取引信用保険とは ? ファクタリングとの違いを元銀行員が詳細解説 !

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法人が商売で得た売掛債権や手形債権は最終的にお金で回収されて初めて会社の利益や資金繰りに貢献します。ところがこれらの債権は回収するまでに一定の期間があり様々な要因で回収リスクが発生します。たとえば売掛先の倒産や任意整理、連鎖倒産による手形の不渡りなどです。

そのためこれらの債権を持っている事業者も、最悪の事態を避け自ら回収リスクを下げるため、色々な対策を打っておく必要があります。その方法のひとつが取引信用保険であり、売掛金を回収期日より早めに売却して資金を確保するファクタリングです。

今回の記事では、その取引信用保険について、またファクタリングとの違いなど、元銀行員の筆者が詳しく解説します。

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取引信用保険とは

取引信用保険とは法人向けの各種保険のひとつで、国内外の損害保険会社が取扱いしており、別名倒産保険と呼ばれています。

1-1 取引信用保険とは ?

法人間では大企業、中小企業問わず商売において色々な掛け取引が発生します。いやむしろ、決済で現金を伴う取引はごく少なく、ほとんどがこの掛け取引といってもよいでしょう。

掛け取引とは、商品を売買した後の代金の支払いを後日行うという約束ごとのことですが、その掛け取引の代金を後日受け取る約束を具体的な形にしたのが売掛金であり手形です。これらを合わせて売掛債権と呼びます。

ただし売掛債権には回収リスクがあり、必ずしも期日に全額回収できるという保証はありません。一方売掛債権が回収できないと、売掛債権を持つ会社の資金繰りにも大きく影響してしまうので、債権者は保険を掛けることでそのリスクを少なくできます。

この保険を取引信用保険といい、保険を掛けて各種の回収リスクに備えることで、安心して商売を続けることができるのです。

1-2 補償対象

取引信用保険が補償する対象は営業上で発生した売掛債権や手形債権※になります。

たとえば期日前に取引先が倒産すると売掛債権が回収不能になるので、保険会社から設定した支払限度額内で保険金を受け取ることで債権が補償され、債権者は資金繰りの悪化の回避や連鎖倒産をまぬがれることができます。

※手形債権は受取手形だけでなく、債権者が途中で融資を受けるため割引に回した割引手形や別の取引先に決済で渡した裏書手形も含みます。

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1-3 保険料

取引信用保険における保険料は年1%~3%程度です。さらに全国の企業の取りまとめ役でもある日本商工会議所、全国中小企業団体中央会等を通じて提携先の保険会社に保険を申込みすれば低利で契約することもできます。

◆保険料の計算事例

自社の売掛債権取引先のうち、取引信用保険を設定したい先5社

それぞれ500万円ずつ支払限度額を設定

保険料率1%とすると、

年間保険料 5社×500万円×1% = 25万円となります。

 

1-3-1 縮小率

取引信用保険には縮小率という概念があります。これにより仮に保険を掛けていても、支払限度額内の債権が100%支払い補償されるというわけではありません。

具体的にはまず縮小率を使って保険金額を出します。その結果、「実際の損害額に縮小率を掛けた金額」と当初に設定した「支払限度額」のうち、どちらか低い額が実際の保険金額として被害を受けた企業に支払われるルールになっています。また保険会社における一般的な縮小率は90%~95%程度です。

1-3-2 保険事由

取引信用保険において一般的に保険金が支払われる事由は以下のようなものがあります。

a.取引先において破産、民事再生、会社更生法等の手続き開始や特別清算の申立があった時
b.取引先が取引金融機関または手形交換所の取引停止処分を受けた時
c.取引先の財産について強制換価手続き開始、仮差押え、差押え通知が発せられた時
d.取引先が債務の弁済日から起算して3ケ月過ぎても債務の履行がないと保険会社が判断した時

 

取引信用保険の利用メリット・デメリット

取引信用保険のメリット・デメリットは以下の通りです。

2-1 メリット

・保険金で貸倒れ損失を補てんすることで不測の場合でも資金繰りを安定させることができる

・貸倒れ損失は毎期発生しないものの、毎期保険料を費用化することで回収コストが平準化できる(保険料は全額損金処理可能)

・保険を掛けることで所有している売掛債権が保全され、自社の全ての取引先(含む取引銀行)に対する信用力が上がる、またその信用力を背景にさらに取引拡大が図れる

・取引信用保険を掛けている保険会社から保険の対象となっている取引先の信用情報が定期的に得られ、各取引先に対する与信管理が強化される、また取引先に信用不安が起こる前に取引縮小などの対策が早めに取れる

2-2 デメリット

・保険を掛ける前に保険会社による審査があるので、その結果希望額より支払限度額が下げられる場合がある

・いくら自社が支払いリスクの高い取引先に保険を掛けたくても、保険会社の審査の結果、その対象先から外されてしまう場合がある

・取引信用保険はあくまで保険が契約された日を持って効力を発するため、保険契約日以前からすでに回収リスクが高い取引先を保険でカバーしようと思っても、保険会社がその先を対象に受けいれてくれないケースがある

 

取引信用保険の利用上の注意点

取引信用保険を掛ける上で利用者として保険会社に対し必ず守らなければならない2つの事項があります。それは以下の2つです。

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3-1 告知義務

個人として生命保険を掛ける場合、保険会社に対し「過去にどんな病気をしたか、どんな手術を受けたか、今の状態は健康か」など、自分の体や健康に関する事実を詳しく告知する義務があることは知っていますよね。

もちろん内容を偽って告知して後で事実が保険会社に知れれば、たとえ病気やケガをしても保険金が下りないことがあります。これは取引信用保険の場合も同じです。

保険を掛ける時、保険会社に対して「取引先の支払状況がすでにかなり悪い」「あるいは何度も支払遅延している」という事実を隠して保険契約すると、いざ取引先が倒産しても保険が下りない可能性があります。

取引信用保険を掛ける時には、保険会社に対してきちんと取引先の信用状態について事実を告知しておきましょう。

3-2 報告義務

また保険会社に対し、保険契約後も取引先の業況の報告義務を怠ってもダメです。取引先の業況が悪くなりそうな場合、貴社から保険会社にその動向を報告すると、そのタイミングが早ければ早いほど保険会社は貴社に対し取引先との取引縮小の警告や指示を出すことができます。

取引先の回収リスクをできるだけ下げるのは貴社と保険会社、双方の共通の利益のはずです。保険会社とは日頃から密接にコミュニケーションを取るようにしましょう。

 

取引信用保険とファクタリングの違い

さて取引信用保険のイロハが理解できたところで、いよいよ取引信用保険とファクタリングの違いについて解説します。

両者の違いは主に取引先の範囲、保険料・手数料、取引先への通知、売掛債権の範囲、個人事業主への対応の5つにまとめることができます。

4-1 取引先の範囲

取引信用保険の場合、保険を掛ける取引先は相手先数が少なければ全先が対象となりますが、保険を掛ける会社の規模が大きくて取引先が多い場合、たとえば売掛債権の売上の大きい順から10社、20社以内とか、売掛債権が一律●万円以上という風に保険会社に条件を付けられます。

一方ファクタリングの場合、取引先に関係なく売掛金があれば売却できます。ただしその売掛金を買取りするかどうかは審査の結果、ファクタリング会社が判断します。

4-2 保険料・手数料

取引信用保険は売掛債権に対する保険、ファクタリングは売掛金の売却・譲渡と取引形態は違いますが、この差はそのまま保険料と買取り手数料の差になります。

取引信用保険の場合、保険料は平均して年1%~3%です。ただしこれは年率。

一方ファクタリングの場合、買取り手数料は2社間取引だと10%~30%と割高になります。(3社間取引は1%~5%)ただしこちらは売掛金に対する買取り割合です。

4-3 取引先への通知

取引信用保険では、保険を掛けた事実を保険対象とした売掛債権を持つ取引先に知られることはありません。

一方ファクタリングの場合、利用先が売掛金を売却した事実が売掛先に知られるかどうかは取引形態により変わります。

・2社間取引…売掛先への通知を必要としないので取引先に知られることはありません。
・3社間取引…売掛先への通知・承諾が条件であり、取引先に売掛金を売却した事実が知られることになります。

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4-4 売掛債権の範囲

取引信用保険の場合、保険の対象となる売掛債権の範囲は売掛金および各種手形です。

一方ファクタリングの場合、買い取る売掛債権はあくまで法人の持つ売掛金が中心です。(例外的に個人事業主の売掛金を買い取る業者もいます)

4-5 個人事業主に対する対応

取引信用保険の場合、取引先が個人事業主でも売掛債権があれば保険を掛けることが可能です。

一方ファクタリング取引において売掛先が個人事業主だった場合、売掛金の信用性・安定性に欠けることが多く、ファクタリング会社が買い取らない場合があります。

 

まとめ

今回の記事では取引信用保険の概要、取引信用保険とファクタリングの違いを主に解説してきました。

法人間の取引では、取引信用保険やファクタリング以外、売掛債権の倒産等による回収リスクを避ける方法がいくつかあります。たとえば中小企業倒産防止共済などもそのひとつです。

この共済制度は筆者が長年銀行で勤務していた時代から、中小企業者の間で人気があり幅広く利用されてきた制度です。それに比べると取引信用保険やファクタリングは歴史が浅く、事業者の間での認知度や利用度はまだまだ低いものです。

この記事を参考にして、この2つの方法が事業者間でさらに理解され利用されることを期待しています。

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※記事の掲載内容は執筆当時のものです。