引によっては手数料も高く、使い過ぎると会社の財務体力を弱らせる

・法律による救済がないので取引はすべて自己責任となり、トラブルも含めてすべて自分で対応する必要がある

・法律がないことで闇金等の違法業者が形を変えてファクタリング会社に化けているケースもあり、資金を急ぐあまり間違って関わってしまうリスクがある

6.ファクタリングと貸金業法まとめ

これまで述べてきたように、ファクタリングには融資に係る貸金業法のような法律がないので、メリットとして業者側、利用者側ともども、自由に取引できる余地が大きいことが分かりました。

しかし一方で、取引はすべて自己責任の下で行わねばならず、利用者として「取引の詳細に関心がない」「無知だった」で済まされる話ではないのです。

取引で失敗するとか、トラブルに巻き込まれることで、自社が倒産や廃業の運命にさらされる可能性もあることを利用者は十分自覚しておかねばなりません。

まさにファクタリング取引においては、そのメリットとデメリットを十分理解した上で取引に臨む必要があると筆者は考えています。

この記事がファクタリング利用者の知識の向上に役立つことがあれば幸いです。

 

資金調達にお困りの読者様に合わせて読んでいただきたい記事

※記事の掲載内容は執筆当時のものです。